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古い漫画を読んでいるような気持ちになりました。
絵柄もレトロな印象。
「コイノヒ」に出てくる高校の制服はリボンタイだし、鍵も大きな昔風なもの。
どの作品にも禁忌な関係性や秘密など、他人に言えないものを抱えた登場人物の感情の機微が、切ないトーンで描かれていました。
目、体の描き方が独特で、空虚な目や涙が伝う様子、背中が印象的でした。セリフが哲学的で頭に残る謎かけのような問いかけも読んでいて面白かったです。
ただ、先輩が抱く方でなく抱かれる方だったのには、びっくりしました。
私がトピ立てした「ちるちるのランキング圏外だけど、心の琴線に触れた作品を教えてください」
http://www.chil-chil.net/answerList/question_id/4967/#IndexNews
で教えていただいたのが、こちらの作品。
【婚前旅行】
この婚前旅行が一番心にきました。
最初→二回目→三回目以降と読む感想が変わりました。
差し出した二人の手の指輪の位置に違和感を感じたけど(思わず自分の両手で再現した)やはりそこが伏し線だったか。
1回目読んだ時は途中まで旭が何て可哀想なの・・って思いっ切り感情移入していたけど、まさかのどんでん返し。下から見上げる小狡い表情で一挙に嫌悪感がぶわっと。。。。
信じてたやつに裏切られた!って気分だったので2回目以降読もうとしても、旭そのものが好きな容姿じゃない事もありなかなか気が進まず・・
でも、ふと思ったんです。
旭も8年間充分に傷ついていたんじゃないかと。
「来月結婚する」「来月かあ ちょっと厳しいなぁ」っていう会話。清見の結婚報告じゃなくてまさか自分と結婚してくれると疑っていない様子にアレ?と。
4年前の結婚の時も清見が嫌だ、絶対許さないと止めてくれるのを期待していたのに、何も言われなくて物凄く物凄く傷ついたのかなぁ・・・って。
そのまま後に引けず、擦れ違ったままずうっと清見が自分を選んでくれるのを8年待ってたのかなぁって。
ようやく最後の最後「どうかオレを選んで」はずっと旭が8年間、そして4年前の転機で言いたかった事だったに違いない。
それをせめて4年前に言えていたら・・・そして清見も・・・と思わざるを得ない。臆病者同士が拗らせた末に払う代償は大きい。でも「愛している」という気持ちが本物であれば、どんな代償を払ってでも貫いて欲しいかな。あぁ、でも子供に罪はないので、子供は作らないで欲しかった。
でも4年前に結婚=子供も4歳というのでできちゃった結婚だったのか?とかモヤモヤ考えます。
【春威少年の恋と反抗】公園のトイレで産み落とされて捨てられていたのを、腐女子三人に拾われて女装させられて育った・・という美少年のお話。
これ英才教育の賜物と笑っていいのかしら・・・。
いくら腐女子として腐っていても、自分の萌えを満足させるような育て方をしちゃいかんと思うんですよ。いかに愛情を込めて育てていたとしても。
虐待とまではいかなくても洗脳というか、こういう愛玩的な育て方には大いに疑問を抱いてしまって、育て親達に嫌悪感を抱いてしまいました。
表題作の【コイノヒ】
これ恋の日だと読む前は思ったんだけど、恋の火ですね。
恋の火という一番重要なモチーフなのにそれが何なのか、相手の投影なのか、しののめの内面が立ち上がらせている何かなのかが解らず・・・。
自分の読解力のなさにモヤモヤします。
恋多き先輩しののめ(受け)と、同室になってしまった後輩の五島(攻め)。
恋に振り回されて周りも振り回してぐらつきっぱなしのしののめと、動じない五島。
いつも恋をしているのに空虚感漂うしののめ、彼にとって恋はとどめておくものではなく振り撒いて通り過ぎていくようなものに感じます。
好きな箇所は、しののめが朝帰りをして帰ってきたとき、五島がいつもどおり寝ていた というただそれだけの話のところだけど、ここが一番好きです。
その何てことないエピソードを五島が「後に聞いた話だ」としているところがいい。
純文学の短編小説のような作品というんでしょうか。
単純な解りやすさは存在せず何回も読むうちに心が絡め取られていくような作品でした。
神か萌萌かで迷いましたが、コイノヒの「恋の火」が自分の中でズドーンとはまったら文句なしの神だったのですが、これが何なんだろう?とそのもやもや感を流すことができず、微妙に消化不良感が残ったので神よりも萌萌にいたしました。【婚前旅行】は文句なしの神です。
このような作品を教えてくださり本当にありがとうございました。
ずっと前に読んで、なんかインパクトのあった話があったよなと思って読み返したらお宝発見でした。三作の短編と、中編に満たない表題作が収録された、糸井のぞさんの初コミックス。個人的に美しいBL作品として雲田はるこさんの「あなたには言えない」「だいだい色に溶けあう」の短編連作を一つの完成形としてとらえていたのですが、「婚前旅行」はそれとはまた別の切り口を見せてくれました。
「婚前旅行」を含む他二作には、人知れずままならない哀しみを抱えている人物ばかりが登場します。彼らはその哀しみの中にいながら周囲を責めず、でも諦めず、そこから一歩外へ出る覚悟を決めるところで物語は終わります。こういう、かすかな希望の予感を感じさせる物語のつくりがとてもツボでした。
誰かと出会って、自分の何かが変わる。人物の中で大きく何かが変わるような兆しを想像させるような物語が好きです。表題作「コイノヒ」は高校の男子寮が舞台ですが、ものすごく独特な空気。主人公の一年生、ゴトーは他校から転入してきて、三年生のカミシメと寮の相部屋になる。カミシメが恋をすると同室の者は皆不幸になるという噂が囁かれる中、ゴトーは噂など気にしなかった。…のですが。
ゴトーはカミシメに出会うまで恋を知らなかった。むしろ、恋ばかりしているカミシメが理解できなかった。そんな折、ゴトーに好意を寄せるカミシメは、自分の恋愛を「害悪」だと中傷するゴトーに、「好きでもない人間を傷つけて何が楽しい」と涙を見せる。この一件がゴトーの心を激しく揺さぶる…。噂の真相が明らかになるまでの緊張感と、カミシメの理解者たちの存在、そしてゴトーもその一人になっていく過程が魅力かと。
作家さんのキャラクター一人一人に愛情を注いでる感じや、ナゾな部分をわざと残すような描き方も好感が持てました。ファンタジーくらいの感覚で読むと気が楽かも。空白が多く、文字数も多くないのに、必要な情報がギュッと詰まっている。物語のトーンは淡々としているようで、底には重くて暗いものが控えている。ページの余白を想像力で描き足していくような読み方がお好きな方にオススメです。
最低だヽ(#`Д´)ノ
のぞサンの独特の作風にはまり、ようやくゲットいたしました。
独特の雰囲気となにかモゾっとする作品集。
や、別段何に起こっているというわけではない。
ないのだけれど、しょっぱなの「婚前旅行」
久々にゆっくり二人旅。付き合いの長くなった二人が~
な展開にホノボノ読んでいたのだけれど、小出しに判明する
どろどろ展開。
なぜおとなしく二人でくっついていなかったのか。
受の心労をを考えると胸が痛い。それでも離れられないんだから
仕方ないといえるのか。この後二人がどうなったのか
ちょっともやっ
◆春威少年~
これが結構好き。
捨て子の主人公は同性愛者の女性に拾われる。
小さいころから女の子の格好をさせられて、同姓の恋人をいつか連れてくるのを楽しみにしている。
けれど、自分はちゃんと男であり恋人はかならず女性。
男なんて好きになるはずがないと思っていた。
・・・のだけれどwという展開。
ちょっと欝な話が2作続いたあとだからなのか
この素朴な感じがなんとも可愛くて良かった。
ちゃんとカップリングとして完結はしていないものの
きっと二人はずっと近い距離に居るんだろうなと思うのでした。
◆コイノヒ
面白かった。
読み終えて思うのは、先輩ぞんがいかわいいなというな。
攻守が思ってたのと逆だったのも
ツボでした。体躯の小さいほうがというのは萌え。
新人さんで賛否両論…私はどっちだろうという賭けで購入しました。
たしかに1話目と2話目はなにこれなにこの流れ!となったけど、中身のない雰囲気漫画ではなくて(実はそれがいちばん心配だった)いいんじゃないですかこういう重たいのも。
表題作もあんこずっりしな感じでよかったし、なにより描き下ろしが最高!
シリアスな漫画のあとのこうした4コマは、本編を茶化して台無しになりがちなんだけど、うまく浄化していて和めました。
あとがきにもありますが、第三の男…そう!私の大好物(笑)
第三の男が気になってしまうし、気になってしまうように描かれている作品が好きなんだな~。
スピンオフが出ると小躍りしちゃうし、そこでもまた新たな第三の男に注目したりして…キリがねーよ(゚д゚)
糸井さんはそれはされないんじゃないかなという予感もあり、そういうのもまた好きです。
幸せになったのかどうかがずっと気になったままの第三の男たち。…これ、なに萌えっていうのかな。
川のせせらぎ、風で膨らむカーテン、夜空に流れる雲…ちょいちょい挟まれるなんということない一コマがずごく詩的。
明日美子さんやもろづみさんに通じる昭和っぽいノスタルジックな雰囲気がお好きな方にはおすすめです。