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作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
時代は昭和初期
一高~帝大~社会人と共に過ごした主人公達の三角関係ものです。
三人の関係性がすごーくエロチックで萌えました。
男女物の置き換えのように、
単純に一人の受けを狙って攻め二人が対立するのではなく、
友情と恋情が複雑に入り乱れ、
誰が誰をどのような形(攻or受、友情or恋情)で愛してるのか・・・
という男同士ならではの濃密な三角関係に唸らされました。
体の関係という意味では、エロエロしてません。
プラトニックだったり、両想いになっても何年もキス止まりだったり。
相互視点な上に、現在(社会人)の話と、
過去(一高、帝大)の話を混ぜて構成されてるので
話の全体像を知るために
頭の中でパズルピースを組み合わせるようなもどかしさが、
読んでて楽しかったです。
筋立てより、個々の表現や雰囲気を楽しむ作品。
昭和初期(作者談)、一高~帝大時代の同級生、人外のモノが見える小説家の仁科と医者の花房、そして検事の黒木の、それぞれがそれぞれに抱く庇護欲やプラトニックな恋愛感情と情欲が、今と学生時代を行き来しながら語られます。
現在恋人関係にある仁科と花房の目線で語られるので、彼らの微妙に食い違いながらもお互いを必要としている様はよくわかるのですが、何かにつけ引っかかってくる黒木の存在が気になる状況で1話目【逢い引きの夜】は終わってしまいます。
実際のところ、仁科と花房ですら、本当に今の関係に満足しているとは思えない心境のまま終わるのです。
もし、雑誌掲載時に読んでいたとしたら、悶々としちゃってしょうがなかったでしょうね。
しかし、2話目の【こごり繭】という、幾分ホラーチックなお話が書かれたことにより、仁科がエログロ小説家であり花房が医者であり黒木が検事であったことに必然性が出て、煮え切らないままに終わった黒木との関係もはっきりされ、お話としては2話で一作としてまとまったと思います。
お話のそこここに、“きれい”とか“美しい”という賛辞が出てきますが、この三人の外見しかり、性格しかり、それぞれ違った美しさがあるのです。
それをそれぞれが評価しつつ、自分の黒い部分を卑下しているわけです。
愛情だったり包容力だったり、可愛い甘えがあったりする反面、独占欲であったり、媚であったり、計算ずくであったりという、じぶんの醜さをみんなが抱えているのです。
レトロモダンでちょっとオカルティックな背景の中、友情とは?愛情とは?を考えさせられるお話でした。
昭和初期の時代背景を活かした、ちょっとレトロな言葉遣いが、耽美小説を髣髴とさせるこの本。
ストーリーは、猟奇な推理小説のスパイスをちょっと加えた、
ひどくまじめな青春小説でした。
お話は、仁科視点と花房視点で語られる部分が入り交じっています。
それぞれの思いは、フラットで、並列的に描かれている感じ。
そのため、読んでいても、作品世界に深く入り込むというよりは、複雑なのに平面的な、こった図柄の大きなスカーフでも眺めているような感じです。
挿絵とは全く別に、凝った模様の閉じた図形がイメージされると。
後、これだけは言っておきたいのは、
大正、昭和初期生まれの方が、戦前の生活水準に戻ったって実感するのは、あくまでも昭和40年頃だから、
40年代に「入る」頃だから、
30年代に復興・経済成長して、東京オリンピックや新幹線開業した昭和38年当たりが、その境目のはずだから。
うーん、こんな事念押すと、お年がばれる?
2中編より構成されています。
「人でなしの恋」
表題作。
設定は昭和初期。関東大震災の後の旧制高校の同級生のお話。
2人の華奢な美少年と、剣道の有段者の3人が織りなす人間関係について。
単純な三角関係じゃないんですね…
主人公は仁科。
親友の黒木とは性格も考え方も全て気が合って、仁科は黒木が大好きでたまらない。
だけど心も体もどうしようもなく惹かれるのは、たくましい花房…
仁科は黒木も花房に惹かれてると思っている。だから、花房が自分を選んだ事が後ろめたくて。
2人の関係がばれて、黒木は仁科と花房と絶縁します。
あの若く楽しく輝いていた若い日々はもう帰らない…そして、それが人でなしの自分への報いなのだ…それでももう自分は花房を離せないんだ…
今時のBLを読んでると、これくらいで「人でなし」じゃないよねーなんて感じる自分がスれてしまったというか。
それに、仁科は黒木をすごく気にかけているけれど黒木視点は全く書かれていない。
花房は初めから仁科を選んでいます。
時代性もあるのか、すぐにどうこうならず非常に抑えています。そこがまたいいのです。
「こごり繭」
この一編はなんとホラーというかゴシック風味。
エログロと批判されつつ人気作家である仁科。
ある日、花房と一緒に入った古美術店で、人ならぬ女の悪霊のようなモノを見てしまう。
その後、自分の書いた小説の通りの殺人事件が起きたり、仁科が疑われて捕まったり、仁科が鏡を怖がったり。
そんな仁科を支える花房。
2人はますます馴染んで。
さてホラーの結末はどうかというと、そちらはどうも……古鏡を割ったら消えました、というオチでこれはいまいち。
BLとしてはわたしには、タイトル↑につきます。
友人である3人がいて、花房(攻め)×仁科(受け)+黒木(仁科は黒木は花房が好きだと思っており、花房は黒木は仁科を好きだとおもっている)---という構図です。
花房は友人である黒木を裏切っていると罪悪感に悩むのですが、頭であれやこれや観念的に悩むだけで、黒木が恋を阻むようなエピソ-ドも特になく、うしろめたい気持ちのまま関係を持ち、結ばれます。お話が動いてないやん、と思ってしまいましたが…、
読む人によっては、この「うしろめたさ」が醍醐味なのでしょうか?
収録されている「こごり繭」は幻想ホラーもの(?)とでも名づけたらいいのだろうか?
恋愛はさほど描かれていると感じなかったし、ミステリとしては謎解きがなく、幻想小説としては、例えばなぜ外国の女性が主人公に祟ってくるのかという点について因縁が浅く思え、怖さや凄みが足りない印象を受けました。(BLにこだわらず耽美ホラーに徹したらどうだったろう)。
それでもさすがに筆力のある作家さんのかかれるものだけあって、時代の雰囲気などは良く出ていると思います。表参道に市電の走っていた、同潤会アパートが新築だったその時代の雰囲気にひたれましたv
雰囲気は好きなんだけど終始バラバラでまとまりがなかった印象でした。
ストーリーに芯が欲しい、と切実に思いながら読んでました。
三角関係ふくむ恋愛要素、ホラーな部分、昭和初期を時代背景にしたことによるノスタルジックな空気感、これらのものをもっと上手くまとめたら名作になったかもしれないのになぁと。
三角関係については、黒木の存在の意味がいまひとつ伝わってこないんですよね。最初から主役カップルががっちり結び付いてるからかな…分かんないや。かわい有美子さんが書きたかった三角関係の形じたいはものすごーく伝わってくるのですが、エピソードからは伝わらないのでもどかしくなってしまう。
学生時代のエピソードで、もう一つ「ナニカ」が欲しかったかも。
ホラーな部分も中途半端な感じ。
主人公の恐怖感がいまいち伝わらない。
真相もつまらない。
昭和初期のノスタルジックな空気感はよく出てたと思います。
当時の男子学生同士の交流は、かなり萌えるものがありました。
不思議な感覚の本でした。
「人でなしの恋」あとがきで作者が”ロクデナシ感満載の題名”と言っておりますが、ロクデナシではないですね。
”人でなし”とは”人に非ず”の人でなしなのかしら?とも思い、、
そう、恋愛も入っていますが、主人公に霊感があり、そんなものも含めた話になっているのですよ。
作品のカラーは淡々としたセピアなくすんだ色彩。
さわやかでもなく、イライラでもなく、ぼんやりと綿をつかんでいるような感じです。
旧制高校、一高で同級生になったのは仁科と黒木。
この二人は一高の美人姉妹と言われるほどの美形。
その黒木の友人として仁科に紹介されたのが花房。
この3人の友情は大人になっても続くのですが、仁科は花房には欲情も伴った形で好きで。
黒木には庇護したいというそういう愛を感じていて。
だから花房と関係を持った時、黒木を裏切ったと思い、この関係は秘密の関係になるのですが・・・
花房は懐深く、仁科を包み込むような優しさで愛しているのです。
仁科はビッチのような感じを装っているものの、花房に甘えている。
ただ、黒木は花房が好きなんだと思い込んでいる為にその関係に後ろめたさを感じて、二人の関係が黒木にばれたとき、罪悪感に打ちのめされるのですが、花房は結構第三者的目で見ているので、その仁科をまるごと引きうけることができる。
そんな関係を淡々と綴ったのが表題作。
仁科の黒木に対する愛というのがはっきり見えてこないし、花房にたいしては黒木に対する描写よりは多いので好きということがわかるが、、
仁科は花房も黒木もなくしたくない、という愛情に対して貪欲な人間なのだということでいいのだろうか?
『こごり繭』において、仁科の霊感なのか解離性精神障害なのか、それが見せた夢から小説を書いたことで、もう一度3人が集まることになるという話。
仁科の小説をヒントにした殺人事件が起きたことから、多少のミステリー仕立てになっている。
仁科が自分の書いた本を黒木には見せるのに、花房には読むなと言っている意味。
「お前あての出さないラブレターのようなものだ」と言っているが、作中で描かれた本は、まさに黒木と花房と仁科の三人を映し出した物語になっているのかもしれない。
再び淡々とした流れで、恋愛の機微だの、ラブラブしたり、ケンカしたり、そういう恋人らしい描写は一切ないので、盛り上がりがないままにゆるく山なりのカーブは終わった形で小説の終わりも迎えている。
昭和初期という時代設定もあるのかもしれないが、わりと文学的文章で丁寧な仕上がりになっているとは思うのだが、静かすぎて、霊感だの三角関係だの、殺人事件だの、おどろおどろしいネタを盛り込んでいる割にあっけなくて物足りなさはいなめなかった。