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DomSubと言えば、切なくて痛いストーリーが多く、コマンド1つとってみてもDomの自己満足な欲望の捌け口にしかならない命令には嫌気が差したものですが、いつしかその方向性は変わり、最近ではDomの命令がSubの心を安定に導くような…または救済に繋がっていくようなプレイを主体としたストーリーがグンと増えました。
溺愛系のストーリーが好きな私としては痛いシーンが極力少ない方が好みなので、甘めに仕上がったDomSubムーブは大歓迎。この作品は、切ないシーンも悲しいシーンも肉体的苦痛を与えるシーンも全くなく、比較的穏やかに読み進めることができて満足の読み心地でした。
何と言っても、Domの三縞のキャラクターが良い!
糸目のイケメン、チャラいけど溺愛指向の尽くし系Dom。軽くてお調子者なキャラが個性的で、場の雰囲気をクスッと和ませてくれる優男です。
そのくせ、実はDomとしては優秀で、しかもSubを甘えさせることによって自分も満足感を得るタイプのDom性。Subにとっての極上のDomである三縞が虜になってしまった海莉とのプレイや恋愛模様は、この作品の見どころとなっています。
ビギナーSubの海莉に、ダイナミクス性のイロハについて指南する三縞のプレイが優しくて特別に甘く、命令なのに命令になってないような…命令全てに気遣いや優しさに溢れたプレイは、Domの「こうあるべき」像を覆してくれるでしょう。
お相手の海莉は、表紙からすると美人な見た目をしていますが、中身は結構ガサツな感じです。口が悪いところもチラホラ見えていて、優しげな話し方をする三縞との対比がなかなか面白い。三縞とはお似合いの良いカップルだなと思いました。
UsualからSubに変異したことによる心のケアから始め、ゆっくりと距離を縮めていく2人の関係が自然体で素敵。割と早い段階で恋人同士となり、プレイを重ねながら初めてのセックスへと臨んでいく経緯も読み感抜群でした^ ^
基本的には平和的な甘い空気感を楽しめるストーリーですが、三縞が勘違いから暴走しちゃう一幕もあり、そこのところだけが一瞬ヒヤリとさせられる感じかな。三縞がどれだけ海莉に惚れてるのかが証明されたと思えば、そんなすれ違いも視点を変えれば微笑ましいものでした。
1つだけ心残りなことは、三縞の糸目顔が見れなかったことです。表紙の三縞は開眼中の三縞なので糸目感がありません。糸目は三縞のチャームポイントということもあり、糸目ビジュ画も見たかったなと思いました。
domsubはあまり得意ではないのですが、この作品はwebで作家さん読みをした時から全く抵抗なく楽しんで読むことができました。
domの三縞くんは全く支配的でなく、むしろ健気にsubの海莉くんが自分を必要としてくれるのを待っています。海莉くんもそんな三縞くんに徐々に心を開いていく様子が可愛く微笑ましいです。
ダイナミクスをきっかけとして出会った2人ですが、ダイナミクスや性別だけでなく個と個で引かれあったんだなと感じられていいなあ理想のカップルだ、と読み返す度に思うのです。
今回電子書籍化されて、番外編で後日談も読むことができて幸せでした。
