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「あなたの好きな作家さんだけど、どなただと思う?」と渡されたら、当てるまでにかなり時間がかかっただろうと思います。
表紙でまずわかんない。別名が書かれていたら、おお、また素晴らしい新人さんが!と、ひとり大騒ぎしそうな自信がある。
読んでいくうちにだんだん、やっぱり館野さんだと思える箇所があるんですけどね・・・。セリフがなくても表情だけで語らせてるところとか。ほんとに素晴らしい!
ところどころ、らくがきのようなラフさにもびっくりです。雑っていう感じには見えないとこも、センスかなと思えてしまう。
画風は以前と変わっていても、内容は館野節ご健在で、あ~こういうの読みたかった~~~っと、なんかこう温泉に浸かって第一声みたいな、アレです。
真夏に汗だくで家に帰ってきて、まず生ビール飲んだときのアレでもいい。
まったく接点のなかった他人がひょんなことで同居し始めるお話です。
片やゲイで遊び人の奥、もう一方の持田はノンケの童貞。でも、とどのつまり二人とも恋愛経験はないのですよ。
童貞君のほうが、そういうことに疎いんだとわかる分ましかもしれません。遊び人だとやることやってるもんだから、相手に恋してても自覚がなかったりするものなのでしょう。自分の口から出た無意識の言葉で、初めてその感情に気づいたときの驚いた顔ったら。ドッキューンです。私が。
結末はきっとこうなるんだろうとわかっていても、そこに到達するまでの互いの機微が丁寧に描かれてあるので、ぐうっとお話に引き込まれてしまいました。
徐々に甘くなっていく空気感、柔らかくなっていく表情、気持ちが寄っていく感じがとてもよくわかる。穏やかな変化の加減がすごくいいんです。
なにしろいいなぁと思ったのは、誰にも懐かない猫のような奥が、持田だけに喉を撫でさせてくれてゴロゴロ言ってくれる感じ!ドリームです。
出てくるほかのキャラもそれぞれみんな魅力的。
食えない感じの筧君、オカン気質の樋口君、けっこう鋭いサトル君。
どのコが主役でもドラマチックなのになあと思えるのに、いちばんさえない持田君が主役ってのも、また面白かったです。
もう1本の「きみまでの距離」ですが、短いのに先の作品よりもさらに内面を描いていて、これもまた好みでした。真面目な主人公のモノローグは、せつなくて胸に迫ります。
購入したのはずいぶん前のことなのですが、先日久しぶりに読み返したところまた更にこの本が大好きになってしまったので思わずレビューです。
無愛想で人付き合いが苦手というか嫌いなゲイの奥くんと、素朴で普通、だけど心はしっかりしている持田くんの、二人の大学生のお話。
ゆっくり目のテンポで、ぽつんぽつんと置いていくような話し運びがとても心地よく、読後にじんわりと二人のその後を想像しては一人にやにやしてしまうような作品です。
同居生活の中で奥くんが持田くんにだんだん心を開いていく様子が、読んでいる自分も持田くんの心境と同じように嬉しくなるくらいリアリティのある心理描写がとても素敵でした。
また同時収録の<君までの距離>も短編ならではの楽しみ方ができておもしろいです。
学生と社会人の間にできる微妙な隙間がリアルに描かれていて、その上で男と男・友達と恋人の距離感で揺れる二人の恋愛模様に惹きつけられました。
やっぱり舘野さんの漫画の空気は透明感があって心に残ります。
もう何度も読み返しているけれど、きっとまた手にとってしまう日は近い気が…。
静かな部屋で一人、ゆっくりと読んでほしい一冊。
なんか良いツンデレ作品ないかなぁと思って探してたら引っかかったこの作品。
特別ガツンとくるわけではないのですが、このじわじわと押し寄せてくる萌えが心地よくてですね・・・。
結構淡々としていて感想を書くのが難しいです。
ただ、言えるのはこの本よかった・・・!また読み返したい!と思いました。
私が一番好きなシーンは、
攻め「好きだって言ったらやらせてくれんのかよ」
受け「え」
攻め「え」
攻め「え」
のコマが絶妙で何回ここを読み返したことか(笑)
結構前のコミックですが、ツンデレ好きさんには是非ともおすすめします!
◾︎表題
みんなに愛される持田くん。捻くれた奴がガン首揃えてるので、そこに捻くれてない子が放り込まれで生まれる浄化作用。
相変わらずの館野先生で、例えば公園で持田と奥が会うところとか、もっと大ゴマ使って演出過剰にやることも出来る。けど、それをしないのが先生。あっさりして個性がないようで、そのあっさりさが物凄く先生の個性という、数冊読んで気づく面白さ。
リバでも良いな。
◾︎君までの距離
こちらとても好きです!!!単品なら神つけたい程好き。
斎藤さん美人。舘野先生のあっさりした絵柄なのに美人ってハッキリわかる。いや、私がツン気味の受けが大好きだからとかそれだけではないはず。
このクール系美人が名前のない関係性に不安になってるという事実が尊い。
派手な話じゃない分、想像がし易くてドキドキした作品。日常っぽさが魅力です。
ホモとノンケの話です。一人暮らしをする為にバイトを探していた持田は、同じ大学の塚原の家に同居し彼を見張るというバイトをする事に。しかし塚原は頻繁に男を連れ込むホモだった!
塚原のホモやら男を連れ込むって事に始めは戸惑っていた持田だが、一緒に暮らすうち徐々に塚原の事を理解し友達として受け入れる。
ココではまだ友達という雰囲気なのですが、彼が持田にだけは心を見せ始め、それを次第に心地よく感じ、優越感が芽生え始める持田。
基本、友人以上恋人未満という曖昧な位置。
ターニングポイントはある夜に塚原の部屋から洩れ聞こえてきた情事とわかる声に、持田は反応してしまった時だ。どうして、自分はホモじゃないし!って慌てます。
でも心のどこかで気付いている。
何でこんなに惹かれて気になるのか。
だけど一歩踏み出せなくて、自分の中に芽生えた気持ちを「恋」だと断言出来ない持田。
この作家さんは良い表情を描く。
恋に堕ちる瞬間、恋に気付く瞬間、言葉じゃなくて表情で語る。
もどかしくてピュアだった。
片方が小慣れているホモだったけど、すっごい純情モノだった。この作家さんらしいゆっくりとした恋の過程が可愛くて良かったです。
描き下ろしの後日談も微笑ましくて、キュンキュンさせられまくりでした!