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2007~2008年に発表された短編が6つと表題作のカップルの描き下ろしおまけ漫画が収録されています。
絵柄的にはマッチョ系が多かったり、H度が高かったり、独特の角度やデフォルメされたパーツが個性的なので好みは分かれるかもしれませんが、ストーリーとしては割と王道的なものからダークで病んでいるお話が収録されていました。
私の好みとしては割と王道な表題作や「誰彼ベイサイドシティ」が好きでした。
「誰彼ベイサイドシティ」は主人公の2人も良かったですが、攻め様の幼い息子まで男前で、カッコイイ親子が見れました。
「隷人抄」は一転して病み系のお話です。この作品だけこの単行本の中では異色を放っていると思います。
優等生に見える子が歪んだ愛情を抱いているお話なのですが、私は少し苦手なお話でした。
2人だけでしてくれるといいんですが、他の人が複数絡んでくるとちょっと…ね(汗)。
複数モノや凌辱系が苦手な方は要注意かもしれません。
セカンドコミックスも短編集となります。
エロさ。格好良さ。更に不道徳感。
よくある設定でも鬼嶋さん独特の切り取り方に新鮮などきどきが味わえます。
ですが「ラブミッション」
意味深いキーワードとなります。
作品そのもののいじらしさしたたかさより、全体を通して愛を手探りしてる感じで挙動不審気味。
小気味いいテンポとスピード感に気持ちよくなってる所でなんとなく変なブレーキがかかる。
座りの悪さを感じました。
ともえちゃんみたいな愛に目覚めるなんてリアルではそうそうないけど、愛を意識し過ぎて読者として(作者込?)で空回ってしまったような読後感。
「ラブミッション@」
鬼嶋先生にしては珍しくショタ系の受けです。
エロ漫画家・ともえと編集者・田中の話。
恋を知らないともえ先生がウブでいじらしくとっても可愛い。
恋を知らない先生が恋を知るようになる過程は、まるで赤子が言葉を覚える過程のよう笑
そんな赤子のような先生の話ですが、エロは特盛りでさすが鬼嶋先生だな、と思いました。
「エストレージャ!」
鬼嶋先生本領発揮のガチムチ受けです。
受けの男らしさ、そして色気が詰まった話でした。
これからは攻めも受けを守れるような強い男へと成長していくことでしょう。
「誰彼ベイサイドシティ」
轟親子がとにかく男前なこの作品。
チャコはダメな奴ですが、純粋で、自分の過ちを正すことも出来る子でした。
三人の新たな家族の形に心が暖まる一品。
「スリングとスラング」
モデル・ネロは実は東北出身の超田舎者。
見た目と中身のギャップに思わず笑ってしまいました。
メール一つに打ったり消したり繰り返して悩む受けが中学生みたいで非常に可愛かった。
「隷人抄」
腹黒い、でも不器用な太一と兄貴肌の赤城の報われない話。
他の作品とは違ったちょっとダークな雰囲気が楽しめます。
「ふたり、ぐらし」
女兄弟の中で育った乙女な受けと男兄弟の長男の攻めの話。
何だかんた言ってバカップルな二人でした。
全編通してエロ多めです。
しかもガタイの良い子が結構揃っているので、読む人を選ぶかも。
逆に、ハマる人はすごいハマると思います。
そんな私はハマった人なので、神評価です。
ガチ筋肉男の緻密なエロが得意で、いかにも「ゲイ雑誌に載ってそうな」作家さんである鬼嶋さんですが、その中では比較的ソフトでほっそりした人が多い本だと思います。
この本において言えば受けが小さかったり細かったり、ガッチムチなレスラーでも美人だったり・・・とこの本は滾る要素より萌えの要素が強いかな、と。
つまり、普通のBLに近いテイストです。
とはいえ縛られた荒縄の間から覗く番長の胸筋の逞しさだとか、小さい目の受けっ子でありながらナニはしっかり大人の形してたりだとか、鬼嶋さんはやっぱり鬼嶋さんなのです。
いわゆる「野郎」なBLが好きな人なのかどうかを図る試金石になりそうな本ではあります。あ、自分は好きですよ。
ストーリー自体は普通のBL、という感じが強くしてとくになにかプラス、はないんで萌えどまりですが。でもクリクリした目の子もかけるんですね。
普通のBLだけど普通のものをあまり書かない人が書くので新鮮って感じはあるけど、鬼嶋さんの作品の中では自分はもっと好きなものがたくさんあります。
お話は「どっかで読んだような…」と言う、正直どこにでもあるネタで、エロシーンも「男性向けでよく似たエロを描く作家さんが居るなー」といつも感じてしまう鬼嶋さん。正直1作目からその辺の進展は0ですが、やっぱり絵は線が絞られてきて今時になってきてるし、デッサン力も構図も洗練されてきてるように思います。
ある種の特殊な嗜好のある人が、欲求を満たすために読む作品であり、そうで無い人が評価につられて読むと拍子抜けすると思います。原作付で内容のしっかりしたお話を描かれたら、少し見方が変わるかもしれません。絵は大好きなので。