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表題作蜜は夜よりかぎりなく

志澤知靖 志澤グループ役員 35
志澤藍 日本画の大家の孫・大学生 21

同時収録作品双曲線上のリアリズム

弥刀紀章 新進映画監督
佐倉朋樹 研修中の警察官

同時収録作品逆理-Paradox-

福田功児 美術商
一之宮衛 洋画家 18~

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

恋人同士になれたというのに、大学生活に馴染むことで必死な藍と、益々忙しくなった志澤。
一緒に暮らしているのに、すれ違う日々は相変わらず。
なかなか触れてくれない志澤に不安を募らせる藍だったが…。
ほろ苦くて甘い表題作・志澤×藍編の他、弥刀×朋樹編、藍の父・衛の過去編を収録。
崎谷はるひが贈る大人気シリーズ待望の短編集が登場。

作品情報

作品名
蜜は夜よりかぎりなく
著者
崎谷はるひ  高永ひなこ 
媒体
小説
出版社
角川書店
レーベル
角川ルビー文庫
シリーズ
キスは大事にさりげなく
発売日
ISBN
9784044468231
3.8

(33)

(14)

萌々

(7)

(7)

中立

(3)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
8
得点
122
評価数
33
平均
3.8 / 5
神率
42.4%

レビュー投稿数8

お父さんの話

を読みたくて、シリーズ最初から再読!
お父さんの心情を知ってシリーズ読むと、いや違うんだよー。って何度も突っ込んじゃいたくなったけど、お父さんの歪んだ愛がもう本当にたまらない。。

初めて知った愛する相手は神様だったんだなー
そんな神様が地上に堕っこちてくるのは許せない気持ちも、
地上に堕とした事で恨まれるのが怖い気持ちも、
何にも変えれない二人の関係を永遠にしたかった気持ちも、
生きる上で神を持ってしまった人の苦悩なのかなと思うと、背筋がゾクゾクしました。

私自身無神論者だから、自分の中の絶対があるって気持ちがわからないけど、苦しくても絶対に信じれるものに翻弄される狂気は美しく思えました。

0

本当の完結編

表題作の志澤×藍と、弥刀×朋樹編、そして福田×衞編の3編。

前半2つは、本編だけの「ハッピーエンド」ではなく、
その後もそれぞれカップルが続いていくのだという未来への希望を描いてくださったように感じました。

きっと志澤は、藍がひとつ大人になるたび
今回のように不安になってはいじけて離れて…それを藍がたしなめて…
そんなことまさしく死ぬまで繰り返してそうだなと。
傍目からは想像できない力関係に落ち着いてて微笑ましい笑。

朋樹は元から自立し達観したキャラクターでしたが
社会人になって、柔軟さや繊細な気遣いなどを覚え、最強キャラになっていっている気がします…!
しかもそれが「弥刀ならどうするか考えた」って…愛じゃん…
これからもっと辛いこともあるだろうけど、どんどん成長して最強になって、名実ともに(?)弥刀を抱いてください。

最後に、福田×衞について。
崎谷先生はこれを書いたことで、ようやく白鷺シリーズに終止符を打てたのではないか?と考えさせられました。
シリーズ第一作目で、突っ走った藍をたしなめた志澤が
間違った方向に向かってしまったらこうなっていたかもしれないですね。
この二人についてはまず、このさらに上の世代の靖彬と清嵐の時代から歪みがあったのだと思います。
靖彬に否定されたコンプレックスを抱え、筆を折った福田。
それでも自身の審美眼は間違っていないのだと、幼い衞にその期待のすべてを押し付けます。
結果、世間から評価されることに固執しありのままの衞を受け入れなかった。
それはおろか、自分の中の感情すら気付かない始末。
というか見ないふりをしていますね。極悪なほうのツンデレ…?
愛し愛されることが上下関係に繋がるとしか考えられなかったのでしょう。福田の出自も気になるところです。
陰鬱な描写が多いですが、福田からの衞への愛情が読み取れる場面もチラホラあります。

衞に関しても、最初の歪みは清嵐からの愛情不足だと思います。
息子と引き換えに妻を失ったのは衞も同じ立場。
もしかしたら清嵐と衞も幼いうちは、衞から藍に向けられていたような
温かいコミュニケーションがあったのかもですが…結果的に衞は都会へのあこがれと足りない父性への欲望を抱えた
歪な子供に育ってしまいました。これについては清嵐も反省しているのか
藍への教育はしっかりしていたようで。志澤は運が良かったね。
衞は自分が福田に抱えている感情が何なのか分かる前に洗脳され、
その後も福田に絶対的な「父」でいることを望んでいたように思います。
父は自分なんかに乱されてはいけない、モノとして扱ってほしい、父の自慢になれるような良い子(=画壇で評価される)でなければならない…
愛していると自覚してからもそれは変わらず。
所有される以外の愛があることも知っていたのに、それも求めず。
決定的にすれ違うことになった場面での衞の「失望した」という独白が、これまでの力関係が実は逆だったのか?とすら思えるほど
冷めた表現で驚きました。福田が衞を縛っているというよりむしろ
衞が福田に「完璧な父」を求め、それに福田が(健全な方法では)応えきれなくなり、抑圧することで無理にでも衞の上に立っていたのかもしれないと…。

己の感情に気が付かなかった鈍感な大人と、気づいていたのに相手に孤高を望んだ子供の、悲しすぎるすれ違いのお話でした。
愛と出会って満たされ、藍を遺してくれたのは奇跡みたいなご都合主義ですが
このくらいの救いがないとやってられません。それだけ重たい話です。
二人のお互いへの愛情が見て取れるだけに余計…
崎谷先生、こんなにも感情を揺さぶってくれる作品をありがとうございました。

初読はもう10年以上前ですが、やっと感想を書くことができました。

0

いいシリーズ最終策でした。

 白鷺シリーズ、最終巻。

 この本の中には3つの話が入ってました。
 一つ目が、藍と志澤の物語。
 二つ目が、弥刀と朋樹の物語。
 三つ目が、藍の父親、衛の過去編でした。

 一つ目の話は、藍が大学に行き始めて、初めて異性と一緒にいるのを見た志澤が、藍と距離をとり始めて、それに気づいた藍が、志澤を問い詰めたとき、志澤の過去が明らかになる……という話でした。
 藍視点でこの物語を見ると、周りが思っているほど、藍は天使ではないし、心が広くもないし、強くもないんだなあ……と実感できる話でした。
 皆が皆、藍を神格化しているのに、当の本人だけ、それを意に介してないところが一番、すごいし強いからとても好きです。

 二つ目の話は、強かった朋樹が現場に出て、直接人と触れ合う経験をして、逆に自分のウィークポイントのようなものに直面して、少し弱ってしまった話。
 本当に本当に強かったので、この話が出てきて、ようやくこの二人の関係が本物になって、強い朋樹が弱って、また新たな強さを好きになって。
 本当に本当に朋樹のことが好きだなあと思いました。

 三つ目の話は、これが一番、痛い話で。
 どうして衛はこんなことになってしまったのか、というのが衛視点で語られる話です。
 これがシリーズの根本の話で。
 そうせざるを得なかった衛の切ない話。

 この三つが揃ったことで、すっきりとシリーズが完結したような気がします。
 とてもいい話でした。
 ありがとうございます。

0

なんとも・・・

白鷺シリーズ番外編短編集ですね。

私はこの白鷺シリーズ(本編)が崎谷さんでいちばん好きなんです。

ただ、あくまでも本編・志澤×藍に限っての話で、スピンオフ・弥刀×朋樹編(『平行線上のモラトリアム』『垂直線上のストイシズム』)はかなり苦手ですし、親世代(というのか)・福田×衛はどうでもいいというよりもう脳が思考を拒否するレベルです。

こちらは、3CPそれぞれをメインに据えた短編集になります。

私は初読みの際に、表題作は別として弥刀×朋樹の『双曲線上のリアリズム』は一応さら~っと読み、福田×衛の『逆理-Paradox-』はもう仕方なく読み飛ばして終わりにしました。

ハッキリ言って、福田×衛は読みたくなかったし記憶から抹殺したいくらいです。気持ち悪くて堪らなかった。
BLに何よりもハッピーエンドを求める私にとって、BLを読む意味がカケラもない作品でした。

実は・・・私、これまだレビューしてなかったんだと気付いてちょっとビックリしたんですが、思い返せば本編とスピンオフのレビューした時に、それこそ『逆理~』のレビューでの扱いに困って後回しにしてそのまま忘れ去った模様です。

え~、いろいろと考えた結果、2編目はともかく3編目に触れると罵倒に終始する危険があるためさっくり無視して(思い出したくもないし)、あえて表題作についてのみ書きます。

なんというか、志澤どこまでヘタレなんだ・・・というのに尽きます。藍が覚悟を決めているので余計に情けなさが際立つ。
いや、でも志澤はすごく好きなんですよ。ホントです。ヘタレも含めて大好きですから!

それでも、作品のトーンとしては切ないんでしょうが、やっぱりこれはあまあまラブラブだよなあ。

とにかく、私は志澤と藍のキャラクターが好きなので、その2人のストーリーというだけでもう嬉しいです。


で、評価なんですが。

個別に見れば表題作が『萌×2』、『双曲線上~』が『中立』、『逆理-Paradox-』は『しゅみじゃない』です。

トータルではもう開き直って表題はよかったから『萌』で。3編目はもう忘れることにします。イヤ、忘れたい。

2

う~ん…

全部読んでの感想です。

4作品全部一気に読みました。
藍のお父さんと深い深い関係にあった福田が気持ち悪くて読むたびに『うぇ(-.-;)』ってなったのに,藍が健気で可愛いのに芯があるとても私の大好きなタイプの受けで,藍が志澤と一緒にどう成長し生きていくのか,壁をどうやって乗り越えていくのかが気になり,さくさく読んじゃましたwwww

しかし何故『趣味じゃない』評価かというと重いんです…
出てくるキャラクターみんな重い過去がありすぎ!
誰か一人でもいいからそんな過去もなくて平和な人いないのか?!
崎谷はるひ作品だからドロドロなのは分かってましたが,藍のお父さん衛と福田の過去話でアウトでした。
私にはああいう重い痛いしかない救いのない話は駄目でした…(衛は最終的に藍が産まれ幸せになったという感じでしたが藍が産まれるまでが暗くて痛くて半分斜め読みでした(;_;))

まだまだ崎谷はるひ作品を読むにはお子ちゃまだったんですかね…
もぅ少しドロドロ痛い重い話に免疫がついたらもぅ一度読んでみたいなと思います。(笑)

崎谷はるひ先生の不埒~シリーズと不機嫌シリーズは大好きなんですが,このシリーズは私には合いませんでした…。

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