年下の男は好みじゃない。

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表題作何度でも、恋に堕ちる

加納大貴・受様の母の再婚で生まれた自慢の弟/大学生
加納貴也・母が未婚産んだ子で義父の養子/会社員

あらすじ

異父兄弟の貴也と大貴。しかし、幼い頃から貴也を慕ってきた大貴は成長に従い熱っぽい視線を送るように。貴也はそんな弟を拒むが…

後妻となった母を早くに亡くし、一族の中で肩身の狭い思いをしてきた貴也。異父弟の大貴はそんな貴也を幼い頃から慕ってきていた。しかし「男を落とすプロ」だった水商売上がりの母の血を継いだと言われる貴也には、いつしか「強い男に押さえつけられたい」という抑えきれない衝動が。男たちとの情事に耽る貴也。そんな貴也に向けられる大貴の視線には抗いがたい色気が含まれていて――大貴は、この先きっといい男になる。自分の中の淫蕩な血がざわめくような種類の、いい男になる――。決して認めてはいけない感情を、大貴を遠ざけることで懸命にねじ伏せようとする貴也だが…

(出版社より)

作品情報

作品名
何度でも、恋に堕ちる
著者
吉田ナツ 
イラスト
みずかねりょう 
媒体
小説
出版社
二見書房
レーベル
シャレード文庫
発売日
ISBN
9784576111384
3.1

(28)

(3)

萌々

(8)

(9)

中立

(5)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
5
得点
79
評価数
28
平均
3.1 / 5
神率
10.7%

レビュー投稿数5

一番欲しい愛

正直、兄弟ものって私にとってはNGだったんです。
(近親相姦とか嫌だと思ってしまうタイプです;)
でも吉田ナツさんの作品が好きで、
ちょっと頑張ってみようかなーと読んでみました。
そしたら、意外とあっさり楽しめたので自分でも驚きました(笑)
なぜかな?二人が似てないからなかな~。
「異母兄弟ならまだしも、異父兄弟なんて!」
って、読まず嫌いはいけないと心を入れ替えましたよ。

兄はゲイで、自分が綺麗な顔と、いい男はどうしても落としたいという
淫乱な気持ちが母に似ているのを背負いながら、
弟がだんだん男に成長していくにつれて
惹かれてしまうのを抑え込もうと必死になるけれど…。
弟は弟で実は兄をずっと好きで、
女の子と付き合ってみても
自分の正直な気持ちはどうにもならないと悩みます。
ただでさえ男同士で、更に実の兄弟という葛藤。
押し込めた気持ちを開放した時の身体の熱が
お互いを溶かしてしまうかのようなHはたまりませんでした。
身体を繋いだ後も、弟をまともな道に戻さねばと思う兄をよそ目に
弟は愛を貫く決意をなお一層固めます。
これですよ、この執着年下攻めにやられました。
弟の為と思い、離れた兄ですが、
以前のような明るさがなくなってしまった弟に心を痛めます。
どうしても兄じゃなければ幸せになれないと言う弟…。一途です。
兄も腹をくくるわけなんですけども。
お互い無二の相手、それが兄弟だとしても
生涯の、真実の愛はただひとつなんですね。

読んで良かったです。
また新たな扉が開きそうなんですが(笑)
(兄弟ものがOKになったって事で)

あ、弟が弓道やってるのもポイント高かったです。
どうしてあんなに袴姿は男ぶりが上がるんでしょうか。










3

硬派で男前な弟と健気だけど女王系の兄

血の繋がった兄弟ものですが、今まで読んだことのある兄弟ものと違うなと思ったのは、前フリがとても長いこと。

長い前段階を経て、お互い気持ちを確認しあい、一度結ばれたけど問題があって…。最後に一つの結論に行き着くまでがとても丁寧でした。
そんなに厚い本じゃないし、こんなに前フリが長いのに無事に終わるのか?最後駆け足にならないか?て半分くらい読んだ時点で思ったのですが、そんなこともなく、書き足りていない所はない、というくらい綺麗に終わっています。

吉田ナツさんの本は、コメディーでもシリアスでも、こういうところが凄いと思う。
いろんな要素を詰め込んだりダラダラしないで、一貫して一つのテーマ、一つの問題に対する一つの答えを書ききっています。

大貴と貴也は父親の違う兄弟。
母親が亡くなった後、貴也は親戚一同から疎まれ、社会人になると家を出ます。
弟の大貴は明るく人懐こいかわいい弟という感じなのですが、2人の間には長い間微妙な空気が漂っています。

貴也が親戚に疎まれているのは、お水の仕事をしていた母親の連れ子だったからで、男をたぶらかすという親戚の悪口を貴也は耳にして育ちます。
ひどい境遇で育っているなあと思うのですが、でもそれがあながち間違いでなく、貴也はゲイで、自分でも信じられないくらい男の人に支配されたいという欲があり、男性が欲しくてたまらなくなる時があります。

普段はストイックなのに自分の淫陶さに悩む貴也は、大貴が育っていくのを見て、大貴を欲しがるようになることが怖くて家を出ます。
大貴は大貴で、貴也が男性が好きだと知った子供の頃から貴也の性生活に興味がある様子です。

そんな兄弟にしては危うい空気をまとったまま、二人は大人になって、今では大貴は恋愛感情で貴也が好きだとはっきりわかるのですが、大貴にまっとうな人生を歩んで欲しいと思う貴也。
大貴は兄が好きで好きで周りは敵でも構わないという感じですが、貴也は自分たちは兄弟なんだという現実的な思考をしています。

自分のことは忘れてほしい、それが一番の願いだという貴也と、どうしたら俺を選んでくれるか、一生かかっても考えるという大貴。

この食い違いは、最後幸せになれるのか?と思うのですが、吉田さんはいつもこういうすれ違い食い違うカップルを信じられないくらい綺麗に終わらせるんですね。

ストーリーとしては正直、大好きな兄弟ものだということを抜きにしてもじれったい展開に好みじゃないなぁと思う部分もありました。
なので星3にしようかと思ったのですが、でもこの文章力の高さと、オチの完成度の高さはやはり人にすすめたくなります。

大貴は結局、父親が周りに反対されながらも母親にプロポーズし、納得させたときと同じ言葉で貴也を捕まえます。
ラストシーンの大貴の告白は、はっとするような一撃でした。

カップルとしては番犬のような弟と健気だけど女王系の兄、という感じです。兄弟であるという葛藤がきちんと描かれている作品が好きな方にはオススメです。

お兄ちゃん、とか兄さんとか、そういう呼び方も自分は好きですが、大人になって、体格差が縮まって、いきなり兄を呼び捨てになるという関係もよいなぁと思った作品でした^^

3

吉田ナツさんの近親相姦

吉田ナツさん、一時期あんまり本を出されなかったようなので心配してたんですが、最近順調なペースで出されてるようで、とっても嬉しいむつこです。

この作品は、異父兄弟の近親相姦もの。
真っ直ぐな弟攻めと美人でビッチな兄受けです。
兄が主人公。

兄ちゃんの方は、弟に対するおさえがたい気持ちを発散するかのように、他の男と付き合ってるんですよね。セックスしてもセックスしても埋まらない隙間。
弟のほうは、兄を想いながらも真っ直ぐすくすくとイイ男に成長していきます。
綱渡りのように「仲良しの兄弟」を演じていた二人は、とあるきっかけで欲望をぶつけあうことになる。
文章が上手くて美しいので、読んでてゾクゾクしました。

近親相姦もののツボは外さず、かといってどぎついものにもなっておらず、読後感はピュアで爽やかでした。
一度二人が別れる場面があるんですが、その場面での兄の態度が好きですね。「兄弟であること」や「弟のためであること」を一切言わずに別れを言い渡した見事さ。「俺はオマエみたいな年下のハナタレでは満足できない」ことを徹底して伝えた。切ないけどカッコイイ。

唯一好きじゃなかったのは、水商売やってるおばさんかなー。
水商売やってて、客のプライバシーを初回の同席者にバラすような、あの一連の発言はない。下品だし無頓着すぎる。
まあ客じゃなくて甥だけど、だとしても駄目だと思うよ。

3

精錬で一途な弟

兄弟ものですが、なんだろう?                   
ドロドロした感じがしないのは攻めの弟の清廉で真面目な       
人柄の印象から受ける印象が強いからかな。
受けの兄は若干なげやりに受け取れるような淫乱体質系だけど
それでも弟への思いを必死でこらえてる姿は切ないですね。
弟もまた、兄への思いを長く抑えていて兄が幸せならと
気持ちを押し殺している姿は一途です。
兄が不倫をしている事を知り、また相手が酔った勢いで
押しかけてきたのをきっかけに二人の微妙な緊張の糸が切れ
弟が思いを爆発させ、身体の関係を持ってしまう。
弟は既に覚悟があったんでしょうね。
兄は、色々な罪悪感に押しつぶされて結局逃げます。
年下はダメみたいな強がりを言いながら・・・・

弟はある意味とても傲慢でかなりしつこくて頑固者ですね。
一見優しげで清廉な印象があるのに最終的には欲しいものは
どんなことをしても手に入れるのですから。
兄はそんな弟の強さに惹かれているのでしょう、
最後まで意地を張り続けますが欲しかった手を掴んでしまう。
なかなかしっとりした禁断の恋でした。

1

良く解らない感覚

吉田ナツさんが好きです。
でも私『遅れて来た読者』なんです。
出版された年に読めたのは『ひよこ、ロマンチックはじめました!』だけで、その他は全部後追い……どこかでまた書いてくださることを切望しているのですけれども。

このお話は私が吉田ナツさんに抱いていた『コメディなのに泣かせる作家』という印象と大きく違ったので驚きました。
だって『執着年下弟攻め×美人薄幸ダメよダメよ兄受け』ですよ。

私は『兄弟もの』がちょっとばかり刺さらない傾向を持っているのですけれども、それ以上に良く解らないのは『淫蕩な血』とか『体が疼く』っていう感覚なんです。
ダメな訳じゃないの。
どういう感覚か分からないの、いやホント。
このお話の中で何度も貴也が自分のことをそういう風に語るのですけれども、それが出てくる度に「?(どんな感じか全くわからない)」となってしまいまして。

実は貴也のこの自己分析が思い込みだったのかもしれないことがこのお話のキモの様な気もしますし、そういう風に考えられることが『貴也の解放=ハッピーエンド』なんじゃないかとも、読み終えた今は思っているんですね。
そのことに気づいた時は「おおっ!」と喜びを感じたりもしました。
でもそこに至るまでの「?」の嵐によって、萌えが吹き飛んでじゃってて。

『魔性の〇〇』というものをネタとしてしか消費してこなかった罰が当たったのかもしれません。

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