あなたなんて、壊れてしまえばいい

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表題作黒い傷痕

久保秀一,28歳,人気作家 /石井勇一郎,外科医
杉浦和義,28歳,内科医

あらすじ

妹の婚約者として紹介された人気作家の秀一は、和義にとって、思い出したくもない因縁の男だった。15年前、残酷な子供だった和義が犯した罪を暴くように秀一は彼をがんじがらめにし、徹底的に凌辱した。
悪魔のような男に抱かれて、和義は激しい官能に狂ってゆく。妹を欺く背徳、恋人の勇一郎には言えない罪の秘闇・・・。
秀一の体にある消えない傷痕が、罪の烙印として目に映る。これはただの復讐なのか、それとも・・・
(出版社より)

作品情報

作品名
黒い傷痕
著者
丸木文華 
イラスト
丸木文華 
媒体
小説
出版社
プランタン出版
レーベル
プラチナ文庫 艶
発売日
ISBN
9784829624524
3.3

(46)

(6)

萌々

(15)

(16)

中立

(6)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
13
得点
144
評価数
46
平均
3.3 / 5
神率
13%

レビュー投稿数13

当て馬君にしとけって

いやー、ここまで本来のカプではなく、当て馬君を応援したくなったのは初めてですね。丸木さんお得意ネタのドロドロした人間関係、執着もので、それは安定のクオリティで非常に萌えました。

特に、和義が久保を殺すしかないと決心し、睡眠薬で眠らせようとするところに、和義の今までの壮絶な苦しみがありありと表れていて、読んでて心が震えました。

今回は、攻めである久保の視点から物語が進んでいく場面が多かったので、久保が和義への憎しみからだんだん愛情へと気持ちがシフトしていく様子はよく伝わり、そこは矛盾なく展開していったように感じます。

ですが、受けである和義の心の動きは、いまいち見えてきません。前半で、自分が同性愛者である苦しみから、不幸を抱え生きてきた、そんな中、当て馬である勇一郎と交際することで初めて幸せを見つけられた、そんな不憫なキャラ設定は萌えます。
ですが、そんな愛する恋人の勇一郎と別れるハメになるわ、愛する妹も傷つけてまで復讐をしかけてくるわで、自分を散々陥れてきた久保にたいし、終盤でいきなり和義を庇ってナイフで刺されたくらいで、憎しみから好意に気持ちが切り替わるところが、理解も同意もできないし、萌えも感じません。

和義は今まで同性愛者であることを隠して生きてきたけど、そんな風に生きてきても、人生は好転しないって気付かされたくらいしか、和義にとって久保というキャラの利点はないです。
そのことに気づかされたっていう点で和義が久保に感謝の気持ちを感じるのは分かります。ですが、そこから恋愛感情に発展するのは、無理がある気がします。(まあ、人が人に恋愛感情を持つのに理由なんてないと言われればぐうの音も出ませんが)
それなら、まだ、和義が同性愛者であることを開き直って、久保に脅迫材料が無くなったから、晴れて堂々と元彼勇一郎とヨリを戻すほうが、自然な感じがします。

というか、和義って最後、久保に惹かれてたんでしょうか??和義がほんのり頬を染めた描写で、久保のことを好きになったと私が早合点している可能性もあります。

いろいろと最後で失速した様に感じたので、神評価は出来ませんが、途中の久保の憎しみ→愛情の変化と、和義の、久保に対する殺意を感じるまでの苦しみの描写にすごく萌えたので、高評価になりました。

4

どっちつかず?

キラキラ表紙がひじょうに目立つ一冊です。
お金かかってそう…なんて下世話な感想ですみません(汗
ただ、本棚の中でBL本はあまり目立って欲しくないのですが……


受けの和義は医師で、病院の跡取り息子。
同じく医師である勇一郎とつきあっています。

攻めは人気作家として成功した秀一。
実は和義の父の、愛人の息子。


子供時代、和義や取り巻きからの執拗ないじめに対し復讐するため、計画的に和義たちへ近づいた秀一。
和義の妹と婚約したり、勇一郎に情事を見せたりと、和義を精神的に追い詰めていきます。

しかし、和義自身は秀一が目の前に現れるまで、忘れてしまっていたというのが…なんとも。
人間て、都合の悪い事は忘れることが出来るんですよね。
まさしく忘却の彼方。
でも、やられた方は覚えてるんですよ。

なんだか読後、モヤモヤしてスッキリしなかったです。
ふたりが一緒になるにしても、離れるにしても。
丸木さんの作品にスッキリ感を求めて読むのは、間違っているのかもしれませんが…

最後に、丸木さんといえば欠かせないハードなえっちですが、回数こそ多いもののなんだかけっこう普通?
いじめの復讐として和義を抱いているのですが、なんだか甘い部分もちらほらあったりして。
や、こう思うわたしが爛れた大人になってしまっているのかもしれませんが。

2

復讐もの!!

ドロドロでした!!
いじめ、愛人、復讐、執着、凌辱と全体的に甘さはなくドロドロしてました!!

まず思ったのが人生で同じ人をかばって?2度も刺されるってスゴイですよね・・・。
そして復讐相手である和義と接点をもつために利用された妹と、良い人だった勇一郎さんが最後可哀相でした。偶然て怖い・・・。

でもここで最後だけハッピーエンドとかで幸せになるだったらこの評価にならなかったと思うので萌え×2で☆

ドロドロ系が読みたいなと思ってる方はぜひ読んでみてはいかがでしょうか。

1

ノンケがはまる

表紙がつやつやで綺麗です。自分の顔が映るくらい反射します。w

執着攻め・ドロドロがお得意な丸木先生。大好きなので、作家買いしてます。
今回も丸木先生ご本人がイラストを描かれています。
秀一の闇と和義のはかなさ・弱さを線と色に出したのかなーと感じました。

内容は復讐劇です。
ラブじゃないけどどんどん久保が和義に執着していくのがいいですね。
あと婚約者の兄ということで丁寧語で攻めるのがうふふです。
でもできれば勇一郎と幸せになってほしい。

0

ヤンデレ攻の真骨頂

因縁、復讐、執着、ヤンデレ。
こういったキーワードに反応する方は、ぜひ読んで欲しい一冊です。
丸木先生はヤンデレ執着攻を書くのが本当にうまいなぁとしみじみ…。

受の和義が子どもの頃に苛めていた相手、秀一が大人になってから妹の婚約者という形で目の前に現れ、そこから秀一による和義への因縁の復讐劇が幕を開け…というお話。
和義が子どもの頃にいじめの加害者だったという描写は、いろんな意味でギリギリだったんじゃないかと思います。
読者が登場人物の性格や行動に対して一度悪感情を持ってしまうと、そのあとお話を感情移入して読むことができなくなってしまうからです。
いじめの行為そのものを捉えるのではなく、いじめてしまったのは人間の心の弱い部分の発露であると。
そのこと自体を和義という人物の掘り下げ要素として消化していて、表現としてとても納得させられました。

しかし、何が上手いかといって。
ヤンデレ執着攻を書かせたら、丸木先生の他にはいないんじゃないかという点です(笑)

攻の秀一は子どもの頃に和義とそのとりまきに、家族のことを理由にいじめられていたという経緯があるわけですが。
そもそも自分自身がいじめの対象となっているにも関わらず、思春期の子どもらしく怖がったり怒ったりといった、感情のふり幅がない。
それは大人になっても変わらず、そもそも復讐の理由は和義がいじめの加害者だったことではない。
人としての大切な部分が欠損しているような、計り知れない狂気を常にまとっているのです。
いじめの加害者であったことを後悔して悩んでいたり、ゲイであるというコンプレックスを抱いて悩みながら生きていたりという、和義のいわゆる“人間くさい部分”との対比になっていて、秀一の狂気がより際立っています。
はっきりと“秀一は狂っている”といったような説明的な文章があるわけではなく、二人の会話には“かみ合わなさ”のようなものが終始漂っている。
そのことがもうとにかく不気味で、怖い。
相思相愛の恋人と別れさせられてむせびなく和義を見下ろしながら、秀一が『何でこの人はこんなに悲しんでいるんだ?』と無感情に思うシーンとか、もう、鳥肌すら立ちました。

ラストシーン、二人の因縁に対する決着のつけ方も秀逸でした。
某他作品で愕然とした、“最悪にいがみ合っていた二人に何故か突然愛が芽生えている”といった強引な展開だったらどうしようと思っていたんですが(苦笑)、納得いくもので安心しました。
執着していたのは自分のほうなのに、いつのまにか囚われていた。
こういった受と攻の精神的な逆転は、丸木作品特有の表現ですね。

3

執着攻め

とてもおもしろかったです。あまり甘さはないんですが久保が和義に執着しているのに萌えました(*´∇`*)
前半が和義視点で後半は久保視点なのですが、久保が和義の彼氏(元彼?)の勇一郎に嫉妬してるのがいいんですよー(o≧∇≦)o
まぁ冷静に見てみると亜由美と勇一郎がひたすらに可哀想な話なのですがそこはスルーで(笑)
ただ最後のアナグラムはえーって思っちゃいました(´Д`)
実は前から好きだった、みたいなのはちょっと違和感ありますね。昔いじめられた相手なのに好きになるかなぁ??
まぁ久保が昔のいじめをそんなに気にしていないようでしたけど。そこが少しうーんと思うところでした。

2

あらすじと表紙に一目惚れ

この小説に出会ったのは、某アニメ専門店で配られている広告のような冊子で出会いました。
初め見たときからあらすじと表紙に一目惚れしてしまい、「お金に余裕が出来たら必ず買おう!!!」と決めていました。
その時の事はあまり覚えていないのですが、すぐにゲット出来たのでのめり込むように読んでしまいましたねっ(笑)
個人的感想を言うと(受)の和義さんは、元彼というのでしょうか…(攻)の勇一郎さんとよりを戻してほしかったものです(泣)

0

ドロドロ系大好き!

帯『あなたなんて、壊れてしまえばいい。』

丸木さんのドロドロ系は大好物、ゲームもそうでしたけど丸木さんとは萌ポイント突いてくるなあ。
これも期待通りにドロドロしてますよ、わーい。

閉塞感のある田舎町の病院跡継ぎとして育てられた和義[受]は今は都会で仲の良い妹と二人暮らし。
和義はゲイで同僚医師と恋人同士。
ある時、妹から彼氏を紹介されるんですがその彼氏である秀一[攻]は実は和義の父親の愛人の息子で、子供の頃に和義によって苛められ虐げられた相手。
秀一は和義とその両親に恨みをいだいていて、その憎しみを和義にぶつけます。
強姦し恋人と別れさせ脅迫まがいな事まで仕掛ける秀一。
その憎しみが愛憎へと変化していく様。
ドロドロですがラストはちょっと甘めで救いはあります。
リピ率高いんで自分的には神で。この手の愛憎劇は大好き!
あと表紙と帯のコントラストのデザインがいいです。
帯も真っ黒な帯に帯コピーとしては小さめの文字で書かれているのがこの作品に似合ってます。
口絵カラーが折り込み式になってるんですがこれはまあ普通の口絵でも良かったけどこれはこれでちょっと面白い。
装丁と厚さでこのお値段はなかなかコスパ高いと思います。

2

好きです

受けの元恋人が本当にいい人でかわいそうw
攻めは、はじめは気がなかったんだけど好きになっちゃったんだか
気はあったけど気がついていないだけなかったのか(たぶん後者)
いじめているうちに本気になっちゃったってパターンです

ずっこんばっこん病院(受けの勤め先)でやって受けを放置
そして元恋人に発見させたり
公園で受けにフェラチオさせて元恋人に見せつけたり
容赦のない攻めっていいなあ

2

丸木さんの描写はステキw

やっぱりナニなシーンはステキすぎるぐらい
上手な丸木さんです!!

ただ今回は神作品とまではいかないですかね。。。^^;
あとがきに「ドロドロにかいたつもりです」
と書かれてあったのですが。。
私的にはいつもよりはそうでもなかったかも??
確かにドロドロだったのですが、
ストーリー的な部分ではなくって恋愛的なとこでは
以外と普通かも?

丸木さんお得意の復讐ものですが、
今回は受けが最初からゲイで
いつもの攻めに対するホモの葛藤がないせいか
以外とあっさり風味で受けも今までのキャラより
マトモな気がします^^

そして最後は。。。
意外とこれまたあっさり!!
結局どうなんだ!!っといった感じで。。
久しぶりの丸木さんのBL小説だったので
期待しすぎてしまいました。
ですので普通にヤンな感じで読んでいただける分には
ステキ作品になっていると思います^^

2

ドロドロ

内科医の杉浦和義(受)と、かつて中学時代の同級生だった
久保秀一(攻)のお話。
和義のなかでは、消したい過去として秀一のことはほぼ忘れていたようなのですが
妹の婚約者として紹介されてから記憶と共に黒い過去が露になり
徹底的な侮辱と脅迫めいた言動で追い詰められ復讐される…といった流れ。

復讐ものということで、私が読むにしては珍しくドロドロした作品でした。
普段あまりこういったトーンのものを読まない…というか
嫌いなわけではなかったのですが無意識に選んでいなかったみたいで
読んでいくうちに新鮮さと驚きが次々と出てきました。
すでに和義に恋人が居る、そして和義が元々根っからのゲイであること
それに反して攻めがノンケでかつ相手(和義)を恨んでいるということ。
この辺ですでに新鮮でした。笑
途中で秀一視点に変わると、心境の移り変わり方や
ストーリーの辻褄が合ってきてかなり引き込まれます。

糖度は低めですが、行為自体は割と激しめです。
あと最初にあるカラーイラストが結構…今まで見てきたものよりも
生々しいというか直接的な表現だったので用心しないと
お店などでいきなり開かれると驚かれるかもしれません。笑

3

業を背負って生きていけ

妹の婚約者として現れた、有名な小説家・鈴鍵ラショウ(久保秀一)とゲイだという事を悲観している内科医・杉浦和義のお話。
なぜ、人物紹介でフルネームを書いたかといえば、名前こそがキーワードになっているからです。

初めてできた恋人がいるのに、自分がゲイだということに大変否定的で、前向きな考えができない和義。
そこだけを見ると、内向的で人畜無害な弱弱しいひとに見えるのですが・・・実は秀一とは中学生時代に浅からぬ因縁のある過去があり、秀一は綿密な復讐のシナリオを作って近づいてきたのでした。

幼いプライドで自分の気持ちと反対の行動をとり、おとなしい異端者の秀一をいじめの対象にしてしまった中学生時代の和義。
母親の死のきっかけは杉浦一族にあると思い込み、和義の妹と偶然出会ったのをきっかけに、復讐を計画し実行に移した秀一。
ほとんどは、ゲイを隠そうとする和義を陵辱する秀一のおはなしです。

妹に知られたくない、恋人に知られたくない、病院に知られたくない、親に知られたくない、その気持ちを逆手に取り抗えない和義を、秀一は思うままに陵辱するのですが・・・

その人がもともとどんな人物で、環境や育ち方、他人からの影響が彼らにどんな人格を与えていってしまったのか、考えさせられるお話でした。

最後の最後ギリギリまで、ハッピーエンドになるのかバッドエンドになるのかわからなかったところも、なかなかいい展開だったとおもいます。
私としては、どんな場合でも“いじめ”はだいっきらいなので、中学時代のお話や復讐のための陵辱はいまひとつ受け入れづらいものでした。
しかし、少しずつ彼らの背景がわかるにつれて、和義が恋人(勇一郎さん。いい男なんだこれが!)に別れを告げても、秀一のもとを離れられなくなっている気持ちも理解できて、勇一郎さんにはかわいそうだけど、二人がハッピーエンドならいいなって思っちゃうのでした。
業を背負って生きていけばいいんだと思います。

5

負のベクトルを刺激して行われる復讐劇

中学の時同級生だった男が妹の婚約者として目の前に現れて、過去に対する復讐をしていくお話です。
この復讐が成立するために、いくつかポイントがありました。
★和義は自分が同性愛者であることを幼いころから自覚していますが、決して誰にも知られていけないと必死で隠しています。
★和義の家は田舎の大きな病院で、いずれは跡を継がなくてはならない。
★久保の母は、和義の父の愛人だった。

久保は人気作家として成功していますが、その作品は復讐をテーマにしたもので、それは過去の自分が受けた傷を元に書きつづったものです。
中学の頃、母子家庭で田舎に引っ越してきた久保は、和義の気に障る存在となりいじめを受ける。
そして、和義が同級生に襲われそうになっている処へ偶然居合わせた久保が竹林に突き落とされて怪我をする。
それと同時に母が殺されたも同然の形で死亡し、その田舎を去る。
そして和義もその存在をすっかり忘れていたところの妹の婚約者としての再会だったのですが、その再会は偶然ではなく和義の妹と作家と編集として出会ったのがきっかけとなるしくまれた復讐だったのです。
和義の弱みに付け込み凌辱する久保。
人に見つかりそうな場所で。わざと恋人の勇一郎に見せつけたり。最後には妹にも見つかってしまいます。
逆上した妹に刺される久保。
実は和義が、性的対象として久保を昔見ていた目線に久保は気付いていたのです。
和義はその性癖を隠すために、禁欲生活を自ら強いていたのに恋人ができたことで快楽に対して敏感になっていたため、復讐とわかっていても久保の行為を求めてしまう。
それもいつか和義は受け入れています。
久保の復讐は本来は、母のこともあり和義の家に対する復讐だったのが、和義への執着・復讐にすり替わっていくのが、ドロドロした展開を生んでいくのです。
恋人の勇一郎は、和義の事を考え思いやり、本当にいい恋人だったのに、それだけに久保にその仲を壊されてかわいそうでもあります。
でも最後に久保を選んだ和義。
それは罪滅ぼしなんでしょうか?SEXがよかったから?
久保については最後まで和義が好きだったとか、そういう恋愛感情にかんする言及は一切ありません。勇一郎がそれをにおわす発言をするだけですが。
和義が自分の生きる道をはっきり決めたことで、久保と対等になったというところでお話は終わっています。
ネガの和義が前向きに変わり、久保の復讐は終わったことで、一応この話はハッピーエンドととってもよいのでしょう。

決して甘さがない話だっただけに、これがさらにドロドロだったらもっと後味が悪くて、このくらいでもよかったのかな?とは思います。
大変に読み応えのある作品でした。
表紙カバーもメタルコートで少しいい雰囲気の装丁ですよ。

5

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