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表題作オールモスト・パラダイス

穂村悠弥
北海道出身の編集アルバイト
桐秋潤
元美術の先生

同時収録作品夜空を見上げて待っていて

マギ
魔法使い
ウィン
ライカンスロープ

同時収録作品Gold,Ash,Darkgreen

マギ
魔法使い
ウィン
人狼

同時収録作品Caf? Winterreise

その他の収録作品

  • Call My Name

あらすじ

十年経ってもなお、穂村悠弥には忘れられない出会いがある。中学三年の春、北海道の片田舎に美術教師の桐秋 潤が赴任してきた。派手な服にフランクな態度、風変わりな教師はすぐに穂村の興味を引いた。放課後の美術準備室で彼に絵を習い、二人きりの時間を過ごすうちに、穂村の心は桐秋に傾いていった。そしてある日、穂村は桐秋をモデルに絵を描きたいと申し出る。もっと一緒にいたいと願った恋心は、二人に思わぬ悲劇をもたらし…。多彩な恋愛模様を描いた松尾マアタ作品集。

初回限定描き下ろしペーパー封入あり!
そして、ホーリンラブブックス(通販)もしくは芳林堂書店(店舗)で購入すると、
芳林堂書店限定の描き下ろしペーパーが付きます!

(出版社より)

作品情報

作品名
オールモスト・パラダイス
著者
松尾マアタ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
心交社
レーベル
Chocolat comics
発売日
ISBN
9784778112752
4.2

(36)

(16)

萌々

(14)

(6)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
18
得点
154
評価数
36
平均
4.2 / 5
神率
44.4%

レビュー投稿数18

倫理観

『嘘つきは紳士のはじまり』を久しぶりに読んだ流れでこちらも。バラエティに富んだ短編集です。

生徒×教師もので再会もので未成年でと設定モリモリな表題作。とはいえ結ばれるときは未成年でも生徒と教師でもないわけですが。まぁやはり教師と生徒のありようとしては誤りだよな。『嘘つき〜』といい、この単行本に収録されている他のお話といい、松尾先生は倫理観とどう向き合うか、みたいなところをよく作品に書いてるようですね。相手を惚れさせる魔法は是が非か、なんかもそうで。

松尾先生はお元気なのかな?思ったらまぁまぁ最近(年単位)読んだ『BOSSY』の挿絵はそうか松尾先生。海外の雰囲気にも馴染む洒落た絵柄です。

0

温かさで包み込んでくれる短編集

◆オールモスト・パラダイス(表題作)
 美術教師の桐秋の纏う雰囲気が、優しく穏やかで素敵だなぁと思いました。そんな彼に恋をする少年、穂村。学生時代の思い出は儚く、唐突な別れは切ないものでしたが、再会後はぎくしゃくする間もなく、あっさり熱を高まらせる2人が愛おしかったです。桐秋はもっと慎重に事を進めそうなタイプに見えましたが、自分の欲求に素直に動くタイプで益々好感が持てました。

◆Cafe Winterreise
 やはり異国の物語は松尾先生のタッチに合いますね。失恋して、元々恋人と行くはずだった南国とは正反対のベルリンに観光しにきた主人公。そこで日本人がやっているカフェを見つける。こういう偶然が、まさに運命なんでしょう。BLとしてはここから、というところで終わりますが、その余韻も含めて心に残る作品でした。

◆Gold,Ash,Darkgreen
 狼から人間になったウィンと、彼の怪我を治した魔法使い・マギのお話。ウィンが元狼とは思えないくらい素直で可愛らしく、ところどころシリアスなシーンもあるのですが、マギとのやりとりを微笑ましく見守りながら読める作品でした。静かだけれど温かい心が伝わってくる、マギの雰囲気も大好きです。

0

北海道出身の作家さんならではの感性

表題作【オールモスト・パラダイス】
北海道の日本海側に面した小さな町に住む中学生と、東京からやってきた美術教師とのお話。

この作品で一番いいなと思うのは、北海道出身の作家さんならではの感性、感覚が作品の中に現れているところです。
主人公(攻め)が「東京に来て初めて日本はアジアなんだと実感した」と感じるところがあって、これを読んだ時に作家さんは北海道出身の方に違いないと確信しました。
(調べてみたら札幌にお住まいだそうです)
私自身は札幌に住んでた事がありまして引っ越した当時、11月とは思えない寒さに震えながら「北海道は亜寒帯」という事実を知ってえらく納得した事があります。(主人公とは逆ですが、亜寒帯ならこの寒さも仕方ないわーと異様に納得してしまったのです。)

かつてはニシンで栄えたけど今は寂れてしまった小さな町。10月末から雪がちらつき始める冬の訪れの早さ。そしてどんよりとした鉛色の空と蠢く日本海。やがて雪は毎日音もなく降り続けて、時には吹雪いて全てがすっぽりと真っ白に包まれてしまう冬。日本海側の北海道の冬は本当に雪しかないのです。毎日毎日ひたすら雪、ひたすら無彩色の世界。
その無彩色の中では、先生が着るカラフルな服、ゴーギャンの絵が描く楽園、といった色鮮やかに彩るものが心に強く訴えかけてきます。
冬だけではなく半袖シーンもあるので夏である事が判るのですが、夏の屋外のシーンはありません。花が咲き誇り緑が鮮やかな北海道の夏は描かずに、冬のイメージを強く打ち出す事によって故郷の記憶が無彩色である事、美術準備室で過ごしたひとときだけが温かく色鮮やかな彼らの楽園であったという事が胸に迫ってきます。

お話としては故郷での甘くて苦い思い出、そして10年後に再会するというどちらかというとシンプルなお話なのですが、作品にまとわせている北海道の空気感、色彩感が素晴らしくこの作家さんでしか描けない作品だろうなと思うのです。
あと先生の目を伏せたとき、扇のように広がる睫毛が好きです。


同時収録作の【Cafe Winterreise】失恋をした若者が衝動的に旅に出た先での出会いを描いています。
タイトルのWinterreiseはシューベルトの「Winterreiseー冬の旅ー」という恋人の不実により失恋した若者が町を出てさすらう、といった一連の歌曲集にちなんでいると思われます。
冬の次には春が来る訳で、そんな未来を予感させる終わり方が良かったです。

【Gold,Ash,Darkgreen】【夜空を見上げて待っていて】
ファンタジー・人外もの。魔法使いと元は狼だった青年のお話。
狼を思わせる気性の荒さは全くなく、自分を助けてくれた魔法使いマギの事を無邪気に素直に慕って時には健気になるウィンがとても可愛らしくてとても好きです。

ちるちるのランキング圏外だけど、心の琴線に触れた作品を教えてください」
http://www.chil-chil.net/answerList/question_id/4967/#IndexNews
で教えていただいたのが、こちらの作品です。
日本、海外、そしてファンタジー・人外と舞台が全部異なりましたが、どれも違和感なくお話の世界にすんなりと入っていく事が出来て、世界観の作り方が上手だなと思いました。
教えてくださり本当にありがとうございました。

3

こういう感じ好きです

初読み作家さんです。
表紙の色使いとほのぼのとした雰囲気に惹かれて読んでみた作品です。
表題作シリーズは3話からなる本編と描き下ろしのその後のお話、他に短編が1作品と2話からなるちょっとファンタジックな作品が1作品が収録されています。
どの作品も好みで甲乙つけがたいです。
絵柄はそれほど好みではないのですが、ほのぼのとした雰囲気と時々ドキッとする位の色気を感じるカットがあって、ほのぼのとしたカットとのギャップに思わずガッツリ見とれてしまいました(笑)。
こういう差の付け方が上手い作家さんなのかもしれません。

ストーリーも現代ものと外国の時代物でファンタジーのお話と題材が全然違うのですが、どちらも好きでした。
ちょっと切ない部分があるのも作品を印象強くしていると思います。

0

少女漫画とBLのボーダー

こういうのを望んでいたのかも、と思わせてくれた作家さんです。BLコミックというよりは少女漫画を彷彿とさせます、しかも1980年代によく読んでいた頃の。

はい、BL漫画だよっ!とストレートに提供していただけるのは、探す時間や手間なく好きな作品を手に入れることができて非常にありがたいです。でも、全く予期せず読んでいてふとBLを想起させるシチュエーションに遭遇してしまった時のドキドキ感、というのが一番興奮するかも…てか、してた!とこの作品を読んで自覚しました。

表題作以外は海外ものとファンタジーです。表題作ですごいと思うのは、登場人物以外に全く女性が出てこないとか、出てくる人物みんながみんな同性に惹かれている狭い世界であるとか、主人公がものすごいトラウマを抱えているとか極端な環境設定なしに、この現代日本を舞台に自然にBL世界になだれこんでいっているところ。画はすっきり端正です。(でもなんか懐かしい感じがする。。)そして読んだ後、とっても優しい気持ちになります。この方の作品は全て読み尽くしたい。

男性同士の恋愛である必要はないんじゃないかと思うくらいナチュラルすぎて、逆に全然そそられんわ!と思う方もいらっしゃるかもしれません。完成された世界観の小作品や、安心できるストーリーが読みたい方にオススメです。

3

癒しの1冊

多彩な恋愛模様が描かれた、短編集です。どのお話も、サラッと読めるけど、心が温まるような内容です。

『オールモスト・パラダイス』
ゆっくりと愛情が育っていく過程が描かれていて好きです。中学生の、宝物のような恋にキュンとなります。同時に、何もできない無力な自分に対する絶望感が切なかったです。子供だからこそ、大人だからこその恋愛の醍醐味を考えさせられます。再会後の、甘々な二人にニヤニヤします。

『Cafe' winterreise』
伝えたい時ほど、上手くできない気持ちにキュンとなります。

『Gold,Ash,Darkgreen』『夜空を見上げて待っていて』
マギのビジュアルが好きです。眉間のシワと隻眼メガネが、魅力的です。ウィンの無邪気で天然なところも可愛いです。ウィンの、好きなものは好きという明快なところが読んでいて気持ちイイです。

松尾さんの後書きにあった、「丸メガネが似合う人は基本イケメン」に激しく同意します(笑)そんなイケメンメガネも堪能できる1冊です。

2

おだやかな3作品

全部で3つのストーリーが入っていました。

1つ目は、表題は美術の先生とその高校の生徒のお話。
 そして大人になったその二人のお話。
2つ目は、ベルリンに傷心旅行に来た青年とCafeのマスターのお話。
3つ目が、狼な少年と魔法使いのお話。

どのお話も、相手を思いやる気持ちが大切に描かれていたように思います。
こういうお話って、読んだ後には心がおだやか~になりますね。

この作家さんは、初読みの作家さんでしたが、
心がささくれ立っている時に(笑)他の作品も読んで
癒されたいな~と思ってしまいましたw

1

カラフルワールドマジック!

もう一年以上前になるのですね。
本屋さんで表紙のカラフルさに一目惚れして買いました!
中身はもちろん漫画なんでモノクロなんですが。
不思議なくらいに色が見える気がする作品でした。

私もむか~し、美術の端っ子くらいは勉強した人なんですが。
残念ながら、油絵はやったことがなくて。
いまでも油絵は憧れの存在やったりします。
この主人公たちは、中学の時に東京から来た美術教師とその生徒。
十年後の偶然の再会で、懐かしい油絵の具匂いが漂います。

人の記憶って、相手の顔は段々あやふやになっても。
色・匂い・音・味・感触など五感の情報は、鮮明に残りやすいって聞いたことがあります。
主人公の穂村くんにとって、中学時代にほのかな想いをよせていた美術教師の桐秋先生との記憶。
いつも鮮やかだった先生の服の色、美術室の絵の具の匂い、窓からの景色の変化。
ふと、過去の想いへタイムスリップするキーワードが、読む側にも色や匂いを思わせます。
物語の中の二人だけではなく、こちら側にも記憶の世界を呼び起こして引き込む世界観は、素敵でした♪

そして、この主人公二人の肉体美!!
普段洋服で隠されたものが見えた時、綺麗だなぁ~、と思いました。
祭りの時に男性の筋肉が、浴衣の裾や袖がめくれる度に見える時。
あのドキドキに似ている気がします。
私のツボまでガンガン刺激してくる作品でした。

このほかには。
ドイツ旅行へ行った青年とカフェの店主のお話。
狼と魔術使いのお話。
どちらもやはり大好きな作品です!
悲しいお話の部分が、不思議なほどさらりとした感じに描かれていたりするのですが。
それが不思議に心に残ります。
桐秋先生の笑顔もそうだったように…。


忙しくて目がまわる時、過去に「神!」と思った作品を引っ張り出して夜ふかししたくなる。
そんな大好きな作品のひとつでした♪

2

橘盾

rose-lilyさん

>色・匂い・音・味・感触など五感の情報は、鮮明に残りやすいって聞いたことがあります。

本当にそう思いました。
中のページにはもちろん↑上のどれも無いけれど、松尾先生の作品には、ちゃんとそれらを感じることができます。
rose-lilyさんのレビューを拝見したら、大事にしまい過ぎて部屋の何処かにはある(なので、直ぐに読めない)、コレをすぐ読み返したくなって、只今、困&イラってなっています;わーん!

橘盾^^;

胸の奥の熱がじわり

初・松尾マアタさん。
こちらでオススメして頂き、ようやく手元に届いたので早速開いてみました。

表紙を見た時、何となくわたせせいぞうさんを思い出しました。
画が似てるとかというより、雰囲気でしょうか。
わたせさんよりもっと色味を淡くして、空気を柔らかくしたような…
何より、白い床に二人で筆や刷毛を走らせるなんて、なんと素敵な事でしょうか。
やや暫く表紙の空気に見とれました。


【オールモスト・パラダイス】【Call My Name】
元教え子の穂村と、元美術教師の桐秋のお話。
現在は既に大人になっている穂村の、中学の時の回想シーン。
この中学の時の感じがやはり大好きでした。
穂村が生まれ育った町の環境に似たものをよく知っていて、穂村の幼き日の情景や日常の何気ないことがリアルに思い浮かべられます。
汽車は一両だけで走るよな。
海岸沿いは風が冷たくて雪も沢山降るな。
それだけで物凄く親近感が湧きました。

そしてそんな寂れた町に、服装が少々派手?な桐秋は目立つ存在だったのではないかと思います。
その桐秋がキャンバスに描く姿に魅了された穂村。
徐々に徐々に、恋心が芽生えていく。
中学生の穂村に、あの目元が魅力的な桐秋はとても刺激的だったのかなぁ、なんて。
そんな桐秋にとっても、自分の感情が何であれ穂村が特別になっていく事が怖かったのかもしれません。

大人になって偶然見つけた画廊で見た桐秋の画。
穂村が主人公の連作だそうで、あの大きな1枚だけでなく、もっともっと眺めたいなと思ったのはきっと私だけではない筈!
繊細ででも力強くハッキリとした線に幸せな空気が楽園っぽくて良かった。
桐秋との再会、謝りたい気持ち。
それだけは確かだった筈なのに、穂村がぶちまけたのは、「何で僕を置いて居なくなったんだ」という本音でした。
7年も経って大人になったのに、先生の前ではあの頃の自分に戻ってしまうのかも。

最後、沢山の人がいる中であんな風に名前の話をしちゃうだなんて…
確実に桐秋は天然!可愛いなぁ(*´ω`*)

淡々と、でも幸せな空気が流れている独特な雰囲気が大好きな作品です。


【Cafe Winterreise】
ベルリンへ傷心旅行に出かけたユキと、そこの土地で知り合ったカフェ店主・サッシャのお話。
失恋したユキがベルリンに行き、途方に暮れている所でサッシャと出会う。
サッシャの厚意により1か月間ルームシェアする事になり、お礼にカフェのお手伝いもして、言葉も教えて貰って…と交流を深めていきます。
サッシャは色気のある魅力的な人。一緒に居てユキが惹かれる気持ちがよく分かります。
一緒に居て楽しいし、もっと居たい、でもサッシャが別の男性と寝ている所を見てしまい、又失恋のような気持ちを味わってしまうユキ。
それには事情があり――と特段変わったストーリーではないものの、1話完結としては無理なく進められているのが良かったです。
又きっと、ユキはベルリンに行くんだろうな。幸せになって欲しいな。


【Gold,Ash,Darkgreen】【夜空を見上げて待っていて】
とある村、魔法が使えると噂される医師・マギと、そこへ患者として現れた不思議な少年・ウィンのお話。
何がどうしたって、とにかくマギが素敵過ぎて困る(笑)
何ですかあの眼鏡…ずきゅんと来ました〃

満月の夜、不思議な少年だったウィンは、狼に戻るはずでした。
でもウィンは、マギと一緒に居る事を選んだ。愛を交わす事を選びます。
しっぽが生えたり耳が飛び出たりという事はありませんが、時折出てくる大口だとかソーセージに夢中になって食べちゃう食い意地とか、そういうのを見ると狼だったのかも、と思い出せるのが楽しかったです。


とっても優しく時々切ない、そんな空気が流れている1冊です。

5

味わい深さを求めるならv

前作の『嘘つきは紳士のはじまり』ではストーリー展開はスキだったのですが、不倫とかハゲとか個人的に苦手な要素があったために「惜しいっ!」という印象が強い作家さんでした。
しかし今回は、前回のようなマイナー嗜好の要素はなく、全短編を通してすんなり読むことができました。
1作目で感じた通り、ストーリー展開やワードのチョイス、コマ割などはとても味があって、多くの作家がいる中で、十分個性として際立つものをお持ちの方です。
現代モノ、外国モノ、ファンタジーモノの3組のカップルからなる短篇集。

■オールモスト・パラダイス
表題作。
act1~3まであって、短編だけどそこそこの長さあります。
真面目で誠実な好青年(学生)×明るいけど繊細さのある美術教師の話。
攻めが大人になった現在から、過去の学生時代を振り返るような描き方がされています。

北海道の町長の孫で、前途有望な学生だった攻めは、油絵を通して美術教師と仲良くなり淡い恋心を抱くも、受験生という身分のせいで彼と引き離され、その後一度も会わないまま大人になります。
その後、東京のオフィスで編集のバイトをしていたが、偶然目に入った個展の看板にかつての美術教師の名前をみつけ、念願の再会を果たす…という話。
これだけ読むとなんてことない話にみえますが、モノローグや現在と過去を行き来する変遷の描写がとてもうまく、穏やかなんだけどせつないというか…日本人らしい奥ゆかしさや情緒を感じるステキなお話でした。

■Cafe' winterreise
ドイツを舞台にした外国モノ。エロ無し。
ファンタジーじゃない外国モノがめちゃくちゃスキなので個人的にはお気に入り。
彼氏と別れて傷心旅行にきた気のいい青年(日本人)と、キレイで優しくていろいろ慣れてそうなお兄さん(日本とドイツのハーフ)の話。
ドイツ旅行中、縁あってアパートに居候させてもらうことになった日本人が、カフェの店長でもある男との生活の中で失恋から立ち直り、いろいろあって、一緒にお店をやること約束して帰国するまでを描いています。
愛の告白をするわけでもなし、1度きりのセックスをするわけでもなし、ただお互いの存在を恋愛の射程圏内に留めるところまでを描いて終わってるので、「消化不良だ!」と思う方もいるかもしれません。
私は、大好きだけどなかなか描かれない外国が舞台になってることと、雰囲気がステキだったので、こういう恋愛未満なほんのりラブストーリーでもぜんぜんスキでした(*=ω=*)

■ Gold,ash,Darkgreen / 夜空を見上げて待っていて
異国ファンタジー。魔法使い×人に変身した狼(※人狼ではない)
人間の罠に嵌った手負いの狼が魔法(みたいなもの)を使って人に変身して、魔法使いに助けを求めたことがきっかけで知り合った一人と一匹の話。
人型になれるのは一時的なもので、次の満月には狼の姿に戻るのだが、その間に人と愛を交わしたら二度と狼には戻れなくなるらしく、みごと魔法使いを口説き落とした狼は人間になりましたとさ。
まあまあかわいらしいお話でした~。

■Call My Name(描きおろし)
『オールモスト・パラダイス』の続編。
そこそこ満員の電車の中で、お互いの名前の呼び方を改めようという話をする、なんとも甘酸っぱく恥ずかしいエピソードがみれます。
完全にホモってバレるシチュだよね。おもわずニマニマしちゃいました(〃ω〃v)笑


どの短編もとくにこれといって大きな盛り上がりがあるわけではないです。
でも、淡々と穏やかに紡がれる味わい深いお話で、作家さん独特の雰囲気が魅力的な1冊です。

《個人的 好感度》
★★★★・ :ストーリー
★★・・・ :エロス
★★★★・ :キャラ
★★★★・ :設定/シチュ
★★★★・ :構成

2

美術の先生

松尾マアタ先生といえば 
セクシーなハゲてるおっさんを描かせると世界で1番です。(勝手に)
この話はハゲてる人出て来ません・・・。
話の感想。
美術の先生(受け)と中学生だった攻めが最初の出会いです。
ただ 絵をいっしょに描いていただけなのに。
ウワサになり 先生が責任を取り去ってゆく。
それから 数年後。
再会物語です。
久しぶりに二人が出会う場面が素晴らしいです。
お互いの想いが重なっていく。
もう大人だから誰も邪魔はしない。
中学生から大人の男へ。
ああ~~ キュンキュンするわあ~。
時間の流れと偶然が2人を結びつけたのでしょう。
これからはずっと一緒ですね!良かったです。
面白かった~。 キュンを感じたい方に お勧めです。

3

良質の教え子もの

今回も先生生徒ものとは聞いてたけど、前回の教授とはまったく違うタイプの美術の先生と中校生!
しかも小さな田舎町の町長の孫で優等生です。高校受験を控えた純情な中学生の悠弥が、ちょっと風変わりで美しい美術の先生と美術室で過ごすひとときに憩いを求める…。ただ一緒にいるだけで幸せだったのに、まあそりゃ大人から見たら先生がたぶらかしたってことになるよねえ。まあねえ。
突然田舎町から姿を消した先生のことがずっと胸に燻っていた悠弥が、10年後に偶然先生の個展をみつけるといった再会の仕方もいいです。
社会人になった悠弥と、様々な事から逃げてきた先生との偶然の出会い。
でもまるで再会があることを信じて待っていたような先生にちょっとジーンとしちゃいました。
それにしたって再会したあとの話が短くないですか?
描き下ろしみたいな話もっといっぱい読みたいですよ。
次のドイツのお話も、魔法使いのおじさまと狼小僧のお話も続き熱望!
どれもゆったりと優しく切ない上質な短編集ですが、もっと読みたい~。

2

さらっとしてるのに印象深い

松尾さんの作品は、前作「嘘つきは紳士のはじまり」も読みましたが、絵柄もストーリーもなんだかスタイリッシュなイメージ。独特な雰囲気がありますよね。

「オールモスト・パラダイス」
中学時代の美術の先生な受と北海道の田舎町から上京してきた編集アルバイトな攻の再会愛。
中学時代のほのかな恋のことを大人になっても忘れられなくて、偶然再会して恋がかなうという。いいですね!ときめきました。
先生のちょっとつかみどころのない感じがなんかいいw

「Cafe' winterreise 」
傷心旅行inドイツで芽生えた愛のお話。
ドイツの旅行記を読んでいるかのようなドイツ描写(行ったことないけど。)
旅先での恋っていいよな。運命だよな。そんな気持ちになりましたw

「Gold,Ash,Darkgreen」「夜空を見上げて待っていて」
魔術師と人間になった狼のファンタジーもの。
私は普段はファンタジーにちょっと苦手意識があるのですが、これは楽しめました!
狼から人間になったばかりのウィンの性格がかわいらしい。近所の少女カロラもいい味だしてました!

2

色気ってこれなのね・・・!

大人になって、苦い経験や思い出をふっと思い出すということは良くあることです。
ただそれを良い方向に持っていけるのは一握りどころかほとんどいないのを考えると
主人公の穂村くんと先生は本当にラッキーなんだなと思います。

穂村くんの表情に10年前の中学生時代と同じ
自信のなさや、幼さを感じるのは本人も気づかないところで彼の時間は10年前で止まっていたからなんだなあと。
先生と再会した次の日、先生の家を出る穂村くんの表情はお話が始まったころに比べて
大人になっているのがちょっと嬉しかった。

松尾さんの描かれるキャラクターの体型って華奢で折れそう、というわけではないし
むしろどちらかというと筋肉質なのに先生の色気が凄い!
とあるシーンでの先生のおしりに目がいってしまいましたw
結構BLでまったりとした事後って描かれることってないのでそこも新鮮でした。

表題作もとっても良かったのだけれど
松尾さんは留学経験がおありなのか、旅行が好きな方なのかはちょっとわからないんですが
外国の描写が秀逸だなあと改めて思った「Cafe' winterreise 」が個人的には一番好きです。
恋になる一歩手前の、むしろ友達に近い関係が見ていて心地よかったです。
情熱たっぷりのお話もいいけれど、少しづつお互いを見つめていく二人が可愛い。
サッシャみたいな色気むんむんの主人のいるカフェがあったら通いつめます絶対w

最後の連作はアホの子礼賛漫画(*・ω・*)
長髪好きなのでマギの髪を下ろすシーンは興奮しっぱなしでした!!!

4

表題作が特にツボ

 大人になるっていいことだよね。

 子供の無力さはそれはそれで切なくていいんだけど、大人になって再会して、自分の力で関係を築けるってのが、自分的にツボでした。
 なんか、上手くいえてなくてスイマセン。

 どのお話も楽しめました。

 個人的に、エッチしたあとに裸でうだうだしてるシーンが2本あって、筋肉もしなやかに付いてて、最中じゃなくても萌えるんだなぁ〜〜などと思ってしまいました。

 

3

絵の力

前作も絵の素晴らしさに感動したのですが、この本も「絵の力」が素晴らしい。
もちろん、ストーリーあっての絵な訳ですが、この「絵の力」のおかげで、ストーリーがくっきりと立ち上がってくる。
表題作は特に。
表題作の二人は、顔の造形、表情共に、少女マンガとしての最高水準の日本人顔だとおもう。
そして、この二人の、骨格やプロポーションがストーリーに与える力!
再会シーンの、穂村が玄関ベルを押すページから玄関を開けて桐秋が出てくるまでの3
ページ。
この感動は、この「絵の力」あってこそ
背景の取捨も過不足なく、パースも正確。
少女マンガに重要なのは、実は、背景に何も描かれていないコマの存在だと思っているので、「背景の取捨に過不足がない」っていうのは、私にとっては最大級の褒め言葉。
 
最高です。

3

やっぱり、良い!

前作【嘘つきは紳士のはじまり】の感性に衝撃を受け、付いて行きます状態が、この作品で決定的になりました!
茶鬼さんも仰られているように、体がね、軟弱じゃないんです!カッコイイ!(くー)

【オールモスト・パラダイス】【Call My Name】(ショート)
将来有望な中3・穂村×新任美術講師・桐秋
北海道の狭い町での1年弱、先生と生徒の付き合いだけ。
だけど、自分のせいで学校を放れざるえなかった先生への淡い想いは、北海道のサラ雪のように積もっていったんだろうな。
再会まで7年。
それは先生も同じ、いや穂村以上だったのが再会後に分るんです^^
あの頃と変わらず、桐秋先生は若くて、麗しいまつ毛とポップなデザインの服もそのままなのに、でも、当時には見せなかった穂村への恋は隠さなくなって♪
あの別れは今の幸せの踏み台だと思わせてくれる先生って、飄々としているけどなんて前向きで男前なんでしょう!
あ~これこそ松尾先生風だよ~♪
絵もストーリーも、軽快なシャンソン聴いているかのようなのに、奥にある執着をちゃんと感じさせてくれるのです!

【Café Winterreise】
ユキ×日独ハーフのサッシャ
攻めは、失恋旅行に、ただ「ベルリンの壁」に感銘を受けたからって、言葉が通じないドイツに来ちゃう天然。
受けも堅実ではない生活を送っている人。こちらは諦め感漂っている。
この2人は、どちらも傷心から逃げるタイプで行き当たりばったりって感じる。
強いんだか弱いんだか?!不思議!
でも、別れの時が近付いてから2人の心がちゃんと固まって良かったです^^
Winterreise (冬の旅 シューベルトの歌曲)

【Gold,Ash,Darkgreen】【夜空を見上げて待っていて】
魔術師マギ×若い狼ウィン
2人ともルックス萌え!
マギの長髪と眉間のシワと隻眼メガネが、とってもストイック!
ウィンの犬歯とヨダレと伸びやかな肢体はキュートです!
タイトルは【金目、灰髪、森林】でしょうか?
こちらは、ウィンとの出会いとウィンが人になる訳
【夜空を~】は、マギが好きな近所の少女の気持ちやマギが自分をどう思っているかを色々考えるウィンの巻。
人として日の浅いウィンだから、ホント3歳児のようで天然で素直で可愛い!
苦悩顔が似合うマギも甘くなるの分ります!
この甘々ファンタジー、大好き♪続編お替わりします♪

前作から1年9カ月・・・なるべく早く次作を読めますように!

5

roseーlily

橘盾さま

わ~い、コメントありがとうございま~す♪
窓の景色とか、先生の着ていた鮮やかな服とか、油絵具のにおいとか。
そういうもので「あの人どうしてるかな?」なんて記憶をめぐらせる事って、誰にでもある気がして。
ふと思い出した人に偶然再会する運命が、すごくロマンチックなお話だと思いました。
いい話ですよね~♪
本みつかるとよいですね!
私も行方不明な本がいっぱいです(^o^;)

ローズリリィでした♪

軽妙でスパイスの効いたセンスが光る!

先生と生徒の再会もの、センチメタルジャーニーで出会った新しい恋、魔術師マギと人間になったオオカミのファンタジー
以上の3作品が、軽妙なタッチのラインからあふれるそのスマートな構成、流麗なのに意外にもがっしりした男の身体を描く絵、甘いだけでなくどこかピリっとした辛さをスパイシーに程良く感じさせるストーリーで、より魅力的に見せるお話として掲載されています。

町長の孫として期待されている中学生の主人公・植村が、新しく赴任してきた美術の先生・桐秋に興味を持ち、絵を習う事でその時間が楽しみになるのだが、
家に嘘をついて塾をさぼってまで絵画コンクールに絵を出すことを二人の目標に頑張っていた矢先、それが家にバレ、それから先生は姿を見せなくなり、コンクールの結果を待たずに街からいなくなってしまう。
それから7年後、画廊の個展で先生と同姓同名の作家の、明らかに自分をモデルにした絵と遭遇し、先生と再会する。

物語に大きな起伏や、空いた10年の描写があるわけでもない。
先生と出会い別れ、そして再会して、二人は忘れれない二人だったんだよ。
と、ただそれだけなのにやけに印象に残るのは、ひょっとすると、この先生のインパクトかもしれない。
つかみどころのない飄々としたそれでいてふわふわした、とても先生らしからぬ先生のその存在感。
事後に二人でまっぱでちゃぶ台前にしてお茶を飲んで語らう!!
ああー、、理想の姿ですwww
出会った頃、先生より小さかった植村が再会した時先生を追い越しているその成長にも注目。

2本目は、恋人に振られて本来一緒に旅行に行くはずだった為の貯金を遣って思いもよらない街に行ってみたいと訪れたベルリン。
だけど宿が水漏れで泊れず、途方にくれているところを助けてくれたのが、カフェのオーナー。
一人で切盛りしている彼を手伝いながら、一緒にいる居心地の良さを味わう主人公だが、ある日、彼が店の常連と寝ているのを見てしまい、自分が一人で浮かれていたのかと落ち込む。
センチメンタルジャーニーで出会った新しい恋とその始まりの話は、ただそれだけでこれからの始まりなのに、何故か心地がよいのです。
それはきっと外国が舞台で、マアタさんの絵とお話は外国にとてもよく合うからなのかもしれません。
このお話はかなり、ゲイっぽいです。

そして、この本の中で一番気に入って好きになったのがマギとオオカミの青年のお話です!
ストーリーは先ず置いておいて、ビジュアル的にマギが超超超ツボりました♪
クリップ式(?)丸眼鏡に、まとめて後ろで縛った髪。
彼がベッドでも眼鏡を外してくれないのはとても残念でしたが、髪を下ろすと美形!?
このマギも青年も身体ががっしりしているのですが、二人とも受け臭いし、攻めくさいし、リバの香りがプンプンするのですっ☆☆☆
元々、マアタさんの作品の登場人物は受け攻めがはっきりしていないっぽいです。どちらでもOKな様子を見せていますが、その妄想を掻き立てるのに最適な組み合わせだったという・・・
そして、お話は猟師の罠にかかって怪我をした青年を瞳が金色の青年が「弟を助けてほし」と連れてくることから始まります。
彼等は人狼ではなくて、弟を助けたい兄がオオカミの長老に頼んで人の形にしてもらった期間限定の人形(ヒトガタ)なのです。
マギはその足の治療を、代償の魔術によって直してしまった為に、村の家畜が犠牲になってしまうのです。
それにより、村人の憎しみがオオカミ退治になり、青年の兄も殺されてしまう。
そんな導入があって、青年がマギと一緒に暮らしていく始まりとなっています。
ワンコな青年と、結構メロメロなマギの姿が甘かったりもします。

お話はとてもシンプルなのに、単調でなく引き込む吸引力が非常に強い作品に自分には思えました。
居心地のよい作品、といえるのかもしれません。
あとがきは、本誌カバー下の本体にありますのでお見逃しなく♪

6

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