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表題作Blue Rose 榎田尤利作品集

客(高瀬/三津井/義父/雅弥/親友/トオル)
百瀬青
男娼「青薔薇」

その他の収録作品

  • Sleeping Rose
  • Weeds
  • あとがき

あらすじ

青山にある、看板のない『FILAMENT』。
そこでは花のオーダーができる。蘭、白百合、向日葵。
様々な花の一級品が揃っている。店で最も高価な花は青薔薇で――。
愛を売る青年、青の物語が始まる――!
(出版社より)

作品情報

作品名
Blue Rose 榎田尤利作品集
著者
榎田尤利 
イラスト
高階佑 
媒体
小説
出版社
大洋図書
レーベル
SHYノベルス
シリーズ
Blue Rose
発売日
ISBN
9784813012566
3.8

(50)

(16)

萌々

(15)

(16)

中立

(1)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
15
得点
189
評価数
50
平均
3.8 / 5
神率
32%

レビュー投稿数15

痛々しいけれど、名作

私は、現実世界では悲しくなることの方が多いんだからお話くらい幸せじゃないと!、という読書嗜好の持ち主です。
しかしこの本は、何度も閉じて、落ち着かなくなる胸を整えながらではないと続きを読めませんでした。
本屋で「あ、榎田先生の新刊だー。やったー。」なんて軽ーい気持で購入し、読み始めた自分に「覚悟しときなさい!」と教えてあげたい。

主人公の青の痛々しくて、歪で、哀れな愛を求める姿にはひどく胸が痛みます。
何度も読むのを止めかけました。
最後まで読められたのはひとえに「榎田先生の作品」だから最後には救いがあるはずだ、と思えたのと、自らが幸せになるために生活できるようになる主人公の姿が見たかったからでした。

作品は「blue rose」、「sleeping rose」,「weeds」といった3タイトルで構成されてます。

blue roseでは青とお客様との絡みでお話が回ります。
青がお客様に関わり、そのお客様達を的確に見抜き、心の悩みを払っていくんですよね。
『ほうほう・・なんかそういうお悩み解決して皆に愛されるお話だったりしますかね。時々出てくる不穏な空気は無視してもいいかな?』と最初から願いました。

なんてったって空気が不穏すぎるんです。
一人目の時は「精神が原因で時々摂食が困難」が発覚、二人目には「SMプレイにかこつけた危険な自己破壊願望」を気付かれ、三人目だと「自殺願望者にまぎれて自分も死のうとする」んですもん。
ここらでようやく、ただのはっぴーくるっぴーなお話じゃないことを観念しましたw

さぁ、sleeping roseでは何が来るのか。
榎田先生の初期作品ならそうとうディープなものが来るだろうなぁ・・と予測はしてましたが、想像以上でした。
もうこの章は読んでいただくしかない。
かなり青くんキてます。
一番キてる時に、自分が歪んだきっかけの一つの初恋の男に再会しちゃいます。
再会しちゃったので、堕ちるとこまで堕ちます。

何度「青ーーー!!しっかりしろ!」と頬を張り倒して目を覚ましてやりたくなったか・・・青君自身がそこから動くことを望んでないのでただの暴力になっちゃいますがw

本当にこういったまだ血がダラダラと流れてるのにさらに塩やら何やら盛り込んでいく様を見せつけるお話はたいっへん!もうほんと大変!!苦手なんですが、最後の最後に青君が本音をぶちまけるシーンは涙が出てしまいました。


ここまで散々不穏な感想を書きましたが、ハッピーエンドですよ!
堕ちるとこまで堕ちますが、ハッピーエンドです!!

普段ラブラブイチャイチャなお話を重点的に読んでらっしゃる方は、心を強く持って臨んでください。
主人公はある意味半端な奴じゃありませんのでw

11

榎田さんの書く重い話です。榎田さんワールド詰まってます。

まず本の見た目と作りが素晴らしい。

主人公が高級男娼というに相応しい、表紙の高級感と重量感、2段組み350ページ越え
そしてそれらに見合うこの価格。税込¥1,292

肝心な中身はというと、榎田さんの色々情熱が感じられた作品な気がしました。
初期作品だからでしょうか、すごく気合いというか本気度がやばかったです。
今の作風より話が全体的に重いです。

主要になる登場人物が多めなのに、この思い日常だけど現実とかけ離れた世界にすんなり入り込めたのは榎田さんワールドだからでしょうか。

普通はメインに進む2人のお話がセオリーのBLですが、これは主人公青が愛を探す物語。
もう一人の相手トオルは最初まさかの完全にモブ扱いで、改めて読むと面白い登場の仕方だと思いました笑
主人公青は高級男娼だけあって、とても魅力的でした。私も青の虜でした。完全に心酔してました。

相変わらずというか、登場人物1人1人のキャラクターが光っていて、
挿絵に出て来ないサブキャラ1人1人に物語を感じさせる書き方が本当に上手なんだなぁと改めて思います。

第2章のSMプレイのお話が少し前に出された、「優しいSの育て方」に通じる部分があって全然話とは関係ないところで楽しかったです。

この本見せ場が多いので読んでてお腹いっぱいになります。
一番は逃避行後の刃傷沙汰までの件なんでしょうが、私は個人的に高瀬が2回目に青を買ってトオルと青を二人にしてからのところとか、初めの方ですが高瀬母の介護のシーンとか好きかも。

そしてトオルがめっちゃ良いセリフを言うんです。
P.164上l.8 と P.164下l.6 (長くなるので本文は略させて頂きます)

小鳥遊と消えた青を探して見つけて連れ帰ろうとする海岸のシーンなんですが、
何が肝って、セリフ長いのに「。」と「、」が多いとこ。
気持ちが急いて言いたいこといっぱいあるのに感情と言葉が追いついてない必死なトオルの気持ちがすっごい伝わってきませんか。
特に個人的に「なんか、どうにも、つまんねえよ」ってとこがすごい好き。
すいません、すごーく細かいところで熱くなりまして・・・

トオルがすっごいほんと超いいやつ!こんな友達いたら最高でしょうね。

スピンオフ切実希望です。
高瀬メインの話で脇にその後の青とトオルを書いてくれたら最高です。

そういえば初版の時は義父との再会で終わってる形だったんですね。
終わりに満足出来なかった方々には榎田さんからのプレゼントのような終わり方かもしれません。高瀬さん人気なのですね笑 私も好きです。

7

榎田せんせーぇ!!

またまたトンデモナイ物語と出会ってしまった。古い作品に魅了されているので、どうしてか直感的にヘヴィーなものを引いてしまう。 むしろこういうズンと来るものを読みたいと思っているけれど、こう続くとなんでBLを読んでいるのかわからなくなってくるくらい、打ちひしがれてしまいます。。

ただ一人の愛を求めながら、金で買われた相手に愛を売る高級男娼・百瀬青の物語。青の客が物語の主人公と見せ掛けてストーリーに導入していくツカミが上手い。冒頭、高瀬の自宅に会社の共同経営者からご褒美として遣わされた青が訪ねてくるシーンで既に彼の存在に惹きつけられている。とにかくミステリアスで魅力のある青年なんです。

契約期間を終えると、高瀬の家で偶然青が再会したトオルって一体何者?…気になる謎を残しながら青は次の客、外科医・三津井のもとへ。SMプレイで客の望みを叶えると同時に、悩みも受けとめる青。三津井による調教シーンそのものも楽しませてくれながら、このエピソードに込められている重要な意味が後に明らかになり、登場してくる人物が次々と繋がっていきます。

トオルが通う大学の教員・小鳥遊の客となったあたりから暗くて重い展開になっていく感じ。この時点で一旦、わたしは耐え切れなくなって思わず絶叫しそうになりましたよ…。

「Sleeping Rose」は、青の初恋の人とのドラマが描かれています。榎田先生って、読むのが辛くなるほど激しく揺さぶられるような、こんな痛々しいお話も描かれていたんですね。読後の虚脱感が激しかった。「Blue Rose」に出てきた高瀬が再登場するんですけど、ここではむっちゃイイ男ぶりを見せてくれます。実は作中で魅力的なキャラNo. 1なんじゃないかな。

一番好きな人とはセックスをしなくても心が通じ合っているだけで満たされる。男娼を描くことでそう伝えてくる先生の手腕に、改めて脱帽です。

最後に「Weeds」が収録されていて、この小品によって救われる思いがしました。そこらへんが先生らしい読者サービスなのかもしれません。

6

独特の雰囲気

何処が良いか、具体的な点を挙げられないのですが、何となく全てが良いのです。
好きです。この作品。
物語を流れる空気感というか、全体の雰囲気が今までにない感じです。

あとがきに、主人公 百瀬青が愛を探す物語とあります。
まさしく、それです。
全体を流れる独特の雰囲気の正体はそれなのです。
特定の二人の恋愛物語ではないのです。
普通のBLとは違うのです。

愛を売る男娼の青、その愛を買う人。
そして、愛を売りながら、必死に愛を探す青。
せつないです。

ただ、最後の『Weeds』は、余計です。
これがあるために、無理矢理小さくまとまってしまった感じ。
折角の空気感が台無しです。
いらないわ、これ。
むしろ、表題作だけで良い気がします。


3

青の生き方が気になる

極初期の作品を推敲して2012年に発刊した作品。
電子版は、三部構成と合冊版があって、挿絵無し。同じあとがき。
紙版は、3部合冊版と、2001年の「Blue Rose」と「SleepingRose」の二種類。
紙版を破棄して、電子版を購入したら、挿絵が無くて凄く残念。

一度きりしか注文に応じない男娼、
青は「愛を売る」というけど、客から壊されたがる。

愛人契約をした客の家で、幼馴染と偶然遭遇。
トオルは、青の変貌が気になって、青の拠点「フィラメント」を探して青を待つ。
そしてずっと借りていた児童文学書を青に返す。

青の過去と内面を掘り下げる、あとがきに「愛を求める」話とあったけど、
「Blue Rose」は、序盤。
「SleepingRose」では、青の過去。
「Weeds」で、青はやっと欲しかったものを得て救われる。

生き直す物語は、魚住君シリーズと似ている。
この作品、もっと多くの人に読まれても良い作品じゃないかと思うのだけど。

0

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