夜が終わり恋が始まる

  • 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作夜明け前

カミーユ,元傭兵でマフィアの幹部
旭飛,19歳,外交官の息子で大学生

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

病に冒され、人生のほとんどをベッドで過ごしてきた旭飛は、たまたま見ていた映像に釘付けになった。そこには、幼い頃、誘拐された自分を助けてくれた男・カミーユが映し出されていたから。その時の彼の言葉と印象的なタトゥーは今も旭飛の心に強く残っていた。再発の危険を抱えながらも大学生となった旭飛は、パリの街でカミーユと再会する。しかし、彼はマフィアの幹部だった……。生きる世界があまりにも違う二人。旭飛を突き放すカミーユだが、旭飛にとっては、生きる糧だった彼を忘れることなどできるはずもなく。身体だけの関係でもいいと懇願するが――。

作品情報

作品名
夜明け前
著者
華藤えれな 
イラスト
松尾マアタ 
媒体
小説
出版社
笠倉出版社
レーベル
クロスノベルス
発売日
ISBN
9784773086782
3.2

(19)

(3)

萌々

(2)

(11)

中立

(3)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
6
得点
59
評価数
19
平均
3.2 / 5
神率
15.8%

レビュー投稿数6

光の道

北アフリカの国の大使だった父親の元に居た8歳の時に反政府勢力に誘拐された息子の旭飛。
彼を助けてくれたのは傭兵のカミーユ。
その後小児がんを発症し、白血病を発症し、生きることに意味を見いだせなくなっていた時、TVに映り込んだカミーユを見つけ、彼に掛けられた言葉を、彼に会ってその意味を確かめることを目標に回復した旭飛が、大学入学で住むことになったパリでマフィアの幹部となっていたカミーユと再会する。

病気のせいで、病院でそれまでの人生を過ごしてきた旭飛は純粋培養の無菌状態。
しかし、自分の目的を児童保護や人権問題に貢献することと揺るぎない目標を持ち、その姿と心には一編の迷いもありません。
そんな彼が闇の世界に生きるカミーユを執着で追いかけるのですが、それはもはや天然を通り越しております。
人を疑うことをしないからです。
カミーユが狡い人間でなくてよかったですよ。
身分差がわかっていない(差別の心を持たない)旭飛を遠ざけるためにカミーユが言ったのは「俺の情人になるか」
ですが、結局カミーユは旭飛を見捨てておけない事態の展開にはなっていくのです。

誘拐された時に旭飛がカミーユに掛けられた言葉
「マティスの青、命の木のような青さ~お前の人生はこれからだ~青と光に包まれたあの木のようにまっすぐ生きるんだ」
「生きろ、お前の人生はこれからだ」
マティスの青と、光がこの話の根底に流れるキーワードのようでありました。

旭飛にとってこの言葉を掛けてくれたカミーユは生きる希望の「光」であり、それは彼が何ものであろうと変わらない。
カミーユは、自分は生まれも定かでなく人の影となって生きて行く人間で常に光の支えとなって生きて行く覚悟を決めている人。
実はマフィアになったのも、そのボスとなったドン・カルロとの関係があるわけなのですが、どうやら「光」の存在がドンから旭飛の執念により、彼に変わったような感じがするのです。
旭飛に、自分の事を話した時にタトゥーを彫ったその意味。
ドンに関しては「俺が彼の側にいたいと思ったのは、お前が俺に対して感じたのと同じ感情だ」と言っています。
カミーユは何かよりどころの欲しい寂しい人だったのかもしれません。
ドンがもし、恋愛感情を持っていたらそっちへ進んだんじゃない?ひょっとしてドンに片想いしていたんじゃないか?って、、、
そこまで語ってないですが、そんな疑念もw

互いが互いの光の存在である。
カミーユも充分に光となりえたのです。

外国の臨床感を感じさせるのに、優れた作者さんですが、今回はモンサンミッシェル、ヴァンスのロザリオ礼拝堂などが登場しますが、空気感まで感じる事はできませんでした。
マティスが作成した礼拝堂の青の事がカミーユの言っていた青なのだとは思いますが、ちょっと今一つピンと来るものがなかったかもしれません。
旭飛は病気設定でしたが、ひょっとして彼が入院した病院や登場する施設は他レーベルでも出てきたマリオン財団関係の?と、、、ちょっと関連があるんじゃないかな?と想像したりもしました。

6

サックリ読めました

それなりにページ数のあるノベルスですが、結構サクサク読んじゃいました。
ざっくりまとめると、子どもの頃に誘拐されて死にかけていたところを助けてくれた軍隊の男と、成長後再会するお話。
大使の息子の主人公が、外国人部隊の傭兵で今はマフィアになっている男カミーユと、身分というか、社会階級を超えて愛し合うようになるってだけでもドラマチックですが、この作品では更にもうひと段階、主人公がそんなにしてまでカミーユを求める理由に、主人公が子ども時代に病気で、カミーユとの再会だけを生きる希望として闘病生活を生きにぬいてきたって言う設定がプラスされて、おかげで世間ズレしていないピュアで真っ直ぐな子って言う設定にも齟齬がないし、上手くまとまっています。
ストーリーは上手くまとまっているし、エロシーンもそれなりにしっかりあるけど、ちょっとさらっと進み過ぎかなって感じ。
松尾アマタさんの挿絵とも相まって、華藤さんにしては随分ライトな作品だったなあって印象です。

小児癌とか骨髄移植がNGワードの方にはオススメできません。

1

もう少し濃い目が良かったかな

華藤さんというと個人的にはハード?と思っております。
初読みなのであまりハードでなさそうな物と思い、こちらを選択いたしました。
こちらハードではなかったのは有難かったのですが、ちょっとアッサリ色々なことにかたがつくお話でした。

********************
受けの旭飛は、中高生に見えてしまう容姿の19歳。
十年間小児癌と戦い、やっと一年遅れでパリの大学へ入学しました。

攻めのカミーユは外国人部隊出身で、現在はかつて戦友であったマフィアのドンの用心棒。
********************

8歳の時に外交官だった父に従って住んでいたアフリカの大使館公邸で、旭飛は誘拐されました。
その旭飛を偶然救ってくれたのがカミーユで、病気が治ったら彼を捜すことを目標にしていました。

ただ闘病時の生きる希望だったわりに、これがけっこうはやく見つかるんですよ(苦笑
ちょっとその辺りがあまりに都合が良いと言うか、探しに行ったその日に見つかるとかないでしょ!とツッコミ入れたくなりました。
ページ的都合なのでしょうか。
ノベルスなのになあ。

救ってくれたことのお礼に叔母宅の食事会に誘う下りを読んでいて、『ああ、この子合わない』と思ってしまいました。
誘拐され、長く闘病して、すっかり過保護になった親といて、と、世間知らずなのは仕方ないのですよ。
ただ、こうしたらこの後どうなるとか、人がどう感じるとか、行動のその後を考える想像力が欠如していると思っちゃったんですよ。
無神経と天然は別物だと思っていますので。
でもこれはわたしの早合点で、実際はきちんと他人へ気も遣えましたし、叔母宅での使用人への対応もすごく良かった。

ただ、やっぱり育ちが良過ぎなんでしょうねえ、同年代の人間には旭飛は変わってて面白味がないと評されてしまっています。
その分カミーユのような地獄の底を見てきたような人間には、無意識に惹かれてしまう光なのでしょうねえ。
個人的にカミーユは、黒豹のようでひじょうに好きなタイプですし、我慢できないぜ!っていう雰囲気のガツガツ感がたまりません。
なので、出来ればもう少しストーリーに厚みが欲しかったな。
あまりにトントンと進んで行ってしまいますし、撃ち合いもちょっと迫力不足でしたし。
全体的に何か物足りない感じでした。
せっかくノベルスなのですから、もう少し展開が急ぎ足にならないようにも出来たのでは。
肩透かし感が半端なかったので中立と迷いましたが、カミーユが好きなタイプなので萌で。

1

ハードとスリル

ハードとスリルがあっても良かったなと。

キャラも内容も好きなんだけど。
旭飛は危機感薄すぎます。

せっかくね、カミーユがマフィアでカミーユを陥れようとしてるフリップがいるのにハードとスリルが足りない気がする。

旭飛の真っ直ぐさに負けてカミーユがほだされて行くシーンは好きですね。

ドンももうちょっと活躍しても良かったんじゃないかな。
自分の身内くらい自分でなんとかしてほしいよね。
マフィアのドンなんだから。
ドンは悪いやつじゃないんだよな。カミーユの軍人時代の同僚でお互いが命の恩人だったりするし。
ドンの身内のフリップが悪さしててもやっと出てくるのは事が終わってから。
親友以上の関係で繋がってるようだけど、中途半端な感じが。

カミーユの恋人は旭飛なんだから、旭飛だけを狙えば良かったのに。
フランス領事の旭飛パパが狙われてるんだもんな。

スポットが色んな所に向きすぎ。

カミーユと旭飛の関係は楽しめた。

0

期待した分、辛口;

(旧:傷だらけのノワール)とあるから、本作は旧作品の改題新装版でしょうが、旧作の方は、いつ作品か?作画は誰か?改稿されたのか?とか一切知らず。

読んでみたら、「攻めが外国人」の「外国もの」で「受けが不幸」…華藤先生のイメージ、見事にそのままでした^^;
ロミジュリで、ロードムービー風もあり、誘拐事件あり、マフィアのドンパチあり。
病弱受けの旭飛(あさひ)は、健気に頑張ったし世間知らずなところも愛らしいし、
攻めのカミ―ユは、義理人情に厚くて優しくて強くてカッコ良くて。

なのに、何でだろう?
この2人が、時間ごとに想いを深めていく物語はちゃんとあったんですよ、でも何故、
胸のどこにも引っ掛からずサクサク読めてしまったのか?
再販するのに、なんでコレだったんだろうと思えたのは?
・・・
良い子良い人のハードルはあまり高くないんだなーな感じでした;
物語の重さに文章の深度が合ってないのかも…;

あと、自分勝手なイメージもう1つなんですが、
華藤先生は、東欧(黒い森)や南欧(闘牛やフラメンコ)のような、重くて濃い色
松尾先生は、フランスやモナコの都会の軽い中間色
ここらも、ミスでマッチと感じてしまいました;

萌え寄りの中立ということで、華藤先生の新作に期待しています。

4

この作品が収納されている本棚

マンスリーレビューランキング(小説)一覧を見る>>

PAGE TOP