• 紙書籍【PR】

表題作リベット

乾,高校教師(HIV患者のボランティア経験アリ)
初芝,高校教師(学生時代強姦されHIVに感染)

その他の収録作品

  • Tender morning

あらすじ

「嫌いだったらキスもセックスもしなくていい。お願いだから俺と付き合ってください」乾武則(いぬいたけのり)に告白された初芝公平(はつしばこうへい)は、自分の感情に自信が持てずにいた。乾が好きなのか、一人で生きるのが辛いのか、寂しいだけなのか、それとも過去の体験が怖いだけなのか。乾と一緒だと、切ないくらい幸せになれる。けれど初芝はゲイではなかった。乾の優しさに甘え、曖昧な態度を取り続けていた初芝は、偶然、別の男と抱き合う乾の姿を見てしまう。ショックを受ける初芝は……。小説「リベット」を原案に、その後の二人がハッピーエンドになるまでの物語を、天野瑰が独自の視点から描いた、オリジナル・ハートフルラブストーリー。ラブな描き下ろしも収録!

作品情報

作品名
リベット
作画
天野瑰 
原作
木原音瀬 
媒体
漫画(コミック)
出版社
蒼竜社
レーベル
Holly comix
発売日
ISBN
9784883863716
3

(13)

(1)

萌々

(1)

(9)

中立

(1)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
8
得点
37
評価数
13
平均
3 / 5
神率
7.7%

レビュー投稿数8

未来への旅立ち

小説「リベット」のその後、初芝と乾が恋人になるまでを描いた物語。小説を原案とした天野瑰さんによるコミカライズです。小説カバー下のショートストーリーも併せて描かれています。

異動で乾と別々の高校に勤務する初芝。乾の想いに応えられないことを済まなく思いながらも、乾の傍に居ることが心地よく、週末を共に過ごしていました。ある日、乾が面倒を見る教育実習生・椎名が乾に迫るのを目撃した初芝は、激しく動揺し、雨の中を歩いて肺炎を起こしてしまいます。駆け付けた乾の腕の中で、乾への気持ちをはっきりと自覚する初芝。二人のじれったさを見かねた椎名の計らいで、初芝は思わず乾への想いを口にしますが、二人の気持ちがかみ合わないまま、直後に乾は事故で大けがを負ってしまい…。

原作小説では、病気と向き合う初芝の苦しみと支える乾の大きな愛情がメインに描かれていました。本作品では、初芝が心の底では乾の気持ちを受け入れたいのに、病気のことを引け目に感じてそれができない葛藤に焦点が当てられています。初芝も乾も真面目でなかなか互いに踏み込めないのですが、ワイルドなゲイの椎名が二人を引っ張り存在感を放っています。

乾の事故は少しドラマチック過ぎるかなとも思いましたが、このくらい劇的なことがないと、初芝は自分の気持ちに正直になれない気がしました。阿岸との忌まわしい記憶、別れた恋人との過去。乾と過ごす穏やかな時間の大切さに気付いたとき、初芝はやっとそれらを乗り越え、乾の気持ちを受け入れられたのだろうと思います。初芝から乾へのキスが素敵でした。(口元が見えないのが残念!)
初芝と乾は、愛情というリベットで固く結ばれ、もう離れることはないのでしょう。タイトルの副題departureにふさわしい希望あふれるラストに、胸がいっぱいになりました。

天野瑰さんのオリジナルストーリーですが、読後は私の中で小説の最後とその後のショートストーリがうまくつながり、読んでよかったと思いました。(表紙下のあとがきによると、作者の木原さんはネームに目を通しておられるとのこと。)
作画も、強く見えて本当は弱い初芝と、優しくて辛抱強い乾の内面がうまく表現されていて、とても魅力的でした。
原作小説と合わせて、何度でも読み返したくなる、素敵な作品です。

3

その後の二人

木原音瀬さんの原作からその後を想像?して書かれたコミックスです。
ストーリー自体も天野さんなので、作風というか物語自体は理想的なものになっている感じでした。

乾の深い愛情にいつまで経っても病気のことがあるため初芝は受け入れきれない。過去のレイプ事件がフラッシュバックしてしまったこともあり、、、
そして乾のところにも教育実習生が来ます。さらに乾に思いを寄せているという。初芝は乾から離れるべきだと思いながらもウダウダ。そんな中、乾が生死をさまようほどの事故に合います。これがキッカケで、やはり側にいて欲しいと素直な気持ちを持てるようになり、、、、
ハッピーエンド?に至ります。

木原音瀬さんの作品はその後を各自が想像して行く楽しみがありますが、その一つを作品にされたという感じでしょうか。
持病を抱えつつも乾と幸せになって欲しいなという思いがコミックスで読めたのは良かったです。

0

初芝・ガンコ・公平

HIVに感染した主人公・初芝先生と、彼をひたむきに愛し守ろうとする後輩の乾の小説「リベット」のその後が描かれた作品です。

自分自身の思いがどこに向いているのかを未だはっきりさせられないでいる初芝と、ただ与えてくれるだけで何も求めない乾の間に、椎名という教育実習生が登場します。
椎名は初芝の事情もおおよそ知っており、学生のくせにいちいち棘のある言葉で乾をイラつかせます。
しかし、この椎名がかき回してくれたことでひと騒動起き、初芝は自分の本当の気持ちに気付くのです。

ところが、これまでも散々後ろ向きだった初芝は、せっかくいい所まで進んだ関係をまた閉ざしてしまうのでした。
自分の弱いところを認めたくない。
乾がいないと生きていられないような自分は許せないのです。

そんな二人を見ていられない椎名は、やはり棘のある言葉でそれぞれの背中を押すのですが、初芝もおおよそ頑固でして・・・最終的に乾の方が生死をさまようことになって初めて、自分の気持ちに正直になれたのですから、頑固にも程があるってお話です。ツンデレというよりガンコですよね。

HIVという思いテーマが根底にあり、初芝も時々体調を崩すものの、基本前向きに生きているので悲壮感はありません。
いい意味で木原節なところは踏襲していると思いますが、痛いお話でもありません。
椎名の棘も相手を思うからこそと思えば可愛いものです。

描き下ろしはラブラブな二人。
自分の気持ちに正直になれたら、ラブラブじゃないはずがありません。
ちなみにゴムは必需品。大丈夫、まとめ買いしてあるから。って、乾くんたら!

豆知識を一つ。潤滑剤にローションはOKですが、クリームやオイルはダメですよ。ゴムが劣化して穴が開きますからね。

5

久江羽

弥七様

コメントありがとうございます。
ergoで5回連載されたものがまとまった作品です。
描き下ろしは小説のカバー下ショートストーリーの漫画化です。
コミックスのカバー下には木原さんのコメントも載っています。

初芝にイライラさせられますが、心温まるお話だと思います。
天野さんの創作キャラ・椎名が意外にもいいヤツなのでおすすめです。

弥七

「リベット」のその後が読めるんですね! 「ergo」で連載していた作品でしょうか?(「ergo」は1しか読んでいなくてよく知らないのです) 買いたくなりました。

小説の続きを・・・

こちらは、小説のリベットの続き、その後のお話です。
コミックは、BLだと思います(笑)
小説の最後で「俺のことを恋人にしてください」と乾武則に泣きつかれた?初芝公平。
でも、初芝はゲイではない。
なのに辛いから寂しいから乾に頼る自分を相変わらず初芝は許すことができません。
でも、もう、心配で心配で心配で好きで好きで好きで初芝を放っておけない乾。
ぐるぐる回りっぱなしです。

そんなとき、でた・・・乾が担当することになった教育実習生、椎名(しかし・・・本当に実習生か?と思うほどトウが立っている・笑)
椎名がぐるぐる回っているふたりをさらに引っかき回します。
でも、引っかき回されて良かった?
ちょっとだけ初芝は自分の気持ちに気づきます。

でもね・・・まっすぐ乾にいけないのも初芝なのです。色々、色々、こだわるし、意地もはるし・・・。
せっかく、椎名がふたりの背中を押したのに・・・。
結局、乾の身に一大事が起こるまで初芝は自分の気持ちに正直にはなれませんでした。
そして・・・。

小説のカバー下に、乾が「俺のことを恋人にしてください」と泣きついてから3年後のふたりが書かれています。

コミックの最後は、そのお話が漫画化されています。
きっと、ふたりは、幸せです。
初芝が低空飛行でも少しでも長く安定した生活をおくることができればいいな・・・と思います。
目標、60歳に到着して、行き過ぎることを祈るばかりです。

3

幸せそうでよかった。

木原音瀬さんの「リベット」の続編にあたるお話ですね。

ちゃんと2人が自分の気持ちと向き合ってくっつくまでのお話。
というか、初芝が気持ちの整理をつける話ってことになるのかな。
乾の気持ちは一貫して「初芝が好き」ってのは変わらないし。
だから、初芝次第。
どんどん進みたい気持ちがないわけではないけど、初芝の気持ちを一番に考えて。
時に暴走しそうにもなるけど、その後は死にそうなほどの自己嫌悪に陥ったり。
どれだけそばにいてもどこか自信がなさそうな乾がなんというか「人の良さ」みたいなのが出てます。
今回登場の乾のところの教育実習生・椎名。
彼がいることで上手くまとまったようにも感じられます。
彼がいなかったら、2人は平行線のままだった可能性も。
椎名が横恋慕の邪魔者になっていくのかと思いきや、意外といい人物で。
それもこれももしかしたら乾の必死さを目の当たりにして、その真剣さにやられたからかもしれませんが。

描き下ろしは木原さんの小説版のカバー下に書かれていた2人の未来図。
ラブラブですごくほほえましくて。
マンガで読んでもやっぱり初芝がとても幸せそうでよかったです。

3

この作品が収納されている本棚

マンスリーレビューランキング(コミック)一覧を見る>>

PAGE TOP