イラスト入り
先輩×後輩、もどかしいリーマンラブ
表紙のふんわりした感じから想像できないくらい、受けが精神的に酷い目に遭う話でした。職場の先輩に惚れてひょんなことから抱かれたものの、初夜は攻めがヘタクソすぎて流血騒ぎ。痛さを我慢して幸せ噛みしめていたら攻めは寝ぼけて他の人の名を呼び、自分が誰かの身代わりな事を知る。その後その事で攻めを問い詰めると逆ギレされてぶたれて「俺を好きなお前を憐れんだだけ。誰でも良かった。」と振られ、仕事でも遠ざけられる。
いやあ久々に清々しいほど外道な攻めに出会いました。受けは健気とか不憫とか通り越してもう踏んだり蹴ったりという感じです。こんな目に遭ってもまだ攻めを好きな受け。ドMなのか。
最後はハッピーエンドだったけど「本当にいいのか?その攻めで。」という気持ちでいっぱいです。しかし攻めが酷すぎて修羅場も多くて逆に面白かったです。フィクションなので。
好きな人に身代わりにされる恋。そのテーマだけで切なさが詰まってます。
最初から最後まで一貫して、悲しい片想いを寄せる受け視線でお話が進むので
身代りである諦めと"もしかしたら"という期待が手に取るようにわかり、涙を誘います。
最初 自分が身代りで抱かれたことを知った時に受けが出た行動は
無体な行為に傷ついた身体を隠すことなく曝け出して、攻めに罪悪感を植え付けました。
この行動で思ったよりあざとく強かなのかなーと思ったのですが、違いました。
少しでも長く隣にいられることを考えた結果の行動で。
恋する気持ちを許してもらいたい悲痛な願いが含まれてました。
でも好きな人の隣にいる時間は「許してはもらえるけど愛されない」悲しい時間。
彼と穏やかな時間を過ごしながら、精神的にはギリギリの細い綱渡りなのが切ないです。
その綱が切れた瞬間、我慢し続けた言葉が一気に溢れ出る気持ちが苦しい。。。
その上、自分が全ての罪を被って悪役に徹する姿に涙腺崩壊です。(´•̥ ω •̥` )
と、健気で一途な受けの気持ちに浸り、涙し、物語を楽しんだのですが。。。
どーーーーーーしても攻めがムカつくヽ(#`Д´)ノ
最初の身代わりは仕方ない。(攻めにも事情がある)
逆ギレも多めに見よう。(受けが煽った部分もある)
だがしかし。
受けに対して失礼な振る舞いをした謝罪と改めて向き合った告白が何故に上から目線⁉︎
「愛してやることが〜(云々)」「大切にしてやるよ」
いやいや、言葉間違えてますよー(ヾノ・ω・`)
攻めの身勝手さがで相手を傷付けたんだから、もう少し謙虚になろうか。
仕事がすごく出来る人という設定だったけど、
受けと別れた→攻めの差し金で受けを別案件に異動させる
受けと仲直り→攻めの要望により自分の手元に戻す
公私混同しすぎで仕事が出来る人がするコトだとは思えません。
受け視線のままズッポリ浸るコトが出来てたら萌え×2だったのですが
攻めの魅力がさっぱりわからず、幸せエンドの最中すら攻めの言葉に萎えたので評価は萌えです。
「萌」と迷いつつも、後日談SSが好きだったので「萌2」評価にしました。メインの二人でもだもだしているのでなく、小出、芦田、雛乃というサブキャラも適当に活躍していて良かったです。
表題作と「女神の許容」17ページ、あとがき(作者様2ページ+イラストレーター様1ページ)が収録されています。
告白した中根(受け)を、酔った勢いで抱く丹羽(攻め)。
中根を抱きながら他の女の名前をつぶやく丹羽。
顔を見たくない相手に会い、中根を人身御供に置き去りに逃げる丹羽。
丹羽の好きな相手は実妹で、許されない恋なら「相手は誰でもいい」と中根につぶやく丹羽。
中根がそのことを指摘すると「忘れるために利用しただけで、身代わりですらない」と言い放った丹羽。
そのくせ、中根がコンパに行こうとすると邪魔する丹羽。
…最低です。
ですが、同性である自分を好きだという中根を嫌悪することはなく、「俺も好きだ」と嘘もつきません。「どうして実の妹に欲情するような下種な男になったのか」と自己分析できていることに好感が持てました。中根を好きになっても良いんだと決心した途端、同居を求めるようなラブ思考も良かったです。自己中心的ではあるのですが、酷い男というのとはちょっと違うかなと思いました。芦田が言うように、中根に甘えていたんですよね…。
そんな丹羽を好きになり、好きになってほしいと望む中根は、健気ですがそれは天真爛漫で純真なものではなく、自分は醜く汚い、と自己分析しているのが良かったです。
別れることになった日のことを、互いに逆ギレしたと説明しているのが面白かったです。なんだかんだいっても二人は似ていると思いました。
「女神の許容」では、同居に小出を利用したり、妹・雛乃と対峙したりと盛りだくさんの後日談で大満足でした。
すべて中根目線で、丹羽目線がなかったのも、逆に良かったです。
ちょっと策士だけど一途で健気な受けにキュンキュンします。
攻めが他に思いを寄せる人がいるとわかっても、許されない恋、終わった恋なのだろうと見せかけの恋人ごっこを必死に守ろうとする姿は応援したくなりますね。
ただ攻めが火崎先生も書かれているように自己中なんですね。ちょっと酷い言葉をなげつけたり、八つ当たりとしか言いようのない仕打ちをします。
それでも受けはすべてを引っ被って、陰ながら攻めを手伝おう、守ろうとします。
まあ酷い攻めですが、改心?してからは受けにメロメロデレデレになってしまうので、まあいいかと思います。
個人的には私にも兄がいるので、血がつながっていて小さいころから兄弟として一緒に育ってきたのに恋愛感情を抱くというのはとても受け入れがたいので、星は3つ。
これが片親とか、血はつながっているけど訳あって離れて育っていたから肉親の情と色恋の情の区別がつかなくて…というならまだアリですけどね。
攻めが酷いので、もうちょっとラブラブでしあわせな受けの様子を読みたいなぁと思います。火崎先生はいつもあとがきでその後の妄想を書かれていてたまにホントに続編が出たりするので、期待しつつ自分も妄想します。