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心に痛みを抱えた2人が、一生にいたいと手に取り合うまで。
いや~かなりハラハラジレジレでした。
受け様は美容師の瑞原。
同棲中の恋人だと思っていた相手から「結婚するから」と、家を追い出され、トラブルに巻き込まれて 骨折。
おかげで仕事もクビに。
という、散々な出だし。
困った瑞原は、怪我のトラブルの原因でもあった医師の梶山の家に居候させてもらう事に。
こちらが今回の攻め様。
美容師としての腕は立つのに、ダメダメな男としか付き合ってきてない瑞原。
素直で気遣いのできるいい子なのに、どうしてこうろくでもない男にひっかかるかな。
梶山の元で暮らしていく内に、感謝してもらい、尊重してもらって、梶山の人柄に惹かれていく瑞原。
梶山も、瑞原の傍は居心地がよくて、大事にしたいと思うように。
でも、2人とも相手を大事にしすぎて、身を引いちゃうんだよなぁ。
特に梶山は、一体どうしたいのか、煮えきらなくて、なんだよもう~と地団駄を踏みまくりヽ(>o<)ノ
瑞原の態度が相手を増長させてしまった感はあったので、最低最悪な相手に対して、反撃に出たのはスッキリ。
まぁそれも梶山の為にした事でしたけどね。
やっと想いが通じあったけど、まだ梶山に対して遠慮遠慮しいな瑞原で、いつか安心して梶山のそばで笑っていられるといいな(*^^*)
頼むよ、梶山!
帰る場所シリーズのスピンオフとは知らず、先にこちらを読んだのですが、スピン元を読んでみると、梶山先生が幸せになれて本当に良かったねぇ、と思いました。
本編を初めて読んだ時は、頑ななまでに想を受け入れない姿勢にじりじりしてしまったのも確かで、想がまた一途で健気だからこそ、もっと早くに手を差し伸べてあげればよかったのにぃ!と思わなくもなかったんです。
けれど、う〜ん。あの過去があって、スピン元でのなんやかんやがあって、そして現在。(本編はスピン元の5年後っていう設定です)
今全部読んでみて、あの頑なさだったんだなぁと納得。
そして本当に、想と出会えて良かったねぇと思いました。
仕切り直し〜の方にも梶山先生のSSが載っているとのこと。
正直そちらの本編は読む気はなかったんですが、SS目当てに購入してしまいました。
そして相変わらず。椎崎先生の、ぐるぐるしっぱなしの自己完結型の受けちゃん。
も〜〜〜わかりやすすぎてお決まりすぎて、だから読みたくなっちゃうんですよねぇ〜〜笑
ずいぶん前にはじめて読んでからたまに読み返したくなる作品です。
頑張ってるのに報われない子がいい相手に出会えて幸せになって行くというストーリーは気分が落ちているときに励まされます。
すごくいい子なのに自己評価の低い健気な子です。
何かよくないことが起きるとみんな自分のせいにして誰も責めない。
それをわかっていて利用しようとする良からぬ輩の都合のいいカモなんです。
美容院を共同出資し将来は入籍しようとまで言ってくれた同棲している恋人から結婚するからと追い出されても、他人の巻き添えで骨折しても、怪我で仕事ができなくなりクビにされても、過去に酷い目に合わされ家族と疎遠になる事態になった相手に再会して都合よく扱われても、みんな自分のせいだと諦め赦してしまってばかりで歯がゆくなります。
けれど初めて、反撃に出た時には拍手しました。
自分ではなく好きになった人を守るために立ち上がったのは偉かった、そしてそんな人に出会えてよかったと思えました。
愛は勇気と力をくれるんですね。
けど、自分はどうでもいいから大事な人を守りたいというのは相手にしてみたら大いに不満で不安でしょう。
そんなところは今後のしつけ次第だとこれからの課題として心にとどめた恋人の想いに救われました。
美容師の瑞原想は、同棲中の恋人に、「結婚するから明日には家を出て行け」と意味のわからないことを言われた店で、たまたまいい男がワインをかけられるところを目撃してしまう。
呆然とする想だったが、店を出たところでそのワインをかけられた男とすれ違いかけ、おせっかいを承知で、ハンカチを差し出してしまう。
そこに、ワインをかけた女が再び戻ってき、ちぐはぐな言い合いの末、その女性は想を突き飛ばし走り去ってしまう。
突き飛ばされた想は、その拍子に腕を骨折してしまう。
ところが、美容師の想は、それを職場の共同経営者兼店長でもある元恋人に告げると、今度は仕事もクビになってしまう。
帰る場所も仕事も失った想は、仕方なくワインをかけられた男・梶山の「何かあれば連絡をしてほしい」という言葉を頼りに、彼の家を訪ねる。
すると「怪我をさせた責任を取る」という梶山の言葉に甘え、彼と同居することになった想。
当初、生活感のない梶山の家で、息を潜めるように生活をしていたが、ある日、お金を節約するために十分に食べていなかった想は、倒れてしまう。
そんな想が働けず、お金もないのは自分のせいだから、と、今度は梶山は想と食事をするようになる。
想は、それを何もしていないのにsてもらうのは悪い、と言い、代わりに家事を一手に引き受けところが、ることになる。
ところが、生活を共に過ごすうちに、恋人を失った過去に縛られたままの梶山に想は少しずつ惹かれはじめる。
そんな時、梶山の職場を訪れた想は、過去の恋人と再会する――。
そんな感じの話でした。
少しずつ梶山と想が、距離を近づけていくところがとてもしっとりと書かれていて、かなり面白かったです。
想は、ダメな男ばかりを引き寄せてしまい、今までちっともいいめにはあってこなかったのに、それでも相手を恨むことなく、前向きに生きていて。
今度も、梶山のことを思って一旦は、引くけれども、梶山がそうのところを訪れて、二人はハッピーエンドなんですが。
そうやっても、自分が我慢することで、梶山に迷惑がかからないようにしようとする想は、とっても優しくて、でも悲しくて。
そんな想を、自分の気持ちを認めた梶山が、そっと包み込んでいるのがとても優しい。
いろいろあったけれども、二人がとっても優しいのでとっても優しい話になっていて、すごくよかったです。
途中、想が、過去の恋人にいいようにされてしまうところもあって、そこだけかなり痛いような気もするので、そういう痛いのが苦手な人は避けた方がいいかもしれません。
個人的には、そういうひどい描写がなくてもちゃんといい話に仕上がったんじゃないかと思うので、そこだけマイナスでした。
たぶん、椎崎さんでは一番(というよりほぼ唯一。もうひとつはスピンオフの『仕切り直しの初恋』ですから)好きな作品です。これはキャラクターがよかったんですよ(単に私の好みとの符合で)。
なんというか、脇キャラクターやエピソードがいちいち陰湿なんですよね。そこは椎崎さんらしいと思うんですが、この作品は珍しく主要キャラクターが私の好みに合っていたんですよ。
確かに想(受)はダメ(アホ)なんですが、ダメの方向性が私の好みの範疇だったんです(いつもは真逆なんです)。今までまわりにロクデナシしかいなかったわりには、本人はホントに健気で性格もいい、その上仕事もできるんですよね。想はもっと報われていい!と思いましたよ。梶山(攻)もクールで冷たい男に見せて、なかなか大人で素敵でした。想にはお似合いなんじゃないでしょうか。
椎崎さんの作品で、主要キャラクターを2人とも(それなりにでも)好きになれるのは初めてで、貴重です。
かなり好きな作品ですね。