メランコリック・リビドー

melancholic libido

メランコリック・リビドー
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神18
  • 萌×215
  • 萌19
  • 中立6
  • しゅみじゃない6

--

レビュー数
23
得点
213
評価数
64
平均
3.5 / 5
神率
28.1%
著者
砂原糖子 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
ヤマダサクラコ 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
発売日
価格
¥590(税抜)  
ISBN
9784344815483

あらすじ

千夏史は子供の頃から日和佐が好きだが、日和佐は亡き兄の恋人で、相手にしてくれない。それでも彼のもとに通う千夏史だったが…!?
出版社より

表題作メランコリック・リビドー

カメラマン・日和佐明・そろそろ30歳
大学生・中沢千夏史・22歳

その他の収録作品

  • メランコリック・ステディ

評価・レビューするAIの精度がアップいたします

レビュー投稿数23

切ない…

うほっ、レビューがいっぱい。さすが砂原糖子さんだなァ。
『センチメンタル・セクスアリス』の番外編ですが、完全に本編を越えてました。めちゃくちゃ切なくて、めちゃくちゃ面白かったです。
砂原糖子さんの作品のなかでは、『セブンティーン・ドロップス』に次いで、好きな作品となりました。

主人公には、ずっと好きな人がいる。九つ年上のカメラマンで、亡くなった兄の恋人だった男だ。
健気で芯の強い、一途な受けです。
攻めのカメラマンは、俺様で自信家で遊び人の強いオトナ。…のように見えて、実は…っていうギャップにも萌えまくってしまいました。
亡くなった兄の存在感も凄かったです。コインのオチにキューンとしまくってしまいました。
コイン含めてあちこちに散りばめられている伏線の張り方も秀逸でした。

攻めのカメラマンは、何年もたってから、やっと亡くなった恋人の本心が分かるのだ。
分かったことで、はじめてその弟にもきちんと向き合うことができるようになったのだ。
超絶切なかった。

あと、エロいですw
ハメ撮りとかところてんとか、色々とエロエロです。
きちんとしたストーリーがあってのエロエロは本当にいいなァ。
やっと心が通じあってからのベッドインに、萌えまくりでした。

6

本編越えた番外編

もどかしい、もどかしいけど“子供の”恋ってこんなぐるぐる感があると思います。
二人の気持ちは同じ方向を向いているようなのに、どうにかまとまるまであまりに長いので、萌評価止まりにしようかなと思ったのですが、
その分ずっとキュンキュンできたし、結局最後は泣かせていただいたし、
何よりあの春巳君のお話(センチメンタル・セクスアリス)の裏にこんなものが隠れていたのねという、名誉挽回作になっていたと思うので、神にすることにしました。

亡くなった兄の恋人だったカメラマン・日和佐と9歳年下の大学生・千夏史のおはなしです。
「子供は嫌い」と言い切る日和佐に大人になったら認めてもらえると思っていた千夏史。
初めて会った9歳の頃から、日和佐に恋をしていた千夏史は長い間同等に扱ってもらえていないと思いながらも側を離れることをせず、あれこれコンプレックスを抱えながら、大人として認められることを待ち望んでいたのですが・・・

千夏史の幼いけれど一途な恋。
日和佐のあまりにも博愛的なセックスライフとその裏に隠された“子供のような”傷つきやすい心。
由多夏(兄)の二面性のある行動の理由。
そんなお話を読みながら、みんながみんな大人のように見えて、子供なんだね、
その子供の心を大切にしなければいけないんだね、としみじみ感じました。

幼く傷つきやすいからこそ、お話の端々でキュンキュンさせてもらったし、
最終的にパズルのピースがピッタリとはまった感じになった時は、それまでの灰色な部分も解消されて、「よかったね」と泣かせてもらいました。
脇役の面々もしっかりとそれぞれの役割を持っているし、小さな小さなエピソードにまで伏線が張られていたのには感心しました。

「センチメンタル・セクスアリス」のCDを聴きなおしてみましたが、これもCD化お願いしたいです。
しかしそうすると、この厚さなので、2枚組みでも相当カットされちゃうかもね。

3

早くも2009マイベストの予感…

ダメ、萌え殺されました…
登場人物がみんなみんな愛しい。
日和佐がどれだけどうしようもない男でも、それでも愛し続けた千夏史。
亡くなった恋人・由多夏が自分のことを本当に愛していたのか悩む日和佐。
自分の気持ちを上手に伝えることはできなかったけど、亡くなる直前まで日和佐を愛し続けた由多夏。
みんなただ相手が好きなだけなのにうまく伝わらず、まとまるまで時間がかかりましたねー
飄々とした日和佐よりさらに飄々と自由奔放に生きていた由多夏。日和佐は由多夏と4年恋人として過ごしたが、彼の本当の気持ちはわからず、セックス目的で自分といたのでは…と疑問を抱いたまま。由多夏はもういないのに。
7年間そうして由多夏のことから目をそらし続けた結果、結局由多夏の気持ちにも気づけず、本当に好きな相手もできず、複数人とだらだらとした関係を送ることとなる。
それが千夏史のおかげで由多夏と向き合うことができ、昔の自分たちはあまりにも子供だったこと、そのために由多夏の気持にも気づくことができなかったことがわかる。
写真の中の由多夏はあんなにも自分に愛を伝えているのに。
由多夏は由多夏で、変に大人ぶって日和佐に上手に愛を伝えることができなかった。
日和佐のことをずっと図書室から見てたのに。日和佐と関わりを持つために吸わないタバコを持ってたり、彼を手に入れるために両面表のコインを使ったり。
弟の千夏史にコインをあげて「これで欲しいものは手に入れたよ」って言うシーンではぐっときました。ちゃんと、日和佐のこと愛してたんだよね。
千夏史は振られても、傷つけられてもそれでも日和佐に寄り添い、日和佐と由多夏を向き合わせました。
そして由多夏のことが好きな日和佐のことが好きだと告白し、日和佐の呪縛を解いたのだと思います。
自分の想いを認めた日和佐はほんと、可愛いですね。無理に大人ぶってたけど、結局由多夏が亡くなったときから彼の時間は止まってたんだろうな。
Hのときはやはり大人っぽいというか、しっかりと千夏史をリード(というか、教育?)してくれるけど、普段はすっごく子供っぽい。
千夏史もそりゃぁ可愛いって思いますよね。
いろんな人達の想いが絡み合って、それが綺麗に片付いて、ようやく二人の恋はまとまりました。
「メランコリック・ステディ」では日和佐も千夏史に頭が上がらないようなかんじで、すごく微笑ましかったです。
以前の彼だったら、家から追い出されたりなんかしたら怒り狂うでしょうに。
これも愛のなせる技ですね♪
もーほんとによかったです。大好きな一作になりました。

3

ミドリ

かにゃこさん
日和佐がねーすっごい私好みの男だったんです。ほんと惚れそうなくらい。
女も男も気に入ったら誰とでも寝ちゃうような遊び人なんですけど、実は亡くなった恋人のことが忘れられない、またそのことで次の恋もできないような臆病で繊細な男だったんだーってわかったらすっごい萌えてしまって!!
めちゃくちゃ愛しいです。
由多夏も千夏史もそれぞれ可愛くて、もーーほんとこの人達のこと考えるとたまらんですよ!萌えまくりです。
うるっとくるし、読後も「よかった…」と思える一冊でした。
まぁ私はあんまり小説自体は読まないんで…2009マイベストといいましても、1年で何冊読めるのかというかんじなんでね(笑)あんまり役にたたないと思います、すみません。
ヤマダサクラコ先生の絵も素敵でしたvv

過去の恋、現在進行形の恋

「センチメンタル・セクスアリス」のスピンオフになりますが、そちらを読んでなくても特に問題はなく読めるかと思います。あと両方読む予定なら読む順番も気にしなくてもいいんじゃないかな。

この話では2つの恋が書かれています。
現在進行形の恋と、そして過去の恋。
その2つの恋が最後に上手く絡まって、そのラスト部分が良いのですなー。
あ、あとがき後にSSがありますのであとがき読まない派の方は要注意。

千夏史〔受〕はやっと20歳になった大学生で、彼がずっと長く想い続けている相手は29歳のカメラマン・日和〔攻〕
日和は千夏史の兄の親友で、そして兄の恋人でもあった男。
しかしもう兄は亡くなっていて。

かつて幼い頃に日和は千夏史に「子供は嫌い」ときっぱりと告げます、そしてそれは今も変わらない。
20歳になっても千夏史は日和にとって子供でしかないのか。

男女問わずセフレ感覚で付き合う日和を見るのは千夏史にとって辛い事で、それでもまだ千夏史は彼を諦められない。
長い長い片想い。

千夏史と日和との恋がやっと成就した時に、日和はかつて付き合っていた千夏史の兄・由多夏が自分が思っていたよりも幼い、ある意味本当の彼の素顔を知るのです、そこに過去の恋があります。
由多夏と日和の恋、それは断片的にしか書かれていないのだけれど、兄が千夏史にいかさまコインを譲ったり、そのコインは兄が日和と付き合うきっかけになったコインだったり。
過去の恋がぶわっと最後に膨らんで来る、そのシーンが読んでて最も印象的でした。
健気に日和を思い続ける千夏史も良いんですが、この話に深みを持たせているのは彼の兄、由多夏の存在が大きいと思いますね。
千夏史の恋だけでしたら萌評価でした、神にしたのはそれに由多夏の恋が加わったからです。

3

切なくて でも 優しい

「センチメンタル・セクスアリス」でとても気になるキャラだった日和佐の恋バナ。
軽薄そうなタラシなのだが飄々として憎めず、本編ではアテ馬でありながら主人公達の恋を取り持ってやっていたりしたカメラマンの彼。
さぞかし面白いエピソードの持ち主かと思いきや、予想に反して泣かされてしまった(苦笑)

「恋」はある意味、“執着”なのだろう。
だから、失うことが何よりも怖い。好きになればなった分だけ、それは比例する。
22歳で恋人を(文字通り)失った日和佐に残されたのは、いきなり取り上げられてしまった「恋」に対する執着でしかなかったのかもしれない。
過去にとらわれてしまったままだった心を解き放ってくれたのが千夏史。
目を逸らさずに過去とちゃんと向き合って。
哀しさにとらわれたまま「なかったこと」にしないで。
本当は寂しがりやで臆病で、けれど優しい、そんな日和佐を誰よりも好きだから ……
千夏史の一途な恋心が、日和佐の頑なな心を揺さぶる。
相手のありのままを受け入れることで「恋」は「愛」に成長し、千夏史は大人になったのだろう。

主人公以外の登場人物たちからも目が離せない。
日和佐の遠縁でもあるモデル事務所の女社長が、なかなかの名バイプレイヤー振り。
二人の関係が停滞している時に、それとなく互いを焚きつけてくれるのだ。
そして、千夏史の兄であり、日和佐の恋人だった由多夏。
コイン、タバコ、それから、写真 … 、心をギュッとつかまれるような切なさが痛い。
日和佐の中で、彼はきっとずっと色褪せることはないんだろう。そうであってほしいと思う。
そのうえで、千夏史と二人で歩いて行ってほしい。

読み終えた時、心の中のやわらかいところにスッと沁みこむような、そんな優しさが残った。

2

読後が気持ちいい

面白かったヾ(*´∀`*)ノ゛
可愛かった!!
砂原作品はどこでも評価たかぃよね。
タイトル何だっけ
心の声が聞こえてしまう受の話。
それが凄く良くて、他のも読みたいと買い置いてはいたものの…なままだったんですが
俄然読む気が沸いてきた


兄の恋人だった男。
9歳年上で、ちょっと変わった味の料理が好き。
男女構わずな性癖は、乱れ放題。
そんな相手に片思い。
『ガキは嫌いだ』
と言われてからもう11年。
二十歳になった今、もう子供じゃないよ
と~なお話。
ようは、ストーリーがうまく作られてて、驚くほどに読後が爽快
好きだから世話を焼いて、言いたくない小言も好きな相手だからこそでてしまう。
乱れた性生活を突きつけられても
それに耐え
兄と男との関係然り~な具合がウマかった。

結構乱れて~と思ってた攻ですが、兄さんとの関係が思ってた以上にピュアな感じなのが面白い。
最後のSSにしてもそうですが、本気に好きになった相手~との変わりっぷりというか、ヘタレわんこな感じが可愛くもある。
自分より9歳も下で、小さくて童顔な受の尻にしかれてる~な雰囲気が何より好きでした。
SSにしたことで、〆な感じがいっそ極まった気もしますなw

兄さんな話。
ずっと攻は、兄は自分のことをどう思ってたのか…と疑問を抱きつづけてきたわけですが、その真相が少しずつわかりはじめます。
思わずキュンとした
余命宣告
好きな相手
手に入れる方法
~そぶり
なんか泣けてくるゎ
人との繋がりと
関係
変わっていくもの
オススメです_〆(-ω- )

あ、でも遊びすぎたチンコは腐って落ちれば良いと思う
…腐り落ちても受なら可能……はぁはぁ…

すいません
自重します

1

悲しみを分け合う仲だから恋なんてできない

切ない片思いのお話。

二十歳になった千夏史には、十一年思い続けている男がいる。出会いは九歳、相手は九歳年上の兄、由多夏の同級生で現在はカメラマンをしている日和佐明。

日和佐は自らも色情狂上等!とばかりに、男女構わずセックスがお盛ん。彼自身が魅力的なのはもちろん、綺麗な人間がひしめく華やかな業界に身を置いているせいもある。出会った頃から子供は嫌いだと豪語している日和佐は、二十歳になっても未だ子供っぽい千夏史が、自分に思いを寄せているのをおそらく知っている。

日和佐の千夏史に対する扱いは酷いものです。千夏史は日和佐との微妙な関係を繋ぎとめようと、日和佐が住むマンションの近くにバイトを決め、新たなバイトとして日和佐のハウスキーパーを始めようと必死。

なのに、日和佐は千夏史の存在が面倒で厄介だと感じている。まるで嫌がらせのように千夏史に自分の情事後の片付けをさせたり、海外出張のお土産といって犬用のオモチャを買ってきたり…

日和佐にはずっと直面するのを避けてきた思いがあって、その辛さから目を逸らさずに見つめ直すきっかけをくれたのが、皮肉にも自分が遠ざけようとしていた千夏史でした。

好きだった人が若くして死んでしまったショックのせいで、長いこと心の柔らかい部分が麻痺していた日和佐。高校生の時に何枚も撮った由多夏の写真を久しぶりに目にした時、もっと大人だと思っていたその人はあまりにも幼くて、彼が二十二歳で亡くなってから自分の中でずっと時が止まっていたことに改めて気づかされるのです。

そのうちの一枚。由多夏が日和佐を撮った写真を見返して、日和佐とは遊びだと冗談ばかり言っていた彼の本当の思いを知ります。このシーンで描かれる日和佐の心情に触れると、彼を一方的にロクデナシと決めつけるわけにはいかなくて、逆にポロポロ泣けてしまいました。

ようやく気持ちを整理し少し大人になった日和佐は、やっと千夏史と向き合うことができます。子供が嫌いという人は、本人が子供だからよ!という日和佐の遠縁で元同級生、ついでにお節介な紗和の意見に納得です笑

一見、千夏史ばかり辛い片思いをしているようですが、日和佐も恋人の死で終わってしまった片思いに、十年間蓋をしてきていました。そして同じように由多夏も…

恋をすると自分の気持ちばかりで精一杯。だけど人を動かすのはやはり人の思いであったり、誰かの思いに気づくまでにはとんでもなく時間がかかったりもする。そう思い知る頃には、すでに状況が変わってしまっているかもしれないけれど…、日和佐は千夏史が子供みたいに純粋で一途だったからこそ、幸運に見舞われたのかもしれません。

本作は『センチメンタル・セクスアリス』のスピンオフで、両方とも本当にタイトルが素敵だなと思います。わたしは千夏史、日和佐、由多夏それぞれの思いとその関係性が切なくて、キュンキュンどころかズキズキするこちらにメチャクチャ萌えました。砂原先生の作品の中でも特に好きなお話です。

1

太陽に憧れて必死に手をのばす兄弟

『センチメンタル・セクスアリス』のスピンオフ作品ですが、わたしはこちらの作品の方が好きです。
視点が受け攻め、両方で読めるのも楽しめました。


受けの千夏史は大学二年生。
兄の由多夏は、22歳という若さで病気で亡くなっています。

攻めの明はもうすぐ30になる、人気フォトグラファー。
バイでハンサム、ちょっと皮肉屋な彼は由多夏の元恋人。


今回のテーマは『子供』のようです。
作中のいたるところに『子供』という表現が使われています。
『自分が子供だから明に相手にされない』というような。

出来の良かった9歳年上の由多夏といつも無意識に自分を比べている千夏史ですが、その辺りは読んでいても不思議と卑屈に感じることはなく、千夏史の心情に同調出来、切なくなることも度々ありました。

千夏史も明も、そして家族も、どれだけ亡くなった由多夏を愛していたかということを自覚し受け止める、そして器用貧乏であった由多夏の心情を知るための七年間でした。
はー、久々にウルっとしました。

砂原さんをいつも「うまいなあ」と感じるのは、登場人物紹介の描写。
時々他の作家さんで見られる、『こーんだけカッコ良いんですよ!!』的な説明調の描写でなく、スッと嫌味なく外見が想像できることが凄いなと感じています。
その登場人物の紹介文章だけで嫌になる(登場人物が自分の趣味に合う合わないでなく)こともあるので、その辺りは安心して読めるんですよね。

巻末あとがき後にSSがありますので、ご注意を。

3

久しぶりの新しい恋は長い二日酔い

『センチメンタル・セクスアリス』のスピンオフです。
実はこの作品のあらすじに惹かれて読みたいと思いながら、できた順に読みたい派なのでそちらを先に読みました。
読まないと楽しめないという作品は少ないのですが個人的なこだわりです。
こちらの作品はセンチメンタル〜と同じ時系列で、ちらりと出来てきた春巳とのやりとりを通してみると裏でこんなことがあったのかと、重ねてみると面白く思えました。

別れたり死んでしまった恋人の事を根強く思っている人との恋愛は絶対無理だと思うので、明を密かに思い続ける千夏史が不憫で不憫で、もうこんな節操なしなおやじに執着するのはおやめなさいよという気持ちで読んでしまいました。

しかも悪いことに、明にしても死んでしまった由多夏(千夏史の兄)を愛していたとか好きで忘れられないんだという思いは自覚していないんですよね。

それというのも、そもそも由多夏も明も不器用で素直じゃないからなんですよ。
誰も悪くはないけれど彼の生い立ちとか家族関係とかが絡んでいるとは思います。
付き合うきっかけになった賭けに使うコインの存在が由多夏の想いを解明するアイテムになっていたというに書き方が良かったです。
コインの秘密と由多夏の本心を知った明がそれによって過去の恋にきっちりけりをつけられるのなら良かったとは思います。
でも、今ここに由多夏がいたらまた好きになるというセリフがどうも引っかかりました。
いないから仕方ないから次に好きな千夏史と付き合うみたいで、何年たっても兄を超えることができない千夏史がかわいそうになりました。
親からも兄の方が愛されていて、自分がかわりになったほうがよかったんじゃないかとずっと思っていたようだから、大好きだった優しい兄ではあっても複雑な存在です。
もっと他に言い方というか表現の仕方がなかったのかなと思います。
間違ってはないけどそれで千夏史は納得したのかなというのが疑問でした。

由多夏の2面性に彼の悲哀を感じました。
優等生でいい兄であることも嘘ではないでしょうが、明に対する飾らず気も使わない時間も彼には必要だったんでしょう。

とりあえず気持ちが通じて分かり合えたということでまとまったみたいですが、この節操なしなオヤジはきっと案外溺愛系なんじゃないでしょうか。
というのが、巻末のSS『メランコリック・スティディ』を読んで思いました。
童顔で可愛い千夏史が学校やバイト先で、無自覚に愛されフェロモン垂れ流して変なムシくっつけてくるのを駆除するのに苦労しそうです。

2

センチメンタル!

 中沢千夏史には、好きな人がいる。
 それは九つ年上の売れっ子カメラマン日和佐明であった。
 日和佐は、男も女も来るもの拒まず、の関係で、千夏史が訪ねて行っても、まったく頓着する様子もなかった。
 ところが、「子供は嫌い」と千夏史だけは相手にもしてくれない。
 九歳のときに出会った日和佐は、亡き兄・由多夏の恋人で、千夏史が恋心を抱いても叶わない存在であった。
 そして、二十歳になっても、千夏史の想いは募る一方だが……

 という話でした。
 かなり静か。
 物語に読む人の心を明るくするアッパーと読んだ人を考え込ませるダウナー系の話があるのだとしたら、これは間違いなくダウナーです。
 でも、決して後味の悪いものではないので、ご安心を。

 若くして亡くなった千夏史の兄・由多夏は、最後まで自分の気持ちをはっきり伝えることはなくて。
 日和佐は、そんな由多夏のことをなんとなく引きずっていて。
 彼は本当は何を考えていたのだろうか? って考えたり、悩んだりしていて。
 でも、そんな自分を認めきれなくて。
 実は、由多夏が死んだ後、一回も泣いてなくて。

 でも、そんなデリケートな自分を認めてはいないから、自分ではなんともないと思ってる。思い込んでる。

 千夏史は、そんな日和佐のことをわかってるわけではなくて。
 だって、千夏史の方が、日和佐よりも随分年下で、なんていったって、まだ二十歳になったばっかりなんだから、まだまだ子どもだからわかってる方がすごくて。
 けれど、そんな日和佐のことを、一途に由多夏に恋をしていた日和佐のことが好きになった千夏史だから、なんとなくほうっておけなかったのかなー……と考えました。

 そんな感じのなんとなくセンチメンタルな話。
 なかなか、こんなピュアな気持ちなんてもう忘れちゃったけれど、これだけ頑張って頑張って、どれだけ邪険にされも諦めなかった千夏史はすごいなー……と思いながら。

1

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