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表題作鬼花異聞

三門衛
東京でひとり暮らしの小説家で弟、24歳
三門泰正
みかん農家を手伝う兄、25歳

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

四国の神谷村で暮らす三門泰正には、自慢の弟がいる。
ひとつ年下で、東京で会社勤めをしながら、人気ミステリー作家でもある衛だ。
山が大好きな泰正は暇さえあれば山へ遊びに行っていた。けれど、
衛は泰正が山へ行くのをよく思っていなかった。
それは過去の体験のせいでもあった。
中学生だったふたりは、ある花の匂いのせいで理性を失い、
禁じられた行為をしたことがあり…… 
衛はそのときから、兄である泰正に劣情を覚えるようになって!?
もうひとつの花シリーズ、誕生!!

作品情報

作品名
鬼花異聞
著者
夜光花 
イラスト
水名瀬雅良 
媒体
小説
出版社
大洋図書
レーベル
SHYノベルス
シリーズ
堕ちる花
発売日
ISBN
9784813012658
3.7

(44)

(12)

萌々

(13)

(16)

中立

(1)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
10
得点
161
評価数
44
平均
3.7 / 5
神率
27.3%

レビュー投稿数10

山神の子

「堕ちる花」「姦淫の花」「闇の花」に続くスピンオフ作品です。
時間軸は「堕ちる花」の少し前、との事です。
舞台は、「堕ちる〜」の鬼沢村の、山を挟んだ隣村・神谷村。
そしてこちらは、弟x兄。しかも…ガチ⁉︎
序章にて、物凄い神童だった兄が7才の時に神隠しに遭い、1年も行方不明になったのちボロボロになって読み書きもできず言葉もろくに話せなくなって戻ってきた、という冒頭があり、またおどろおどろしい世界が読めそう!とワクワクしたのですが………

ちょっと思ってたのと違う。
兄・泰正はそれからずっと超野生児、というかやんちゃな幼稚園児みたい。容姿は可愛い系。
一方弟・衛は長身の秀才インテリ眼鏡で、大学在学中にミステリ作家になっている。
衛は泰正に密かに恋をしているのですが、恋愛だのエロだのは出てきません。常識人の衛はいつも泰正を怒ってドタバタしてるし、泰正はアホでわちゃわちゃしてばっかり。
その上、泰正は幽体離脱が出来てあっちの世界で幽霊のようなものを見、彼らとは友達で賭け麻雀をしたり、という話になります。
ん〜〜?これはどういう話?…と戸惑いますね。
泰正に視える「首なし男」が麻雀のツケの代わりに首を探せという展開で、山の鬼沢村側の入ってはいけない花畑に入り込む泰正。探しに来る衛。
花の匂いで衛がおかしくなって……とエロ展開がくるわけですが、やった〜とは思えないですね…衛の苦しい恋心と罪悪感、対して泰正は弟とセックスする事がそんなに悪い事と思ってない、その温度差が凄くてなんとも萌えられない。
終章にて、苦しんでいた衛の救いになる事実が明らかになります。
お次の「神花異聞」ではもう少し甘い空気になるのでしょうか。期待したいです。

(ミステリ作家・衛の担当編集者・長峰さんという人がいまして、この人の存在が気になります。長峰も「視える」 人で、首なし男に襲われる泰正を助けてお守りをくれる良い人です。)

2

続きものです!

全くなんの前情報もなく読み始めたのですが、
読後感にもにょもにょが残るなと思ったら続きものでした!
さらに知らなかった……シリーズ物のスピンオフとのこと。
これから本編の方も読んでみようと思いますが、
このお話、BLでなくてもいいんじゃ?との感想。

某ねこ先生の出てくる漫画を連想してしまい、
あの世界は嫌いではないので楽しめましたが、
BL的には萌えなかった。
泰正の嫌じゃないけど、大好きな弟だから受け入れる
……ってところが、恋愛じゃないからなのかな。
衛がかわいそうだど、感情に一貫性がなくて
途中、『君は本当に泰正が好きなの?』と思ってしまった……

でも伏線が沢山あって、
普通に普通の怪異ミステリーで充分面白い。

もにょもにょ感が残ったのは、
全ての伏線が回収されていなかったから。

続きものなので、後半に期待で「中立」

1

長峰さんを愛でるためだけの作品

『鬼花異聞』、『神花異聞』からなります。
花シリーズのスピンオフ。
といっても、あんまり関係ない感じ。
これ、別に読まなくても良かったかな。
花シリーズが好きな感じだったので、もう一度あの世界に浸りたいと思ったのですが……浸れなかった。
はっきりいって別物です。しかも、好きじゃないかも。
残念、残念、残念。

アホな子、兄美人受けです。
アホな子視点で話が進むので、疲れます。
途中で何回も挫折しかけました。
ダルくてダルくて。
念のため言いますが、アホな子、結構好きです。
でも、その子の視点で物語が進むとなると……特にこれ、サスペンスだしね……
「中立」評価にしようかなと思ったのですが、最終章でちゃんと伏線を回収したので、ちょっとだけ評価を上げて「萌」評価へ。
私にとっては、長峰さんの活躍を見るためだけの作品です。

0

次々作の受け大活躍

『堕ちる花』等の花シリーズの四作目。
こちらからカップルが変わるので、花シリーズを読んでいなくてもさほどの問題はありません。
時間軸は『堕ちる花』よりも前となります。
序章と終章のみ、弟の一人称。
他は兄視点の三人称です。
きちんと章わけされています。

********************
受けは、子供の頃神隠しにあってから性格や頭脳が180度変わった25歳の泰正。
実家のみかん農家で働いています。

攻めの衛は泰正の一つ下の弟で、東京で勤めながら人気小説家となった成功者。
極度のブラコン。
********************

前作に登場した鬼沢村の隣村が今回の舞台で、前作カップルの実家がちょっとだけ出てきます。
そして、シリーズ通してキーになる鬼喰い草も。

神隠しに合いまったく別人格となった兄を、ひたすら守るように生きてきた衛ですが、泰正にはその真意が伝わりません。
泰正にとっては仲の良い兄弟、信頼できてちょっと口うるさい弟。
ただ、衛にとっては特別で愛おしく劣情をかきたてられる兄なわけです。

まあ、弟の兄への執着恐るべし。
夜光さんの作品で執着攻めでない方が珍しいくらいですが、受けのタイプはあまり見ないですね。
たいてい受けもほだされ、結果的には同じくらいの愛情を持つことが普通だったりしますが、この泰正の場合は兄弟愛からいまいち変わっていない気もします。
もちろう体は繋げますが、その情欲は衛のものとはまったく別物ですね。
気の毒ですが…

今回の作品は、泰正が生身の人間というよりも童神に近いというか。
妖怪が出てきたり。
こう書くと違和感があるほどストーリーには馴染んでいました。
次作もこちらの続きで、その後の最終巻が今回衛の担当編集者として登場した長峰が受けとなりますので、気に入った方は後二冊読まれてはいかがでしょうか。
や、多分長峰は大抵の方が気にいるのではないかしら。
同じ受けでここまで違うか!(笑)という対比がすごいですからねー。
なんか長峰に持ってかれた感が本当ありました。

3

完結巻まで読まないとわからない

花シリーズのスピンオフ。といっても、なじみのあるキャラが出るわけでもなく、隣村の別の兄弟のお話でした。あまり関わりはなく、鬼食い草の設定くらいでしょうか。

冒頭は弟視点からの状況説明に始まり、その後はずっと兄視点、最後にまた弟視点に戻ります。
兄視点なのですが、この兄のキャラがつかみにくかった!非常に知能が高く天才児だった6歳の時に神隠しに遭い、1年後保護されたときには知能も低く天真爛漫な子供になっており、その後もやや知的障害を疑われるような状態のまま成人。体も小さく幼さが残り、頭の中身は5歳児と言われるような兄。
あまりものを深く考えるタイプではなく、やや多動傾向もみられます。その兄の視点で語られるのですけど、なにせ不思議ちゃんなので、思考回路がよくわからない(笑)たんに子どもかと思ったら性的なことは知っていたり、急発進・急ブレーキ、スイッチが切れたらふわふわ・・・と非常に混乱しました。
けれど、そのおかげで兄の社会での生きづらさや思いの通じないもどかしさがよくわかりました。読んでいくうちに健気でかわいい兄が不憫でかわいらしくなってきて、なんだか母のような気持ちになってしまいましたw

対する弟はというと、兄に執着するヤンデレ。どんなに体をつなげても天真爛漫な兄には家族愛以上のものを返してもらえないことにずいぶん悩んでいました。あの兄相手じゃ無理もないというか、お気の毒様です。
で、その悩みの出口がラストで語られるんですが、・・・ちょっとずれてません?すれ違う思いが苦しかったはずなのに、いつの間にか兄弟という禁忌の悩みにすり替わってる。それもまた長年の悩みの種だったのは間違いないですが、それでいいのか?弟。

兄以外には見えないお友達のことも、誕生日に何があるのかも、まだなぞとして隠された部分も多く、兄弟の気持ちもすれ違ったままです。
花シリーズも巻を追うごとに面白くなっていったので、これも続きに期待して読みたいです。

2

お兄ちゃんの天真爛漫さが。

こちらのサイトで兄受けと教えていただきましたので、読みました。お兄ちゃんの天真爛漫さが萌えでした。お兄ちゃん、可愛い!!妖怪と麻雀しちゃうとは驚きでしたが。夜光さまは元々好きだったので、作品自体全面的に安心して読めましたし、やっぱりやっそんシーン以外でもわくわくさせていただけました。勿論やっそんシーンは楽しませていただきましたが。
前作は読んでないのですが、これだけでも読めます、と思います。前作も気になるので今度読んでみようと思います。

3

萌えと呼ぶにはまだ謎が

『堕ちる花』と世界観を同じにするスピンオフのようでいて、ようでないお話。
あの鬼沢村の禁忌の花・生贄・そして舞台が鬼沢村の隣り村の神谷村ということで、作中に主人公たちが『堕ちる花』の兄弟の実家にお世話になる話しなどもあったりと接点はほのかにあったりします。
そして今度は弟×兄という逆転で、花の香りで関係が狂うという兄弟モノの路線は同じですが、
『堕ちる花』のミステリーやホラーの要素が人間であったのに対して、こちらは主人公である兄が人でないモノが見えるという設定他、全くの人外も登場することからファンタジー要素の強い設定であるような気がします。
まだ1作目ですので、今後の展開ですよね。
前作シリーズとはまた違った味で、どんな風味で展開していくのでしょうか?
明るくいくのか?ダークにいくのか?これからもっと深刻になるのか?
『堕ちる~』でもまだ謎の部分がこれにおいて全くの解明を見せるのか?
序盤ということで、評価はまだ萌えしか付けられません。

子供の頃神隠しに遭い、それまでの天才児だった記憶を一切亡くしてまるきりの野生児のような子供に人格が変わってしまった兄・泰正と、過去、花の匂いに狂わされて兄と擬似性行為をしてから兄にしか欲情しなくなった、密かな執着を見せる弟・衛。
泰正が人でないモノが見え、彼等と交流できるということで、霊のトラブルに巻き込まれます。
衛は全く彼のそういう事を信じてなかったのですが、東京まで追ってきた首なしの霊に首を絞められた痕がついたことから、信じなければならないことになりますが、
気になるのは、ベーヤン(泰正がそう名づけた一つ目おばけ)が衛を危険視していることです。

性行為の意味も分からず、気持ちいいから、衛は大好きな弟だから、ただそれだけで身体をゆだねている泰正と、
一度抱いたらもうタガがはずれてしまい、泰正を痩せさせてしまうほどに抱き続ける衛には、ただ単にその気持ちの温度差へのジレンマだけではないような気がします。
ひょっとして衛にも何かあるんでは?と邪推してしまいます。

おばけたちと麻雀をして首なしとの約束を忘れてしまう、骨を回収しても忘れてしまう、そんな泰正に滅茶イラっとしたのですが、それはそれでそのキャラ設定が成功してるって意味ですよねw
何も考えない子供、目先の事しか見えてない子供ですもん。
この泰正の人格が変わった神隠しも気になるし、ラスト、衛視点で綴られる本当は血のつながりのない兄弟であることのその泰正の出生の秘密。
色々な謎がまだ謎のまま存在している1巻。
”まだ”がテンコ盛で、始まったばかりです。

2

次巻への助走。

前シリーズと同じ世界観ということですが、私にはちょっと遠めに感じた番外編。
時間軸は【堕ちる花】より前とのこと。

幼少期に神隠しにあって【まっさらな赤ん坊】の心となり帰ってきた兄:泰正の純粋さを魅力ととるか、もどかしさを感じるかは読み手次第だと思うので評価は分かれるかな、と思います。

ちなみに私は後者(笑)

兄が真っ白なので【禁忌】に囚われるのは弟:衛だけなんです。
根が真面目だからか、すっごく自分を追いつめるネガティヴ攻め!
ヤンデレまで突き抜けられないので見ていて苦しくなってしまって…。

泰正の純粋さや天真爛漫さを表現表すなら行動だけでいいような気もしました。

突拍子無い発言や行動は読んでいてニヤリとなる微笑ましかったのに後半、語尾に「~だぞ。」を連発されてげんなりしてしまいました。心、狭いな、私。

話の方は『普通の人には視えないもの』が登場し、受けを中心に人を振りまわしつつテンポよく進みます。

両親も明るくて素敵ですが爺ちゃんのキャラがイイです!

伏線もそこかしこにはられていますし鬼喰い花よりもっと大きな存在が背景に用意されているようです。

次巻では終章で明かされた事実を引っ張り衛がどう吹っ切れるか、少しずつ衛との関係に疑問を持ち始めた泰正がどう変化するか?

脇役スキーとしては作家としての顔を持つ弟の担当:長峰や幼なじみの洋平たちがどう化けるかも楽しみ(〃∇〃)
妖しげな洋平も気になりますが長峰!
視えるもの同士のシンパシーは手強いぞー。よき理解者となるか、あて馬か?

そういった数々の点も含めて続巻を楽しみに待てる作品でした。

カバー絵で、押せ押せヤンチャ弟×戸惑う真面目兄だと思ってしまってましたが思いっきり間違っていました(笑)

5

仄かなスピンオフ感

花シリーズの番外編と言うか、仄かに感じるスピンオフ感のある作品で
花シリーズと同じ世界観を持っているけれど、こちらはどちらかと言うとほのぼのです。
それは受け様の天真爛漫な性格が前面に出ていて、禁忌のきの字も無い感じ。
強いて言うなら天使か神の子、作品では山神の子なんて表現されているけれど、
これが1番当てはまる、流石夜光先生と言う感じの作品。

花シリーズで、出てくる尚吾ママの身代り遺体がこの作品で関係してくる感じ。
それに前作の主人公の両親もチラッと出てくるのですが、前作よりも時間的には
前のお話のような感じですね。
兄×弟シリーズが花なら、こちらは弟×兄で、同じように執着はあるのですが、
雰囲気的には心配性のブラコン弟って感じで、シリアス感が薄れています。
内容的には、幼い時には神童とまで言われた天才的な頭脳を持っていた兄が、
神隠しにあったように1年間行方知れずになり、戻って来た時には、同じ年頃の
子供よりさらに幼く、そして元気に野山を駆け回る野性児として帰ってくる。

まるで器は同じで中身が入れ替わってしまったと思えるくらい激変するのですが、
天才肌で何を考えているのか解らなかった兄が苦手だった弟の攻め様は、
帰って来た兄の変貌にも返って喜んでしまうような感じです。
しかし、ある日兄弟で山で遊んでいる時に見つけた祠で兄が倒れ息をしなくなる。
そして感じる不穏な気配、兄を得体の知れないものが連れ去ろうとしている。
攻め様は兄を山神のものだと言う不気味な声に、必死で首を振り兄を守る。
そして、兄の誕生日に再びなんて不穏な言葉を残し消え去る影。

その日から攻め様は、受け様を守ると誓い、過保護的に兄の側にいるようになるが、
その気持ちが次第に兄に対する家族的な感情から欲情を伴う感情へ変わっていく。
攻め様は兄に欲情する変態だと自虐的になりながらも、兄を守ろうとする。
今回の流れでは、兄である受け様は、攻め様を好きだけれど、弟だからと言うもので
攻め様の報われない感じが憐れと言えば憐れ、恋い焦がれる恋情とは次元が違う中で
生きているような天真爛漫な兄は、ある意味罪な存在ですよね。

それに、受け様には特殊な能力があって、人には視えないものが視えるし、
それだけでなく、その妖怪もどきなのか、山の神の身内なのか、一緒に遊ぶ。
ちょっとシュールでコミカル要素ファンタジーも盛り込まれていて、過去に受け様を
ストーカーのように狙っていた男の首なし幽霊に狙われるなんて内容もあり、
受け様やっぱり人間ではないだろう?などと思えるような雰囲気もあります。
ラストも結果的には、受け様が弟の思いを受け止めるなんてラブ的要素は皆無でも、
弟にとっては一筋の光明が射す展開で終わります。
まだ、受け様の背負っているものが本人無自覚でありそうな感じだし、
是非その辺も謎解きみたいに続編が読めたら嬉しいかもと言う内容でしたね。

3

ファンタジー多め

もう一つの花シリーズということで、堕ちる花シリーズのスプンオフです。
名前から想像できたように鬼沢村の隣村のお話し。
スピンオフで兄弟ものとはいえ、前作とは全く違った兄弟なので、あくまで別物として読んだ方がよいかもしれません。
特に主人公の受け様に対しては、好みが分かれると思います。(作者さん自らあとがきに書いてました。)
前作の花シリーズはサスペンス色が強かったと思うのですが、今作はファンタジー色が強いように思います。
受け様がかなりのおばか…というか動物並みなのですが、その辺りもかなりファンタジーな設定があります。

時系列的には「堕ちる花」の少し前だということで、あの花畑が出て来たりします。
知ってる場所や知ってる人が登場するので、前シリーズのファンとしてはそれだけで面白かったりもしました。

今後もシリーズが続くとのことで、かなり謎を残したまま終わります。
気になります。

7

この作品が収納されている本棚

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