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表題作つまさきに火

レジス・ラヴァンシー
義兄、バレエ団ダンサー
友意(ユーイ)・ラヴァンシー
義弟、同じくダンサー

同時収録作品oritomori

オリヴィエ・フェヴリエ(オリエ)
バレエ団ダンサー
森隆文(モリ)
天才と呼ばれるバレエ団ダンサー

同時収録作品Au revoir 前編/後編

ティエリー・オゾン
バレエダンサー
クレマン・クレマン
バレエ・ダンサー、レジスの父

その他の収録作品

  • yulusuna
  • 500?(ユーロ)の嫉妬
  • reverence 前編
  • reverence 後編
  • encore(描き下ろし)
  • カバー下表紙1【表】~カバー下表紙4【裏】:無題後日譚

あらすじ

義兄弟、ともにバレエダンサー。
完璧主義の義兄×小悪魔な義弟

「僕の方が欲深いよ、兄さん」
舞台はパリ。幼い頃、両親の再婚がきっかけで義兄弟になったレジスと友意(ユーイ)は、トップバレエ団に所属するダンサーとなった。父母を失い、二人きりで暮らす日々の中で、やがて義兄(レジス)は深夜になると眠る義弟(ユーイ)の身体を欲するようになり──。貴公子的な義兄と蠱惑的な義弟が織りなす、華麗で淫靡な義兄弟ロマンス。

描き下ろし後日談収録!

作品情報

作品名
つまさきに火
著者
柳沢ゆきお 
媒体
漫画(コミック)
出版社
祥伝社
レーベル
on BLUE COMICS
発売日
ISBN
9784396783273
3.5

(42)

(6)

萌々

(13)

(19)

中立

(4)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
17
得点
143
評価数
42
平均
3.5 / 5
神率
14.3%

レビュー投稿数17

バレエに励む男達の美しさと、複雑な感情の絡み合いに引き込まれる

◆yulusuna〜等(レジス×ユーイ)
 義兄弟の一筋縄ではいかない複雑な感情の絡み合いが、読み応えありました。父親譲りの誰もが認める才能を持つ兄のレジス。最初はすごくクールな人間なのかと思ったのだけど、彼の内面は実に繊細で、特に弟のユーイには常日頃からメンタルを左右されているんですよね。そういうところが彼を完璧にはさせずに、ある意味バランスがとれているなぁと感じました。ユーイもなかなか達観しているけれど、些細なことで嫉妬するのは年相応で可愛かったです。

◆oritomori
 一番短かったけれど、純粋にカプだけでいうとこの2人が一番好みかも。天才ダンサーのモリに怪我をさせてしまったと自責するオリ。お前のせいじゃない、と何度モリが言っても、オリの気持ちは晴れない。けれど、淡々と怪我を受け入れているように見えたモリが、本当はオリへの気持ちですごく葛藤していたことを知り、オリも私も彼の涙に胸を衝かれました。優男なオリも、モリへの独占欲は深いところがいいですね。

◆Au revoir
 レジスの父・クレマンと、その友人・ティエリーの物語。クレマンが一言でいうとクズなんですが、本人には一般的に悪いとされることを自分がしている自覚がないというか、そういう価値観の人と言ってしまえばそれまでなんですよね。人を散々誑かしておいて、釣った魚には餌をやらない、けれど周りを平等に愛しているというのは本心という非常に厄介なキャラ。そんな彼に翻弄されたティエリーが、クレマンの死後も許さないと誓っているところに、逆に愛を感じます。

1

「マイム」の「あなたを愛しています」

姪がバレエを趣味でやっているので、バレエを扱う漫画は大好きです。
バレエの「マイム」は、手話と同じで、夫々ポーズと意味があって、台詞の代わりにジェスチャー(しぐさ)である「マイム」で意思表示を語るので、マイムが分かるとバレエ鑑賞の面白さが増します。

「つま先」に火、のタイトルが示すものは何だろう。
作品にマイムの場面が少ないのは、ユーイたちがモダンバレエのダンサーになっているからですね。モダンバレエはシューズを履かないので、「つま先に火」をタイトルにしたのかな?
是非続編を出して欲しい。
★巻末のユーイに向けて、古典バレエに戻った兄が示したマイムは「私はあなたを愛しています」の意味、愛の告白。ロマンチック。
柳沢先生は、読者に画像から読み解いてもらう描写が好きみたい。台詞より絵で物語る方法。

この作品の登場人物で印象深いのは、レジスとユーイの父=クレマン、恨まれることばかりする人。産む人と、踊りのパートナーを機能別に割り切って愛しているし、好きな人しか名前も憶えない、傷つけたロジェに刺されても名前すら憶えていない。このぐらい自己中でないと、芸術を極められないのかも。

あらすじや演目については、他の方が過去に投稿されているので、マイムを調べました。

---絵から読み解きたくて、調べたもの
・でも作品は、モダンバレエが主で、マイムを読み解く場面が少なくて残念。
▼バレエ(仏: ballet)の歴史:
ルネッサンス期のイタリアに起源を発する。宮廷で余興として詩の朗読、演劇などが演じられ、バロ(Ballo)と呼ばれるダンスが生まれた。1533年、イタリア、フィレンツェのメディチ家からフランス王室に嫁いだカトリーヌ・ド・メディシスによりバレッティ(Balletti)がフランスにもたらされ、バレ(Ballet)と呼ばれた。

▽モダンバレエ:
モダン・バレエは、決まった曲も振付も存在せず、トゥ・シューズを履かず素足で踊ることや、華やかな衣装を着用しないのが特徴。マイムなどあらゆるものをそぎ落としている

▼古典バレエの技法:<マイム(mime)>
〈からだの方向・あしの位置・うでのポジション〉を自由に組み合わせる。/立ち方は6つに分類、ポジション(fr. position)と呼ぶ。/バレエ舞踏の技法は跳躍と回転。/物語り進行上の感情を表すのには「マイム」を用いる。
バレエ専用劇場では、ダンサーの足元が見られるように、舞台床が客席に向かって斜めになっている。

▼マイムの意味:
「バレエ「マイム」のポーズと意味|バレエ発表会のプログラム専門店」の解説が詳しいです。
私 手のひらを胸にあてる
あなた 手のひらを上にして相手を指す
愛している 両手で心臓の位置を包む

1

珍しい題材だけに勿体ない。

ずっと読みたいと思っていて、やっと読めました。
巴里のバレエ団に所属するダンサー義兄弟の話で一冊と思っていたら、まあ、全部関係はあるものの3つのカプの話でした。
なのでどれも短編で、雰囲気はいいのに尺が足りない感じが。
一冊で表紙の二人の話でも良かったのではないでしょうか。
尺の所為か、折角バレエの話なのに、あまり踊ってるシーンがなかったような。
もっと舞台や練習のシーンがあってもいい気がします。
珍しい題材だけに勿体ない。
兄弟、義兄弟ネタが大好物なので、ここらももっと掘り下げて欲しかった。
それでもまた次に新作が出たら気になってしまうと思うので、何だかんだいって作者さんの漫画は好みなんだと思います。

3

バレエと恋愛と人生

作家さんの頭の中にはもっと色々なストーリーがあって、その中からほんの一部分をダイジェストで提供されているような印象を受けました。読み返すほど理解が深まりじわじわと惹かれていくと同時に、複数カップルで展開も早いぶん短く感じてきます。重苦しく生真面目な作風の方だと思いますが、モダンバレエを舞台にした恋愛模様が主軸なので、クラシック程ではないとしても閉じられた世界観と舞台袖の熾烈な争い、甘い恋人同士の対比は華があります。表紙はもっとバレエダンサーらしく華やかでも良かったかも?コートの話、好きですが読んでからでないと分からないですし…でもこの抑え目で実直なところが個性かもしれません。美しいラストに一瞬何もかも忘れてハッピーエンドのように思えても、すべてが上手くいったかというとそうではないというのが奥深いと思いました。バレエの特徴ポワントを表す作品タイトルや、「友意(ユーイ)」「ティエリー」といったネーミング、「苛烈で悲しい男」という台詞など、そこかしこにセンスを感じます。独特の感性と繊細な絵から放たれる「兄さん」がとても良いです。2ページの描き下ろしが異常に面白くてキャラも掴みやすく、ショートや4コマの作品も読みたくなりました。今後も期待して読み続けたい作家さんです。

7

僕の方が欲深いよ 兄さん

今までの作品のイメージと違う「バレエ」という芸術の世界を描いた作品ということで、
読むのを楽しみにしていた作品です。
と言っても残念すぎる脳みそのおかげで、
今までの作品全部読んでるのに内容がうっすらとしか思い出せない。
今度読み返したいなぁ~。

柳沢さんの絵って、割とスジ筋でガチムチ・・・
と言っても私には丁度良いくらいの筋肉美なので好きなのですよね~。
実はダンサーでゲイのかたが好きなので、こういう作品大好きなのです。
ダンスもの、BLにも増えましたが今後はぜひ、
フィギュアスケートものを出して欲しいと思っています!
私ジョニー○ェア大好きなのですよね~!
スポーツ&芸術と美味しいトコ取りです。どなたか誰か出してくれないかなぁ…。

とりとめのない感想になってしまいましたが、えと、
本作はバレエで義兄弟ものです。
二人はライバルであり義兄弟であり恋人。
それぞれに嫉妬する場面があります。

洋服の件で嫉妬する弟の話は少しわかりにくかったですが、
あぁ、なるほど、と最後まで読めば意味がわかりました。
ユーイ(弟)の嫉妬の仕方、分かりにくよ!(笑)

惜しむらくはダンスシーンのカットが似たような角度が多かったことですかね~。
もう少しバリエーションがあったり、同じ向きでもアングルを変えるなどあると良かったのかなぁと思いました。

6

ああ、需要と供給の不一致。

バレエ漫画といえば『アラベスク』・『SWAN』・上原きみ子作品で育ってきたもので、BLでバレエ漫画!?と聞いてそれはそれは期待していたのです。

でも本作はバレエをしている人の日常に焦点を当てて作られており、バレエそのものを通しての作品に対する思いだとか、バレエを踊り自身の内面に迫っていく、というものとは違っていたのでした。

バレエ漫画と期待しなければ面白い作品でした。
『ロミオとジュリエット』に出てくる役柄を、登場人物に投影させてストーリーを展開していくなんて、とても面白い魅せ方でしたし、出てくるダンサーなんかもとてもよく作りこまれたキャラたちでした。

しかし私は、バレエ漫画・BL版を読みたくてウズウズしていたのです。
それがバレエダンサーの日常・生活に焦点を当てた漫画だったので残念でした。

もっと踊っているところが読みたかった。
ただそれだけ。

踊ることで昇華される自身やパートナーとの関係、そんなことを期待していたのです。

6

スルメ本

義兄弟、ともにバレエダンサー…ということなんですが、モダンがメインなのでキラキラしていません。そこがちょっとガッカリ(笑)

これ、読み返すたびに評価が上がっていった本です。
正直なところ、一度読んだだけでは「中立くらいかな…」と思ったくらいでして。
まず表紙では分からなかったんですけど、絵が得意なほうではなくて…
表紙はユーイは目を瞑ってますし、レジスも片目しか見えないし…ちょっと、というかかなり独特な絵です。
で、キャラの書き分けが曖昧なところもあって、一度読んだだけでは「?」となる部分があったのです。

とまあ、とっつきにくかったところを通り過ぎると全てが愛しくなりますw
計3カップルのお話が入り組んで入っているので、ぶつ切り感はありません。

レジスとユーイの義兄弟
多分最初にとっつきにくいなぁと思ったのは、最初にこのふたりのお話がきたからかも。
いや、主役なんですけども…w
歪んだ愛をユーイ(弟)に向けるレジス(攻)で、レジスはどこかユーイに逃げてほしいと思っている節がある。
レジスとユーイが兄弟になった流れをレジスは納得していないところがあって、ユーイへの愛どころか、さまざまなものが歪んでる。でもこれ仕方ないことなんですよ、少し後ろの「Au revoir」を読めば分かっていただけると思います。
で、どこまでもユーイが知らん顔して追ってくるものだからどんどん追い詰められて、最後には愛も懺悔ももろもろぶちまけてしまう、と。
ふたりの創作ダンスに付けられたタイトルがレジスの気持ち。

オリとモリの同バレエ団ダンサー同士
あの、最初に混乱したのはオリでした。
ユーイにちょっかいかけてたリュカってキャラとの区別が付かなかったんです~(涙)
だから最初はリュカ=オリと思い込んで読み進めて、最後にオリのフルネームが出て「あ、あれ?」と思った次第。
天才ダンサーとして活躍してたモリ(受)の怪我を自分のせいだと思い込んで落ち込むオリ(攻)
私はこのふたりが一番好き。一番BLっぽいと思った。
オリは負い目から動けずにいたけど、モリがどこまでも愛の人でした。
このふたりの話がもっと読みたかったな。モリが踊れるようになるまでとか。

ティエリーとクレマンの傲慢愛
あー……これはどう感想を書いてよいものやら分からない。
クレマンみたいなキャラはBL的に大嫌いなのですが、でもこれが彼の性分なんですよ。だから成り立つ話もあるというわけです。
クレマンを表す言葉として私が思いつくのは、純粋に傲慢。
ティエリーがレジスとユーイに語ったクレマンの印象が胸に痛い。
最後の1ピースを手に入れる直前でクレマンは亡くなってしまい、それを与えるはずだったティエリーもクレマンに縛り付けられてしまった。

お話としては「500ユーロの嫉妬」が好みだったんですが、これも一度目は意味が分かりにくかったんですよねぇ~(涙)
これから読む方はコートに注目してください。

バレエの知識はなくても普通に読めますが、ロミオとジュリエットの話だけはちゃんと知っておいたほうがいいと思います。
でないとクレマンがわけの分からない人になってしまいますので…

6

バレエ団という特殊な世界の恋愛模様がみれる

個性的で味のあるお話が読める作家さん。
好みは別として、画力が高く、コマ割りとかオシャレです。
ストーリー展開や演出、作画などでセンスのある方だな~といつも思います。
ただ、“好みは別として”と書いたように、目などの表情の描き方が独特なので、苦手な人もいるかもしれません。
私自身もそこがネックで…コマによっては「キレイ!」と思うことも「ん…微妙…」と思うこともあって一喜一憂しながら読みました。
あと、たまにコマによってキャラが年齢不詳だったり性別不詳だったりすることがあり、一目瞭然の書き分けができてないのか多少混乱してしまい、スムーズに読み進められなかったのがもどかしかったです。まあ読み手の力不足もあると思うので、そこは申し訳ないですが…^^;

さて、内容について。
大好きな兄弟モノかつ大好きな現代外国モノ!!
これはテンション上がりました!
モダン・ダンスを主軸にしたパリの有名バレエ団が舞台で、そこに所属する団員同士の恋愛模様を描いた短編集です。

■yulusuna / 500?(ユーロ)の嫉妬 / reverence 前編 / reverence 後編 / encore(描き下ろし)
表紙カップルの話。
有名バレエダンサーの父をもつバレエダンサー(フランス人)と、父の再婚相手の連れ子(日本人)、という血のつながりはない義兄弟モノで、ふたりとも同じバレエ団に所属するダンサーです。
既に死んでる父との確執、兄弟同士ということへの背徳、ダンサーとしてのライバル心など、様々な葛藤を抱えた二人が、なんやかんやあって互いの恋心を受け入れ、付き合い、ダンサーとしての人生をまっとうしながら愛を育んでいく姿を描いた話。

恋人同士になってからの弟君のささやかな嫉妬を描いた『500?(ユーロ)の嫉妬』という短編がすごく好きでした。
兄のお下がりは全部自分がもらってたのに、「いいね」と褒めたコートを兄が他人に譲ったことが許せなくて一方的に喧嘩する弟くんが本当にかわいい。
そんな弟の真意をしらず、一方的に避けられてわかりやすく凹んでる兄もかわいい。
端から見たらバカップルのイチャコラにしかみえないけど、本人たちは大まじめに嫉妬したり喧嘩したり凹んだりしてる日常的なちょっとした事件を描いた風景がみれて、ほっこりしました。

■oritomori
自分の脳力を過小評価してる長身のダンサー×小柄だけど天真爛漫で才能のあるダンサー。
もともと体の関係はあったっぽいが、ふたりが組んでた練習中に受が脚を怪我してからは距離ができ、ぎくしゃくしながらなんとか両思いに至る過程を描いた短編。
攻は自分のせいで怪我をさせたと後悔し、受は以前のように踊れない自分に魅力を感じてもらえないと悲しむ。そんなスレ違い状況を、『火の鳥』という演目の配役についての騒動を通して修正していくストーリー構成で、『火の鳥』を知らないとややわかりにくいかもしれません。

■Au revoir 前編/後編
表紙カップルの攻の父・クレマンについて、その波瀾万丈な人生を描いた短編。
バレエ界で名声をほしいままに、レジスという実子を持ち、2度の結婚を経験し、若くして冬の路上で殺害されるという壮絶な人生の幕引きをした男には、実は同性を本気で愛したこともあった、という秘め事を彼の命日に昔の男が回顧する形で描いている。
その昔の男というのが、バレエ団の責任者かつ演出家であり、表紙カップルや『oritomori』のダンサーたちの雇い主的ポジションの男・ティエリーです。
男も女も同時に同様に愛するような破天荒なクレマンと、彼にライバル心や敵愾心を感じつつも同じだけ惹かれ、愛情を抱いてしまったティエリー。
二人の想いが交わってハッピーエンドになることは、たとえクレマンが生きていたとしても難しかっただろうことが容易に想像のつく二人です。でもだからこそ、一時的なものであれ幸福そうな二人の時間を、クレマンの命日にティエリーが回顧する描き方で綴ったこの作品は切なさを煽ります。


バレエ団という特殊な世界でそれを生業にしている人たちの恋愛模様が見れたのが楽しかったです。
ただ、バレエの演目をストーリー展開の要素として組み込んだ表現方法があるので、ちょっとわかりにくい部分があったのが少々残念だったかな…。
『火の鳥』や『ロミオとジュリエット』など、有名なものばかりですが、とはいえその中の役名や人物の相関関係を引喩するならモノローグで簡単な説明をするか注釈をつけるかした方がいいのかも…?
こういう演目に無知な読者は「?…なんかよくわかんないんだけど…」と足を止めざる負えない部分があるかも。逆によく知る人からするとオシャレでハイセンスな作品に思えるかもしれません。(o´・∀・o)ノ

《個人的 好感度》
★★★★・ :ストーリー
★★・・・ :エロス
★★★・・ :キャラ
★★★・・ :設定/シチュ
★★★★・ :構成

4

表紙と

義兄弟ものに惹かれて先月購入。
この方の作品は初読み。

中をぱらっと見た時に、あまり好みの絵では無かったので読むのを保留してました。
つい先ほど読み終わりましたが、物語が好み。

バレエには全く興味が無いけど、スッと読めました。
劣等感、執着、憧れ。からの恋愛。
感情のぶつかり合い。
三組のカプどれも切なくて、心も身体も痛々しくて、
お互い想いあっている所に惹かれました。

義兄弟のお父様も、ダンサーだったこと・三組のカプ中に入っている事に驚き。
前半の義兄弟のお話では、あまり父に触れておらず、父像も判別つかなかった。お父様のストーリーになった時点で、えっ?!と思うほど、すごく自信家で強引傲慢な人でビックリしたんです。よく結婚できたなと(笑)天才は何ちゃらでしょうか?悲しい最後を遂げますが、刺されても仕方ない。哀れとしか言えません。けど嫌いじゃないです。

5

華やかな世界のその裏側

表紙の幸せそうな二人とは裏腹に、スタート時は険悪です(笑)

「yulusuna」は、父・母、それぞれの連れ子同士カプ。
いじわるそうなお兄ちゃんこそが、弟に惚れているところがまたいいですね。才能にも、懐の深さにも、そしてそれ以外の神秘的なところにも。
でもそんな兄を誰よりも愛して、見守って、傍に居たがっている度合いは恐らく弟であるユーイ(友意)のほうがよっぽど上だと思います。
どろどろとしていておかしくないくらいの欲ですが、それがすっきりときれいなものに映るのは、ダンスの美しさも織り交ぜているからでしょうか。

その渦巻く欲が顕著に見えるのは、「Au revoir」
クレマンには、なんら悪気はなかったのかな、と思いました。なにもかも全て彼の手の中、それでも仕方がないような存在。許さざるをえない存在。それがクレマン。
ティエリーも、大人になって年老いて、クレマンが居なくなってからようやく分かるしかなくなった、というか。虚しい話であるのに、虚しさのなかに残る余韻が好きです。

他にも「oritomori」のオリ・モリ、カップルはかわいいです。
いやかわいいというのは、見た目とかでなく恋愛慣れしてないのかな?っていう可愛らしさ。
バレエのことがあまり分からない私でも、十分楽しめました。
あと、全編通して、乳首が最高です。

4

率直なろくでなし

まず評者は驚愕したのです。
『柳沢さんの作品なのに、滑らかに読めるなんて!』
と。
今迄が今迄だけに身構えていたのに、拍子抜けと
言うべきか嬉しい誤算と言うべきか。

そして読み通して振り返ってみると、ああ!と合点が
行きました。
この一冊における柳沢さんの役割は神でも監督でも
ないのだと。
我々読者と同じ様に舞台に棲む魔物に魅入られた
ろくでなし共の群像劇を見守る立ち位置に居るのだ、と。
そう言う愛着が筆に籠って動いた訳でしょうから絵解きが
さらりと進む筈です。

この一冊には端役にまで惜しみなく愛が注がれています。
その愛を活かせない役者もたまにいる様ですが。

7

人生の一瞬を切り取ったような

もう少し読みたいとも思うけど、人生の一瞬のきらめきや思い出をダイジェストで見せているような、一度しかない生の舞台に立つダンサーを描いた作品に合った刹那的な魅力を感じました。

パリを舞台に、主人公を変え、時代を変えて語られるバレエダンサー達の日常、葛藤、愛情。全部で三つのカップルの話から成る短篇集で、各話にはつながりがあります。
最も印象に残ったのは、【Au revoir】前/後篇です。
現在はバレエコーチとして、メインカプ達を指導するティエリーと、メインカプの父親で天才ダンサーだったクレマンの話。

クレマンとティエリーの愛し方の違いが、二人の芸術の道の分かれ目でもあり。
天才的ダンサーとして、舞台の上でも実生活でもドラマティックな人生を歩んできたクレマンの最期は、実にあっけなく。
その原因も、若い頃のふとした戯れがあとを引いているのですが、彼の記憶にはなく。
ティエリーを思っているかのよう安らかな顔を浮かべて死に絶える彼は、最後までひどい男で、天才故の無邪気さと残酷さを感じさせました。

絵が、ちょっと少年漫画っぽい感じであまりblらしさがない路線だったのが、表紙のイメージとは違いましたが。ダンスシーンなどの筋肉の付き方や動きの描き方がしっかりしていて、個人的には大満足でした。
この作家さんの作品をもっと読んでみたいと思いました。

8

表紙に惹かれて。

初めて読む作家さんなので手を出すのに時間がかかってしまいましたが、
こちらのレビュー見て買っちゃいました。
表紙のカバーも動きがあってセンスもいいしずっと気になっていたんですよね。
私も「SWAN」大好きだったのでバレーダンサーのお話と聞けばね。w

バレーといえば肉体美!(ドウモスミマセン)
観客側からみるときれいでうっとりしますが、やってる人達は大変です。
どの芸術の世界でもそうだと思いますが、我が身を削って表現しています。
だから美しいんでしょうね。
この物語の登場人物たちも惜しげもなく鍛えられたカラダを見せてくれます♪
えちシーンもあります♪あっさりしてるけど。

日本人が「受け」っていうのも萌えですね♪

ただごめんなさい、顔が私の趣味じゃなかった・・・!
特に私にとって重要な目がダメでした。

なので今後バレーダンサー以外のお話だったら読まないかもしれません。

3

踊ること 愛すること

バレエの世界を舞台にした、雰囲気のある漫画。
on Blue誌上で部分的に読んだ時には、それほどいいと思わなかったのだが、
まとめて読むと世界観が際立つ。

バレエの世界で生きる義理の兄弟を中心に、もう2カップル、オムニバスで描かれてる。

絵は古風でキャラの見分けがつきにくかったり、書き方が整理されていない感じがあり
些か読みにくさもあったが、バレエ場面の絵は綺麗だし、ストーリーも悪くない。
バレエってだけで、つい引き寄せられてしまうっていうのもあるんだけれど…

明るいLOVEじゃなくて、芸術に携わるものとして愛と不可分な執着とか葛藤とか、
そんなものが描かれているのはとても好みでした。

兄弟の父クレマンと、長じた兄弟が所属するのオゾン・バレエ団の代表ティエリー。
この二人の若き日、クレマンの分かりにくい愛は切なく心に残る。
一方で、天才ダンサー・モリとオリヴィエの話は可愛らしい話。
ちょっとユーモラスな部分もあり、読みでのある一冊だった。
(書き下ろしの「encore」で納豆をねちねち混ぜているユーイに笑ったw)

表紙の裏は赤、裏表紙の裏は青、の装丁も素敵。


<おまけ~作中のバレエについて〜>

*「火の鳥」ストランビンスキー作曲、振り付けミハイル・フォーキン、1910年パリで初演。
 ロシアの民話を題材にしたストーリーだが、本来クラシックでは火の鳥役は赤いチュチュの女性。
 本作品では、モダンのオリジナル演目として男性が演じている。

*「ロミオとジュリエット」プロコフィエフ作曲、
 言わずと知れたシェイクスピアの名作のバレエ版。1940年レニングラードで初演。
 この演劇的なバレエは、古典的なバレエしか知らなかった観客にとって
 非常に刺激的だったと言われている。
 作中クレマンとティエリーをロミオとマキューシオに準えているが、
 マキューシオの死の場面はこのバレエの見せ場の一つ。
 
*「若者と死」コクトーの原作をバッハの「パッサカリア」の旋律にのせた
 ローラン・プティの初期の代表作。1946年初演。
 熊川哲也のレパートリーとしても知られる。

*「春の祭典」ストラビンスキーが、ニジンスキーの振り付けの為に作曲。
 以降この革新的な曲は、多くの振付家によって振り付けられている。
 ベジャール版やピナ・バウシュ版などが有名。

11

江名

こんばんは~

おまけ、ありがとうございます(^▽^*)
読みながら「ん?」となって手が止まって、ネットで調べてみると、
分かって納得なこともありましたが、
いっぱい情報が出すぎて余計こんがらがることもありました(‐ ‐;
なので、こんなコンパクトに豆知識(?)を載せてくださってありがたい、感謝です!
ちるちるのレビュアーさんは親切だ~~♪

無駄を削ぎ落として魅せる愛

しっかりとswan世代です。なのでこのダンスの世界は萌えの塊です♪
オンブルーが3ヶ月毎の刊行で、オムニバス形式だったために、この作品は単行本になれば話が繋がってよりわかりやすくなると思っておりましたが、やはりそうでした。
ダンサーという設定は身体の描写力がないと描けないと思っています。
柳沢ゆきおさんの絵は肉感的な肉体をバランスよく描かれる作家さんでもあると思うので、その心配はありません(若干筋肉が目立ちますが、それもまたダンサーと思えば)
またこの作家さんの特徴として心の機微の見せ方が上手いと思うのですが、必要最低限に削ぎ落として、今現在彼等に必要な部分しか出てきません。
若干その点で、義兄弟設定もあることであるし、具体的な関係が知りたいという欲求はあるのですが、それすらも必要最低限の情報しか出してきてません。
だからよりテーマがはっきりと明確に打ち出されて迷いがないように潔く見えるのかもしれません。

愛は執着であると共に、ダンサー設定であることから、それぞれの関係において自分をより高めるという、そんな上昇志向の話しでもあると思います。
ただ、そこにハッピーもあれば苦渋なものもあり。。。

レジスとユーイの義兄弟の場合
共にクラシックで活躍したダンサーだが、先にユーイがモダンに、そしてプリンシパルノレジスがやってくる。
この兄弟、レジスはユーイを性的対象として見ており、こっそり夜中にキスしたり身体を触ったりしているのをユーイは知っていてでも知らない振りをしている。
本当は共に想っている。
弟にとらわれ、恋焦がれ、自分で自分を追い詰めて苦しんで、追いかけて
そんな兄に許しの言葉をかけて救われた兄という、結構ヘタレなお兄さんだが、
ラストで彼はイギリスへ渡ることで、ユーイとの決別ではなくてさらなる飛躍を目指す強さを見せている。
共にダンサーであるがゆえの互いの刺激と切磋琢磨な関係へ昇華した関係になったのだろう。

オリとモリの場合。
二人は恋人だが、二人のペアの練習中にモリが怪我をしたことで、オリが自分を攻めている。
なんとかオリを前向きにさせようと努力するモリだが、本当はモリは踊れない自分が捨てられないか不安だったという恋人のスレ違いでした。

バレエ団の主催・エディと、レジスとユーイの父親クレマンの場合
欲張った為に破滅したクレマンの話しはとても切ないが、名ダンサーと言われる彼の不器用さでもあるような気がする。
欲しいものの為に手段を選ばない。
エディの恋人を強姦して彼の元を去らせ、怒ったエディが自分を振り向くように仕向け、あげく、関係はきれないといいつつ女性と結婚してしまうクレマン。
勝手にエディの才能を決め込んで、自分といつまでもいられる方向にきめてしまって。
このクレマン何となくレジスに似ている。レジスはこんなに傲慢ではないが、最初のユーイが欲しくて苦しんでいるあたりなどがそう思った。
自分の都合で人を捨てる、そんな父親がレジスは許せなかったらしい。
クレマンは死んでしまったからエディは一生彼に想いを残すことになるのだ。
なんて罪深い男だろう。

これが会社員とかただの学生ではありえない、互いがダンサーだからこそ発生する感情と関係ですね。
芸術家は貪欲でわがままなのですw
モダンを舞台にすることで、通常男×女のペアも創作ということで男×男というペアも許されてくる。それを生かしていると思います。
クレマンが演目のロミオとジュリエットにこだわり、エディをマキューシオと読んでおりましたが、
マキューシオはロミオの友人で、街でキャピレット家の男たちと争いになり命を落とします。それに激昂したロミオはジュリエットの従弟を刺してしまう、、その関係性になぞらえたものだと思われます。(命を落としたのは傲慢なロミオでしたが)
表現が見せるものがとても優れた作家さんだとまた再認識させられる作品でした。

8

奥深い1冊

好き嫌いは別にしても、かなり奥深い作品で、バレエダンサーたちの苦悩や
取り巻く環境、芸術性の高いバレエゆえに才能一つでその後が決まる。
そんなバレエ界で、ダンサーたちの交流と苦しい葛藤、愛した相手の裏切りや
思いが空回りするような擦れ違い。
ある義兄弟ダンサーのカップルを中心に描かれているそれぞれの恋のゆくへ。
悲恋もあれば憎しみもあり、器用に生きているようで、誰よりも不器用。
様々な人間模様を垣間見る事が出来、過去と未来が交差する展開もある。
この作品はさらりと読んでしまえば、それまでになってしまう恐れがあるのですが、
じっくり読み込むほどに味わい深い内容だと思える感じの作品。

5

読むときは、ぜひ味わう時間をとって。

フランスのバレエ団で踊る義兄弟のダンサー
そのふたりを中心とした、3CPのストーリーが織り成すお話です。
映画館でフランス映画を一本見たような、そんな感覚になれた一冊でした。
(ここで、バレエの舞台を見たと言えないのは、きっと本物を見たことがないからですw)

完璧主義で努力家なフランス人の義兄・レジス × 蠱惑的な日本人の義弟・ユーイ

ふたりと同じバレエ団の、
天才日本人ダンサーと、彼に怪我をさせてしまったと自分を責める恋人

若かりし頃のレジスの父と、彼が最後まで求めていた相手


3CPのそれぞれが、皆すべてバレエダンサーで、
普通の恋愛的な感情に加えて、ダンサーとして求めるものや、プライドがそれぞれにあり、
一般人として共感しづらい部分もありました。
それから絵が、
数十年前に描かれたものです、と言われるとしっくりくるようなタッチで、
最初見た時はとても違和感がありました。
また、途中にハッピーエンドではないCPの話も出てきます。

マイナスイメージになる事ばかり言っているように聞こえるかもしれませんが、
そうではなくて、それらが合わさるとなぜか、
バレエという自分の知らない世界が、
痛々しいほどに完璧と美しさを追求していく場所で、
だからこそ生まれる輝きと魅力、そして求める愛があるのだと、
十分には分からないながらも、胸に響いてくるのです。

詳しく書けば書くほどチープに見せてしまいそうで、言葉にしづらい作品です。
ストーリーの詳細を楽しむのもいいのですが、それよりも、
作品の雰囲気に触れて、じっくりと堪能して味わうのがいい、そんな一冊かと。


バレエについてよく知らなくても大丈夫ですが、
ロミオとマキューシオの関係が分からないと、
わたしのように途中で「ん?」と手が止まるかもしれません。
(普通は知っているのかな??)
「火の鳥」「ロミオとジュリエット」について知っていたり、
モダンとクラシックバレエの違いが分かっていると、より楽しめるのかもしれないなと思いました。

5

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