早く言いなよ、俺のことがスキだって。

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表題作好いたレベルはどれくらい

安田一郎,父親の部下の会社員
吉野弓彦,部長の息子の高校3年生

同時収録作品こんな感じで始まります

同時収録作品こんな感じで続きます

安田一郎,会社員
吉野弓彦,恋人の大学生

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

父親の部下である冴えないサラリーマン・一郎を落とすことに決めたイマドキ高校生・弓彦。
始めは遊びだったけれど、気があるようでいて子供扱いでかわす一郎の煮え切らない態度が、弓彦の闘争心に火を点けて――?

(出版社より)

作品情報

作品名
好いたレベルはどれくらい
著者
館野とお子 
媒体
漫画(コミック)
出版社
東京漫画社
レーベル
MARBLE COMICS
発売日
電子発売日
ISBN
9784864420655
3.8

(85)

(23)

萌々

(36)

(18)

中立

(5)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
18
得点
318
評価数
85
平均
3.8 / 5
神率
27.1%

レビュー投稿数18

大人と子供の流れる時間

10年に出た東京漫画社のアンソロ「女装男子 bitter」に掲載された短編が発端で、それから繋がったシリーズ。
このアンソロ既読なのですが、この作品全然覚えてなかった(大汗)
だけど、そうかーそういう方向へ持っていったのか!と、女装ではなくて”年の差”に着眼点をおいて展開していく。
ここまで的確に”年の差”を共感できるレベルで表現した作品ってないんじゃないかな?って、普段だと社会人と高校生の組み合わせって、その壁をが易々と超えすぎていてあまり好きじゃないのですが、今回に限っては、すごくすごくこの組み合わせが好きです♪
そして、年上の会社員が撮りたたてイケメンで表現されてない、どちらかというと糸目な、細い目なんですが、、、この糸目(細目)が実はツボだったりするのです!

父親が家に連れてきた部下の一郎。
高校生の弓彦がビールを飲んでいるところを注意され、「ふん、負け犬のくせに」と悪態をついていたところ、彼が忘れた携帯電話を見つけちょっといたずら心で間違いメールを装い、女子大生になりすましメールのやり取りを始めたのがきっかけ。
まめに返信が帰ってくるから、知らない間に一郎に詳しくなり一郎に関心を持ち、そんな自分にケリをつけるためネタバラして終わりにしようとして、会うことになり、その場所へ女装して出かける弓彦。
結局一郎には何もかもバレていたのだが、お仕置きでオデコにされたチューに動揺して、そして「君の気が変わらないなら」と、二人の恋人でも友達でもない不思議な関係は続いていくのだが・・・

これが、序章部分で本編はそこから弓彦の子供らしい手口での一郎の気を引きたい執着と、それを大人の余裕でかわす一郎と、あれやこれやの気持ちの変遷を見せて進んでいきます。

その中で一番「そうそう!」ってすごく納得した一郎のセリフがあるのです。
一年前初めて躱されたときに一郎に言われた「大人になったら」という言葉を持ち出して、一郎の本心を弓彦が確かめようとしたときの一郎の言葉。
「君と僕では時間の流れる感覚も、日々の吸収するものの大きさも違う」
その前フリに、3年前の弓彦は何をしていた?その頃好きだったものは?って一郎が質問してるんです。
そして自分は大人で会社員で、毎日会社と自宅の往復でという話をする。
自分が常日頃感じている、子供の頃の時間の密度の濃さ。
子供のときは時間が経つのが遅くて仕方なかったのに、大人になるとそんなに変化はないくせに時間の流れが早くなる。
この説得の仕方に、妙にリアルがあり、共感を覚えてしまい、
そこから本気モードになった弓彦が思い、行動しては自己嫌悪に陥ったり、スレ違いを感じたり、色々なものを見て感じて実感して、それでも・・・
と行く姿がとても良いのです!

そして一郎も、その言葉は最初から「無理だよ」と説得しているようでいて、絡んでくる弓彦を無下にもできない、その戸惑いと大人の態度をとりながら、弓彦に巻き込まれる覚悟をする、
ゲームを自分で決着つけることで結論を出すのだが。
一見流されのようでいて、そこにちゃんとある大人と子供の温度差。
簡単に「やれやれ、君には負けたよ、完敗だ」でない結末でないのがいい。
最後の最後にある、ボソっとつぶやかれる告白が、いいじゃないか!

煮え切らさなさも大人の態度。
だけど全然イラっとしない。
両者に共感を得ながら、ゆっくりとじわじわと結末を迎えるこのテンポが心地よい。
ああー、BLを楽しめる大人の醍醐味だな~♪って、思わずビールを飲みたくなるwww



9

あっさりめなのに上手い!

私は特に女装に萌えを感じないのですが
父親のさえない部下をからかおうとして始めた
悪戯メールが度を越して
姉の化粧等持ち出してまでっていうのが可愛らしかった!

落としてやるつもりが、
本気になって相手にされなくて、
気持ちが通じるのかと思いきや
大人の対応されてがっかりとか…。

「ついに俺の勝ち?」と笑って言われた一郎にしてみれば
“やっぱりからかわれたんだな”って思わざるを得ない。
弓彦は当初の目的以上の気持ちだったのだけれど、
口から出た言葉は取り消せない。
「君の勝ちだ。俺の負け。もうそれで勝負はおしまい」という
一郎のセリフにぎゅうぅぅぅとさせられました!!

高校生の本気だなんて
数か月単位でコロッと変わるもの。
大人になったら生活サイクルや気持ちが
何年も同じだけれども
若いうちは何でも変わる可能性があるし、それが普通。
それは誰にも咎められない。

こういう葛藤は
雁須磨子さんの『連続恋愛劇場』(非BL)でも
すごく共感できました。
年の差故の価値観の違い、立場の違い。
相容れないのに
それでもお互い好きな気持ちは変えられないという…。

一郎さんが男らしくエロい『こんな感じで続きます』(描き下ろし)が
わあぁぁぁ!!になりましたw
もっと、もっと弓彦を啼かせてやってくれ!!!と。
くそ生意気なガキに思い知らせてやれ!的な。
言い過ぎですみません;
後半すっごく可愛いんですけどね!

表面では適当ぶってる弓彦が
実は相当一郎を気になってるとか
のほほんとしている一郎が
年甲斐も無く弓彦に惹かれていたとか
館野さんは本当にツボをぎょわんと突いてくるなぁ…。

6

年の差の描き方がステキでした。

Cabで連載時に何話か読んで、
あんまり好みの絵ではないなぁ~なんて思いながら、
(もっと描き込んである絵の方が好きなのです)
なんとなくもう読んだ気になっていた作品でした。
なので、
コミックが発売されても誘われなかったのですが、
東京漫画社の夏フェアの小冊子が欲しくて、コチラを購入~
(他の対象本は全部購入済みで…。続きの漫画が4ページ分載っていました)

いざ読んでみると…
うわ、コレ通しで読んだら結構好きだ、ツボかも……!w
じわじわと面白さがくる本だと感じました。

絵はやっぱり、もうちょっと描き込んでくれるといいのになぁ~と思いますし、
攻めがシーンによって結構若くもすごくオッサンにも見えて、
実際は幾つなんだろう…気になる…とか思ったりするんですが、
なんだか、そう思いつつも、
そういうのも含めて味わい深く感じながら読んでしまいましたw


受けの高校生は、
父親の部下のパッとしない男に飲酒を注意されて、
最初はちょっとした仕返しのつもりで、ぎゃふんと言わせたくてイタズラメールを。
なかなか思い通りにいかなくてムキになって、女装までしちゃうのが可愛い。
実はすべてが最初からバレていたと分かった時、
パッとしないと思っていた男に、自分とは違う “大人の差” を感じて惹かれる…
そんな気持ちも、
気を引こうとワガママを言って振り回そうとするけど、いまいち相手にされないのも、
それでも何度もあの手この手でぶつかっていく若者らしい真っ直ぐさも、
なんだかとてもリアルに感じて、…愛おしい。

攻めの地味な会社員は、
途中でイケメンに変身したりしないのがよかったw
受けのワガママに振り回され、好意を感じつつも理性的でいようとする、
そのスタンスは結構好み。
(だって、上司の子供で高校生でしかも男の子なら、普通簡単に手は出せないよ~)
でも、
そんな大人だって揺れもするし脆くもある。
それを高校生相手に晒してしまうこともある。
そんな色々が積み重なってふたりの関係は進んで……


最後までずっと大人と子供の差をしっかりと見せて年の差をリアルに描きつつも、
物語として現実的過ぎもしないところが、
とても素敵で上手いなぁ~と感じた1冊でした。

6

大人と子どもが並んで歩けるようになるまで

あらすじにあるように、高校生男子がふとした思い付きで父親の部下を落とそうとするお話です。

「大人」:「高校生」の対比がリアルでした。
生活も考え方も全然違っていることが、リアルでは当たり前なのにこうしてお話にされて改めて感じられました。
で、それでも少しずつ気持ちが近づいていて、じりじりとしたそれの表現がまたリアルなんです。一足飛びにくっついてしまうのでもなく、ぐだぐだ悩んで勝手に泥沼に落ち込むでもなくて、ふとしたことでほんの少し揺れる気持ちが積み重なっていく様子が丁寧に書かれていました。
控えめな演出で無駄のない表情やセリフで、じんわりと伝わってくるものがたまらなくよかったです。

子どもは小さな歩幅でちょこまか歩き、大人は大きな歩幅でゆったり歩く。
追いかけたり待ったりしながら、だんだん自然に並んで歩けるようになっていく。
その過程を描いたようなお話でした。

4

大人と子供

最初の1話は女装アンソロジーに掲載だったらしく
受けになる弓彦が女装して相手を騙すお話からになります。

父親の部下・一郎。
この男を落とそうと、いろいろと策を練るんだけれど、大人な対応の一郎。
そんな2人の駆け引きというか行動というか
最初は意地になってた部分も、本気になり始めたり
大人として逃げてる部分もあったりで、ちょっと切ない感じかな。
だけどお子ちゃまの方が行動早いというか素直というか。
一郎は振り回されて丁度いんじゃないかなと。

3

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