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表題作夏の雪

松原喜雨
冬を公園で拾ってきた飲食店オーナー
遊木津 冬
18歳弟のへの罪悪感に苛まれている

その他の収録作品

  • 秋の桜
  • あとがき

あらすじ

弟が死んで以来、心を閉ざしてしまった冬は、喜雨という男と出会い惹かれていくが、自分が幸せになることは弟への裏切りだと感じ…。

作品情報

作品名
夏の雪
著者
葵居ゆゆ 
イラスト
雨澄ノカ 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
リンクスロマンス
発売日
ISBN
9784344827196
3.4

(23)

(2)

萌々

(11)

(7)

中立

(2)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
5
得点
77
評価数
23
平均
3.4 / 5
神率
8.7%

レビュー投稿数5

皆いい親になるわけじゃない

先生が「フェアやってる」とつぶやいておられたのでちら読みしたら止まらなくなりho〇toさんで購入。今こういうものがちょうど読みたかったのかな、萌2です。苦しい、切ない、でも愛おしくて救済される心地のするお話、本編150Pほど+後日談20P+電子限定おまけ4Pついてました(ho〇toさんのページ数でのカウント)。色っぽいお話が少ないのと攻め元嫁が出てくるので一応お知らせです。

七月下旬、塾に行っていないことを知った母から「海ならこんなことしないのに」と言われ衝動的に家を飛び出し、やみくもに電車を乗り継いでたどりついたどことも知れない公園のベンチにうずくまる冬。いつのまにか寝てしまったらしく目覚めると、長野の祖母宅のような和室の一間にいて・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は、
攻めと同じ長屋に住む佐久(小説家)、三津子(バーで歌ってる)、まあこ(不細工な猫)、受けの両親(この人たちも大概辛い)、弟(故人)です。

**以下は辛く染みた部分

なぜか幼い頃から母親とうまくいかず、人気者の弟がいたから成立していた家族は、弟の事故死の後、崩壊の一途をたどっています。同じ事故で右目の視力を失っている冬は泣くことも食べることも眠ることもままならない状況なのに、両親もなかなか現実に適合できず・・・という非常に厳しいお話。
少し前までは、親は子供を当然愛する!と思っていた人間なので、いわゆる「クズ」と切って捨てていたと思うのですが、最近別の本で、「親子でもどうにもならない相性の悪さはある」とすごく納得したことがあり、この冬の両親に対して「クズ」と言い切れなくなりました。
親も人間、色々あるし、たった1回の事故で、一人の子供がなくなったということだけで人生がこんなに変わるのは、辛いなあ・・・・とBL方面ではないところに妙にシンクロしてしまいました。
受けさんは攻めさんが拾い上げてくれて、一緒に歩いて行こうと日の当たる方向に向かっている終わり方なので、読後感は大変良いです。でもじゃあ受けの両親は、誰が救ってくれるんだろう???と思って、救済感はやや半減です。大人は自分で立ち直れってことですかね、はあ厳しい。
そうか、だから長屋の他の住人やまあこがいてくれるのかもと今思い当たりました。大人はほどよい距離感で相互に癒すっていうのが良いのかも です。
色々シビアな方向に深くシンクロしてしまったお話でした。
親と確執ある方は、読むのがつらいかもです。人付き合い苦手な方だけど、ちょっと頑張ってみよう。

2

苦しい気持ちになるけれど

作家様買いです。

弟が亡くなり、その原因が自分にあると自分を責めながら生きている冬と
訳アリの飲食店オーナーの喜雨とのお話です。

あらすじを読んで、ある程度重いことは想像していたのですが
私が想像していたより胸が痛くなりました。
冬は喜雨と出会うまでなんの救いもなかったんだなぁって…。
ずっと自分を責めてる冬を見るのが辛かったです。

どんどん喜雨に惹かれていっているであろう冬を見て
これはもしかしたら一種の刷り込み見たいなものなのかな…とも思ったんですけど
刷り込みだとしても冬が前を見れそうなら、それでいいじゃないかと私は思いました。
でも、喜雨は喜雨で元嫁が出てきて色々大変で、
そこでまた冬が傷ついて、何回辛い気持ちになればいいんだ…と思いました。
ほんとに冬の事を考えると、冬の両親は自分の事ばかり考えていて
子供のことを考えることすら放棄して酷すぎました…。

全てを失った冬に喜雨が居てくれてほんとに良かったです。
それに佐久さんや、三津子さん、マスターも居てくれてよかった。
これからはずっとずっと、冬が幸せな気持ちでいれるようにと
祈りながら読み終えたお話でした。

1

萌×2と迷いますが

年末は大好きな年の差(年上攻め)で〆ていこう思っております。
そんなわけで今回は葵居ゆゆさんの超年の差です。
攻めの年齢ははっきり書かれていなかったとは思うのですが、15歳くらいは離れていそうです。

********************
受けの冬は、子供の頃から感情表現が乏しく自分を出すのが苦手な高校三年生。
事故が原因で右目が不自由になっています。

攻めは野生の大型獣のような印象で、面倒見の良い喜雨。
飲食店を経営しており、バツイチの30代。
********************

自分のせいで弟と祖母を亡くし、それをきっかけに壊れてしまった家族から逃れるため、発作的に家を飛び出し、そこで喜雨に拾われた冬。
食事を美味しいと感じるのもぐっすり眠るのも、すべての幸福に罪悪感を感じる冬でしたが、自然体な喜雨と共に生活するうちに心がほぐされていきます。

冬が喜雨へ惹かれていったのは、若干刷り込みのような気もします。
喜雨も言ってましたけどね。
両親はもちろん、周囲からも特段優しくされていないと感じていた冬でしたから、喜雨の濁りのない真っ直ぐな行動に、愛情に飢えていた少年がイチコロというような。
ただ、それでも良いかなあとも思わされる作品でしたねえ。
それはやっぱり喜雨がひじょうに冬を大切に想っているさまが見てとれる(まあ、そんな表現は高校生にはまだ難しいのかもしれませんが)からかな。
手をつないで歩くシーンが何回かあるのですが、BLでは案外そういうなんでもないシーンてやっぱり人目の問題でなのかあまりないので、くすぐったくてとても可愛かったです。
そして膝とか舐めちゃう辺り、なんとも大人の男の攻め方で萌えました(笑
喜雨の友人で弁護士の稲城もツボキャラ(でも、こういうキャラはなぜかメインでなくサブなんですよね…涙)なので楽しめましたが、弟の死とかはわざわざ設定として必要なかったようにも感じます。
両親の不和だけ、祖母の事故だけでも成り立ったように感じましたし、あまりにちょくちょく弟の回想だとかストーリーだとか、それに対して冬の自分を卑下する下りが多すぎて困りました。
読み飛ばしたくなって(苦笑

表紙のふたり(特に喜雨)と中のイラストのふたりはちょっとイメージが違います。
内容にあっているのは中の挿絵の方かな。
表紙は喜雨がなんだかエリート弁護士ちっくに見えまして(苦笑
表紙買いをされる方は、表紙よりも中身は3割ワイルド系だと思って選ばれる方が良いですよ。
わたしは外見肉食、中身大型犬のような攻めキャラは大好きなので、面白く読めました。
年の差好きの方にお勧めです。

3

傷ついた者同士。

高校生の冬と、飲食店を経営する喜雨(きう←下の名前)の年の差ラブストーリー。

冬には自動車事故で亡くした海という一つ年下の弟がいたが、彼の死が母親の心と家族をバラバラにしてしまった。荒んだ家庭に居場所のない冬が家出したことで物語は始まります。喜雨という男に拾われた冬は、二人の同居人と一匹の猫が暮らす長屋でしばらく彼の世話になることに。弟の死に罪悪感を抱き続け、母親との関係に疲弊しきっていた冬は、少しずつ彼らに心を開いていきます。

きっと冬と同じような経験をしたことがある方なら、想像以上に彼の気持ちがよくわかると思います。同じ事故に遭いながら自分だけが生き残ってしまった申し訳なさ。けれど亡くなった人の分まで生きなければと反発を覚えつつも焦る気持ち。彼の心情が切々と伝わってきました。

BLとしては背景が重たい主人公なのかな。そんな彼を甘やかしてくれる喜雨もままならない事情を抱えた男。影のある雰囲気と優しさのギャップが冬の目には魅力的に映ったのかもしれません。もう、二人だけの世界でどーぞラブラブしてくれと最後の方では思っちゃったけど、葵居先生の文章はちょっとだけおセンチで柔らかくて素敵でした。

でも…。冒頭から終盤まで心地よく味わっていたのですが、書き下ろしのエッチシーンの、あるセリフで一気に萎えました。それまでのオトメな雰囲気ぶちこわしだよぉ。清純そうだけどエロいみたいな演出でもなかったよ?わたしには違和感しかなかったです。小説って難しい。文章一本だから選択する言葉一つ、些細な言葉遣いが気になっちゃって、評価する場合に結構左右されます。この萎えた部分がなければ「萌え×2」でした。

3

心の再生へ繋がる出会い

歳の差カップルで、受け様はかなりヘビーなトラウマ持ちで、挙句肉親からの
冷たく残酷にも感じてしまうような環境のなかで心が壊れてしまう寸前なのです。
受け様の事だけを考えたらなんてひどい母親、両親なのだろうと思うけれど、
子供を失くしてしまった愚かで悲しい母親も共感出来ないけど気の毒に感じてしまう作品。

大好きだった可愛い弟が亡くなり、自分の責任だと思い込んでる受け様。
祖母と弟と3人で事故に遭い、自分一人生き残ってしまい、その事故の心理的影響で
右目が視えず、いつも痛みを伴うようになっている、そして誰からも愛されていた
弟からもらった、弟の代わりに生きているのだからとそれでも必死で生きているが
母親からの仕打ちに傷つき逃げるように家を出て、公園で寝ているところを攻め様に
拾われて、攻め様と共に暮らす人や周りに馴染んでいくうちに少しずつ心が解き放たれ
弟の代わりでは無く、受け様自身として生きてもいいのだと思えるようになる。

しかし、攻め様も家族に恵まれず、問題を抱えているのですが、そのトラブルに
受け様が巻き込まれ、受け様はまた、自分のせいだと思い込んでしまう。
それは、攻め様と暮らすうちに攻め様を好きになってしまった自分が悪いのだと
読んでると、たまにウッキーってお猿のようにイラッとしてしまう(笑)
攻め様の元妻のことなんて受け様関係ないし、その時点でお互いに告白し合ってる
訳でもないのに、それが原因で父親にまで排除される受け様が可哀想です。
ちょっと理不尽な気もしないではないけれど、二人の思いは歳の離れたカップルに
ありがちな大人側の戸惑いや躊躇ですれ違うのですが、最後は穏やかだけど
互いに必要な存在に納まるストーリーでしたね。

5

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