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人物描写や感情の表現がリアルで、小説読んだなーっと満足させられる作品です。
晴人はあまり感情を表さないミステリアスな人物として登場しますが、とつぜん「なんでそんな目で
俺のことみるの?」と英雄から指摘されます。
はじめはそれがどんな目なのか晴人にも読者にもわかりませんが、後にそれがどんな目かが語られて、
ようやく“あぁそういう事か”と、英雄のとまどいの理由に気づかされます。
小説ならではの表現で、叙述トリックが好きなわたしにはツボでした。
晴人にとっては、少年時代に憧れを抱いていた先輩との再会。
英雄にとっては、封印した過去の自分を知る人物との出会い。
未熟だった自分への後悔や、大人になって変わってしまった事への寂しさ、苛立ちなど、お互いの
複雑な思いがちゃんと伝わってきて、奥行きを感じさせる物語になっています。
人物のイメージがしっかり浮かんでくるので、この作品に挿絵は邪魔だったように思います。
たとえば、英雄の言葉足らずなセリフや態度から、モテる男独特の間のようなものをリアルに感じます。
もしかしたらモデルとなる人物がいたのかもしれません。
晴人のセクシーなのに実はストイックなキャラクターもツボでした
ゲイの男性って優しい人が多いので間違えて好きになってしまうことがあるんです。
夏希と話してるときに晴人の優しさとか、あるあると思ってしまいました。
後半の通り魔が現れるくだりは、少し強引だったように思います。
少年時代と現在の英雄が重なる素敵なシーンなので、都合よすぎな感じが残念でした。
とはいっても、全体にクオリティが高く読み応えあり。
エロは飛ばし読みしてしまうたちなので語れませんが、色気のある大人な作品だと思いました。
中学時代の思いが年月を経て育っていくお話でした。
中学時代、自分の中に唯一住み着いた
眞栄田への思いを抱えながら警察官となった晴人。
かたや、その頃の自分を消して毎日を生きてる眞栄田。
過去の思いを捨て前に進もうとする晴人に対して
過去を引きずる眞栄田の葛藤とかズルいんだけど
大人になっていくうちに逃げることで楽な方を選んでしまう。
でも眞栄田がその過去に向き合い先を見つめだすようになって
だんだんとストーリーに引き込まれていったかな。
キュンキュンとはまた違うんだけど、なんかハマりました。
次は作中に出てきた弓削さんとリンさんの大人なお話が読みたいです。
自由そうな古着屋の店長とクールな新人警官、
接点なんてまるで無さそうな序盤なのに
読み進めていくごとにどんどんのめりこんでいってしまいました。
警官の晴人が、英雄に対して素っ気ない態度をするくせに熱い目で見ていたり
キスしたのに「ノリでしょ」とか言っちゃうし
本音がわからない状態から明かされていく過去。
英雄視点での回顧シーンもあるので、ああなるほど…と
どうして今はこうなったのかを目の当たりにして切なくなりました。
“自分ではない何者かになりたい”ときっと誰もが一度は思ったことがあるでしょうけども
良くも悪くも自分は自分でしかない現実で
それは周りの人たちに支えられて存在する今なんですね。
英雄と晴人の心情も胸を打ちましたが
晴人の上司である弓削や、ダイニングバーのマスター(ママ?)リン、
古着屋で働く夏希とせりか、とても個性が強くて人間くさい人々が
物語に厚みを感じさせてくれました。
本当に弓削とリンは結ばれたらいいのに…リン×弓削希望ですが多分逆……。
不審者の犯人が意外でしたが、まさかと思う人がということもありますもんね。
間違った正義感ほど恐ろしいものはないかもしれません。
晴人が憎まれ口をたたいても内心はそうじゃないツンデレ具合や
英雄が軽口をたたいても決して忘れられない背負っていたツライ過去、
このバランスが非常に素晴らしかったです。
個人的に晴人×英雄だったら間違いなく神でしたが英雄×晴人も素敵でした。
晴人のギャップがたまりません。
大人の青春ドラマに定評のある千地イチさんの新作は
初の年上攻め? 受けの方が背が高く男前なので
攻×攻っぽい男の色気が堪りません。
古着屋を営む英雄(攻め・『俺』)は
近所の交番に異動してきた警官・晴人(受け・『僕』)と知り合う。
英雄と晴人の一人称視点が
交互に出てくることで分かりますが
この二人は中学時代の先輩後輩。
晴人にとっては、苛めから助けてくれた英雄は
憧れの存在で片想い相手。
英雄は晴人のことを全く覚えておらず
悪気なく無神経なことを言って
晴人を怒らせてしまう…というすれ違いです。
本作品のテーマは「成長」だと思います。
大人になるって喜ばしいことばかりじゃないんだな~という話。
作中たびたび登場する「べつの生き物になりたい」という言葉が印象的です。
中学時代、小柄で大人しい少年だった晴人は
英雄への叶わぬ想いをバネに
男とも女とも経験を積み、
無愛想だが心身共に強い警察官に成長する。
逆に、学生時代非常に目立つ存在で
何にも囚われず自由に生きていた英雄は
バイク事故のトラウマと後遺症により
良くも悪くも温厚で凡庸な大人の男に成長。
勃起不全のため、女遊びもせず
小さな古着屋をひっそり営んでいる。
変わってしまった英雄に苛立ちを覚えつつも
昔の恋心をふっ切ることができず
近づくとドキドキしてしまう。
そんな晴人がとても愛しく思えます。
口では「強がるなよ、インポのくせに」とか
悪態をついて初対面のふりをしているのに
英雄への好意は隠しきれてないところが可愛いv
ラストの絡みでは、いつも冷静な晴人が余裕なく
がっついて英雄を求めていて、
英雄が、昔のような野性味と大人の余裕とを
見せているところがとても良かったです。
晴人が英雄により変わったように、
英雄もまた、再会後の晴人に檄を飛ばされたことで
肉体的にも精神的にも再び走り出すことができ
これからの毎日が少しだけ変わっていくのでしょう。
女生徒があまりに達観している点など
(自分らしく生きることと足を失うことは
全く別次元の話なんじゃないかな~と)
ちょっとエピソードが気障すぎる気はしましたが
穏やかでちょっとほろ苦い大人のラブストーリーを
堪能できる秀作かと思います。萌×2寄りです☆
あらすじにある『純粋で厄介な恋』
ああ、これは確かに厄介かもしれない。
遠い昔の残像に恋しつづけている男が、その残像を残した男との再会。
現在すっかり変わってしまった姿にショックをうけながらも
その中にある昔と変わらない面影に抗えない恋心に揺らいでしまう。
そんな批難めいているようで物欲しげな目を投げる男の不思議な引力に
昔を忘れたい男は心に燻る過去を引き出されていく。
受けのコンプレックスや、
攻めの忘れたくても忘れられない過去、
脇役の細かな人物描写や通り魔事件などが絡んで展開します。
視点は攻め受け交互でしたが、受けの方が多めに感じました。
受けは中学生時代、2学年上の攻めのことを
太陽のように眩しく明るく照らす存在に感じていました。
自分には無いものを全て持っている憧憬が恋心へとなり。
攻めが卒業し、自分の前から消えたときに
心の中にどうしようもない喪失感を覚えます。
大きく開いてしまった心の穴を違うモノで埋めながら淡々と生きています。
攻めの中学時代はまさに怖いモノ無しといった具合。
体格に恵まれサッカー部のエースで強豪校への推薦も決まり。
喧嘩が強く、教師を困らせながらも自由奔放にキラキラ輝いています。
けれど高校に進学し、膝の故障でサッカーから離れ、空虚な気持ちを抱えていたときに、
似たような空気を持っている女の子を好きでした。
2人でアテもなくバイクを走らせているときに事故にあってーーー。
それぞれの思春期の経験はその後の人生に影響を与えます。
受けの一方的な片想いであり交錯することじゃなかったけど、
大人になり偶然に出会ったったことが互いの人生に作用していく。
表面的には淡々としているいるけれど内側は熱情を感じるようなお話でした。
淡々としたテンポで進んでいるようで、
中学時代の残像に焦がれたままの受けの感情にドキドキが伝わります。
個人的に決定的な萌えポイントはあまりなかったのですが
ジワジワとしたドキドキがなんか良いヾ(*´∀`*)ノ
受けは感情をあまり表には出さないけど沸々とする恋心にキュンときました。
攻め視点もあるのですが、こちらは過去の語りのほうが印象的でした。
それだけ過去を引きずっているということでしょうか…。
けれど昔の間違いを繰り返さないよう、今は今なりに生きている。
決して前向きとは言えなくても根本は変わらないんだろうなぁとジンワリ。
偶然再会できて止まった時計が動き出す感じがとても良かったです。