彼に憎まれるために、俺は生きている

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表題作夢の終わり

木津川哲,グループ企業を束ねる実業家
朝里悠一,記憶喪失の青年

あらすじ

――お前に抵抗する権利はない――
病院で目覚めた朝里悠一は、全ての記憶を失っていた。何も思い出せず、不安に感じていたある日、木津川という男が現われる。強引に屋敷に連れて来られた朝里はそこで、憎しみに満ちた瞳と共に無理やり身体を奪われてしまう!! だが、過去を失い生きる意味さえなくしかけていた朝里にとってはその憎しみですら、存在意義を見出せる甘美な悦びで……。しかし、戻らない記憶には思いがけない真実が隠されていて!?
出版社より

作品情報

作品名
夢の終わり
著者
火崎勇 
イラスト
いさき李果 
媒体
小説
出版社
笠倉出版社
レーベル
クロスノベルス
発売日
ISBN
9784773099546
3.3

(19)

(1)

萌々

(6)

(10)

中立

(2)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
8
得点
61
評価数
19
平均
3.3 / 5
神率
5.3%

レビュー投稿数8

ちょっとしたミステリー仕立て

「記憶喪失」ネタが読みたくて、詳細検索でヒットしたのがこちらの作品。

全ての記憶を失った青年に、「因果応報だ」と一方的な憎しみをぶつけてくる男。

自分は何者なのか。
自分は何をしたのか。
何故、ここまで憎まれるのか。

ちょっとしたミステリー仕立てなところが面白かった。

記憶喪失である受けの寄る辺なさというか虚無感が良く描かれていたと思う。
だから、唯一自分と関わりがある人間ということで、自分を手酷く扱う攻めにすら縋りたい気持ちになるという、通常では理解しがたい心理になんとなく共感できた。
ただマフィンを作り出すあたりが、やりすぎというかBL展開すぎて違和感が……。

そしていくら相手が記憶を失っていてまるで別人のような真人間になっているからとはいえ、「許す」を通り越して「ラブ」な気持ちが芽生えてくるってところがちょっと強引だなぁと思った。

「許す」気持ちはわかる。

だけど大事な弟をあんな凄惨な方法で殺した加害者を、好きになる心理にはついていけなかった……。
まぁBLだからラブが芽生えてくれないと、どうしようもないんだけど。

そして淡々と書かれてるけど、結構な数の人が死んでるんですよね……。

お話としては面白かったけど、何度も読みたいという感じではなかったです。

0

切ない系というよりサスペンス系の記憶喪失もの

気づいたら記憶喪失・・・という記憶喪失ものでした。
歳の差もので、攻めがハイスペックで受けが健気と、カップリングは個人的に好みだったので楽しめた一冊です。

木津川は悠一の記憶の手がかりになる人物で、どんなにひどいことをされても世界に知り合いのいない悠一は彼に依存していきます。
お話は悠一と木津川の恋愛と、悠一が「自分が何者だったか」を取り戻すまでが絡まって進んでいきますが、シリアスといえわかりやすい文章で読みやすい感じでした。
最初はかなりひどい奴…と思っていた木津川が悠一を可愛がるようになるのが早くて、素直にいい人だなーという感じです。
結局本当の悠一とはどういうものなのか、読んでいてもわからないので、記憶が戻ればこの「悠一」の性格は変わってしまうのかな?と思いながら読んでいたんですが、そのあたり、ラストもとても上手くまとめられていたと思います。
最後の方は引き込まれてしまいました。

ただ、カップルとしての萌えはちょっと薄かったかも。
読み物としては面白かったです。
せつなく苦しい恋愛系の記憶喪失ものでなく、ちょっとサスペンスよりの記憶喪失もの、という感じでした。

0

シリアス調

1冊丸ごと表題作です。主人公は記憶喪失の男で、記憶を取り戻すまでのミステリ要素のあるシリアスチックな作品です。

読後の後味はあまり良くありませんでした。

記憶を取り戻し、自分は「大友惺」であり、本物の「朝里悠一」が入れ替わりをしていたと判明して、木津川と晴れて両思いになりいずれは養子縁組という幸せを掴むという結末でした。

しかし、朝里悠一が次々と人を殺害していると判明したため、気が重くなりました。さらっと流されていますが、自分の母と甥、大友惺の両親と父親の妻の5名殺害というのは結構な衝撃でした。大友両親や母親二人はせめて事故でも良かったのではとも思いましたが、朝里の非道さを際立たせるためにそうしたもかもしれません。

二人が思いを近づけていく過程は自然だったと思います。
セレブ攻め、不幸な境遇の純真受けがお好きな方にお勧めの作品です。

1

記憶が戻ることが夢の終わり

記憶喪失モノです。
いやいや弟を殺したかもしれない人物に、いくら記憶喪失でも健気に生きていこうとしてるからって、いやいやそれいいの!?と思ってたら、最後の種明かしで、あー!!そう来るの!?って思い、これは良かったねと。
でも、例え最後のその種明かしがなくてそのまんまでも、木津川は悠一を受け入れていたんだろうなと思うと、なんというか懐が深いのか、それだけ悠一に惹かれてしまったのかと・・・。
しかし、殺されてしまった弟の文也が可哀想でなりません。
表紙のイラストすごく好きです(*´ω`*)

3

記憶喪失モノ

記憶を無くし身寄りも分からないまま病院から出ていかなくてはならない主人公・朝里の元へ訪問してきた木津川という男。
よく分からないまま木津川の屋敷に連れて行かれ、強姦され…。
善意で朝里を連れ帰ったのではなく、木津川は朝里に恨みがあり復讐するために連れて帰ったのだった。
この主人公の性格が記憶を無くす前はまともに生きてなかったわりに思考回路が冷静というか、
本を読んでこういう漢字が読めないから学が無かったんだろうなとかマナーの本見て見覚えがある内容だけど豪華な屋敷で落ち着かないから自分は使用人やってたんじゃないかとかそういう分析してる朝里が落ち着いてて好きです。
悪人になりきれない木津川の描写が細やかで、元々こういう酷いことする人じゃないんだろうなというのが序盤から伝わってきました。
弟を殺した犯人だと思ってる木津川が絆されてしまう展開に、これどうやって終わるんだろう…と思ってたら途中でああ!なるほど!と納得したラストでした。
くっついた後の2人のラブラブっぷりがもうちょっと見たかったのが心残り。
私の中でこれは火崎先生の本の中で甘くなくてもと2トップになりました~!面白かったです。

2

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