平凡な会社員の諒一は、些細なきっかけで税理士の沖野と出会い、ゆっくり恋を育んでいく。けれど、思いがけない出来事が起き…?

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表題作リフレイン~君の心を眠らせないで~

沖野司,30歳,バイの税理士
吉永諒一,28歳,司と同じマンションに住む会社員

その他の収録作品

  • クリスマスの記憶
  • Day by Day
  • あとがき 鳩村衣杏
  • あとがき 小椋ムク

あらすじ

「雪は天使の羽根なんだよ」そう教えてくれたのは優しい恋人。でも、彼はそれを覚えていない――。営業マンの諒一は、宅配の誤送がきっかけで同じマンションに住む沖野と親しくなる。無難な人生を望んでいたのに、強く優しい沖野に惹かれ、友情はいつしか恋に変わった。戸惑い悩みながらも二人は恋人になるが、幸せのさなか沖野が事故で記憶を失い…? 愛しさ満ちる極上の恋、書き下ろしも収録して文庫化!

(出版社より)

作品情報

作品名
リフレイン~君の心を眠らせないで~
著者
鳩村衣杏 
イラスト
小椋ムク 
媒体
小説
出版社
海王社
レーベル
ガッシュ文庫
発売日
ISBN
9784796403573
3.8

(48)

(15)

萌々

(20)

(6)

中立

(4)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
10
得点
177
評価数
48
平均
3.8 / 5
神率
31.3%

レビュー投稿数10

王道じゃない記憶喪失

ひょんなこと(宅配便の取り違え)から友人として仲良くなった司と諒一。

ある日、実は司はゲイだと諒一にバレてしまう。しかし、諒一は偏見することもなく、仲のいい友人として接していたが、、、諒一は司に惹かれていってたのだ。そして二人の想いは通じるのですが。

このお話の素晴らしいところは、よくある記憶喪失モノではなく、結局記憶が戻らないというところ。
普通は何かをきっかけに思い出し、めでたしめでたしなんですが、司は結局思い出せない。
それでも過去の自分を日記を頼りに、そして諒一の立場に立っていくうちに二度目の恋に堕ちる。そこが非常に良く練られていて、切なくもあり、萌えどころでもあります。
そして、諒一も気がつくんです。当初の司の気持ちや思っていたこと、悩んでいたことが逆の立場に立って実体験として身に染みる。
もうね、ホントに良いです。

諒一が司に惹かれていった動機はちょっと薄めですが、それ以外は矛盾なく相手を思いやるというのが二人共にあって、とても応援したくなるCPでした。
幸せになって欲しい。

1

葛藤が描かれている

一言で言うと、非常に面白く、心揺さぶられました。
正に「ドラマ」!
本作は鳩村衣杏さんお得意の「お仕事BL」的な側面はあまりなく、一貫して2人の関係性を描く「恋愛小説」となっています。が、甘さも切なさも十分すぎるほど十分描かれながらも、決してベタベタせず、かといって硬質に突き放しもせずに、そのバランスが絶妙。
そして、何といっても2人の葛藤というものがしっかりと描かれている。
特に主人公・諒一(ノンケ)の葛藤は非常に強くて、最後までのHにはなかなかすすめず、愛してるとも言えないのです。
それでも2人の甘い恋人時代が始まるのですが、やっと繋がった2人に大変な事件が起こり…

基本的に記○○失展開は、あんまり好きじゃないんです。コレが来ると、物語に逃げを感じてしまう。
ですが、本作はなぜそうなってしまうのかの元の事故がすごくリアルで、誰にでも起きそうで、物凄く怖い。そして、子供に戻ったり急に眠ったりの「病状」もリアル。
諒一個人はもちろん、諒一との関係も全て忘れた司にショックを受ける諒一だけど…
ここからの展開もまた秀逸です。
司が書いていた日記の描写で、いわゆる「攻め視点」を挟みこみ、ノンケの諒一が感じていた葛藤と同じく、ゲイの司がノンケに恋なんかしちゃいけない、と揺れ動いていた様が明かされます。
そんな2人がお互いに歩み寄って恋が始まったのに…という切なさが嫌味なく迫ってくる。
そして、怖気づく諒一を優しくゆっくり待っていつも寄り添ってくれた司を、今度は諒一が支え、待ち、そばにいる。
役割が逆転してのリフレイン、繰り返しなのです。
記憶喪失ものには珍しくなかなか記憶は戻らず、ここからはある種「輪廻もの」の方法論、つまり「何度でもまた君に恋をする」というパターンが現れますが、ここでのリフレインは単に以前の繰り返しではなく、新たな司、新たな諒一として、新たな恋を続ける…

「クリスマスの記憶」
事故が起こる前のクリスマスのエピソード。
来年、再来年はどうなるかわからないけど…という事くらいは誰でも頭をよぎるけれど、本当に自分や大切な人に何が起きるのか、それは誰にもわからない………運命の怖さ。

「Day by Day」
司視点。事件から2年近くたって、もう過去に囚われるよりこれからの思い出、これからの気持ちを見つめたい、という境地の司の姿。

司の知人CPの言葉、これが印象的でした。
『安穏と暮らすために誰かを好きになるわけじゃないんだからーーー』

7

名作ですよ!

記憶喪失ネタって本当に多いのですが、このパターンは初めて読みました。ほぼほぼ全ての作品が、愛する人の記憶が戻ってメデタシメデタシで終わりますが、これはそんなワンパターンでは無いです。かといってバッドエンドではなく、深い余韻の残るハッピーエンドなのです。

この作者さん大好きなのですが、この作品はちょっと表紙からしてテイストが違うと手付かずでした。しかし、評価の高さから手にとってみたら大当たりでした。皆様、レビューありがとうございます!!

元々同じマンションに住んで居る二人が、宅配物の誤配から知り合い恋に落ちる。その後、攻めが事故に遭い、記憶を無くす。

ゲイ×ノンケだった為に二人の関係はすんなり進みません。お互いに好意を持ちながらも、未知の世界に対する恐れや、セクシャルマイノリティとしての臆病さみたいなのが出てしまうのですね。このあたりがしっかり書かれているので、二人の何とももどかしい関係、そして乗り越えて恋人になった時の喜びが自分の事のように感じられます。そして、やっと恋人としての気持ちを育み始めた矢先の記憶喪失。

攻めが記憶喪失になった為に、ゲイだったという記憶も無くしてしまいます。最初のゲイ×ノンケの関係から、今度は逆にノンケ×ゲイになってしまうのですね。ここからの受けが非常に男前で、傷付きながらも頑張る姿が印象的です。そして受けが「自分に何かあったら」と攻めから預かっていた荷物の日記を読むシーンが非常に切ない! その日記には、受けと出会い、恋をして結ばれ、恋人として付き合って行く攻めの気持ちが赤裸々に書かれています。「ありがとう。ありがとう。ありがとう。勇気を出してくれてありがとう。」の一文には、もう涙腺崩壊です。こんなに強い感情が消えてしまった事に愕然としちゃうんです。

この後、二人はまた恋に落ちますが、受けが諦めずに関わり続けた為です。ゲイのために、ノンケとの恋愛に怖じ気づいていた攻めに、最初にアクションを起こすのも受けですし、記憶を無くした後も行動を起こし続ける受けに拍手をおくりたい!!

全て元通りという訳には行かないですが、新しい関係を築いていく二人に深い感動をもらいました。

6

脇役CPのスピンオフもありそう

どこかの時点で記憶喪失になるということがわかっているので、恋が始まり進展していくのを手放しで楽しめないのが悔しい。すごく臨場感ある展開なだけに。
子供の頃買ったドラえもん全巻、ジャンケンで負けた方が次の電柱まで持つ荷物、この辺りがきっかけで記憶が蘇るのでは?と期待も空しく、最後まで思い出してくれなかったのが辛かった。
恋愛をリスタートさせた二人の立場を逆転させる手法や、日記の出し方のタイミングは、さすが鳩村さん。
そして鳩村さんにしてはお仕事話が影を潜めてた気がする。

2

なんだか足りない

悪くはないんですが…。
二人ともほんとにどこかにいそうな設定で、やさしくて、悩んでて、
恋する気持ちがにじみ出てて、でもゲイだからと気持ちが苦しいところもきちんとあって、とっても優しいお話でした。
ただただ好きな二人だからこそ、すごく幸せになってほしかった。
いや二人で幸せになるんだろうけど、なんだかああよかった的な読後感が足りない…
記憶がもどりゃいいのかというと、それはそれで都合よすぎんべとも思うし。
そう、お話がリアルすぎてそれはそれでいいんだけど、でもリアルじゃない幸せ感を求めてるから、足りないーって思うんだ、きっと。
というわけでなんだかすっきりしないまま終わった私でした。

5

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