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表題作晴れたる青空

(複数のカップリングのため未記入)
(複数のカップリングのため未記入)

その他の収録作品

  • 俺はあなたの犬だから
  • 楕円少年
  • 花葬庭園
  • 日溜りの猫
  • 優しい夢はそのままに
  • ティータイム27:00
  • 天使が通りすぎてゆく
  • 三人家族(書き下ろし)

あらすじ

勉強だけが取り柄の優等生・衣川と札付きの不良の吉見…
普通なら決して交わるはずもないふたりの魂はしかし、あの日、あの消毒薬くさい保健室の一隅でまちがいなくつながっていた……
そう、互いに息づまるような青春の煉獄の中でもがきながら、この世でただひとり、信じるべき相手の存在を身近に感じて―― 。
残酷かつ苛烈なる人生に立ち向かう少年達の戦いと彷徨を鮮烈に描いて至高の名作の呼び声高い表題作をはじめ、心ふるわす感動に満ちた,、在入手困難な幻の傑作選をベスト・セレクト!!
ここでしか読めない描き下ろし珠玉編22Pも必見のファン待望、豪華プレミアム作品集ついに刊行!!

作品情報

作品名
晴れたる青空
著者
深井結己 
媒体
漫画(コミック)
出版社
竹書房
レーベル
バンブーコミックス 麗人セレクション
発売日
ISBN
9784812471166
3.5

(27)

(5)

萌々

(6)

(15)

中立

(0)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
17
得点
94
評価数
27
平均
3.5 / 5
神率
18.5%

レビュー投稿数17

短いからいい、でももっと読みたい、複雑な気分

 8つものカップリングからなる短編集で、どれをとってもストーリーが非常に濃い上、衝撃的な展開だったりメリバだったり何かしら鬱な余韻を残すものばかりでお腹いっぱいになれました。ただこういった展開は大好きなのですが、8作も短編で続いたことにより、1つひとつの重みが和らいでしまう気もし、萌評価に落ち着きました。かといって長編ならば良かったのかというと、短いからこそ鋭い痛みを残せたであろう作品もあって、贅沢な批評をしている自覚もあり。難しいですね。これだけの数があっても似通ったものがなく、それぞれが異なる魅力を放っていたところは、心底賞賛したいです。もっと浸りたい、でも必ずしも長さが欲しいというわけじゃない、そんなもどかしい気持ちを抱いてしまう作品でした。

◆晴れたる青空(表題作)
 「ゆうべ母親を殺した」というモノローグから始まる作品。暗さから一転してコミカルなシーンに変わり、なんだ、優等生と不良の恋か、なんて冒頭の独白を忘れて読み進めていくと、最後に思わぬ別れが。しかし、人は恋をすることで別のベクトルにも強くなれる、自分を見つめ直すことができるのだということを表した、良い結末だったと思います。描き下ろしで救いもあって、最後は温かい気持ちになれました。

◆花葬庭園
 こういうの好き!と、まさに性癖に刺さった作品です。これはもっとページ数をとっても良かったと思うくらい。好きだった相手を殺したわけでもなく、相手が自ら実験台になってしまったわけですが、文字通り植物状態となって喋らなくなった相手にさえ欲情できる本物の愛。そして、最後は相手を巻き込んで死ぬ。何も語らぬ人となってしまった相手も、きっと同じことを望んでいただろうなと短編でも十分伝わるところに、深井先生の腕を感じました。

◆ティータイム27:00
 『花葬庭園』と同じくらいお気に入り。終わり方は悲しかったけれど、自分を愛した男と自分が恋をした男2人に対して、最後まで思いやりを見せ続けてくれた受けが、本当に美しい人だなぁと。彼が自分をただ搾取されるだけの人生から救い上げてくれた先生のことも、大切に思っていたことには変わりない。それでも恋をしてしまった、それを許してもらえなかった彼の魂が、あの世で少しでも楽に生きられるよう祈ります。

0

表題作、良かったです。

私が好きな深井さんの短編集。
9つもお話が入ってます。
通常に比べ、厚いし。
なんかお得と思いつつ、短編ははどうかなと思いつつ読みました。
物凄く好き!と思ったものと、うむ、好きっと思ったものと、
設定的にうーん…と思ったものと…
という1冊でした。

以下ネタバレ含んでますm(_ _)m

「晴れたる青空」と「三人家族」がむちゃむちゃ好きでした。
この2つは繋がってます。
1話目と最終話に収録されてるお話。
短い短編ものなんですけどね、
私の好きな深井さんテイストがあって、
これだけでもぅ…泣きました。
高校時代が2人の出会いなのですが、
その時の話が良くて…
いつも頑張ってなくちゃいけないのって辛いですよ。
「気分悪ィのはお前じゃなくて衣川だろ!」って衣川を庇った時、
なんか読んでて嬉しくなりました。
だって衣川頑張ってんですもん。
「僕はあの日幸せだったんだ」って言った時、
胸が痛くなりました。
幸せだったんだってのが、すごい伝わってきて。
「空が晴れたので」って…
普通に聞いたら「なにポエムしてんの?」って思うけど、
やっと彼が自分の支えになるものが出来たんだな〜って思ったら、
ちょっと泣きそうになりました。
で、そこで話が終わったと思ってたら「三人家族」ですよ!
「下手の考え、休むに似たり」って…
最後の絵は泣けました。
吉見、いい。
最後の吉見の背中が大きくって、好きだー。
ちなみにこのカップルは、
書き下ろしが入ってて、それが可愛い。
「わからない、わからないよ、吉見…」、笑った。

その他の作品は好きだったり、そうでもなかったり。
幽霊になって現れました系は、
うーん…短編だと短すぎて、ちょっと無理がある感じ。
天使の話は割と好きだったんですけど、
最後の絵があんまり好みでなくて…
なんか急に「てへっ!ウィンク☆。うふ!またね☆」みたいな感じ。
ちょっと見たくなかった…好みの問題ですけど。
ヤクザの話は、ちょっとくさいなぁ〜と。
まぁ全編くさいんですけどね。
くさいの嫌いじゃないんですけどね。
王道でした。
後は薔薇の話。
私には、あぁいう系はどうしても受け付けなくて。

深井さんの作品は好きだし、
今回も、どのお話も話の設定自体は嫌いじゃないので、
もぅちょっと長さがあって最後のオチがあるのを読みたかったと思いました。
短編だと「あーなってこーなってこーなりました」ってなり、
こっちも「あーそういう話を読みました」ってなるのが本当残念。
本当短編って難しいんだなーと、いつも思います。
好みの問題だとは思いますが。
なので、短編で「いいなー」と思うものを読んだ時は、
この作家さん、凄い!なんて思っちゃいます。
ま、その判断も自分の好みに合ったかどうかの問題だと思いますが。

今回プラスマイナスで、
表題カップルがすごく好きだったので、萌萌にしました。
表題カップル好きだなー。
吉見好き、衣川好き。
売り物にならんでしょってなってもいいから(あの2人に問題が起きて欲しくない)
その後の2人の幸せな話が読みたいです。

2

違う世界観

表題作『晴れたる青空』のほか
短編7作品が収録されています。

『晴れたる青空』の冒頭
「僕はゆうべ母を殺した」
そんなセリフからはじまりました。
優秀で勉強のできる衣川は同じクラス不良の吉見からテストのカンニングを強要される。
いつも授業を妨害され、弁当を横取りされ、当番を押し付けられ・・・
いいことなんて1つもなかったが・・
テストのとき具合が悪くなって吐いてしてしまった衣川のおう吐物を
なんの躊躇もなく片付けてくれた吉見。
その後も保健室に連れて行ってくれて、衣川は吉見に対する見方が
偏見だったと気づき、好意を抱く。
衣川は成績優秀で、母親からも大きな期待をされ小さい時から勉強だけを頑張ってきた。
衣川の心の中でずっとふつふつと湧いていた得体のしれない気持ちが
吉見との出会いの中で、自分自身の本来の姿と気持ちに気づくきっかけになり
親の言いなりの生活から離脱したい・・・そして母親を殺害。

高校卒業後、吉見は自分の体を売っていた。
それを知った衣川は吉見を買い、その後吉見を刺そうとするが
本当は吉見も衣川のことを想っていたことがわかり二人は結ばれる。
その後、吉見には告げず警察に出頭。母親殺害を自供する。
描き下ろしで、刑期を終えた衣川を吉見が待っているストーリーが描かれています。
刑期中、面会も断り手紙も返事を出さなかった衣川。
出所後も人殺しをした過去を持つ自分は吉見のところに行くべきではないと
ためらっていたが、吉見は最初から一緒に暮らすことを考え部屋も準備して待っていた。
殺人などのキーワードが出て来るので、ちょっと異質な感じがしましたが
人の気持ちや生きるという意味を考えさせるストーリーでした。
出所した衣川を、衣川のために用意した部屋で吉見が抱きしめるシーンに泣けました。

その他の短編も、少々ゾクッとするものもありましたが
ファンタジックで独特の世界観のあるストーリーばかりで
話の中に引き込まれました。
らぶらぶ甘々の話とはまったく違うので、好き好きはあると思いますが、
こういう世界もまたBLなのだと改めて感じました。

3

これぞ!!深井結己作品

いいですよ~。
深井作品は やっぱりこうでなくっちゃねえ~。
私の愛する作品達がここに終結している。
狂っているものが読むと また一層オツでございます。
完全に違う世界に連れて行かれます。
至る所に狂気がさまよっています。
朝からヘビーな気分にどっぷり浸れます。
なかなか現実世界に戻って来れないですよっ!
心臓が悪い方は読まない方がいいでしょう。
でも私は 本当に大好きです!
人間としての悲しみ・辛さ・自分が生きている事を
あらためて実感するのです。

1

短編集

暗いよ~重いよ~悲しいよぉ゚(゚´Д`゚)゚
なんて言いながら、なんだかクセになる作家さん。
完全にロックオンです。
あれほど積本増やさないって決めたのに、深井さんの漫画大量にゲットしてしまった。
あっかーーん!!

おいといて
表紙の爽やかさに惹かれて購入したこの作品なのですが
ちょっと古い作品も多いせいか、重たく切ないお話多めの短編集。
死ねたとか、暗いの苦手なかたは要注意です。爽やかなのは表紙だけです(笑

・晴れたる青空
ずっと生きる世界が違う、ヤンキーなんて・・と思っていた真面目くん。
けれど、本当はだれよりも見ていて、手を差し伸べてくれる存在だった。。
精神的に追い詰められて親を殺し~なんてネタがあるものの
巻末の書下ろしのお話がすごくホノボノしてて良かった。
受も、親の残した借金を返すために男に身体を売っていたこと
全てが帳消しになるわけではないのだけれど、ここからスタートという気持ちにさせてくれるエピソード。思った以上に受の一途さにキュンとくるお話でした。
最初の話ののちの4コマ。重たい終わりのあとのコレってwwと可愛かった

・俺はあなたの犬だから
腹違いの兄弟もの。近親相姦あれど~なお話
死ネタ注意。もしも・・・なら・・と考えてみても結論は同じなんだろうな

・楕円少年
同じ家に住む従兄弟どうし、お互いに気持ちは寄せていたものの
すれ違い生じて~なお話。
部活の合宿で、好きな相手が部活のコーチとナニをしているのを
隣で・・・・とか、目の前で・・とか
萌えた+(人*´∀`)モットヤレ
というか、最終的にハッピーエンドよろしいわけなのだが
十二指腸はどーなったのよ?

・花葬庭園
これもあまつさえ病んでるとしかいいようがないですな。
これぞホントウの植物人間w

・日溜まりの猫
これも愛の形といえばそうなのですが
依存も過ぎれば・・・・うん。幸せになって欲しい

・優しい夢はそのままに
1コマ目の絵が好きですw
起承転結がすごくうまくて、あれ?これってコメディ?!
なお話なのですが、なんだかホッとする作品。
いつかどこかでまた巡り会って欲しい。
好きだった相手が歳をとって・・よくある話ですがなんだか(´Д⊂

・ティータイム27:00
性的虐待を受けている幼い受を救ったのは、虐待を敷いていた男の息子。
ホッとするもつかの間、その息子にまだ血塗れた穴にぶち込まれるとか
どんだけ非道・・・・・
繰り返される運命には逆らえない・・という結末なのですが
なんとも後味が悪い。ムヤムヤ゚(゚´Д`゚)゚

・天使が通り過ぎてゆく
自分の将来を悲観し、死のうと決意した夜
現れた天使は・・?!なお話。
これも好きな相手が死んでしまうという、結局サヨナラかい!
なお話なのですが、好きな相手と結ばれること、本当の気持ち。
胸がほわんと暖かくなるお話でした。
贅沢をいえば、生きて一緒に居て欲しかった。
幸せの形は人それぞれありますが。。

5

確かに兄は眼鏡が似合ったよねー

帯『信じよう…曇り空の向こうを。』

再録本とあってかなり既読作品が多かったんですが、やはりこうやって分厚い本になると感慨深いものがありますね。
痛い系の話から青春モノ、はては最後がギャグオチなモノなど色々ですがやはり病んでる痛い系の話が多かったですね。
それが深井さん作品の持ち味の一つでもあるので納得といえば納得なのですが。

あとがきにある犬兄さんが黒縁眼鏡じゃないのは一生の不覚とありますが、自分もあの兄は眼鏡が超似合ったよねええええと思いっきり同意してしまいました。
比較的新しく深井さんにハマった方には丁度いい再録集じゃないでしょうか。深井さんワールドをがっつり堪能出来ます。

2

初読み。

初めてこの方の作品を読みました。
ご本人様も「鬱鬱ほっこり鬱ほっこり」と称されているとおりに、ちょっと病んだ感じのお話が多かったです。
独特の雰囲気があるんだけども、はっきりスッキリハッピーエンド!っていうのが少ない。

表題作の「晴れたる青空」
本編ではある意味、清々しくもある終わり方で。
けれど、どこかハッピーエンドとは言い切れない部分もあって。
別離があるからそう思うのかもしれませんが、描き下ろしでその後のことが描かれていて。
ようやく明るい未来が見える結末に幸せを実感できるというか。
本編の結末もキレイだったけれど、こういう終わり方もいいなと思いました。

あと印象に残っているのが「ティータイム27:00」
歪んだ執着というか、執着がひどすぎて歪んでいくというか。
そんな執着を押しつけられながら、恋を見つけ、こっそり想い。
バレないようにバレないように。
想いながらも逃れきれずに。
ただ相手に迷惑がかからないように。
そういうのも、執着してる相手が見せる執着もなんか惹きつけられるものはあるんですが、最後がちょっとファンタジーみたいな気がしないでもなかったです。

0

絵柄がちょっと…

この作者さんの作品は初めてなのですが、趣味に合わないというより、生理的に受け付けませんでした。

私は元より死ネタ好きな方なので、レビューと表紙見て買ってしまいました。

まぁ、結論言えば騙されたなー、と思います。
好きな人は好きだと思うんですが、表紙で騙されます。
ページをめくると、昭和系の絵が…っ!
私、昭和の絵、苦手なんです。
もうこの時点でヤバイのですが、読み進めて行けば好きになる作品って、有るじゃないですか。
私、ゴールデンデイズは感動しましたし。

で、読んでみたけれど、…断念。
本当すみません、無理です…。
表紙買いをするのは気を付けた方がいいかも、です…(;∧;)

1

ハッピーとバッドの中間

ここまで好みの分かれる短編集は久しぶりです。
ある人は大好きでも、ある人はもう2度と読みたくなくなっってしまう。
私はもちろん前者です。
「死」という要素のないお話がほとんどないということで、
作者の深井さんの言うとおりまさに「鬱鬱ほっこり鬱ほっこり」な短編集になっています。

「晴れたる青空」
今まで知ろうとしなかった大切な感情を全てを終えた後に知ってしまう衣川くん。しかしそんな衣川くんに吉見くんは、2度と会えなくても、同じ空の下生きていればそれだけで幸せ、と話します。
吉見くんのその言葉から勇気を得た衣川君の決断を経てお話は収束に向かいます。どんなに離れていても彼の頭上にも、吉見くんの頭上にも確かに同じ青空がある。教えてくれたのは誰でもない、大好きな吉見くんだった。
ラスト3ページの演出のすばらしさに涙。

「花葬庭園」
これはもう「業」と言ってもいいんじゃないかと思うくらい
重たくて、生半可な気持ちで近づけない愛情の物語。
恋や愛といった一般的な表現で足りるような感情なら、彼らが選んだ
選択肢は存在しなかったのかもしれません。
どこにも行き着けないから、終わりにするしかない。終わりの先でしか
繋がれない。そんな悲しいお話です。

「ティータイム27:00」
逸美は最後まで選択を許されなかった人なのではないかと。
生きるために叔父からの性的な虐待にも耐え、それから救ってくれたはずの
教授からもまた虐待を受け、恋人として生きることを強いられる。
彼を愛しているが、教授の愛情の重さに辟易してもいた逸美に何も知らない宇一、という光が降ってきた。
選択を許されなかった彼が唯一自らの意思で「好き」を自覚し、守っていこうとしていた矢先に彼は思いを告げることなく死を選ばされてしまう。
伝えたい思いも、伝えられるはずだった思いも悉くすれ違ってしまった
宇一と逸美の恋の結末はこの短編集の中でもっとも寂寥感のあるものでした。

できることならやり直させてあげたい話もありますが、
この結末だからこそ心に残るのかなとも思います。

3

狂気と真の愛の数々です

バッドエンド苦手の方には辛い一冊かもしれませんが、ところどころ救われてもおります。
しかし、深井さんの作品はどれも胸に響くものが多くて短編集ながら一作一作が、それぞれの核心をついて深い味わいのあるものですので、ここが病みつきになる所以なのだなと、いつも感心させられるのですが・・・

表題作、母親を殺した男が唯一自分の神様だった男に再会して自主を決めるというストーリー。
これだけ書くだけで、拒否反応が出るかもしれませんが、そこに書き込まれた、青年のうっ屈した家族関係、そして救いとなった同級生の存在。
それが明かされていくことで、この話をただのバッドエンドにはしていないのです。
ヤンデレな攻め様の、素直でない好意の現し方がかわいらしくて、そして再会しても、その気持ちを忘れないでいてくれたことに感謝すら覚えました。
最後に、出所後のことが書かれております。
「おかえり~」と出迎える姿にこの一冊まるごと救われた気持ちにしてくれます。

「僕はあなたの犬だから」 異父兄弟もの。 死んで初めて告白される愛

「楕円少年」 高校生がその気持ちを隠すため、先生に脅される。
 しかし、両想いだったという唯一のハッピーエンド

「花葬庭園」 恋人との研究を命を賭して守る、ある意味激しい執着愛。

「日溜まりの庭」 壊れた恋人との永遠の生活は破滅なのか?

「優しい夢はそのままに」 恋しい義兄との再会は別人!?お笑いです。

「ティータイム27:00」 おいしい紅茶を入れてくれた人は愛する人を守るため、死してなお・・・

「天使が通りすぎてゆく」 死期を悟った少年が想いを遂げる

バッドエンドがほとんどですが、すべて愛があふれています。
その形は様々ですが、それぞれが全く違う味を出し、どれ一つ同じでないのがこの一冊のよいところです。
深井さんを一度読まれて、少しでも心に残ったら、この作品もトライしてみてください。

3

晴れたる青空レビュー。

古い作品ばかりの短編集ですが、隠れた名作ばかりです。
ジャブ程度のブラックユーモアはドカスカ挿入されています。現在の、作風しか知らない方はちょっとギョッとするかもしれません。でも、本当に名作ばかりです。
心を抉ってくる、作品ばかりです。鬱から抜け出せない友人に、そっと渡してみて下さい。心のお薬になる本ですから。

かなり古い作品、90年代のモノなので収録されている話も現代の「BL」というよりは少し前の「耽美」「JUNE」っぽい雰囲気モノが多いです。暗くて、痛くて、愛が重くて、ちょっと暗黒寄り。甘いハッピーエンドとは程遠い、受が何人か亡くなってしまうし。

どの話も泣かされる。
精神的にキツイ話もある。でも、描き下ろしで救われたかなって気がする。
相変わらず、切なくてリアルで、というか特に濡れ場はリアル過ぎてBL初心者では読むのがキツイと思います。BLはファンタジーって思っている人は読む時覚悟して下さい。
個人的に『僕はあなたの犬だから』が心抉られた。自分と母から父親を奪った女の息子(腹違いの弟)への兄の愛憎。愛情の屈折具合が堪らなかったです。

0

バッドエンドなのに好き

 なんでしょう。死がからんでくるお話がたくさんあるのですが、私個人としては全く嫌な気分にはなりませんでした。そこに愛がある、から……? なのかな。JUNEの雰囲気が味わえます。

 でも、この中では笑えるオチがある「優しい夢はそのままに」が好き。なんていうかねぇ、噴いてしまいましたよ。
 「晴れたる青空」は、この一話だけでも満足しましたが、描き下ろしの「三人家族」が読めて、今のBLもいいよな~と思いました。昔と今を比べられるお話かと思います。

2

耽美は鬱

鬱々とした、死とバッドエンドの盛り合わせ。

10年以上前の作品ばかりの再録集だからでしょうか、
軽々としたお話はありません。
死の影がほぼ全編を覆っています。
幽霊的なものとかも平気で出てきます。

現在のBL以前の「耽美」香りが濃厚です。
BLの古典というか、ルーツに興味のある方にはお薦めです。

切ないバッドエンド好きの方にもたまらないかも。

死にたがりの90年代を過ぎ、現在の作者さんの描いた書き下ろしは、救いのある、明るい世界です。

そして、あとがき
「眼鏡不足」に、激しく同意!
ホントにこの兄さん、どうして眼鏡じゃなかったんでしょうね。

0

深井さん初心者の方は注意!

昨年末に出た「祈る人」に続く
深井さんの過去の作品を集めた作品集です。

描き下ろし以外はすべて1997年~1999年に描かれた作品なので
時代背景の古さや絵の古さが気になるかもしれませんが
内容は、どれも今の深井さんの作品に通ずるものばかりで
逆に、現在の絵との違いを楽しんだり
10年前の雰囲気を味わうことが出来れば
充分作品の世界に入っていけます。

しかしながら。。。どの作品もズンと重いです。。。
いくつかの作品には「死」が絡んできますし
非現実的なお話もあります。

でも、そんななかに巧みに、心理描写を織り込んで作品世界へ引き込むのが
深井さんの作品のすごい所。
そんな深井作品ファンにはたまらない1冊でしょうね。

全部で8つの作品が入っているのですが(ひとつは表題作の描き下ろし)
特に良かったのは、やはり表題作の「晴れたる青空」でした。

それぞれ別の意味で不器用だった優等生の衣川(きぬがわ)と不良の吉見(よしみ)。
その二人が、偶然再会することで
お互いの気持ちを確かめ合うと同時に、いろんな事に気づくのですが
その先に待っているものは。。。

当時の作品は、そこでお話が終わっていたみたいですが
今回、描き下ろしで後日談が載っていて。。。ホッとしました。
さらには、intermissionという4コマの描き下ろしもあるんですが
これのお陰で、ずいぶん気持ちが楽になります(というか、笑えますw)

いろんな意味で衝撃的だったのは「花葬庭園」。
歪んだ愛情の結末を見せられたようで
かなり背筋が凍りました。

そんな中、「優しい夢はそのままに」は
全く予想外のオチに、一杯喰わされた感じで
重い作品ばかりの中、肩の力が抜けてよかったです。

先月発売された深井さんの新作くらいしか知らないという人や
これから深井さんの作品を読もう、としている人にはお薦めしていいかどうか迷いますが
個人的には、深井さんの原点を垣間見たような作品集で好きです。

なので、私としては充分神評価に値するのですが
誰でもが楽しめる作品集、というわけではないので萌え評価にさせていただきました。

3

死にたがりが多いのね…

初めて深井さんの作品を読みましたが、かなりの頻度で出てくる死にたがりキャラに驚きました。
いえ、嫌いではないんですが最近あまりいないキャラだったので驚きは大きかったです。

それぞれの作品レビューは他のレビュアーさんがしてくだっているので省きますが、まず、表紙買いはやめた方が良いです。
作品集なので、中身の絵柄がガラッと違います。
あえて言うと『THE90年代』といったところでしょうか。
決して嫌いではないですが、なんだか妙に懐かしくさえ思えるような雰囲気の絵柄です。
ただ、今の作品にはない、『鬱』がたくさんあります。
ノンケとガチホモの恋愛で、直接『気持ちが悪い』と言った最近の作品を私は思い出せません。
そしてその言葉に涙を我慢して笑みを浮かべたガチホモくんが妙に綺麗で好きでした。

個人的には表題作の『晴れたる青空』、その続編の『三人家族』、そして『日溜まりの猫』が好きでした。
それぞれにカラーがあり、空気に色を与えられた作品が多い印象です。

ただ、作品自体のストーリーは好きなのですが、絵柄が好みではないので(昔っぽくて…)、今度は最近の作品を読んでみたいと思いました。
ストーリーはセツナ系好きにはたまらないと思います。

1

バッドエンドを読みたい方へ

既刊のコミックスの再収録もの(描き下ろしあり)です。

「晴れたる青空」:
両極端な家庭環境で育った中学の同級生、優等生の衣川と不良の吉見。
場面としては中学生時代のエピソードと、18才の衣川が起こした事件、二人の再会だけで、お話も48ページしかないのですが、その中に苦悩と愛と決意が詰まっています。
親殺しという思いテーマを背負っていますが、その先に青空が見えて終わっています。
描き下ろしの4コマ「intermission1」でちょっと浮上できます。
そして、今回「三人家族」が描かれたことにより、読者としても救われました。

途中の「intermission2」で作者も書かれていますが、“鬱鬱ほっこり鬱ほっこり”という組み合わせで短編が収録されています。
鬱=バッドエンドです。以前はこんなバッドエンド、結構ありましたね。最近はあんまり見かけませんが。

「俺はあなたの犬だから」:
ヤクザ×ヤクザ、腹違いの兄弟、鬼畜な兄と健気な弟。死別。

「楕円少年」:
義兄×義弟、実はいとこ同士、実は両思い、三角関係。ハッピーエンド。

「花葬庭園」:
研究員、三角関係、ホラーファンタジー(ヒトから薔薇がはえちゃいます)。バッドエンド。

「日溜りの猫」:
監禁、拘束、ピアス、・・・intermission2のイラストの二人のほうがやっぱりエロいなぁ。

「優しい夢はそのままに」:
過去の思い出、姉の夫、再会、・・・大変なオチが待っている・・・ギャグ?

「ティータイム27:00」:
純情な恋と偏執的な愛の三角関係、ホラー、バッドエンド。

「天使が通りすぎてゆく」:
行き詰った受験生と身体が弱い友人、再会、幸せな時間、死別、前向きに生きる。

簡単にまとめてみました。

4

ズン!とくる読み応え

「晴れたる青空」
中学時代に恋した相手にやっと会えたと思ったら、ひどい仕打ちを受けてしまう衣川。
けれど、実は吉見もまた自分を好きだったと告白され、ある決心をする。
冒頭の衣川のモノローグからして絶望的で、切なさを通り越して、やりきれないモノがあるのだけれど、なぜかラストシーンは希望を感じさせてくれて、読後感は爽やか。
「楕円少年」
こちらは同居中の従兄弟同士の高校生カップル。お互いに好きあってはいるんだけれど、男同士というのがネックですんなりとはいかない。収録作の中では比較的明るくてコミカルな作品。もちろんハッピーエンド。
「花葬庭園」
これは……なんと表現すればいいんだろ?大学の研究員・雨宮と製薬会社の調査員・夏井、そして雨宮とは幼なじみで親友、共同研究者でもあった西野。三角関係とも言い切れないんだけれど。「こういう愛の形もあるんだヨ」ってことかな。若干ホラーテイスト。
「優しい夢はそのままに」
姉のダンナに恋した少年が失恋を気に家出。12年経って戻ってきてみれば、義兄は事故で記憶をなくしていると言う。過去のわだかまりを解こうと思っていただけだったのに、なぜか義兄のほうから迫られて――!切ない話かと思って読み進めていたら、とんでもなかった。これは完全にギャグだと思う。なにが笑えるって、再会した本物の義兄のど・アップで一気にカックン(笑)
「三人家族」(描き下ろし)
表題作「晴れたる青空」の続編。数年後に再会を果たした衣川と吉見のおはなし。ふたりともすっかり大人になって、特に吉見はイイ男になったもんだ。
ああ、そうか、ラストシーンのあの明るさはここへ繋がってたのね。これでやっと衣川も幸せになれるよな、吉見の年の離れた弟・誠司の「おかえり、よーすけ」にホロリ。

字数制限に引っかかって全作品のレビューは断念したが、ヤクザものあり、ショタ陵辱ものありと、 作者自身の言うように「鬱・鬱・ほっこり・鬱・ほっこり」なかんじな短編集。作品の内容からして万人向けとはいかない。ライトで甘々な作品をお好みな方にはおススメ出来かねるのが正直なところ。でも、個人的にはとことん深井さんっぽい作品集だなあと思った。

2

この作品が収納されている本棚

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