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自分はこの男の何を知っていて、何を知らないのか――待望の続刊発売!
「世界の果てで待っていて」シリーズの2冊目です。
1冊目「天使の傷痕」初版が出たのが2005年、そして2冊目「嘘とナイフ」は2010年。12年前ですね。3冊目はまだです。
このまま未完となってしまうのは(まだ分かりませんが)、実に惜しい良作です。
元警察官の黒澤は今は探偵をしていて、当時の相棒の櫂谷(こちらは今も警察官)とは、警察を辞めた今も繋がっています。
黒澤が警察を辞めたのは、たった一人の家族である妹が殺害され、犯人は捕まったものの実は冤罪で、真犯人はまだどこかに居るから。真犯人を見つけて復讐するために生きているのです。
その黒澤の動きを快く思っていない元公安の警部が2冊目に登場。
話はこれからというところですが、ここまでなんですよね。勿体ないですね。
このあとの展開がとても気になります。3冊目いつか出るのかな。出て欲しいです。
さて、この黒澤と櫂谷の関係が、かなりの悶絶級です。
俗にクソデカ感情といいますが、これはその部類に入ると思います。
二人は恋人同士ではないですが、黒澤が妹を殺されたときに一度だけ関係があり、その前もその後も同僚、元同僚としてつるんでいます。
でも、黒澤視点、櫂谷視点、読者はどちらも味わえるのですが、その淡々とした日常会話や、ごく普通のやり取りの裏側に垣間見える信頼や友情に似た大きな感情がそそります。これ以上踏み込んだらいけない、とぎりぎりのところで理性で抑える様がたまりません。
3冊目出なくて未完でも、1冊目と2冊目だけでも、この二人の関係性は後世に残したいです。未読の方は是非。
図書館で借りたので気が付きませんでした。
ストーリーは面白かったし、エロなし(厳密にはあるんですが)であっても、萌シーンはちゃんとありました。
一つ本当のことを言えという雪人に統一郎は「愛してる」と。
このシーンは物語の流れではめちゃくちゃ有効な、殺し文句でした。
なのに!!
続きがない!どーしたんだ!
と思うほどに。
世界の果てどころか、そこかしこのファンが待ってますよぅ。新装版と同時発売したのは良いけど、こんな生殺しでってのはツライですね。同人誌でも良いので何とかオチを付けてほしかった。BLでエロなしだとそんなに人気無かったんですかね?
しまった…と思っても後の祭り(涙)
続編。主に櫂谷視点で苦悩が描かれ、切なさと苦しさと熱さが増していた。
今作は殺人事件に挑むお話。黒澤と櫂谷はそれぞれの立場から、別々に捜査を行う。とはいえ、ところどころで必然的に絡まり合い、そのたびに新たな謎は生まれるし、見えてくる感情にかき乱されるしで、どんどん深みにハマっていく感覚を味わえた。
印象的だったのは、櫂谷が信じていた黒澤からの信用が、幻想だったのかと衝撃を受けるシーン。前作で惹かれたのはまさにその部分で、モノローグですら言葉にしないのに、二人の間にある信頼感は揺るがないものに見えていた。それが崩れたとあってはもう……。櫂谷に同調するように苦しく、辛さが十分すぎるほど伝わってきた。
その後の二人のやりとりには震える。心を激しく揺さぶられるというか、武者震いに近いというか。
終盤、櫂谷は単独行動を取り、黒澤と共に事件を追う。これこそ胸熱展開といった感じで、テンションが上がった。
事件はしんどい事情を明かしながら、黒澤の活躍で終結。警察組織の融通の利かなさ・ままならなさを浮き彫りにする結果に。黒澤が言いたいのもまさにその点のようで、ぽろっと出た皮肉に込められた思いはどれほどのものだろうと思った。
黒澤に簡単に尾行を撒かれる警察が無能なのか黒澤が凄すぎるのか。そこは分からなかったが、警察内部を知り尽くした黒澤と現役巡査部長の櫂谷がメインなため、展開が早く話に無駄が無い。ここが非常に好み。
ラストは黒澤に関する特大の爆弾を落として締め。ここで終わって十年以上も続きが出てないなんて信じたくない。前作からの伏線も回収されず、新たな謎をぽいぽい放り込み、ここから黒澤に迫っていくイイトコなのに!
それなりに組織に縛られた櫂谷と裏の顔が見え隠れする黒澤。どう頑張ってもすんなりハピエンとはいかない二人で、今後がとても気になる。
とにかく続きをくれーと叫びたい。
自分と同じく、この作品にボコボコにされた苦悩に満ちた知性あふれる先人達の、切実なレビューが良いです!
2005年に一作目、2010年に新装版と続編が出た後、未だ続編はでていません。…クッ…
もう待ちくたびれて萌えどころか、妄想と苦悩にのたうちまわること七年。それでも常時自分のベストスリー内のこの珠玉の作品。
私にとっては、BLの真打ち。
待つ意味がある以上は、いつまでも待ちます。が
獲得した読者層の苦悩に対して出版社に社会的責任の自覚はないのか❓
………とまでは言いませんが、次の完結編( ですよね? ) を早くお恵みくだされ。
「 求めよ! さすれば与えられん。」 以下。
男前美人受けの真打ち・現職刑事雪人と、対する攻め・統一郎は男惚れするようなおおらかな性格の元刑事ナイスガイ。
しかしながら、この2巻目では、統一郎のイメージは、 雪人視点では、信頼し合っていたはずの男のイメージが覆り、危険な匂いを持つ、不安を誘う未知の部分のある人物として、読者視点では、人柄の良さだけでは測れない何か謎と、冷たい熱情を秘めている人物として、書かれています。
心の闇と謎を秘めた統一郎は、より一層セクシーで、危険な魅力を倍加させています。
多少のネタバレありますが、
多分、読者の視点は以下に集約されているところでしょう。
① 雪人が妹を殺された統一郎の暴走をどうや って止めるのか。( 実は暗部に潜む警察組織内部犯罪がからんでいた。)
警察内部犯罪に切り込もうとする統一郎に、はたして救いは、あるのか? 雪人は
救いを与える事が出来るのか? ② 互いの想いを自制する事に限界を感じる両者がその壁を踏み越えたとき、2人が選ぶ道にハッピーエンドはあるのか?
今作( 2作目 )では、統一郎に対する受け・雪人の感情に自覚めいた変化の兆しが表れます。 別件の事件が緊迫状態を迎えるなか、「 自分は、彼にとって特別でありたい。」 という想いを証明するかのように、統一郎のキスに思考は停止してしまい、2年前のたった一度のセックスの記憶が一気に蘇ります。
その時苦痛だったはずの行為の記憶は、今、統一郎の腕の中で一気に鮮明に官能の嵐となって雪人を襲い、分別は崩壊しかけ、肉体も脱力しそうになります。 ( が、ここでジャマがはいり……バカバカ馬鹿馬鹿馬鹿バカ馬鹿野郎っっ❗️)
………………。
作中1回きりの、このキスシーンにはセックス以上のエロティシズムがある。互いに堪えていた二人の想いが激しい火花のように飛び出してきたかのような、狂おしく悲愴なまでの切羽詰まったキスがどれほどの感動を持って胸に落ちたかは、読んだ者にしか分からない事を承知で書いてます。
いつになく感情が昂ぶった雪人に触発されたのか、軽く便乗するかのように冗談まじりの「愛してるよ」 を飛ばして殴られたあとのこのキスが私には雪人がその行為を実は無意識に待っていたように思えたのです。
「統一郎を失いたくない。………ならば、」と覚悟する雪人の思い詰めた気持ちがそうさせたんですね。きっと。そして、思考の片隅で生じた「 もう 後戻りはできない」 という
思いとともに。
そして、他人の感情に敏感な統一郎は、雪人の返す、「 知ってるんだよ、そんなことは!」 の言葉の真意をすぐさま直感で嗅ぎ取り、あたかも、それに呼応するように、そして引き寄せられるかのように雪人に与えたキスはつまるところ、雪人が長いあいだ、望んでいたものでもあったと。 確信の末のセリフのように思えました。
そしてその時のキスシーンはまるで、そのままセックスになだれ込んでいるような、激しい行為に思えました。あまりにも深くて複雑な、だけど決して揺るがない信頼以上の、愛としか言いようのない想いのたけの激しいぶつかり合いがしっかりと、そこにはあったからです。
セックス以上の、魂の触れ合うような、こんな激しいキスを私はその時まで他に知りませんでした。 衝動的ではあるけれど、持てる全ての感情と情欲を込めたような、これが最後かもしれない痛みをも伴うまさしく一投入魂、乾坤一滴の、キス。
2年間、封印した想いがその終着点を探して、荒れ狂うように相手に吸い込まれていくような。
二人して「 なかったこと」にした2年間の葛藤と拮抗した関係もようやく先の展望が見えてきて今後の妄想に歯止めがかかりません。
現職刑事とOBという立場上、どうしても不安要素としてクローズアップされてくるのが、統一郎の「 復讐という名の、究極のリスクある計画 」です。 その計画は警察内部と密接な関係性を孕んでいる以上、物語の動向と二人の関係性は雪人の選択に委ねられているようにみえるのだが、統一郎のそれこそ命をかける悲願への執着を断ち切ることが出来るほどの強い信念と愛情が雪人にあるのか? 空洞化した彼の虚無に光を取り戻してあげられるのか?
今作、終盤で得た確信は、「 雪人は何があろうとも統一郎を裏切らない」と、いうこと。 「 世界の果てまで統一郎について行く」 だろうと。
そして二人して選んだ「世界の果て」が統一郎が選んだ場所なのか、雪人が選んだ場所なのか、作者以外には知るよしもないのだが、一読者としては、二人が共に選ぶその日を目に出来ることを信じている。 ずっと、信じてる。
タイトルの「 世界の果てで待っていて 」の解釈は、人により差異を生み出すけれど、タイトルの言葉通り、深く美しい響きを読者に残したまま、未完結のままで現在に至っています。
最後の刊行から10年、これ以上待つのはキツい。
ご事情があっての事とご推察の上、あえて読者としての本分越えを承知で申し上げます。
どうか、高遠先生の情熱をください‼︎
失速し切らないうちに。 でないと、
いつまでも「 世界の果てで待って 」 いて、干からびてしまいそうです。 ワオ!
追記:
友人が出版社に聞いたところ、「 希望は持たれても良いかと 」と、色良いお返事を頂いたそうです。ありがとうございます! 期待しています!
かなり神よりの萌2をつけさせて頂きました。
というのもこの作品、この続巻を読んで初めて知ったのですが、かれこれ7年以上も続きが出てなかったんですね(泣)。基本的に堪え性のない人間なんで、そのことを知ってたら読まなかったのに~と後悔しております。あと、ぶっちゃけ、イラストは前作の雪舟先生の絵の方が、繊細な作品の雰囲気と合っていて、私は好きです。
ミステリーとしては、今回の方が俄然面白くなっていて、ストーリーだけで言うと、文句なしの神作品だと思います。恋愛面でも事件面でも、これからというところなのに…出版社事情なのかわかりませんが、とにかく続きをお恵み頂きたいです。