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表題作彼の幕は春にひらく

自ら劇団を主宰する侯爵 柴羽芳成
男娼 ハル

同時収録作品サクラ咲ケ

おバカ高校のヤンキー 滝川大和
塾講師のアルバイトをしてる大学生(地味)

同時収録作品恋の穂先と書のいろは

高校の後輩 間宮大吾
書道部の部長 水戸

同時収録作品御馳走のフレーバー

借金で転がり込んできた叔父 和昭
弁護士秘書の甥 千葉諒祐

あらすじ

貴族の紫羽芳成と美しい男娼のハルは嵐のように出会い惹かれ合うが、やがて二人に別れが…。表題作一挙80ページ描き下ろし!

(出版社より)

作品情報

作品名
彼の幕は春にひらく
著者
楠原彰 
媒体
漫画(コミック)
出版社
オークラ出版
レーベル
アクアコミックス
発売日
ISBN
9784775518663
3.7

(4)

(1)

萌々

(2)

(0)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
3
得点
14
評価数
4
平均
3.7 / 5
神率
25%

レビュー投稿数3

独特のタッチが作品を引きたてる

表紙のタッチが独特で、しかも貴族と男娼と言う設定に普段なら地雷警報が鳴りわたるはずが、この本を実際に店頭で見た途端「あ、これはちょっと違うかも?」と勘が働きました!
開いてみて正解!!実に自分好みの作品だったのです!
それは、アナログな雰囲気の絵が醸し出す雰囲気が、ともすれば薄っぺらくなる短編の物語に厚みを加えるのですv

表題は、日本の明治~大正をイメージした全く別モノの世界。
「艶漢」みたいな世界観ですね♪そうした独自のファンタジックな世界が設定されているから、いわゆるよくある遊郭モノみたいなベタにならないんです。
男が男を買う事が高尚な趣味で権力の象徴であると言う設定。
だから男娼は特別な存在なのかもしれません。
美貌の男娼ハルが出会ったのは、柴羽という劇団を主宰している貴族。
彼に惹かれたハルは彼と関係を持つのですが、事後には娼館にお金が送り届けられてくると言う、あくまでも客と男娼の関係。
しかし柴羽は侯爵であるがゆえ、逆らえない家の役目が待っており劇団を辞めざるを得なくなります。
そしてハルにも会えなくなり、悲しむハルですが・・
という、結構ストーリーを重視して深く読みこもうとすると、アレ?アレ?みたいな部分もあったり、柴羽は一体どういう身分なのか?みたいな謎もあったりするのですが(多分きっとそうだろうとは思われるw)
いわゆる、オペラでなくてオペレッタ、小説でなくてムック、みたいなそんな軽さを軽妙に演出して、ドラマティックではあるのですが、重たいドラマティックにはなっていない点がとてもいいのです。
そして、登場人物達も外見も魅力的ですし、エッチ部分も色気があります。
実にオリジナルの世界観が生きているお話です♪
ハルのタキシードを脱いだシャツがバックシャンなのに注目☆☆

他の短編も、話的には平凡なのに絵によって非常に魅力的になっていると思います。

『サクラ咲ケ』不良が突然大学へ行く!と言いだして塾へ通いだすのですが、そこの大学生のバイト講師が課外授業で勉強を教えてくれるのに、惚れてしまい、脈あり♪とみた不良は合格したら恋人になってください!ってお願いするのです。そして・・
この不良君の表情とか、先生がかわいいとか長髪でなくて短髪黒髪の平凡な感じの雰囲気なのが、とても自分的好感度高いですv

『恋の穂先と書のいろは』遊びで描いた書の力強さに魅せられた書道部の部長がその生徒を書道部にスカウトするのだが、部室に遊びに来ても書は書いてくれない。
だけど、彼が部室に来ると室内が明るくなって・・・
書だけでなくて人柄も好きになるという恋愛がまっているのだが、告白の仕方が実に書道部でよかったのです♪

『御馳走のフレーバー』借金取りから甥のところへ逃げてきた叔父。
毎日名にするでもなく、生活力のない叔父の面倒をみなくてはならなくてやれやれと思う甥なのだが、ある日弁当を買って帰ると叔父が料理を作って待っていた。
叔父と甥の近親関係ではあるのですが、ちょっと切ないタッチが他の作品とカラーがまた違っていい雰囲気です。

短編集だとラスト必ずエッチがあって、ついあ~あ、、みたいな薄さを感じることが、残念に思うことが多いのですが、この作家さんの作品はそんな事が一切ありませんでした。
自分が気に入ったひいき目もあるかもしれませんが、
この絵の好みに非常に好き嫌い別れるところですが、気に入れば結構ツボる作家さんではないでしょうか?
自分は大好きです!

2

貴族と男娼の本物の恋

とっても素敵な作品なんですよ。切ない恋心が溢れているんです。
男娼と貴族の話なんですが、いつも読んでる作品の男娼とはちょっと違う。
悲壮感もなければ、虐げられてもいない、何やら高尚な遊びの男娼でした。
そしてお相手の貴族も偉ぶっていないし、貴族で高貴な身分なのに演劇の演出や
話を作っていて、劇場まで持っているんです。

別の貴族と揉めていたところをさり気なく助けられた受け様は、演劇をしている
攻め様にさらりと見に来てなんて誘われて行って、そこで何となく流されて抱き合う。
攻め様の受け様に一目ぼれだとか特別だとかさらりと言った言葉が後に実感できる。
また受け様も攻め様に何となく惹かれ、友達になれるかもなんて淡い思いを抱くが
仕事以外で抱き合ったと思っていたのに、その後に届けられたお金で攻め様も
やっぱりお客なのかと少し落胆してしまう。

抱き合いながらもどこかすれ違ってるような雰囲気があるのですよ。
それは互いに胸に秘めた思いがあるからなんですよね。
突然離れなければならなくなった二人の再会場面は互いの感情が溢れ出る瞬間が
感じられてとても良いのです。惹かれる作品でした。

1

ピュアなんだけどちょっとチープさのある作品集。

絵がとっても好きな作家さん。
めちゃめちゃ上手いです!トーンに頼らず、線で陰影をつけていくタイプの絵がものすごい好みなのでめちゃめちゃツボでした~!!
キャラの描き分けも豊富だし、つり目、タレ目、美人、地味、素朴…と、いろんなタイプのキャラが描かれてます。そこも魅力!

ただ、ストーリーや展開はいまいち…?
オリジナリティのある設定やシチュなのはいいのですが、その設定を活かした展開になってないのか、結局「ありきたりな話」になってるのでインパクトに欠けるというか…。
男の料理みたいに大味でざっくりした演出・描き方で、ピュアっちゃピュアなんだけど、セリフがチープなのか、どうも重みがないのが残念でした。

4組のカップルが出てくる短篇集。

■彼の幕は春にひらく
大正、昭和風オリジナルファンタジー。
貴族中心の社会で、高貴な身分の男が男娼を侍らせるのがステイタスになるという世界の話。
人気劇団の作・演出者の侯爵×美人男娼。

世界観はよかったが、攻めは男遊びなどまったく興味が無いような男だったのに、受けと出会ってあっさり惚れて彼を抱いてしまったので、残念だった作品。
結局、見た目がキレイなら問題なく男でも抱けるんだ…みたいな。
二人が惹かれ合った理由もよくわからないし、今まで男に手を出さなかったのはなんだったのか…せっかくの設定が活かされてない!もったいない~!!と勝手に悶えてました。
迷い、焦らし、躊躇いとか…そういうのがあってこそのBLだと思うので。

■サクラ咲ケ
背が高くてつり目でカッコイイバカ校のヤンキー×地味なスポーツマンぽい塾講師の大学生。
バカなりに頑張ってる自分のために、時間外に補習してくれる塾講に惚れて、告って、合格してエッチする話。
なんで攻めのおバカヤンキーが突如「大学行こう!」と思い立って頑張りだしたのかは最後まで謎でした。
ということで、脈絡なく勉強頑張りだすのでいまいちのめり込めない。なぜ彼は大学を目指したのか…。地味に気になります。

■恋の穂先と書のいろは
高校の後輩(帰宅部)×書道部の部長。
攻めの筆文字をたまたま見かけて惚れた受けが、勧誘したことがきっかけで仲良くなり、いつの間にか両思いになる。
ページ数少ないし、ほんと「いつの間にか」両思いになってるので読者はおいてけぼり。入部しなくてもたまに遊びにきてくれるだけで嬉しい、というような受けの健気さがかわいかったのかしら?
大きな波はないほのぼの作品です。

■御馳走のフレーバー
借金作って転がり込んできたろくでもない叔父×弁護士秘書の甥。
昔はご飯を作って自分の世話をしてくれた叔父が密かに好きだった甥が、文句言いつつも居候させて、こっそりチューしたら、実は起きててエッチに発展したものの、事後謝られて出て行かれる話。2年後、借金完済して叔父は帰ってくる。
ガチ親族だし、借金とか居候とかいろいろ切なさを煽る素材はそろっているのに、これもどうしてか男の大味料理といった出来栄えで、深みがなく、感動がいまひとつなんですよね……なんだろう??
いろいろもったいないな~~~!!!!(><)と思う作家さんです。

でも、絵はとってもキレイなので、さくさく気楽に読むBLとしては1回手にしてみてもいいと思います。

《個人的 好感度》
★★・・・ :ストーリー
★★★・・ :エロス
★★・・・ :キャラ
★★★・・ :設定/シチュ
★・・・・ :構成/演出

1

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