イラスト付
すごく素敵なお話でした!
途中で目の奥がツーンとしてきちゃって。。。
病設定というのはいつも書くことですがズルイって思ってしまうのですが、それが故に相手が彼の必要とする存在になるという意味でとても重要な役割を担っていました。
この主人公となる二人の結びつきが一冊の中で紡がれていく様がラストの感動へ昇っていくストーリーと気持ちの変遷の仕方といい、登場人物の役割といい、モチーフといい、
全てがバランスよくそれぞれの役割を果たし物語の質の良さも感じたのでした。
また、このお話は23歳の年下攻めの31歳年上受け。
奈良さんのイラストにしては珍しくぽや~んとした感じの男性が描かれています。
そして、その性格を表わすように、エッチシーンで恥ずかしくて下半身丸出しなのに顔をクッションにうずめて隠している絵とか、萌え萌えしちゃいました♪
父から譲り受けた家で絵画教室を開いている武が、友人の依頼で音楽イベントのポスターを描いたのがきっかけで、
武の絵が気に入ったというR&Bバンドから新しいアルバムのジャケットの絵を頼まれる。
その音楽と歌声に感動を受けた武だがそうした作品発表をしない主義の為依頼は断るのだが、武の絵に執着し熱心に頼み込むメンバーの慎吾の熱意と彼の歌声と共感するものを感じた武はアルバムのイラストを描くことを了解する。
武が才能があるのに、絵画教室の先生で満足している理由。
慎吾が武の絵にこだわる理由。
これがそれぞれに切ないのですが、だからこそ彼等が成長するために必要なものだったと思います。
以下ネタバレします
慎吾は視力が弱く色の識別ができないのです。
ただ唯一色がわかったのが武の描く絵。だからこそ執着するのです。
色のない世界で生きる彼の生きている目印なのです、武の絵の表現する色が希望の星。
だから武を欲しいと思い、それが恋情へ進展していく。
そして武。彼は父親が有名な建築デザイナーで、元々絵の才能があったのですが親の七光で正統な評価をされないと思いこみ、自分を過少評価しているのです。人から受ける妬み嫉みから内向的になったが大学に入ってできた唯一の友達が、
彼には才能があると互いに刺激しあい、その時ばかりは本当に絵を描く事が楽しかったのだが、ある日突然武のアトリエでその友人が自殺を図り彼の前からいなくなってしまった。
だから彼は人をそんな思いにさせる自分の絵は世に出してはいけないというこだわりを強く持ってしまったのです。
それぞれが持つマイナス要素があるがゆえ、慎吾は武に希望を見、武は閉じ込めた心を揺さぶられ、
そして慎吾はメンバーからも恋をして変わったと聞いた人が誰もが感じる成長を遂げるのですが、武はCDジャケットは描いたものの、そこで終わりにしようとする。
それを変えるのが、初めて知る慎吾の目の事情なのです。
決して目の事情があったから武がほだされて同情で彼の愛情に応えたわけではない。
ちゃんとそれ以前に、出会いから始まり物語の過程の中で特別になっていく要素は落ちているのです。
バンドのメンバーもしかり。一見奔放な椎名と、冷静なまとめ役の川久保。
慎吾の同居人である金持ち嫌いのカメラマン、最初の出会いのきっかけになる武の友人も、そして武が才能を封印した元になった友人も。
全ての存在が意味をなし、彼等に影響をしていて誰一人として余分な存在じゃないのです。
この人物バランスも絶妙でした。
クライマックスの武の言葉も胸アツになりました。
「喜びで歌って下さい、僕がたくさんあげますから」「眠るのが怖いならこれからは眠る瞬間も目覚める瞬間も僕のそばにいて」
思わず胸が熱くなる、これ以上の愛の告白はあるでしょうか。
たくさんの心に残るセリフがありました、もうあげきれないくらい。
二人は、何があってもずっと繋がっていて慎吾に武は色を与え続けるんだと。
本当、ステキでした☆☆☆
すごかった、圧倒された。
でもBLとしてちゃんと萌える。
千地さんのキャラ(脇役も含め)は生きている。
傷や歪なとこを抱えている部分の描写が上手く、上滑りな記号じゃなく血が通ってる感じ。
そして恋愛も含めて色々考え葛藤して成長するところを描く。
だから恋が成就するってとこが自分や相手の世界や価値観を受け入れて前に進む力強さみたいなものを感じる。
今回はアーティスト同士だったから余計にその部分がはっきりしてた。
終盤の武の意外な決断がでっかいなあと思った、あんなに卑屈だったのにね。
著者は今のところ王道とは受攻逆に感じるようなCPを書いているけど、キャラ造形も物語の構成も説得力があるからその組み合わせもすごくすとんと落ちてくる。
今回千地さんでは初めての両者視点もすごく意味のある形式だった。
奈良さんの表紙もぴったり過ぎで、読む前からわくわくさせてくれたけど、読み終わってまた表紙を見たらこれ以外にないと思った。
中の挿絵も武の家を初めて訪ねる場面で慎吾が懐中電灯持ってるのに感動。
前後の文には無いんですよ、ずっと後の場面で彼が夜道を歩くときに懐中電灯を使うって分かるんですけどそこまで読み込んでるんですよね。
…タイトルは仮タイトルのミリオンカラーズのが合ってたと思うんだけど。
慎吾のまだ子供と大人の狭間で自分の才能と運命を持て余している感じの危うさ。
武の卑屈で草食系の枯れた風情。
全然違う世界で全く違う軌跡を描いてきた彼ら。
でも互いの軌跡が交わって互いの才能に魅かれてスパークするような感じ。
そういえば千地さんってデザイナーや料理人、役者、歌手、画家とか右脳系の職業(味覚は左脳だったΣ(´Д`; ))を描くことが多いけど、そういう世界をちゃんと左脳で文章で表現できるのがすごいなあ。
モノトーンの世界で生きてきたにしては慎吾が色の名前の知識があり過ぎなんじゃね?とか引っかかるところが無いわけじゃないのですが。
武の「尽くすタイプ」とかもうかわい過ぎた。あと「あかん」エロかったw
慎吾の買物に笑った、若いのうw
互いが奇跡で、二人が手をとって選んだ世界がこの先も極彩色に彩られているのが想像できる。
読後感がとても気持ち良かった。
もう一言素敵です!感動です!タイトルの奇跡の言葉がこれほど心に響くなんて
本当に惹かれる作品で読み終えた後も永遠にこの奇跡が続く事を願うばかりです。
色の無い世界、それはきっと味気ない世界なのでしょう、そんな日々が
ある一瞬から色鮮やかな極彩色の世界に踏み込んでしまったら、誰だってその色が
欲しいと思ってしまうだろうと思わせる。
生まれつき目が悪く色を視る事が出来ない、まるで神様の悪戯みたいだけど、
その代りなのか、人を魅了する声を持っていたりするドラマーで歌も歌う慎吾。
澄んだ高音を硬質な玲瓏さで響かせる歌声、しかし彼は色を視る事も感じる事も
出来ない、それがある告知ポスターを見た瞬間に運命の奇跡みたいにそのポスターだけが
色鮮やかに目の前に現れる。
そんな絵を書いた武は、過去の友人とのトラウマで大好きな絵を書きながらも
その絵を世に出す事を頑なに拒み、大好きな子供たちに絵を教える先生として
のんびり暮らしている。
友人で先輩でもある人物にどうしてもと請われポスターを書いた事でこちらもまた
運命的な奇跡に入り込むことになります。
慎吾は武の描く絵に、武はその歌声に心を動かされ、簡単な恋愛話に留まらず
奇跡と呼ぶにふさわしい内容で武が描くキラキラと光が降り注ぐような絵を
読みながら読み手も感じられるような素敵な作品でした。
表紙のカラフルさが全部を物語ってる気がします。ピッタリ!!
普段の世界が白黒にしか見えない歌手の真悟とお絵かき教室の先生である武の話
真悟は見えているものが全部白黒にしか見えない目の病気を持っています。
そして武先生にも自分の書いた絵を表に出したくないという過去を持っています。
そんな二人の最初の出会いもまさに奇跡!!そして真悟には武先生が描いたものにだけ色が見えるというこれまた奇跡!!これが先生に執着するきっかけになるのですが、武先生もまた真悟の歌声に感動を受けます。そして名前を公表しない事を条件にCDジャケットの仕事を引き受けます。それから二人の交流が始まります。
とにかく真悟はまっすぐです。そして武先生は本当に良い人で可愛い人でした。
とっさに出てきた関西弁に萌えました☆
最後の方は2人のやりとりに感動しました。目がいずれ見えなくなる真悟に「僕が、あなたの世界を暗闇にしません」といった武。心に残ったセリフがたくさんありました。
また脇役であるバンドのメンバーや、真悟が居候しているフクオも良いキャラをしていました。この人たちがいなかったら成り立たない部分もあり物語をうまく盛り上げてたように思います。
心が温かくなる素敵な作品でした♪♪
答姐の「あなたの好きなタイトルを教えて」みたいなトピでこの本のタイトルが挙げられていてタイトル買いしました。
読んでみたら「君だけが僕の奇跡」というタイトルが本当にしっくりくる、まさに「奇跡」としかいいようがない出会いが描かれていてとっても良かった。
攻めの慎吾は人気音楽グループのメンバーなんだけど、生まれつき目が悪く色の無いモノクロの世界で生きている青年。
それがある日、街に貼られたポスターに文字通り目を奪われます。
何故なら、そのポスターだけが鮮やかに色づいていたから。
そのポスターの製作者は、絵画教室の先生をやっている武。
絵の才能があるのに、過去のトラウマが原因で絵の仕事は極力引き受けず、ひっそりと、心乱すこともないよう、まるで余生を過ごす老人といった暮らしぶりをしている青年。
そんな武が慎吾たちのライブを聴きに行って、降り注ぐ無数の星屑のような彼らの歌声を全身に浴びて射抜かれたようになるシーンなど、読んでいるこちらの感覚にも強烈に伝わってくる描写がそこかしこに満ちていてます。
色の無い世界で生きていた慎吾と、目立たぬように生きていた武という、ある意味どちらも無味乾燥な世界で生きていた二人が出会い、お互いが産み出す作品が目や、耳を震わせ、心を震わせ、少しずつ彼らの世界が色鮮やかに変革していくんです。
そして相手の音楽や絵に触れて突き動かされるような衝動にかられたり、知らず知らずに影響されていたり、変化した相手の様子に自分が取り残されたような気になったり…… などなどお互いアーティスト魂を持った二人が互いの存在に触発されている様子が本当にいい。
慎吾は数年後に失明してしまうけれど、慎吾を暗闇の世界に置き去りにはしたくないという武の決意によって、慎吾は色ある世界を失わずにいられるだろうと思えるラストが感動しました。
「武が描いた絵にだけ色を見分けることができる」なんて医学的には説明できないし、いろんな偶然が重なるのもツッコミどころになるかもしれないけれど、「奇跡」って本来そういう人智を超えたもんじゃないかなって思います。