霧の楽園

kiri no rakuen

霧の楽園
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神26
  • 萌×223
  • 萌29
  • 中立8
  • しゅみじゃない6

--

レビュー数
18
得点
317
評価数
92
平均
3.6 / 5
神率
28.3%
著者
丸木文華 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
笠井あゆみ 
媒体
小説
出版社
KADOKAWA
レーベル
角川ルビー文庫
発売日
ISBN
9784041028513

あらすじ

時は大正。伯爵家の嫡子・裕太郎と使用人の学は唯一無二の幼馴染。優しくしてくれる裕太郎に、身分の違いから一線を引こうとする学だが、裕太郎の強い想いには抗えず…。

表題作霧の楽園

赤井裕太郎,伯爵家の長男,24歳
緑川学,赤井家の使用人,22歳

その他の収録作品

  • 楽園
  • 葵の手紙
  • あとがき

レビュー投稿数18

閉鎖的空間で広げられる耽美物語

周りには完璧超人にみえる攻めが
その実、精神的に脆く病んでいる…
という丸木さんの描かれる執着攻め(裕太郎)と
弱く儚く美しい受け(学)のお話。

舞台が大正時代であることと
主従関係にあることが物語の耽美さを際立たせていると思います。

すこしミステリー要素もあり、
「俺は、お前よりもお前の事を知っている」
といったようなセリフ等が伏線となり、物語の
ラストまでその意味はわかりません。

受けはつまり幼少期からの父からの虐待によって
多重人格者となっているために記憶がおぼろげで時々
自身の記憶が飛ぶことがある。

多重人格の場合、本人がそれを認識していることが
多いと思いますが、受けはまったく気づいていません。

そしてそこは特に問題ではなく、攻めもその学の多重人格要素も
全て愛しており、自分以外学を愛せるものはこの世に存在しないと思っている。
裕太郎自身も、大企業の次期社長としてずっと仮面をかぶって生きてきており、
幼少期から仲の良い学にだけ全てをさらけ出せる、
丸木さんお得意の共依存関係ですね。
閉鎖的空間で行われる物語ですが、とても美しい話だと思います。
ラストが尾を引いて、もう一回初めから読んでしまいますね、

8

読んでいる最中、不安で不安で

これはすごいわ。
『耽美』と紹介されてることも多いですが、私はサスペンスミステリとして「すごい」と思いました。
ホラー風味もあり、大正時代の霧に包まれたお屋敷の中で、何だかよく解らない不安感に弄ばれます。
まあ、読んでいて、不安なこと不安なこと……

これ、核心部分は絶対ネタバレしちゃいけないやつだと思うんですね。
だから私も出来るだけそこに触れないようにご紹介したいと思います。

主人公の学は、ぼんやりしていて、記憶が曖昧になってしまう人なんです。
赤井伯爵の家で使用人の子どもとして生まれるのですが、母が幼い頃に別の使用人と駆け落ちし、酔った父に暴力を振るわれる毎日を暮らしています。
学の希望は、小さい頃から自分を可愛がってくれる赤井家の長男、裕太郎だけ。
全てにおいて優秀で太陽のような裕太郎は、不憫な学に目をかけてくれるだけではなく、常に自分の側に置き、恋人の様に扱います。
そんな裕太郎の振る舞いを止めさせようと、彼の家族は学を裕太郎から引き離そうとし、学も一時はそれに従おうとするのですが、そのことで裕太郎は以前にも増して学への独占欲を剥き出しにする様になります。
裕太郎の縁談話、父の失踪、自分を捨てた母との再会……学の周りで次々と様々なことが起きますが、裕太郎との激しい情事の所為もあり、学の記憶はどんどん曖昧になって行くのですが……

察しの良い姐さまであればお話のオチに感づくかもしれませんが、とにかく丸木さんのお話の構成と文章の巧みさで、最後まで緊張感が途切れません。
「多分、こうなんだろうな」と思いつつ「いやいや、まだ解らんぞぉ」と思い直したり。
最後の短編『葵の手紙』を読んで「そうかー!」と。
全てが収拾された後の『やられた感』がすごいです。

上手い!
そして、怖く、哀しい。

4

この薄さにしてこの濃さ!!!

ルビー文庫で、本自体も薄い(約210頁)ことから
ライトな話なのかな??と油断していると
良い意味で期待を裏切られる作品。

ネタバレなしでレビューしてみますが
出来れば何の前知識もなしに
読んでいただきたい一冊です。


時は大正。
赤井伯爵家に仕える下男・学(受け・22歳)は、庭師の父親から折檻を受ける大人しい青年。
赤井家の長男・裕太郎(攻め・24歳)とは、身分は違えど幼さなじみで、人知れず抱き合う仲。
学を溺愛するあまり、裕太郎は徐々に危険な領域に足を踏み入れ…。

序盤は、優しく男前な攻めに
愛され守られる健気受け、
という甘い雰囲気を楽しめますが
(学が、二人きりのときだけ裕太郎を『君』と呼びタメ口になるところにも萌!!!)
徐々に雲行きが怪しくなり……?

突如失踪する学の父親。
妹や友人の忠告にも耳を貸さず
学を軟禁し、夜な夜なその身体を貪る裕太郎……。
病んでいるのは裕太郎なのか?
と思わせておいて……という
どんでん返しに背筋が寒くなる展開です。

全てが分かってから読み返すと
伏線はそこかしこに見受けられ
陳腐な話にも思えますが
展開の早さとエロシーンの濃さに引き付けられ
推理する前にラストまで読みきってしまい
オチに驚かされる。
そんな構成力のある作品だったと思います。

欲を言えば、オチがもう少し本編の出来事に
関わっていれば、更にミステリ的な面白さを
堪能できたんではないかと。
ビックリはしますが、本編の話の流れには
あまり絡んでいない分、それで??と
ツッコミたくなる人もいるかもしれません。

とは言え、この薄さ、このレーベルの中で
ダークで退廃的な丸木文華さんお得意の世界観が
しっかり展開されている点は素晴らしいです。

12

今の耽美

大正時代の箱根の鬱々とした洋館を舞台にした、美丈夫の伯爵令息・祐太郎と、その下男で幼い頃から一緒に育った庭師の息子・学の主従執着物語。
舞台は耽美のエッセンスたっぷりで、登場キャラたちも、主人公の二人をはじめ、祐太郎の家族の妹や母、高等遊民の友人、学の父親や不倫の果て出奔した学の母親など、皆揃って耽美の権化のよう。
ルビー文庫の薄い本なので、お話は下男の学の視点からの、祐太郎との関係の物語に絞られている。
そのため、仕込まれたいろいろが、最後の祐太郎の妹の葵視点の「葵の手紙」でさらっとネタばらしされるだけなのがちょっと残念なような、、、
この仕込みするなら、もうちょっといろいろ枝葉を茂らせてくれても良かったのにと思うのは、けして欲張りではないと思う。
それでも、耽美のエッセンスはサクッと味わえるので、これはこれでいいんじゃないかな。

しかし、それより、なにより、笠井先生のカバーイラスト!
逃げも隠れもしない、タイトル文字のすぐ横で、この乳首にこの体位!
流石やね。

1

雀影

セルフつっこみ
ただ、やっぱり、最後の「葵の手紙」はちょっと文体がラフすぎて、なんだかなぁ。

病んでる

丸木作品の「罪の蜜」に通じる薄暗さがあり、「罪の蜜」が好きな人は買っていいかと思います。
前半のほぼ2/3は受けの心理描写ベースで語られており、時々挟まれるモノローグに疑問が深まりながら読み進め最後はどうなるのか正直わかりませんでした。受けの心理描写が終わった時もまだ疑問は残ったままでしたが、最後の攻めの心理描写からすべての謎が解け、全体を通して納得できるラストでした。
特に攻めの心理描写は攻めの方がかなり病んでいるのではと思うような内容でゾワッとすると同時に、謎も全部解かれ「罪の蜜」を読み終わったときと同じような気持ちになりました。

1

丸木ワールド満載

丸木さんに笠井さんの挿絵ときたら買わねば、ということで手に取ってみました。今回もまさに丸木ワールド炸裂な内容でした。内容をざっくりと。すみません、ネタバレしてます。


時は大正時代。伯爵家という高い身分を持ちながらさらに煙草の生産で財を成した赤井家。その赤井家の嫡男で跡取りでもある裕太郎は頭脳明晰で男前、そして朗らかな性格で誰からも愛されるナイスガイなのですが赤井家に住み込みで仕えている2歳年下の学をとても大切にしています。
この学は幼い頃に母親が不倫の末自分を置いて家を出ていってしまい父親と二人暮らしなのですが、父親は母親にそっくりな学を疎ましく思い日常的に虐待しています。そのため学は精神的に脆いところがあり…。

というお話でした。

精神的トラウマを抱える受けに、何でも手に入る立場でありながら受けに対して異常なまでの執着を見せる攻め。
常に虐待する学の父親。
兄である裕太郎に執着し、そのため裕太郎が溺愛する学に対して辛辣な態度をとる裕太郎の妹。
まさに丸木さんお得意のドロドロなお話でした。

ただ、どうしても既視感がぬぐえない。話としてはとても面白いし、丸木さんならではの黒い話はとてもツボなのですがちょっとワンパターン化してる気がしました。学の抱える問題や、二人の行きつく先が読めてしまうのが残念でした。裕太郎の悪友の青池がもっと二人を掻き廻してくれたら良かったのに、と思ったのと、あと凄く気になったのが「学の父親は結局どうなったのか」という点です。そこをもう少し掘り下げてくれたらなおブラックで良かったのにな、と思いました。

けれど丸木さんが描く独特な雰囲気は堪能できましたし、笠井さんの挿絵は相変わらず美しく淫靡な雰囲気満載で、このお二人のコンビはまさにゴールデンコンビだと思います。

10

闇墜ち

はげしくネタバレしますので、未読の方はご注意ください。



なんかこれ、「妖の宴」と同じパターン。そちらはそこに至るまでの葛藤に読みごたえがあったので、納得のラストでした。
こちらはというと、病み×病みで最初から闇墜ち決定な上に、ハイスペックな攻めが障害をことごとくなぎ倒してくれる(笑)ので、お話に起伏が乏しい気がしてしまいました。
最後にオチというか謎解きを持って来たかったのでしょうが、そのせいで方向性があいまいになってしまった感がありました。それは早々に予測できるので、とっとと明かしてそれぞれの学との関係をみっちりねっとり読みたかったです。
世界観は丸木ワールドで、挿絵と相まって雰囲気たっぷり。
そこで繰り広げられる学達と裕太郎の1対1?のハーレムだったら、絶対滾ったのに!
…そこは妄想の翼で補完して、ということなのかなぁ。
と、おあずけを食らった気分でした。

丸木作品だからというので、ちょっと期待過剰すぎたのかもしれません。
古めかしい文体や雰囲気作りは本当によかったと思うからこその、欲張りなのかな。

3

続編、完全版があれば是非

読了後「あれ?」って気持ちになりました。何というか、うっかり100ページくらい読み飛ばしてしまったんじゃないかと…。
何といいますか事件の起こっていないミステリーみたいな感じです。最後に明かされる謎(冒頭で大体分かっちゃいますが)に関しても別に誰の迷惑にもなってないし、お話の鍵になってるってわけでもないし…。
これが原因で何人がお亡くなりになっていれば面白いと思ってしまうんですが、逆に何もしてないことに驚きました。
ご主人様と下男…のわりに案外、障害と葛藤がなかったラブラブなお話です。この時代の雰囲気は素敵、絵も素晴らしく美麗で絡みも濃厚です。
圧倒的に枚数が足りない、私が読み飛ばした100ページがどこかにあったら凄く読みたいです。

3

執着するSなヤンデレ×無自覚ドMなヤンデレ

丸木文華さん、初読みです。
話題になっていたので一度読んでみたいとは思っていたのですが、どうもこういったほの暗く狂気じみていたり痛かったり怖かったりするお話はなかなか手に取りにくい質なのですが、ルビー文庫と言うことでお手柔らかに入っていけるのかと思い手にってみました。

ひとことで言って、まだまだこういった作品の良さを理解するには修行が足りないと時間をおいて再読したいと思いました。

恵まれた育ちで誰からも愛されて育った太陽のような青年 裕太郎。
それが、共に育った使用人の子供に執着しやがて病的にまで支配し囲い込んでいこうとする過程が描かれています。
ほとんどが学の目を通して彼の感情や知識からの情報なのですが、裕太郎の行動も思惑もあからさまに読み取れて、頭の良い主人の掌で転がされいい様に扱われているようですが、実際は、無意識ではあっても学が裕太郎を誘い自分を囲いこませ最後は楽園まで作らせてしまったような気がします。

よくわからない何人かの名前のついたモノローグなのか手紙なのかわからない1ページほどの文章が数回挿入されていて誰が何のことを語っているのかわかりませんでしたが、裕太郎の友人の学を見たときのひとことでわかりました。改めて読み直すと納得できます。
そこが裕太郎を虜にする学の隠された一面に繋がっていくわけですが、その種明かしを妹の母親への手紙と言う形で明らかにするというのは蛇足だったような気がします。
彼女の過去の行動や学に対する感情は十分わかっているし、裕太郎がそうなった原因についての考察も納得できましたがあまり重要ではないと思います。

結末は微妙な部分もありますが、親は悲しむでしょうが二人が幸せで誰にも迷惑をかけないのですからそのまま楽園で幸せに暮らしていけばいいと思います。
時代背景からしてこの先会社経営は厳しいこともあるでしょうが、きっと裕太郎はそれも利用しつつますます繁栄させていくでしょうね、楽園を守るために。

丸木作品とは相性のよさを感じた笠井あゆみさんのイラストにはカバーイラストからして惚れ惚れいたしました。
大好きな小説を手放さない学と学に執着する裕太郎の姿が物語のすべてを語っているようです。
恍惚とした学の表情も引き離そうとする他者を威圧するような裕太郎も艶っぽくて綺麗です。

2

謎の積み重ね

複雑でほの暗くて病んでいて謎だらけのお話でした。
たろうや菊子の童謡のようなページが謎で何の意味だろうと。

学がとても不憫でした。
霧の館から出られず母に逃げられ父に毎晩罵られ暴力を受けて、体は育たず精神も健やかとはいえない状態で、でも館にしか居場所がなくて。

裕太郎がなぜそこまで学に執着するのか。幼い頃から性的な接触や願望を持つのか。

二人が二人だけの関係に深く沈んでいきどんどん病んでいくのが不安でしたが二人が一段階進んでだんだん幸せそうになってきたので救いでした。
学も館に閉じ込められて気の毒でしたが旅行にも連れていってもらえてホッとしました。

楽園へ と葵の手紙 で謎が解けますね。
学の正体?がわかって、そうなってしまった原因であったろう幼少時からの悲しい暮らしと、裕太郎の前だけ出て来て受け止めてもらえて愛されていたことに衝撃と少し救いを感じます。

また裕太郎の出自や今の裕太郎になるための努力も執念と痛ましさを感じます。

裕太郎がいつも言っていた学のことは自分が一番本人よりもわかっているというのはそういうことだったんですね。

執着攻めや病んだ攻めに引きずられて引き込まれていく受けの話はいくつか読みましたが、このお話が今までで一番病んでました。とにかく衝撃です。

葵の手紙から裕太郎と学の二人の楽園が完成したようで、到達してしまったんだなと素直に喜ぶべきなのか複雑な気持ちです。

しばらくはこのお話の余韻が抜けなさそうです。

1

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