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表題作それが愛だとするならば

大崎哲也,26歳,幼馴染
野田透,24歳,上京してきた要領の悪い幼馴染

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

顔よし頭よし、常に人の中心に立ち同期の中でも出世頭の大崎哲也は順風満帆な人生を歩んでいた。そんな哲也のもとへ、上京してきた年下の幼馴染、野田透が居候することに。頭が悪く頼りない透を無下にもできず、不本意ながらの同居だったが、一心に哲也を慕う素直な透との生活は不思議と哲也を和ませた。だがある夜、仕事で大きく躓いた哲也は深酒をし帰宅。介抱する透を勢いのまま抱いてしまい――。
(出版社より)

作品情報

作品名
それが愛だとするならば
著者
ひのもとうみ 
イラスト
小椋ムク 
媒体
小説
出版社
心交社
レーベル
ショコラ文庫
発売日
ISBN
9784778111625
3.1

(39)

(5)

萌々

(11)

(14)

中立

(3)

趣味じゃない

(6)

レビュー数
9
得点
114
評価数
39
平均
3.1 / 5
神率
12.8%

レビュー投稿数9

攻めの風上にも置けない、ミジンコ野郎です

ひのもと先生ですが、器がミジンコ並みに小さい超身勝手な攻めが多い。
多いと言うより、今の所、この手の攻めしかお目にかかっていない・・・。

読んでいて、無意識に奥歯をギリギリしちゃうほど、イラついてイラついて仕方ないのです。
仕方ないのに、何故かとり憑かれたように次々と読んでしまう・・・!(ここ最近ハマりました)
「何でなの・・・っ!?」と自分でも不思議だったんですよね。
が、今作を読んだ時にですね、ストンとその理由が分かりまして。

えーと、超身勝手でイラついて仕方ない攻めが、受けを散々酷い目にあわせる。
で、その後に攻めザマァと言う制裁を受ける。
何もかも失ってから始めて、本当に大切なものに気付くバカな攻め。
心から反省して、更に受けへの愛しさを噛み締める。
そこへ、いい案配で攻めの元に駆け付ける受け!!
だって、そんな攻めでも、受けは深く愛してるからー!!!

どうやら、このパターンが個人的ツボのど真ん中だったみたいです。
おそらく、作者さんもこのパターンがお好きなんじゃないでしょうかね。
そうじゃなきゃ、ここまで鼻持ちならない攻めと健気な受けは書けないだろ!

で、こちら、そんな感じの幼馴染みものになります。
攻めである哲也ですが、頭が良く、何でも器用にこなしちゃう、要はデキる男なんですよね。
が、どうしようもない身勝手男でもありまして。

幼馴染みで要領の悪い受け・透を、保護者よろしく面倒を見てきたんですね。
で、何故か透を見ていると欲情を誘われ、酔った時に手を出してしまう・・・。

これ、攻め視点で進みますが、読者からは明らかに透を恋愛対象として好きな事が分かるんですよ。
が、出世だの世間体だのちっせー事ばかりグダグダ気にして、決して自分の気持ちを認めようとしない。
なのに、悪者になって嫌われるのはイヤで、煮え切らない態度を取り続けて透を傷つける。
挙げ句の果てに、何もかも透のせいにして、彼を放り出して終わりにしようとする。
クズです。
攻めの風上にも置けない、ミジンコ野郎です。

まぁそんな感じでイラついて仕方ないんですけど、ここから怒涛の萌え展開なんですよー!
順調だった仕事でつまずき、車で事故を起こして入院。
出世の為に結婚を決めた、上司の娘からは婚約破棄を言い渡され、ボロボロになって透に電話をすると、なんと番号が変わってるー!!
ついでに、優秀で人としてもデキた同僚が、透に急接近すると言う当て馬展開!

いや、攻めザマァが好きなんですけど、かなり容赦無いザマァ展開なんですよ。
あと、攻めより格上の当て馬が現れて、受けをかっさらおうとする当て馬展開も大好きでして。
また、それが仕事で負けてしまった同僚と言うのも、気持ちいいんですよ。

で、あまりのザマァ展開に、ちょっと哲也が気の毒になって来た所で訪れる、攻め救済。
もうね、ここがあまりに素敵で、ジワッと目頭が熱くなっちゃいましたよ。
良かったねえ、見捨てられなくて!
ここまで追い詰められて、やっと本当に大切な事に気付くって、ちょい遅すぎる気はするけど。


と、私にとって萌えツボ直撃のお話でした。
最後になっちゃいましたが、終盤での哲也の変わりようにも、ニヤニヤしちゃいましたよ。
そう、心して透を大事にするように!!

8

身勝手攻視点

帯『傷つけなければ気付けない-』

ちょいブサ受だった「遠くにいる人」が面白かったので、続けてこちらも購入。

鈍くさいけど可愛くて健気な受と、身勝手で自分本位な攻な話なんですが、このタイプの話では珍しく攻視点で書かれてます。

哲也〔攻〕は気まぐれに透〔受〕が苛めっ子に苛められている所を助けてやってから懐かれて弟的な存在として可愛がっている幼馴染同士。
けれど哲也が大学進学で上京し、就職し、と成長して行くと同時に透とは次第に疎遠になり、何より哲也自身が透の存在を過去のものとしてさえ考える様にさえなっています。
そんな時に、昔一度何気なく言った言葉を鵜呑みにした透が東京に就職する為にやってきて哲也のマンションに期間限定で居候する事になります。
哲也は透に優しくはなくて、冷たくて突き放しているんだけど、それが哲也視点で書かれているので、酷いよーーと思いつつ仕事の出世争いもあるし婚約者の事もあるしで透にかまけてられないのが全く分からないでもない部分があるんですよね。
根は悪い人間じゃないんだけど仕事やら何やらで余裕が無くて透が自分を好きな事は知っているけどそれに構ってられない、知らぬ振りで通します。
酔った哲也に抱かれて間違って抱いたといわれても、冷たくされても、やさしい言葉をかけてもらえなくてもひたすらに哲也を慕う透が健気。もっそい健気。

事故に合い手がけていたプロジェクトからも外され婚約者からは破談を言い渡され、自暴自棄になりかけた哲也の元へ透が現れます。
そこで哲也はやっと己の気持ちと、透の存在の大きさに気付くのですね。

省みないで、たまに優しくしてくれるだけの哲也、そんな哲也をずっとずっと好きでいてくれた透。
長く思い続けていた透の想いが最後でやっと通じます。

話だけ見ると哲也ってムカつく攻なんだけど、攻視点で書かれてるのでその理由も多少分からないでもないってう書き方が読ませますな。
そしてラストは今までの分、きっちりしっかり愛してやれよー!哲也!!って感じです。
これから幸せな2人になるといいなー。
しかし奥園は凄くいい人で当て馬として勿体無い位で、途中で思わず奥園にしちゃえよー透ー!と思っちゃった位ですが、でも透は哲也がいいんですよねー、それ程に深い愛が通じて良かった!
あと小椋ムクさんのカラー表紙の服の滲み加減や、カラー口絵の透のまさに鈍くさそうな表情が可愛かった~。
前作の松尾さんもそうだけど、今回の小椋さんとイメージに合う良い挿絵師に当たっているというのも運がいいというか作品を魅力的にしている要因のひとつになってると思う。

3

他は見えない

刷り込みのように一途に想って、思い続けて、とうとう成就するお話。
それを、思い続けられている方の視点で綴られています。

哲也は、世間的な常識や出世欲にに囚われて、透の思いに気付きながらも、傲慢にはぐらかし、上役の娘と婚約することで透を切り捨てたのに、事故にあって、いろいろなことが崩れて、ようやく透に想われ続けていた事の僥倖を認識します。
ここへたどり着くまで,哲也のずるいいいわけが延々綴られるのですが、これがなかなか説得力があって、それほど、身勝手な酷い男とは思えず、ちゃんと透の大事さに気がつけてよかったねって。
その辺がうまいなあって感心しました。

それにしても、透は、ほんとに哲也以外に、他は何も見えない、見えてなくて、奥薗は不憫でしたね。

3

胸が締めつけられた

最初一読した時、というより、冒頭からもうデジャブ感満載で、前述お二方と同じ作品が頭に浮かびました。
それらの作品の断片がそこかしこに、設定からして思い浮かんで比較してしまいます。
それでもやっぱり自分的に、こういうたぐいの苦しい恋愛のお話、片方が傲慢で鈍感で、そんな痛いお話はとても好きなのです。

幼馴染のその慕う気持ちは”頼りになるお兄ちゃん”からいつの間にか”好きな人”へと変化している。
一方は、その気持ちにうっすら気づいていながらも、彼の気持ちを思いやれなくていつまでも子供扱いで自分の事だけで手いっぱい。
側に来てもうっとうしいとおもうばかり。
自分が初めて挫折した時に、一番側にいて欲しい存在が誰だったか、そこまでにならないとわからないという、
攻め視点で語られる為に、実に攻めにイライラし、でも彼の感情にも共感し、受けにもイライラし、でも共感もし、
まんべんなく彼等に共感できる部分が全体を通してあったということが、すごく胸のギュっと掴まれるような痛さを感じることになったと思うのです。

哲也の行動や考え方、それはとても一般的で特に特異というものではなかったと思います。
自分の今置かれている立場や環境や、社会人になれば出世欲や、そんなものが大事になっていくのはまっとうだと思いますし、
いつまでも子供の頃のように慕って頼ってくる透を、つい無碍にもできない感情も一般的だと思います。
はっきりと透を否定しなかったのは優しさではなくてズルさだったかもしれませんが、それは、透を特別に意識しないように自分で封印してしまったからかもしれませんし彼を責めることはできないような~
逆に透が昔の約束を律儀に守ろうと、いつまでも態度が冷たい哲也に固執する部分、恋だとまるわかりではあるのですが、きちんと告白できないのも性格のせいだというのもわかるのです。
だから余計読者である自分が辛くなってしまう。

新たに就職した会社で何となく上手くいってなさそうな透が、哲也に相談したくて何度も連絡をとろうとするのに哲也が拒否する場面や、
哲也に結婚しないでと泣いてすがる透に、思わず涙が誘われて・・・

哲也のライバルで同期の奥園という男がいい奴なんです!
本当は哲也が彼みたいにできれば一番よかったんですよね。
透は奥園みたいな奴と一緒になっちゃっても許す!
お話としてありえないけど、哲也は振られてしまっても全然OK!
透は奥園と結ばれロー!!って真剣に思っちゃいました(汗)

・・・でも、透はやっぱり哲也がいいのです(涙)
全部読み終わってみれば、最初似ているアレコレの小説の影は払しょくされて、やはりひのもとうみさんの世界のお話になっているな~と思いました。
前作も酷い奴が攻めでした。
でも今回は彼なりの理解できる酷さでしたから。
透、奥園に傾きかけたりしなかったのかな?
そんな部分も知りたいな、なんて欲張ってますw

5

リアル感のある身勝手さ

ひのもとさんの前作「遠くにいる人」が面白かったので、今作と、次作の「ソネット」も読みました。

今作は幼なじみもの。子どもの時からずっとそばにいてヒーローみたいに思って慕い、追い続ける受・透と、要領と外面が良くて、妙にプライドが高い身勝手なところのある攻・哲也。
哲也の計算高くてちょっと身勝手な面にイラっとしつつも、逆に「人間ってこういうところあるよな。」みたいな、人間らしさというかリアル感があって、お話に説得力が増している感じがしました。
最終的にふたりは結ばれますが…なんだか、哲也に万事都合よく決着がついてしまった感があるのでw、もうちょっと哲也には痛い目にあってほしかったなw
当て馬の奥園さんがイイオトコすぎて!!
透よ!もう奥園さんにしときなよ!と読んでいてずっと思ってましたw

ひのもとさんの作品、いまのところ出ている3作すべて読みましたが、3作とも、傲慢で身勝手なところのある年上攻め×健気で一途(すぎて執着心の強い)な年下受ですねw
痛くて切ない作風がとても好みなので、もっといろんなカップリングの話が読みたいなぁと思いました!
スピンオフ好きとしては、奥園さんのスピンオフを密かに期待しておきますw

5

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