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いやぁ〜参りました!もー切なくて切なくて。特に主人公の2人の会話には胸が締め付けられました。隠れた名作ですね。切ないものがお好きな方、ぜひ読んでいただきたいです。
こちらのお話、大どんでん返しが起きるとか、特殊な設定だとか、ベッドシーンが激しいとか、そういうものはないんです。ある意味、地味というか、単調というか。ですが作家先生の表現が素敵だなって思う場面が本当に多くて。キャラクターたちもすごくリアルに感じました。
作者様買いです。
好きな作品が、また増えました。
メールから始まった新開と文人の関係。
2人の恋愛にとって、このメールでやり取りをした3年がとても重要。
メールだと相手の表情、しぐさが見えず、声も無い、純粋に言葉だけで相手の真意を読み解く。選ぶ言葉や、文章で、人柄はわかると思う。
互いのセクシャリティも開示している。
まだ若い文人のゲイであることの苦悩に共感し、アドバイスをする新開。
この長い期間は互いへの信頼感や、人柄を知るには十分だった。
しかも天体観測の趣味も合うなんて。
こんばんは、おかえりなさい、、
紡ぐ言葉からも清潔さ、礼儀正しさ、優しさを感じる。
お互い惹かれ合うには十分な期間。
実際に会った2人は、自然に相手を意識して、好きになっていく。
でもここからがとても苦しかった。
「メールもできるなら終わらせたい」と新開から告げられた文人が、返信した文面を読んだ時、切な過ぎて、泣けた。
お互い好きなのに、離れなくてはならない苦しさ。
新開の部屋で、2人で膝を抱えてぼーっとする場面がある。
凪良先生のことばで2人の心情がドキドキするほど伝わってくる。
背負うもの、捨ててきたもの、がんじがらめの2人がただただ切ない。
最後に新開の目線で過去が語られるが、新開も文人と同じように苦しんでいた。
心がえぐられるような苦しみ。
文人と同じ熱量で互いを想っていた新開。
心理描写がリアルで、いろいろな意見もあると思うけど、
私は新開も文人のこともすごく好きで、共感できて、気持ちが持っていかれました。
神崎にも幸せになって欲しい。
素晴らしい作品でした。
多感な時期に、ゲイであることをリアルな人間関係には誰にも打ち明けられられず、ネットで知り合った、共通の趣味を持つ年上男性と高校生のお話です。
ネットで知り合ったとは言え、年上男性はアルタイルというハンドルネームだけで年齢や職業は明かしてくれず、お互いにアルタイルとベガという星の名前をハンドルネームにただ話をするだけ、直接会いましょうという距離の詰め方をせずに3年間関係を続けます。出会いが目的ではない、プラトニックな関係のまま、自身の性的な悩みなど、何でも打ち明けられる存在ができた文人(ベガ)。これだけでも文人が大人の男性に惹かれてしまうの、無理もない話です。
でも文人が高校を卒業した後、文人がSOSを出したことがきっかけで2人は初めて出会います。そこでも本名も家も、職業さえも教えてくれないアルタイル。踏み込もうとしても引かれてしまう距離感に文人は歯がゆさを感じるものの、もう会うこともメールもやめようと別れる2人だが、アルタイルは文人の姉の婚約者として再び文人の前に現れてしまう…。
もうここだけでも相当しんどいです。しかもお姉ちゃんが弟思いのめちゃくちゃにいい人だからなおさらのこと。辛くて辛くてどう転んでも絶対誰かが悲しい思いをする鬼展開に久々に泣きそうになりました。そしてこのお話、アルタイルこと新開さんがバイってこともポイントなんですよね。これまでBL読んできて、バイの登場人物を深く掘り下げて考えることは無かったように思います。バイの方は男女どちらとも関係をもてる、だからこそ家庭を、子供を持つ夢を簡単に諦めることは出来なくて、周囲からの目にも割り切ることはよりできなくて…という苦悩を初めて知ったように思います。だから新開さんの苦悩も読めてしまう。誰も悪者じゃない。みんなが自分と向き合い、苦しみながら生きてる。
今回ネタバレは避けようと思うので、未読の方は文人と新開さんが出した結末を、ドラマティックな展開を出来ればネタバレ無しで読んでみてほしいです。そして、雨降りvegaのタイトルも、最後には悲しく響かないのではないかな、と…。
一年に一度の逢瀬の7/7、七夕。
▶vega :ベガ:織女星 七夕の星。こと座α星
▶アルタイル:(Altair): わし座α星 七夕の彦星 漢名は牽牛星 天の川を挟んで織女星(ベガ)と相対する星。アラビア語の「鳥」
雨が降っても、雲の上の空で、織姫は彦星に会える。
・・という物語かな、と思ったけど、そうじゃなくて、
雨(障害)が有ると、逢瀬も叶わない二人、という意味だった。
文人が抱えるマイノリティの苦しみと、切ない秘めた恋の物語。
文人も、姉も、新開も、登場する人物には事情があるだけで、どれも悪い人じゃない。
同じ人を好きになっていた姉と弟。
弟の気持ちを理解して受け入れる姉。
でもその気遣いに、傷つく文人。
二人から身を引く新開は、随分時間を経て、答えを出す。
周囲に気遣い傷つけまいとして考えて、いざというときは自分を犠牲にしながら、
精一杯の幸せを掴もうと生きている人達の物語だった。
結末は、きっとこれから幸せになれるという、新開目線の小話。
ちょっと耽美風。
こんな風に、みんながゆっくり幸せになっていく話は、読後感がとても良い。