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命を狙われ、大怪我を追った外務省職員の受けと、それを助ける医師の攻め+息子の空汰くんのお話。
受けの抱えていた問題は、国家レベルの機密事項という感じで、受けはこの先どうなっちゃうの~?と思っていたら。広げられた大風呂敷が、あれよあれよときれいに畳まれていって、いつの間にかふたりはラブラブだわ、問題は解決するわで、感心しつつ一気に読み終わってしまった。
攻めが老若男女問わない、節操なしというキャラで、私には苦手のタイプだったんだけど、空汰くんが来てからはすっかりいいパパになって、受けにも一途なのでそこが気になるということもあまりなく。
受けが攻めに口説かれて、すぐその気になっちゃうのが引っかかるといえば引っかかるんだけど、こんな厄介事を背負い込んでも、嫌な顔ひとつされなかったら、体くらい、と思ってしまうのかな?
空汰くんが本当に可愛くて、無邪気な言動にキュンキュンするし、サスペンス要素と日常部分のバランスがちょうどよくて楽しく読めました。スピンオフもあるようなので、そっちも読んでみようと思います。
タイトルは「ホームドラマ」、表紙にもあるように可愛くて賢い3歳児も登場しますが、内容は命を狙われる外務省職員というドキドキのサスペンスものの側面もある物語です。
まず登場するのが、未成年とパートナーがいる人以外なら老若男女問わず性欲発動の医師・八千草毅(つよし)。
彼はいろいろとずれた人物で、毅がいる事で物語がいい意味でトンチキ風味に仕上がっています。
さて、毅が節操なく寝た相手の1人がいきなり男の子を連れてきて、毅の元に置いていってしまいます。
その子が空汰。DNA鑑定済みで毅の実子です。空汰は可愛くて賢い子供で、毅は割とあっさり引き取って育てる事にします。
空汰と一緒にショッピングモール内のカフェでワッフルを食べている時、毅は好みの美しい男に目を止めナンパ目的?で名刺を渡します。それがもう1人の主人公・真々田明美(あきよし)、外務省職員です。
彼はなぜ自分が選ばれたのかもわからないまま、国家の機密とも言える大変な証拠品を押し付けられ、その後家に放火されて足や腹を刺される、という非常事態に陥ります。
大怪我をした明美は、自分の渡された証拠品のせいで狙われ、警察にも頼れない事を理解していたので思わずもらった名刺の「医師」・八千草の元に転がり込んでくるのです。
そんないきさつで毅に匿われる明美は、毅と空汰との暮らしの中で毅からはグイグイとアプローチされ、空汰にはママ(真々田の名前からのあだ名)と懐かれ、擬似家族みたいになっていきます。
国家レベルのハラハラと、子供とのほのぼの、性欲過多男・毅のトンチキ、もちろん男同士のエロ、これらを融合させる剛しいら先生の筆力は改めてすごいというか、面白いのです。
続いて本作で色々陰で動いてくれた毅の友人・警視庁公安部の後藤のお話がスピンオフ作品となっています。
主人公は、節操のなさで、有名な医師・八千草毅。
女でも男でも、手当たりしだい食ってしまい、大学病院から追い出され、商店街の中で、医師をやっている。
そこは、ガラの悪い土地で、保険を持ってない人間や、保険で診療できないような怪我をした人間が訪ねてくる。
そこに、突然、昔関係を持った女が訪ねてきて、「あなたの息子」と言って、三歳になる空汰を託され、教育に関しては常識人であった毅は、子供の教育によくない、と節制した生活を余儀なくされる。
そんな中、外務省職員の真々田明美と出会う。
彼は、与党幹事長のとんでもないスキャンダルの証拠を渡されて、命の危険に晒されていた。
家を焼かれ、何者かに襲われ、怪我をした真々田は、一度出会っただけの医師・毅を頼るが……
という話でした。
毅は真々田を匿う代わりに、身体を要求するけれども、どうして真々田がそんな怪我を負っているのか、なんて詳しいことは何も詮索しない。
挙句、真々田の家で人が死んでいて、それがニュースになっていても、真偽を確かめたりはしない。
「けが人だから」という理由で、真々田を丁寧に扱い、困っているらしい真々田に、手助けをしてくれる。
もちろん、怪我が治るまで身体を差し出す約束はしたものの、手を出してはこない。
そういうところは、きちんと常識人な毅。
そして、そういう規則正しい生活をして、毎日子供の成長を思いやるうちに、今までの節操なしな生活を反省するようになる毅。
最後は、毅の友人の手を借りて、すべてハッピーエンドで綺麗に終わります。
なんというか……
何よりも一番、真々田の開き直り具合がひどいと思うけれど、命の危機を覚えたら、些細なことなんてどうでもよくなっちゃいますよね。
これから先も、この3人で擬似……っていうと御幣があるけれど、一般的ではないという意味で、家族をやっていくんだろうなー……と思うのが見える小説で、ちょっとしんみりしました。
起きている事態の深刻さとは裏腹に、毅のテンポがいつもと変わらなくて、本当に楽しかったです。
ずばり空汰君に萌えました(笑)。
3歳なのに、大人に気を遣うところが不憫なんですが、健気でとてもかわいくて、癒されました(主人公の二人も空汰君にとても癒されてるんですが)。
カバーを読むと、八千草はちゃんと空汰君の面倒を見れるのか?と思っていたのですが、引き取った瞬間からいいパパになってるし、安心しました。
八千草はどうしても、言うことなすこと下半身と結びつけるような男なんですが、父親になった自覚と、明美に一目惚れしてからは一途でした。
空汰君を躾けるのにも下ネタがでてきたり、明美とのプレイで真剣になっちゃったりと思わずクスッと笑わせてくれました。
本間アキラさん大好きなんですが、特に八千草が渋くてカッコいいし、空汰君も超かわいかったです。
三歳児の空汰が可愛いったらないですよ。
真々田が空汰に接する態度がいちいち優しくてね、こんなママになりたい (´・ω・`)
なかなかスリリングでサスペンスとしても楽しめました。
八千草の友人である公安の後藤は味方なのか敵なのか、真々田が女装してママのふりして空汰と公園デビューしたり、そこがいちばんハラハラさせられました。
いくらきれいでも無理あるだろ!と(笑)
傍若無人なオッサンが読みたかったけど、憎めない可愛いさのある、私からするとまだまだオッサンの域には達してない八千草でした。
本間アキラさんの美麗なイラストによって、相乗効果が上がっているようにも思えます。