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「――気持ちがこめられた絵には魂が宿る」
帯『壁画の天使が恋に落ちたのは-…』
先ずカバーイラストがもっそい良いです、カバー外して折りの部分もびろーんと全部広げて見て欲しい!
これが凄く良いんですよー、横長のポスターみたいでこの美しさを見ただけで買って良かったって気分になります。
この作品は連作で画材店の壁画に描かれた天使2人ユリウスとマリオンがそれぞれに恋をする。
彼等は夜になると絵から抜け出して飛び回る事が出来るのですが、明け方にまでには必ず絵に戻らないと行けない。
ユリウスは自分達を描いているロレンスと偶然出会います。
絵が仕上っていくのと同時にユリウスも次第に髪や目の色がはっきりしてくる過程とか、ユリウスが恋をすると壁画の天使も恋している様になったりするくだりがいいんだなー。
自分が描いた天使と恋をする画家。
旅立つロレンスをユリウスは追います、絵から抜け出して朝になっても彼は二度と絵には戻らずそして壁画には1人の天使だけが残るのでした。
そしてここからがまた良いんですが、残されたマリオンの恋はそれから10年後に訪れます。
10年たって天使1人の壁画もかなり古びてきて画材店の店主は今は甥に代替り。
その店主の友人が小説家レオ。
失恋したレオは泥酔して冬の夜にマリオンの壁画の下で寝てしまい、それをマリオンに間接的に助けられその後に彼と出会い、マリオンが文字を読めない事を知り夜な夜な文字を教え。
そしてマリオンはレオに拙い手紙を書きます、何通も。
絵から出た人物は、夜になると絵に戻らなくてはならない。
けれどお互いに愛し合う人物と出会えたら、その時は絵から抜け出る事が出来る。
片想いだと思っているマリオンの切なさと、明け方に2人が抱き合うシーンはしみじみとジーンと心に来ます。
最後にもう1人の天使、ユリウスと再会するのがまた良いんだー!
そしてそのユリウスが10年分大きいのがまた良いのだー!!
この作品の登場人物でもありある意味小道具でもある壁画の完成度が無茶苦茶高いのもこの漫画の透明度と素晴らしさを増してるんですな。
壁画のデザインが実に印象的、こんな天使の絵がお出迎えしてくれる画材店があったら絶対入っちゃうってっていう位に秀逸。
それも含めてもうびっけさん最高~~~!!としか。
文句無しに神です、天使マークがあるならそれ付けたい!!
読み返しつつ考えたのは、この天使たちが
少女だった場合物語が成立し得たかどうか
と言うかなり艶消しな事。
そしてそれは愚問だと自分に返しつつ読み
進めて物語の中に漂う暖かさに浸るのです。
この天使たちが少年として生まれたからこそ
成立し得たバランスが常にあるのですから。
対比が描かれている様にも思える物語です。
でも、行き着く所は多分同じです。それは
羽が導いているからでしょう。
物理的であっても心理的であっても、真っ直ぐ
飛ぶ羽は恋愛に必要な様です。
びっけ先生の描かれる
優しいキャラクターと
柔らかなお話で少し不思議なBL
夜な夜な壁から抜け出して
お散歩する天使ふたりのお話
夜明け前に帰らないと消えてしまうらしいけど…
金髪のユリウス
黒髪のマリオン
それぞれに大切なヒトを見つけた果てにあるものは?
最後の方で成長した元天使の二人の姿を見るコトができます
まるで親のように喜ぶ私(笑)
素敵な青年に成長して本当によかったなあと思うのです
すごく素敵なおとぎ話でした
清い心で読める一冊 ちなHな表現はほぼなし
BL入門にもよさげ✨
壁から飛び出した天使と人間の、心温まるラブストーリーです。
壁に描かれた金髪の天使のユリウスとその天使たちを描いた画家と、黒髪の天使のマリオンと失恋して泥酔して倒れていた青年の、2カップルのお話が収録されています。
どちらの天使も、恋を知ったことの喜びや、好きな人と離れることの不安、自分の存在の危うさなどが伝わってきてキュンキュンします。
夜の間だけ壁から抜けられる、という設定も素敵です。
もちろん、2人とも、大好きな人とハッピーエンドなのも大満足です。
特に、2カップルのその後が描かれた『カフェで』と『美術館で』が、幸せな気持ちになれて大好きです。
以前『先輩』を読んだときに、どこにでもある普通の恋愛話だと思って、どうしてそんなにも先生が描く話が人気なのかよく分かりませんでした。このコミックにも、キスはおろか、それ以上の展開はほとんどと言っていいほどありません。言い換えれば、どこまで行っても普通の恋愛話に違いないのです。
しかし、この『壁の中の天使』は私の中で、ずっと手放せない本になったのです。
「壁の中の天使」
舞台はドイツ。文房具店の壁画を依頼された画家のロレンツは、アパートの窓辺にやってきた鳩から着想を得て、ユリウス、マリオンという天使を描くことを決めます。壁に描かれたはずの絵だった二人は、夜になると壁の中から抜け出して、ユリウスは、ロレンツの元に通うようになるのです。
絵が完成して、このまま秘密の逢瀬がずっと続くかと思いきや、ロレンツが別の町に行くことになり、二人にとって決断を迫られます。
ロレンツが乗った列車を追いかけるユリウス。やっとロレンツを見つけたけれど、夜明けがすぐそこまで迫っている…! 天使の羽がなくなってしまうシーンは、危うく泣きそうになりました。
「天使からの手紙」
ユリウスがいなくなって10年後。一人になってしまったマリオンは、作家のレオが店の前で倒れているのを見つけます。そのうち、文字を教え合ったり、手紙を交換したりする仲になるのですが、空、星、飛ぶ、ノート、ペン、ユリウス…。たくさんの「好き」を伝える姿にも、また不覚にも泣きそうになりました。
文房具店の親戚に当たる、オスカーに壁を塗りつぶされて、片方の羽だけになってしまったマリオン。最後に会いに行くのはレオですが、またこのシーンが切なくて。
後日談として、「カフェで」と「美術館で」を収録しておりますが、本当に好きな人がに、もし明日会えなくなるとしたらという極端な状態で「追い詰められた」判断を迫られます。
恍惚になるような場面も、周囲から応援されるなんてことはありません。それでもこの話の中には、それ以上の愛があると言わざる終えないのは、やはり先生の力量でしょう。