大切な人は、想いを伝えたい人は、今そこにいますか…?

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表題作先輩

その他の収録作品

  • 番外編

あらすじ

鎌倉の高校に通う杜若 閃(かきつばた さき)は、登校中、道にうずくまる1つ上の先輩 ・藤浪 煌(ふじなみこう)に声をかけたことで知り合った。
学年も部活も進路も違うけど、その後もなにかと一緒に過ごすようになるふたり。しかし、藤浪はつらい過去に囚われたままで……。
繊細な描写とストーリーで描かれる、びっけの青春物語。

収録作品:先輩1~7話/番外編

(出版社より)

作品情報

作品名
先輩
著者
びっけ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
茜新社
レーベル
EDGE COMIX
発売日
ISBN
9784863492905
4

(63)

(27)

萌々

(19)

(11)

中立

(4)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
23
得点
248
評価数
63
平均
4 / 5
神率
42.9%

レビュー投稿数23

先輩、俺の方を見てよ

OPERAで全話既読でしたが、やっぱりよかった~!
最終話の後の番外編は加筆されて甘さが増してました。
「先輩」という言葉がこんなにも胸に響く作品はないんじゃないか、っていうくらいです。
これは是非ドラマCDで「先輩」という呼びかけを生声で感じてみたいと思うほどに、キュン萌えするほどに頻繁に出てくる言葉です。

バドミントン部の男子高1年生の閃(サキ)は朝遅刻しそうになり、電車を諦めて遅刻覚悟で歩いていこうとした途中の神社の階段でうずくまっている同じ学校の制服の生徒を見つけ声をかけます。
それが、美大を目指している2年生の煌(コウ)でした。
閃の顔を見た瞬間口に出た”三角先輩”という言葉。
一年前のこの日、付き合っていた先輩が亡くなった命日になり学校へ行きたくないのだと言う。
閃はこの三角先輩に似ているのだというのです。
てっきり女性なのかと思っていた閃は、下校時一緒に帰ることになった煌に亡くなった三角先輩の事を聞いてみると三角先輩は男だと言うことが解る。
しかも後日、練習試合に来た女子高の生徒から三角先輩が付き合っていた彼女がその学校に居ると聞く。
煌先輩は嘘をついていたのか?
半信半疑のまま煌に其の事を告げて煌を怒らせてしまう閃。
しかし、それがきっかけで三角先輩が二股をかけていたこともわかり、二人は仲直りをし、閃は煌の笑顔を見ることが嬉しく感じるようになるのです。
そんな時女子高との顔合わせの席に、三角先輩の彼女だったというユリという女子が現れ、煌の名を口にする閃に、葬儀の時に先輩の親から渡された先輩の日記を煌に渡してほしいと手渡されるのです。

閃がとても素直です。
よく知りもしない事を自分の感情だけで煌に発言して、それをとがめられれば素直に謝る。
煌が先輩と自分を重ねていることを多少は気にしながらも、日記の存在に出会うまでは、ただ先輩の笑顔が見たくて純粋に先輩に惹かれて近づいていくのです。
そして、日記によって自分の知らない煌の姿が書かれていることに嫉妬を覚え、自分を見てほしいと願うようになる、大きな転機になるのです。

煌はこの日記によって、自分の事だけで精一杯で誰の事も見ていなかったことに気がつく。
先輩の死によって、悲しくて苦しかったのは自分だけではなく、皆が苦しかったんだということに気がつくのです。
閃との関係においても三角先輩と同じで与えられるばかりで、自ら歩み寄ろうとしていなかったことに気がつくのです。

こうして初めて互いが素直に向き合うことができるようになるのです。
それぞれがどうしたらいいのか、悩んで傷付きながら学んで行く、
その過程がとても丁寧に、そして的確に、何気ない学生生活を通して描かれる姿はとても自然でした。
鎌倉から湘南の海岸風景もまた青春にふさわしいロケーションでした。

どこが突出しているとか、上手く伝えることができないのですが、真面目にそして地に足のついた展開で進む青春物語なのだからこその、感動なんだと思います。
ローリング萌え萌えするとか、キュンキュンが激しく襲ってくるとか、そういう可愛らしさや派手さはないのですが、じわじわ~と浸食するように胸に響いてくる感動系のお話なのです。

特典の折り漫画は、卒業したら海外へ旅行に行こうという、掲載番外の前振りぶっちゃけ話になります。
今月発売のOPERA32号にも、前振りの番外2Pが載っていますヨv

6

相変わらず、卑怯

一読する前にいつもの癖でカバー下を見たら
裏も表も全面に薄墨色の桔梗の群れ。
そして口絵の表には白桔梗。口絵の裏には
お馴染みの青紫の桔梗。
本編を読んで桔梗の花言葉を検索してもう一度
思いを巡らせて合点がいきました。
……卑怯ですね、相変わらずこの紡ぎ手は。
ポストカードにも描かれている蓮には確実に
意味が忍び込ませてあるのでしょうけど。

出来上がった恋愛を描くのではなく、恋愛の
萌芽から熟成する前段階までを描いた佳作だと
評者は感じます。
この熱は厄介なことにじわじわと心を侵して
ゆきますね。一枚の恥じらいを常に視界に
感じさせつつ。

6

鎌倉に行きたくなりました

アマゾンやこちらでの評価が高かったことと、初版特典にポストカードと折り本ペーパーがつくとあったので、初版がなくならない内に……!と思って購入しました。
びっけさんの漫画を読むのは、ビブロス版の「真空融接」と「BAKU」以来なのでずいぶん久しぶりです。

煌と閃の間には、常にもう一人の今は亡き『先輩』の存在が、心に引っかかったトゲのように存在しています。
一見すると重くなりそう話なのに、春から夏にかけての季節感と、鎌倉の風景がそれを緩和させ、逆に抒情的に見せていました。
その辺の描写の仕方が上手いなあと思いました。空気感があったと言うか。
読み終わって、なるほどこれはタイトル通り『先輩』の物語なんだなと思いました。
後輩が好きな、『先輩』の話なんだと。

春から夏にかけての、今の季節に読むのにぴったりなBL漫画だと思います。
そして読んだら、鎌倉に行きたくなりました……!

6

その瞳は誰を見ている?

杜若(かきつばた)の花言葉は『幸運が必ずくる』『幸せはあなたのもの』です。

高校生…子どもではないけれど、おとなというには少し拙い…そんなお年頃のお話です。

杜若閃(かきつばたさき)はある日、ひとつ年上の藤波煌(ふじなみこう)と知り合います。
閃よりもひとつだけ年上の煌は、そのたった1年の間に大切な人を事故で失うというつらい出来事を経験しています。
残された想いを抱えたままの煌と、煌の大切な人:三角に面差しの似ている閃。
少しずつ時間を共にして近づいていくふたり。

そんな中、誰の目にふれさせる為でもなく自分と向き合う為に綴られた三角の日記が出てきます。
先に日記を手にした(読んでしまった)閃は自覚し始めた自分の淡い気持ちにぐるぐるします。

三角という人物を通して煌を知る自分。
自分を通して三角を見ているのかもしれない煌。
それを『イヤだ』と思う自分。

往復させない限り、相手の気持ちはわからない。
相手の気持ちをどれだけ思いやってみても、それはあくまで自分の想像。
やりとりをしない限り、人と人とは歩みよれない。

自分の気持ちに向き合うべく日記を渡す閃はとても潔いです。

そして三角の想い、閃の想いを受けとって初めて泣くことのできた煌。
塞がっていた心に風穴があいた瞬間の煌の表情がすごくイイです。

誰かを想うときにつきまとう不安や葛藤。
それでも生きているなら、その繰り返しからもっともっと歩み寄れる。

杜若(かきつばた)の花言葉は『幸運が必ずくる』『幸せはあなたのもの』です。
煌のとっての幸運が閃ならいいな、と願います。
きっとそうだよね(*´艸`)

訝るような眼差しでこちらを見つめる表紙が美しいです。(ジャケ買いしたw)

そしてキャラウェイのカレーが食べたくなったのでした…。

6

正直言って好みではないです、

が。
作品が素晴らし過ぎて、好みじゃないなんてのは小さいことだっていうか…
胸に迫ってくるものにお手上げで完敗というか…
とにかく今年のベストテンに絶対入れたい作品でした。
細かい内容は既にレビューされてますので省きますけど、力技の展開ではないのに、二人それぞれの気持ちが痛い程伝わってくる描写が、上手いなぁと思いました。
一話ごとのまとまりも心地よいし、一話の区切りに余韻があったりするし。
舞台が鎌倉~江ノ島というのも素敵な舞台設定でした。
(先日、江ノ島が舞台の「ここにいようよ」を読んだばかりで、江ノ島の風景が脳裏に浮かんでたのも影響あるかも。小説ですが、コレも良かったです)
ラブシーンはキス程度でですけど、コレはコレで自分は全然おっけーです。
ただ…どっちが攻めで受けだろうと…やっぱり後輩くんが攻めですかね!?

5

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