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作家買い。
2013年に単行本で発売された旧版に、「グッデイグッデイ」と「さくら」の2編の描き下ろしを加え文庫本という形で出版された新装版。
旧版は既読。宝井さんの描かれた表紙や挿絵は変わらず、本文は修正はちょびっとだけありましたがほぼ変わらず、でした。
内容は旧版のほうでも書いてくださっていますが、一応ざっくりと。
「きみが好きだった」
開業医の息子で、高校生の晶太郎視点のお話。
晶太郎は友人でもあり、はとこでもある直巳と家族ぐるみの付き合いをしている。直巳はいいやつではあるもののモテるのをいいことに女性関係がちょっとだらしない。
ある日直巳に「恋人」と紹介されたのは、同じ学校に通う一つ年上の真山先輩。
真山が男であることに驚きつつも、彼と関わりを持つことで少しずつ真山先輩に惹かれていく晶太郎。けれど、「マヤちゃん」は直巳の恋人で。
そんな想いを隠し続ける晶太郎だが、直巳は浮気ばかり。
自分なら真山先輩を悲しませないのに。
そんな3人のたどり着く結末は―?
直巳という男の子は不誠実極まりない男の子なのですが、憎めない。
真山も、同じように感じてたんだろうな、と思うのです。浮気性で、ふらふらしてて。でも、好きだったんだろうと。
その一方で晶太郎にも心惹かれていく。
三角関係のお話なのですが、ドロドロしてない。
彼ら3人が、とにかくいい子たちだから、だと思うのです。
「きみが好きだった」は彼らの関係は昇華しないまま終了します。
そして、後半の「ずっと、きみが好きだった」へストーリーは移行します。
「きみが好きだった」とは異なり、こちらは真山視点。
そして、彼らが出会った高校生時代から13年後、のお話です。
医者になり、実家の病院の跡を継いだ晶太郎と、母親の再婚相手が経営する洋風居酒屋の店長になった真山が再開するシーンからスタート。
高校生の時には蓋をするしかなかった想いが、再会したことで再燃する。
大人になって、分別もでき、常識も知り、現実も知った彼らが辿る「未来」はー。
「きみが好きだった」の時から、晶太郎という青年はとにかくナイスガイです。
誠実で、大人で、開業医の跡取りだというハイスペック男子。何より真山一筋です。
一方の真山のほうはちょっと複雑。
でも、その根底にあるのは、晶太郎への想いなんですよね。
晶太郎を愛しているからこそ、彼のこれからを思い、一歩踏み出せない。
そんな彼らの起爆剤になるのが、ヤリチン・直巳です。凪良作品の中でも群を抜いてのクズ男と言って良いのではなかろうか。
でも、直巳って、実はかなりの不憫さんだと思うんですよね。
好き放題しているようで、彼は周りをよく見ている。
彼がマヤちゃんの前から姿を消したのは、マヤちゃんの気持ちがどこを向いているか気づいたからだと思うんだよな。
凪良さんもあとがきで書かれていますが、直巳を幸せにしてあげてほしいです。スピンオフを激しく所望してますです。
新装版にあたって収録されているあとがきは、どちらも晶太郎視点のお話です。
「グッデイグッデイ」
恋人同士になった彼らは、一緒に住むことにするけれど…。
というお話。
「さくら」
真山と住む部屋も決まり、引っ越しをする事に。引っ越しの当日、荷物をまとめる手伝いをしてくれていた母親に、結婚できないことを詫びる晶太郎だが―。
2話とも短いお話なんです。
でも、この短いお話の中に、家族への愛が溢れていました。
男同士で恋をする事の難しさ。
けれど、そんな彼らを見守り、愛してくれる家族がいる。
子ども時代。
彼らが出会った高校生の時。
現在。
そして、これから共に築いていく未来。
それらを、まるっと描き切っている、素晴らしい描き下ろしでした。旧版を持っているので新装版を買おうかちょびっとだけ悩みましたが、やっぱり買ってよかった、と思える書き下ろしでした。
彼らが出会って、恋を成就させるまで14年という歳月がかかっています。
ジレジレと進む恋ゆえに、もしかしたら好みが分かれるかも。
でも、個人的にはめっちゃ好きな作品です。
一途なわんこ攻めがお好きな方にはお勧めな1冊かと思います。
読んで見たかったお話だったので、新装版が出て迷わず手に取りました。良かったです!!書き下ろしを含んだ三編からなるお話です。
医者の息子の高良(攻)。高良の親友の恋人 真山(受)。真山の恋人だけど浮気ばかりの、高良の幼馴染で親友の直巳。17歳の高良は、幼馴染の恋人として、紹介された1つ歳上の真山に恋に落ちます。幼馴染の恋人だから、恋心を隠しながら、直巳を含めた3人での日々を過ごしていきます。直巳の浮気を怒り、真山が直巳を許すのを複雑な想いで見つめる高良。甘くも苦しい日々には、あるきっかけで終わりが来て…。そして、次の話では、成長して大人になった真山と高良のお話です。再開した2人の、変わっていく関係の話。
真山は、直巳が大好きで健気。直巳が浮気をしても、影で泣きながら許してしまいます。家庭環境が複雑な真山と直巳。対して、仲の良く裕福な家庭に生まれた高良。高良はずっと真山を一途に想い続け、高嶺の花のように恋い焦がれていますが、真山は真山で、高良のことが眩しいのです。前半の高校生の頃の日々が愛おしく感じます。後半の大人になってからの話では、高良がイイ男になっていて、けれど真山の前では、情けないワンコのままで、もう色々と好き要素が詰まっていました…!青春小説が読みたかったのと、長年かけて想いを遂げる話が好きなので、私には大ヒットでした!
一途に想い続ける攻が好きな人、健気な美人受が好きな人、苦しむ攻が好きな人、三角関係万歳な人にオススメします。
凪良先生の描く受けが好きすぎて、無条件にその足下にひれ伏したくなってしまうのですが、とりわけこの真山先輩が好みです。
本作は攻め受け両視点ともに共感しながら読める、稀有な作品の一つだと思います。
同じ高二ではとこ同士の長良と諏訪。両親が不仲で家庭に居場所がない諏訪を慮り、夕飯時は長良の家で共に過ごすのが常だった。
長良は医者の息子で円満な家庭に育った優等生、対してチャラモテ系の諏訪はしょっちゅう付き合う子が変わる憎めないタラシ。
諏訪が一つ先輩で同性の真山を家に連れてきてイチャついているところを見せられた長良は、当惑しつつも真山のことが気になりはじめる。女の子だけでなく同性にも惹かれることを自覚しながら優等生でいなければならない彼の目に、綺麗で多少荒っぽくて、家族思いの真山はとてつもなく眩しく映った。
真山は諏訪に夢中で、何度浮気されても同性ゆえに傷つけられても、許し、耐え、諏訪の要求に応えようとする。不誠実な諏訪なんかより、絶対自分の方が真山を大事にしてあげられるのに…
前編の長良視点では真山の転校をきっかけとして三人の関係は転機を迎え、長良の片恋も成就することなく終わりを告げる。
後編は真山視点。
高校を卒業して十三年が経ち、付き合っていた恋人と別れて地元に戻った真山は、母親の再々々々…婚相手が経営する飲食店を任されていた。仕事も恋愛も実りのなかった二十代を振り返り、時間を浪費していたのではと後悔し始めていた矢先、自分の店で長良と久しぶりの再会を果たします。
高校時代、長良はダサくて冴えなくても、十年後には頭角をあらわすタイプだろうと確信していた真山でしたが、落ち着いた大人の男に変貌を遂げた姿を実際目の前にすると、彼に告白された過去を思い出して意識してしまう。
本当にいいヤツだったけれど、友人以上にはなりえなかった長良と、彼の思いを受け入れられなかった真山の立ち位置は三十代に入って逆転します。
やっぱり人を好きになるタイミングってあって、恋に落ちた相手に夢中になってしまうと誰の忠告もアドバイスも耳に入らなかったりするものです。年を重ねて過去を振り返った時に、なんであんなヤツが好きだったんだろ…って、夜中に叫びたくなってしまうような赤面必至の恋に覚えがあったら、このお話を読み終えた後になんともいえない余韻が残るのではないでしょうか。
季節の空気が読み手の肌にも伝わってくるような、印象的なシーンがたくさんあります。
原チャのニケツ。少しでも会いたくて、好きな人のバイト先をマラソンのコースに入れて走った早朝。三人でお弁当を食べていた校舎の屋上や、海辺のペンションで泊まり込みのバイトをした夏休み。
なにより、書き下ろしに描かれた長良家の庭に植えられた桜の木のエピソードが胸に迫り、親の思いを汲むと泣けました。
このお話は甲乙つけがたい凪良先生の作品の中でも五本?の指に入るのですが、読んだ当初から宝井理人先生のイラストは自分の抱いた作品の印象からはずれていると感じていました。
これはDK青春ものであると同時に、当時を振り返らせてくれる大人向けのお話でもあると思うからです。
渋いところでは宮本佳野先生、大人センチメンタルなヤマダサクラコ先生や小椋ムク先生のような絵柄をイメージしているわたしには、挿絵がちょっと残念なのです。
誤解のないように申し添えますが、宝井先生は大好きです。
今回は母子家庭でバイト三昧な先輩と
成績優秀で真面目な後輩のお話です。
攻様視点で高校時代の
受様との出会いから別れまで、
受様視点で社会人になり
攻様の再会から恋人になるまでに
再録と書き下ろしの後日談を収録。
攻様の家は祖父の代から眼科医院で
父が後を継ぎ、攻様も後を継ぐべく
真面目に勉学に励んでいます。
母親の従姉妹夫婦の離婚話に絡み
同い年のはとこがよく家に来るようになり
最近では一番仲のいい友人になります。
はとこは来るもの追わず
去るもの追わずな軟派な男で
今付き合っている学校の先輩を
攻様に会わせたいと言い出します。
はとこの彼女など興味のない攻様ですが
やってきたのは3年生でも悪いで
目立っている男子生徒だったのです。
そして彼こそが今回の受様になります♪
受様は綺麗な顔立ちながらも
口と手や足が一緒に出る乱暴な先輩ですが
はとこの腕の中では真っ赤になる
可愛らしい一面のある人でした。
受様の告白にはとこが応えたものの
はとこが男と付き合うのは初めてで
攻様をカムフラージュに
3人で過ごすことが増えていきます。
母子家庭で年の離れた弟妹の世話と
バイト三昧な受様に恋人のはとこは
不満タラタラで浮気を重ねます。
一番好きなのは受様だけど
恋人にはいつも側にいて欲しい
というはとこの言い分は
攻様には承服できないモノですが
受様は仕方ないと許すのです。
そんな受様と共に過ごすうちに
攻様は自分が受様の恋人なら
もっと彼を大切にするのにと
やるせない思いを募らせ…
単行本収録作2話に
全サ小冊子用に書き下ろした1話に
新たな続編1話書き下ろしての
文庫化になります。
初版の単行本でた際に
ちょっと高い!!と思ってしまい
買い逃した本だったので
文庫化を知ってから
楽しみに待っていました♪
攻様と受様は恋人のはとこ、
はとこの恋人として出合うため
優等生な攻様は受様に恋心を抱いても
ただ見ているだけしかできません。
しかも攻様から見ても
受様の恋人の行動は不誠実で
受様を悲しませているのです。
それでも受様がはとこといて
幸せならといいと思っていたのに
浮気相手の後輩女子が
はとこの本命彼女として現れて
攻様がブチ切れてしまうのです。
それでも受様ははとこを選び
受様の恋は実りません。
理屈では解明できない
恋心の理不尽さ、やっかいさに
振り回される攻様のやるせない思いが
切なかったです。
そんな2人が時を経て再会し
受様を忘れられなかった攻様は
少しずつ受様を囲い込んでいくのです。
片恋遍と両想い遍で視点が変わるため
それぞれの逆の立場でも相手を見れれて
2人の恋が実るまで楽しさ倍増、
続く番外編まで一気読みでした (^◇^)
何かの事情で別れても
再び巡り合って惹かれ合う恋というパターンは
かなりMY萌ツボなので
まだ自分のことで手一杯だった初恋と
何度か恋をして互いに大人になり
再び巡り合い掴んだ恋と
3つの恋を楽しませて頂きました♪
書き下ろし2本で
2人が周りの人達からも祝福されているのが
またとっても良かったです。
来年の桜は家族4人で見られますように。
今回は先輩後輩&再会&年下攻をキーワードに
榎田尤利さん『交渉人は黙らない』をおススメです。
こちらの攻様も一途です。策士ですけどね(笑)
あらすじは、上記を参照してください。
流れとしては、中盤まで苦しくその後乗り越えて幸せになる物語。
私としては前半の高良が、諏訪と真山のいちゃいちゃや、諏訪の浮気を目の当たりにしなければならないことが辛かったです。
でもそれも真山に対しての想いが強くなる要素だったのだなぁと思いました。
真山のイメージが言葉遣いや出会いの印象で、どうしても綺麗な人にはならず、また高良もか弱いイメージになってしまい物語に入り込むのに時間がかかりました。
大人になってからの高良は、成長し真山に対してもリードする感じか良かったです!特にHの時は、長年の想いが爆発してかなり真山に無理をさせているんじゃ?!と思うくらい。
真山の妹や弟の名前や、昔のお遊戯会のDVD、高良の両親など、ほっこりする事や場面、登場人物がこの物語にはあり私は好きです。