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夏色初恋ダイアリー!!
大学生同士の甘酸っぱくて可愛らしい恋のお話…かと思いきや。
前に進んでいくことへの迷いやそれぞれの葛藤以外のところにもハラハラする種があって、
メリハリのあるストーリーとなっていました。
"人違い"をキッカケに始まった新たな友情は大学生活を鮮やかに彩るモノになって、
タイプは違うけれどその息の合った掛け合いを見ているだけで彼ら自身が日々を楽しんでいるのが伝わります。
でも『ヒカリ』のことをずっと気にしている塁は槙士との距離感を測れなくなっていき、いつしか空回りするように。
槙士のことを思って『ヒカリ』に再会させてあげたいという気持ちと、それとは別に自分の中に生まれた行き場のない感情の答えが欲しくて周りに探りを入れてしまう様子がとても独りよがりに映ってしまってモヤモヤ。
槙士への想いや塁自身の迷いが表れていた結果なのはわかるけれど、本人にぶつかる前に母親に聞くのは絶対違うよなぁと思ってしまった。
ただ。そういう未熟さも含めて成り立つストーリーだったようにも思います。
幼さの抜けきらないふたりが、お互いの存在によって少しずつ成長していくこと。
その部分を見守れてとても嬉しかったなと思いました。
一穂さんは作家買いしてるはずなのにこれはなぜか読み逃していました。最近は人気お仕事シリーズのスピンオフ作品などで大人キャラの話が多いけど、本来こういう一冊完結の青春物語もお上手な方です。行ったり来たりすれ違いで色々もどかしくもキラキラしたピュアラブストーリーでした。
2人の出会いは大学の入学式。人懐っこくて愛敬のある性格の受けの塁に対し、大人びて落ち着いた雰囲気の攻めの槙志。しかし槙志は意外にも非常にデリケートな面を持っていて…というお話。キーワードになる槙志の昔の知り合い?の「ヒカリ」の存在が明かされた時には驚かされました。
2人は大学でオセロサークルに入るのですが、2人の恋愛も片方が優勢だと思っていたのに一気に展開がひっくり返ったりする所もオセロになぞらえていて上手いと思いました。大学で出会った2人が「一緒にいて楽しいな。相性最高の親友だな」と思っていたのに好きが強くなりすぎて友情が恋愛に発展してしまうというBLの王道が丁寧に描かれていてキュンキュンできます。「さよなら親友、こんにちは恋人」。だからあのタイトルなのかー。
ネタバレなしで書きます。
大学生のお話です。
派手派手しさはないですが、日常系がお好きでゆったりとしたストーリーがお好きならばハマるかもしれませんよ。
槇志は離島出身で、一人暮らしの大学生。
オセロが趣味で、サークルにも入っています。
真面目であまり外で自己主張しないですが、確固たる信念のありそうなタイプ。
塁も槇志と同級生ですが、性格は正反対。
女の子にはちょっと奥手だけど、明るく素直で誰とも仲良くなれる得な人格。
視点は塁で進みます。
ふたりは大学での入学式で出会います。
槇志が『ヒカリ』と塁を間違え、声をかけてしまったのがきっかけです。
同じサークル(オセロ)に入り、度々槇志のアパートに遊びに行く。
男女だったらきっとすぐ恋人になれていたであろうほどに、育った環境はまったく違うのにお互い不思議と一緒にいて自然な存在。
おまけに夏休みには槇志の里帰りについて行き、一緒に島へ行くという密着ぶり。
はじめは『ヒカリ』を昔の友達かなにかだと思っていた塁も、槇志との中が縮まれば縮まるほど『ヒカリ』が何者なのか気になってきます。
『ヒカリ』が何者なのかは読み進めるとわかると思いますので書きませんが、某昔の名作にあったかなーという感じです。
わたしは金さんのイラストの感じがあまり好みでないために最初どうかなーと思っていたのですよ、ごめんなさい(苦笑
でも読み進めると槇志の少し感情を抑えた感じだとか、ピッタリでした。
塁の癖もすごく可愛いの、すごく好きです。
そして、オセロって意外に奥が深いのですねー。
角をとれば有利だと思ってました。
大人になってからまったくやる機会がなかったので、ビックリしました。
この本の発売時期は、まさに新入学真っ盛りの4月。
実にタイムリー。
大学入学したての時に印象的な出会いをして、
普通に、友人としてつきあい始めて、
そして夏休みが終わるまでの、ほんの半年間ほどのお話。
そう、このお話の出会いが「大学」って所がポイント。
これが、中学や高校だと、そもそも恋愛って物の存在に気付くまでに時間がかかってこじれちゃうだろうし、社会人だと、青臭すぎる。
恋愛経験が全くなくても、それなりにあってもおかしくない18歳。
自由度の高くなる、時間とお金。
この絶妙な、時と場所の設定。
また、金ヒカルさんの挿絵の二人がいいの。
この、子供でも大人でもない感じ。
ぴったり。
一穂さん、大好きな作家さんです。
だからこそ、期待しすぎてしまったように思います。
一穂さんらしい、繊細の世界観で、
2人が心の距離を縮めていく様子にじわじわ沁み渡るものでした。
しかし、
いつもは綺麗にかんじる文字に、あざとさを感じてしまいました。
内容については、
大学に入った2人が、友人から心を通じ合わせていく様子で、
「何かが起こる」わけではありませんが、
だからこそ2人の心の揺れを感じることができます。
そして、何気ない展開だから、槙志の過去に衝撃を受けました。
一穂さん作品の中では、あまり好みではありませんでしたが、
一読の価値ありかと思います。