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表題作彼をさがして

勝倉翔太
29歳,TVCM製作会社のエリートリーマン
相馬貴幸
24歳,容姿も性格も地味な中小企業

その他の収録作品

  • 見知らぬ恋人
  • あとがき

あらすじ

……そうだ。幸せだったんだ、俺は。
エリートサラリーマンの勝倉に拝み倒され、恋人となった容姿も性格も地味な相馬。つきあい始めて一年、徹底的に甘やかされた相馬は、我が儘な女王様のようになっていた。そんな中、下僕扱いしていた勝倉が事故に遭い、記憶を失ってしまう。さらに優しくてヘタレだった勝倉は、相馬を見下し、傲慢で性格も最悪な男に豹変していた。だがそれが勝倉の本性だったと知り――!?

作品情報

作品名
彼をさがして
著者
風見香帆 
イラスト
高宮東 
媒体
小説
出版社
プランタン出版
レーベル
プラチナ文庫
発売日
ISBN
9784829625033
3.9

(79)

(31)

萌々

(25)

(15)

中立

(4)

趣味じゃない

(4)

レビュー数
16
得点
304
評価数
79
平均
3.9 / 5
神率
39.2%

レビュー投稿数16

単なる記憶喪失ものではない良作♪

もうもう、すっっっっっごく好みのお話でした!

あらすじを見て、記憶喪失で地味受けかー、結構好きかもwと軽い気持ちで購入したのですが、大正解!!!

前半が相馬(受け)視点で、後半が記憶がもどった勝倉(攻め)視点という二部構成です。なので、きちんと攻め側の気持ちも丁寧に描かれていて、かゆい所まで手が届く作品。
後編で、勝倉が相馬を好きすぎて嫌われないようオロオロする様子がしっかり伝わってくるので、前半で相馬を切ない目にあわせたこともしっかり溜飲が下がる仕様になっています。相馬の機嫌をとりたくて、顔色をうかがいまくるのもご愛嬌。
攻め視点のお話が好きな方にもオススメです。

しかも、勝倉の性格が、記憶のあるなしで違うので、年上下僕ワンコ攻めと俺様傲慢攻めの2パターンを楽しめて、お得感があります。
私はどちらのタイプも大好きなので、非常においしくいただきました。

勝手な偏見で…絶対、勝倉はAB型だと思う。私もそうなので、ちょっとこの二面性的な感覚ってわかるんです。でも、裏表ないっていうか、二面性なんか不誠実だわっていうまっすぐな読者さんは極端な話だなって思われるかもです。

あと、ムリヤリ乱暴にコトに及ぶシーンがある(記憶のない傲慢勝倉の仕業です)ので、そういう描写が苦手な方はご注意を。


以下、さわりだけのあらすじとちょっとネタバレです↓

整った顔立ちながら地味な印象な相馬。
もともとノンケだったが、イケメンエリートの勝倉に拝み倒されんばかりに求愛されて、付き合って一年、同棲して半年。
恋人としての勝倉は、嬉々として下僕のように尽くす献身ぶりで、それを当たり前のものだと思い、勝倉を女王様然と粗略にあつかう相馬。
だがある日、事故で勝倉が記憶を三年分失ってしまう。
相馬のことを忘れた勝倉は、傲慢で我儘で偉そうな態度を相馬にとる。
別人のようだと驚く相馬だったが、実はそちらが素の勝倉で、相馬の知っていた相馬の愛をつなぎ止めるために勝倉が必死で作っていた姿だった。
そのことを知り、記憶を失った勝倉と接しながら、自分が今までどんなに幸せだったか、勝倉を愛していたか思い知る相馬。
遅ればせながら、今度は相馬の方が勝倉に尽くし始めるが、そんな相馬に勝倉はつらくあたり・・・・・・。

最初、相馬があんまり女王様で口も悪いし、好きになれないかもなと思っていましたが、杞憂でした。サバサバした、いい子でしたね。
二人の将来を全く真剣に考えていなかった相馬が、相手の記憶喪失を期にいろいろ考え、変わっていく。
記憶をなくした勝倉は、平凡な相馬を見下して心ない言動をいろいろ取るのですが、その合間にも以前の勝倉がいかに相馬を愛していたかわかるエピソードが随所にはさまれて、それがより切ない。
記憶がない勝倉も必死にもがいて、彼なりにもう一度相馬に恋して、相馬もそれを受け入れていたので、後編であっさり記憶とともに性格ももどった時は、相馬と同様私も寂しさを覚えました。
その相馬の寂しさを記憶を取り戻した勝倉も感じ取って、焦りまくる⇒顔色をうかがいまくる⇒相馬をイラつかせる⇒焦りまくる・・・という負のスパイラルにおちいるのですが、まあその辺もコメディっぽくて楽しかったです。

単に攻めの記憶がなくなって、取り戻すまで受けが切ない思いをするが元に戻ってハッピーエンド♪という王道展開だけではないひねりがあって、最後まで楽しめます。
茶鬼さんが、そのひねりを「成長」と表現されていて、本当にその通りだと思いました。
相馬の成長と変化。カップルとしての成長。そう、そこがこの作品が一味違う所なのです。
おそらく、これから二人は新しい関係性を築きながら、ずっと一緒にいるんだろうな~と、幸せな気持ちで読み終わりました。
そんな二人も見てみたい!とも思いますし、想像してみるのも楽しいです。

ああ、ひさびさに興奮した!!いろいろ考えさせられるし、良い作品でした。絶対読み返すな、これ。
オススメです♪

12

攻めが好み過ぎました・・・!!

すごく面白かったです。攻め→→→受けが大好きなんですが、ドストライクでした。本を読んでる最中はテンションが上がり過ぎて、2~3度体温が上がった気がします(笑)

受けは、初めは女王様というかちょっと我儘なんですけど、攻めが好きすぎて持ち上げすぎてしまった結果そうなってしまったので、後半に分かる出会いの辺りを読むと、素直で優しいあの子が序盤の女王様になるとは・・・と(^▽^;) 受けの相馬が余計に可愛く思えました。

--(以下ネタバレが結構含みます)--
話は、受けの相馬に嬉々として(←ここポイントです:笑)下僕のように尽くして来た、攻めの勝倉が事故にあい、3年間の記憶と一緒に相馬のことを全て忘れてしまう。見たことのない別人のような偉そうで人を見下した態度に困惑する相馬。

そこで相馬は、勝倉に泣きつかれて、縋られて妥協して付き合ってやってたと思っていたはずなのに、昔の勝倉に対してどう思っていたか気づかされて・・・という感じなのですが、その描写のされ方が、とても読みやすくスルスルと入っていきました。

ところどころで、勝倉がどれだけ相馬のことが好きだったのか、隠し撮りコレクション(これ思いっきり笑いました)や貰ったプレゼントの袋を丁寧に大切にしまってあるところなど、ジワーっと胸が熱くなりました。

記憶の無い勝倉から「お前なんかと・・・」と言われながら、無理やり抱かれたりと酷い扱いを受けるのですが、勝倉のうっすらと靄が掛かった中を歩いているような、記憶がないことへの不安が垣間見える時があり、終盤の台詞には涙が出そうになりました。

相馬が今までの自分を省みて、対等になろうと今までしなかった家事をしたり頑張る姿は、応援したくなります。そして記憶が戻ってからの話が、他の方のレビューにもありましたが、コメディだったの!?と思える位、写真のことがバレた・・・と死んだように青ざめたり、必死に元の関係(女王様と下僕)に戻ろうとする姿に笑いつつ、好きだから何でもしたいと思っている以上に勝倉は、後ろめたさみたいなものがあって。それを知った時、ちょっと寂しく思えました。

最後はこれから2人はずっと一緒なんだろうなーと安心して見ていられるカップルでした。でも勝倉は時々、記憶の無かった自分に嫉妬したりするのかな。とか、想像すると楽しいです。

話のポイントはここは無いのですが(笑)、個人的に1人の勝倉(攻め)の中に尽くしたい、何でもいう事を聞いてあげたい。すっごい好き。ベタベタで優しい~部分と、強気で自分の思い通りにしようと言葉責めをしたり偉そうな部分があって、一粒で二度美味しい!!みたいな大変楽しく読めました。( ´ v ` )=3

最後に、記憶が無い彼との話をもう少し見たかった気がしますー。でもすごく素敵でした。
私も日頃甘えまくってる家族と友人に感謝しようと思いました(^////^)

11

泣きたい時にオススメ

記憶喪失もの。

受け視点での前半、攻め視点での後半。
女王さま気質だった受けが攻めの記憶喪失を機に変わっていく様子が描かれています。
最初は受けの女王さま気質にイラっとしましたが、
徐々に変わっていく受けを見て、本来の受けの気質はとってもいい子で健気な子なんだーと読んでいてほわっとしました。
記憶を失って、受けのことかわからなくなって、何なんだよお前、みたいになりながらも、深層心理の中では受けのことを覚えていて、どう接していいかわからず葛藤する場面もよかったです。

途中で少しだけ乱暴な描写があります。
切なくハピエン、私は途中で涙が出てきました。
泣きたい時にはオススメな小説です。
お気に入りですよくカバンの中に入れて持ち歩いてたりもします。

7

大好きな恋人はすぐそばに。

受け様が両手に攻め様的な表紙ですが、3Pではありません。
まるで2人いるように、タイプの違う攻め様を楽しめました。


受け様は、サラリーマンの相馬。
自分より髙スペックのエリートサラリーマン勝倉に懇願され、根負けして付き合うことに。
攻め様は、もちろんエリートサラリーマン朝倉。

勝倉にかしずくように尽くされ、相馬は女王様のようにワガママになっていたある日、勝倉が交通事故にあう。
ここ3年分の記憶をなくし、相馬のことも覚えていない。
これまでの下僕のような朝倉と違い、傲岸不遜で俺様サマ過ぎる朝倉の態度に驚き、ムカつくけど、ぐっと我慢の相馬。

自分のことを一心に愛してくれた以前の勝倉に戻ってきて欲しくて、無体な要求にも応えなんとか記憶を取り戻させる努力を続けるのだけど。

このままでは、2人ともストレスてダメになりそうで、相馬は距離をおこうと実家に帰ることに。
相馬を追いかけてきた勝倉の、攻めザマァぶりににやにやです( ☆∀☆)

勝倉は、思い出せなくても相馬の事が気になっているのに、相馬は昔の自分しか求めていない、と悲しんでいたようですけど。
でもねぇ、全然優しくなくて愛情も感じられず好き勝手な態度で接しておいて、何甘えてんだo(`^´*)
今の自分も好きになってもらえるよう行動しろよ、と私は言いたかったですけどね。

それはそうだ、と反省してる相馬はいい子だわ〜
記憶をなくしても、やっぱり勝倉は相馬が大好き。
相馬も、楽だから勝倉と一緒に過ごしていたのではなく、ちゃんと恋人として好きなんだと再確認して、結果オーライなのでした。


ここまでが受け様の相馬視点のお話。
そして3カ月後、勝倉の記憶が戻った後が攻め様の勝倉視点のお話。

今までと違い、優しくて対等の恋人として接してくる相馬に戸惑い、不安に感じてしまう勝倉のぐるぐるな内心がとてもよかった(*´∀`)
記憶をなくしていた時の自分に、是非嫉妬してほしいものです。


俺様とヘタレな攻め様を楽しめる1冊でした。




5

受けの全てが好み

いわゆる女王様受け、そんなに得意じゃなかったのですが、今作を読んで大好きになりました!

女王様受け&健気受けと言うことで、最初はどう言うこっちゃとはてなマーク。
確かに序盤の相馬は、攻めの勝倉にマッサージさせたり物言いもツンツンしていて完全に女王様。こんな受け好きになれるかなぁと思っていたのですが、下僕のようだった勝倉が記憶を失い、傲慢俺様になってから相馬は変わって行きます。

そもそも相馬は最初から女王様だったわけではなく、勝倉のせいで(?)女王様のような態度になってしまったわけで。
勝倉を元に戻そうと奔走する相馬の姿はかなり健気。しかも最初は女王様だった訳だから、落差でより一層健気度が増します。たまんないね。
勝倉にバカにされ蔑まされ、ひどいことをされても勝倉のためにと我慢する相馬の姿が切なくて切なくて前散らかしました。

ラストの相馬のデレるシーンに、私まで相馬可愛いな!!!!!と悶えてしまいました。
こんなに愛おしい受けは中々いないです。

受け視点からの攻め視点と言うのもスキな構成。
何度でも楽しめそうな素晴らしい作品でした。

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