老いもせず、死にもしない。 そんな死神の恋―― 切なさが美しく心に響く、連作落語シリーズ。

年々彩々(表題作 デラシネの花~落語「寿限夢」より~)

nennen saisai

年年彩彩

年々彩々(表題作 デラシネの花~落語「寿限夢」より~)
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神88
  • 萌×230
  • 萌36
  • 中立7
  • しゅみじゃない14

--

レビュー数
25
得点
675
評価数
175
平均
4 / 5
神率
50.3%
著者
秀良子 

作家さんの新作発表
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媒体
漫画(コミック)
出版社
祥伝社
レーベル
on BLUE comics
発売日
価格
¥619(税抜)  
ISBN
9784396783389

あらすじ

【金魚すくい】
怠け者の与平と彼に取り憑く貧乏神。
二人はいつの間にか夫婦のような間柄になるが……
~落語「貧乏神」より~

【デラシネの花】
長寿を願い名付けられた寿限無(中略)長助さんは
幕末をむかえ、文明開化の音を聞き、二つの大戦を生き抜いて現代を生きていた。
そんな孤独に生きる彼の心の拠り所は、昔みた“死神”だった。
~落語「寿限無」より~

落語シリーズ二作ほか、短編一編&描き下ろし収録!

表題作年々彩々(表題作 デラシネの花~落語「寿限夢」より~)

ホスト 寿限無(中略)長助 200歳くらい
貧乏神から転職した死神

同時収録作品金魚すくい~落語「貧乏神」より~

怠け者の与平
貧乏神

同時収録作品小向家の事情

その他の収録作品

  • 描き下ろし(デラシネの花)
  • カバー下表紙1【表】:キャラクターも登場のあとがきマンガ
  • カバー下表紙4【裏】:裏話[文字のみ]

レビュー投稿数25

長く生きる自分に寄り添ってくれる人

◆金魚すくい
 短かったけれど、とても心地良い余韻の残った作品でした。怠け者の与平は本当に働かなくてどうしようもないけれど、突然現れた貧乏神のことも邪険にせず、なんだかんだずっと一緒にいてくれて。人に借金してまで無駄遣いする彼にはなかなか同情しにくいかもしれませんが、貧乏神に金魚を買ってきてくれたその優しさに、心の温かさは本物なんだなと感じました。

◆小向家の事情
 貧乏神〜死神の話とは打って変わって、現代的な家庭の物語。『STAYGOLD』に近い雰囲気がありました。ゲイの父親を持つ少年の、父親の恋人への複雑な気持ち。なんで母親がいないの?という疑問はずっと昔に通り越しているけれど、父親が抱かれているのを見て、何とも言えない気持ちになるのは当然ですね。最後に自分も男の恋人を連れてきた彼ですが、それは父親達の罪なのではなく、彼の立派な自我の確立だと思っています。

0

金魚へのお礼が心に残った

金魚を買ってきてくれたから、買ってきたのが金魚だったから、家を出ることを思いきれたのだと思うのです
寂しがりやを置いていくのに生き物だったのが都合良かったと思います
そして、思い切って転職したから、このダメな男の最期を見取れたのですね
ダメな男って本当にダメです
こうして置いて行って最期迎えに来るのが憎まずに愛するたった一つの方法だった気すらします
お礼の言葉について何度も思い出して考えてしまいました

寿限無の長助さんは真っ当に生きて妻や子、孫らを愛して暮らしたのに死ねないというただ一点だけで1人根無し草となって不幸に生き続けていた
そんなところに死神に出会えて縋ったお話
長助の前から姿を消した期間に死を免れる方法を調べてきたのでしょうか
長助さん時代を超えてモテるイケメンだったのはラッキーだったんじゃないでしょうか
普通の人がただ命の蝋燭だけ長く持っても迷惑な話って(そうかも…)って心から頷けました

0

落語に明るくなくとも

作者さん買いしている秀良子さんの作品。
BLはもう全部読んでしまいました。
こちらが最後に手を出した作品。落語、和服、時代設定…あまり落語を知らない自分にとって、とっつきにくいテーマではありました。
寿限無くらいはなんとなく知ってる程度の知識。

しかーし!無問題でした。
じんわり切なく、暖かく、余韻を残すお話です。
BLなんだけど、たかが漫画なんだけど、人生においての何か教訓めいたものを感じられるお話が私は好きです。
単にエロいものも好きだけど、やっぱりお話のその後に想いを馳せられるものが神作品じゃないかと思っています。

0

デラシネ/根無し草

秀良子先生の作品が好き過ぎて偏っている自覚のあるレビューです。

落語が元ネタの「金魚すくい」(1話)、「デラシネの花」(3話)に繋がりがあって、ファンタジーではない別の作品「小向家の事情」(1話)も収録されています。

レビューで何度か書いてますが、やはり秀良子先生の作品は寂しさを抱えてるんですよね。露骨なお涙頂戴ではなく誰でも持ってそうな寂しさ。
寂しさを抱えながらもハッピーエンド、というのが私の見方なのですが、この単行本だけはどうも読後感が辛くて辛くてあまり読み返せません。
面白く無くて読み返さないのとは訳が違うので神評価です。

0

落語がらみコミックの秀作です。

秀さんの作品で一番好きなのがこの「年々彩々」。

上方落語好きの私はもともと枝雀師匠の「貧乏神」もとっても好きなのですが、女房のようになってしまうビンちゃんとの間に「恋愛」を足してこんなに切なく仕上げるなんて! ほんとに天才だなぁと思いました。色っぽいし。

そして長生きの「寿限無」に死ねない悲しみを抱えるバンパイヤものの味付けを加えるという発想もまた天才的。現代では夜の世界に生きてる…なんて設定も絶妙だし、死神とビンちゃんを絡めるあたりも脱帽。

キュンとしたり、切なくなったり、ジーンとしたりしながら「秀さん天才!」と唸りつつ何度も読み返しています。
私が、BL読みじゃない人にも折を見てはおすすめしている本たちの中の代表的な一冊です。

2

落語はよく知らないけれど、ガシガシと涙腺をやられます

秀良子さんは私の中でとても神率の高い作家様なので好きな作品はたくさんあるのですが、本作はその中でも特にお気に入りの作品。
強く長く心に残り続けるような神中の神作品です。
貧乏神ビンちゃんのダメンズウォーカーっぷりに乾いた笑いをこぼしつつ、デラシネ(根無し草)の孤独感と心の拠り所(救い)を描いたストーリーにガシガシと涙腺をやられます。



落語をベースにした「金魚すくい」と「デラシネの花」は、2人の根無し草のお話。
「根無し草に花は咲かない」と、かの経営の神様(松下幸之助氏)は仰っているわけだが、さてさて「デラシネの花」とはなんぞ?と。
この洒落のきいたタイトルに惹きつけられて読み始めてみれば、これがあとでグッと効いてくるキーワードだったことに気付かされる。
秀良子さんの描くお話にはいつも素敵なアンサーがあるのだ。

怠け者で貧乏神にすら見放されて独りぼっちになった「金魚すくい」の与平が最期にポツリと漏らす「さみしいなぁ…」
何百年も死ねずに独りで生きてきた「デラシネの花」の長助が死神に懇願する「傍にいてくれよ なぁ… 頼むよ…」
孤独の限界点を超えた2人の主人公が口にする言葉の先にある結末の差こそが、秀良子さんの提示するアンサーなのだと思う。
同じ根無し草でも、長助のように掴むべきものをしっかりと掴み自力で根を生やすことが出来ればいつか「花」は咲くのだろう。
だけど、「さみしいなぁ」と呟くことしかできなかった与平は根無しのまま死んでいく。

「デラシネの花」の対比として描かれている「金魚すくい」には教訓が詰まっている。
与平はビンちゃんに喜んでもらいたくて買ってきた2匹の金魚をビンちゃんが愛想を尽かして出て行った後も大切に育てているんだけど、そのうち1匹いなくなり、やがて残りの1匹もいなくなって…
一つの桶の中で飼っていた2匹の金魚は与平の理想の無意識の現れだったのだろうと思う。
だけど怠け者の与平は理想を眺めているしか出来なかった。
理想と現実のギャップを埋められないまま、公園でボンヤリとよその母娘を眺めている与平の視線が哀しい。
結局怠け者の与平が掴めた救いは、死ぬ瞬間のあの一瞬だけ。
与平の最期に再び現れて、金魚のお礼を言うビンちゃんの心を思うとやるせなさがこみ上げる。

この落語シリーズは、一つ一つは与平と長助の話なのだけど、二つが合わさるとお話の主人公がビンちゃんになるところもまた面白い。
「神様」という存在だったビンちゃんが一気に人間臭くなる。
与平を心にずっと住み着かせたままでいるビンちゃんが切ない。
長助と一緒に生きていくことにしたみたいだけど、ダメンズウォーカービンちゃんは果たして無事幸せになれるのか?!
「金魚すくい」の頃のビンちゃんが端々にデジャブる描き下ろしの長助との生活に一抹の不安が拭えません><
頑張れビンちゃん!!



タイトルの「年々彩々」というのは、禅語の「年年歳歳花相似 歳歳年年人不同(年々歳々花相似たり 歳々年々人同じからず)」をもじってあるのだと思いますが、「諸行無常の世界に彩りを添えられるかはその人の心次第」というふうに解釈しています。

最後にひとつ入っている現代モノの短編は、とても秀良子さんらしいクスリと笑えるオチ付きでほっこりしました。

【電子】レンタ版:修正◯、カバー下×、裏表紙×

6

魅力的な貧乏神

切なさが胸に響く、落語BLシリーズです。
落語は詳しくないけど、面白くて世界観に引き込まれて、一気に読んでしまいます。貧乏神や死神(同一人物)が、可愛くて魅力的で萌えます。

『金魚すくい』
貧乏神に働けと言われるほど、ぐうたらな与平。貧乏神に内職させる最低な男だけど、貧乏神が喜ぶかと思って金魚をプレゼントする優しい一面もあります。そして、とうとう貧乏神にも見放されて…。
月日が経ち、自分の死期を知って、一人は寂しいと呟く与平。そんな与平の前に現れたのは、死神の資格を取った貧乏神でした。
待ち望んだ再会が、最後の逢瀬になってしまった事実に切なくなります。

『デラシネの花』
死なない男と死神(前作と同じ、貧乏神から死神になったびんちゃんです)の話になります。
死なないことで200年孤独に生きてきた男が、ずっと探していた死神。やっと死神を見つけて、死にたいと懇願するのです。
死ぬことは叶わなかったけど、そこから始まる、おかしな付き合い。おまけに、会うたびに感じる、死神への愛しい想いと執着に戸惑います。
そして、とうとう死ぬ時がやってくるのですが…。
2人の最後の望みと、ハッピーエンドが良かったです。

人間味あふれる性格と黒髪長髪の美人な容姿で、死神のびんちゃんの魅力がキラリと光る、そんな1冊です。

4

食う寝るところに住むところ

一冊通してとてもコンセプチュアルで、秀先生は落語というテーマをこんな風に料理できるのか…!と、一話目を読み終わってすぐ次のお話が楽しみになる、読んでいてワクワクする本でした。
だめんずうぉーかーなビンちゃん、本当にかわいかったです。
「金魚すくい」では、だめんずな攻めってひとりにすると実は淡々と生きのびていくんだよな…という真理にも気付きつつ(でも受けの攻めへの献身を楽しみたいところもあるので、BL的には必要悪ですね)、ラストはやっぱりビンちゃんの健気さに切なくなりました。

また、「じゅげむ」のBLアレンジの発想が本当に面白くて…!
ちょっぴりコミカルにも描かれつつ、何度も投げやりになりながら時代を見つめてきた寿くんが切なかったです。
一番ドキリとしたのはやはり今際の際にビンちゃんがかの有名な名前を読み上げるシーンだったのですが、その中で不意にスッと切り取られる、「食う寝るところに住むところ」という一節となんでもない街の風景の挿絵になぜかすごくすごくぐっときて涙腺が緩んでしまいました。こういう演出は、やはり流石だと思いました…。

ラストは暖かい幸せもいっぱいで、時々不意に読み返したくなる素敵な一冊です。ありがとうございました。

3

本当素敵でした!

秀良子さんは、前に「宇田川町〜」を読んだのですが、全く響かなかったのでそれから読んでいない作家さんでした。絵や雰囲気は好きなのですが、あの話は駄目だったみたいです。

この本もずっと気になってはいたのですが何故か手が出ず、やっとこ購入。

あああ!これ!!!落語だ!
いやあ、まさかこういう系統とは!
元ネタを上手くBLアレンジしてあって、素敵です。
もっと早く読めば良かった。
BLですが、そういうシーンはほとんどありません。
でもそんなものなくても、これで充分伝わるのでいいのです。何よりビンちゃん(落語と同じだ!!)の存在が美しい。
彼、本当切ないですね。
貰ったものが、金魚とコロッケというのが好きです。
でも、一応ハッピーエンドだからいいか。
これ、貧乏神が死神になるって件は、特に表記はなかったですが「死神」も入ってるんでしょうか。

落語や古典が元ネタのBL、もっと読んでみたいです。
本当素敵でした!

3

キリヱ

yoshiakiさん

コメント有難うございます!
これ、いいお話ですね!
何故、すぐ読まなかったのだろう。(後悔)
落語で大好きな枝雀師匠で見た事があるので、驚きました。
BLにこういう切り口があるとは!
落語はそこまで明るくないのですが、たまたま知ってる話3つだったので余計に嬉しかったです。
落語や古典を題材にした新解釈のBL、もっと読んでみたいです!

yoshiaki

キリヱさま

こんばんは。答姐でいつもお世話になってます<(_ _)>
この作品面白いですよね~。
私も好きです(^O^)

>これ、貧乏神が死神になるって件は、特に表記はなかったですが「死神」も入ってるんでしょうか?

読んだ後私もちらっと調べたんですが、落語の「死神」もほんのちょっとだけミックスされてますね。
落語の「貧乏神」と「死神」を、神つながりでつなげただけじゃなく、ストーリーとしてもびんちゃんの転職に納得できる流れになっていて、しっかり読ませる話だなと思いました。
死神の装束がハレの日の衣裳というところも、好きです。
落語元ネタのBL、もっと読みたいですね☆彡

玉を集めて生み出すよ!

秀先生の柔らかいペンタッチには、こういった古風なお話がとてもよく合いますね。
カバーも和風で、読み始めることが楽しみになるデザインです。

私、落語を聞くことは今までほとんどなく、時折テレビやラジオから流れる落語をなんとなく耳に入れたりする程度です。その昔見たドラマでの落語もちらほら拝見してはおりましたが、印象に残っているのはまんじゅうこわいくらいなもので……そんな知識がない人間でも、一冊を充分に楽しむことができました。
貧乏神も寿限無も、落語を聞く人が周りにいたため存在こそ知っていたものの、本当のオチ(サゲ)がどうなるかは今なお知らずにおります。(ただ、真の貧乏神でもビンちゃん呼びがあるというのは知りました。落語って硬いイメージがあったのだけど随分違うんだと衝撃を受けています。)
[年々彩々]でのオチは秀先生なりのもの(カバー下のあとがきでも綴られていましたね)なのですよね。オマージュ作品ながらも、BLであるがゆえに落としどころをうまーく作られているなぁと思いました。

>ビンちゃんのこと
ダメ男にハマってしまう人の典型といいますか、この頃のビンちゃんは良くも悪くもお人よしだったのでしょうね。与平さんが全面的に悪いのです、弁解の余地もなく、そしてビンちゃんは紛うことなき貧乏神であっただけです。
けれども、二匹の金魚が一匹になり、そしてそのこさえもおそらく死に、与平さん自身も肺を患い死神ビンちゃんが迎えるところは、寂しさと幸せの行く末を考えました。
そういったことがあっての寿限無ということもあり、えらく近代的になったビンちゃんには驚きつつもああ死神として生業を得ているのだなとホッとしたりもして。死神正装と思われる黒地に花柄のお着物はとても美しいです。
結果的に寿限無もややダメ男で(笑)ビンちゃんってばダメ男を寄せるフェロモンでも持っているのでしょうか。永らく生きているであろう(そして神であるならば寿命もなかろう)ビンちゃんが、唯一引きずる与平との思い出に寿限無のこともプラスされれば、きっとまた笑ってくれることでしょう。
200年も生きた寿限無が忘れられないほど、きれいな笑顔だものね。

>同時収録作
[小向家の事情]
切り口こそライトであれど、扱っていることは今の日本ではハードなことです。
救いなのはこのお話の視点が子供である颯太であるということ。男の子の方が、まだこの頃であれば鈍感でいられますものね。いえ本人のなかではド修羅場であったろうことは間違いないのですが。
颯太の目線での記憶と感情が、言葉にならずとも絵でこちらに伝われば伝わるほど、この家庭の事情が痛みをもって表れるように感じました。でも、まだ颯太が蓮司のことをちゃあんと好きだったから、大丈夫だったのですよね。
紆余曲折ありましたでしょうが、これまたオチがある意味で爽快でした(笑)

萌え如何の度合いを考慮すると評価が【萌】なのですが、秀先生の創られるお話は好きなんですよね。この一冊でもそれを強く感じました。

3

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