限定おまけ付き!
刑事もののドラマを見てるみたい。すごく面白い。
特にアプローチが面白くて、冒頭の2話は本当にTVシリーズ的に1話1事件完結。
そこで登場人物の輪郭や関係性、過去などが大まかに示されて、次にどんな事件が起きるのか、登場人物たちの過去に何があったのか、彼らに何が隠されているのか、などなど、非常に引き込まれます。
特に、冒頭に登場する元SATでゴリゴリの上下関係重視の組織人間・黒岩。
彼が主人公なのかと思いきやの、本当の主人公はのらくらと不真面目、警察の服務規程全無視なのに許容されている佐竹。
この佐竹は非常に興味深くて、刑事としての能力は実は非常に高い。そしてどうやら何かの「能力」を持っている。
何より。
佐竹は元暴力団の高御堂という男と一緒に住んでいて肉体関係を持っている。
…とまあここはBL要素として注目なんだけど、BL全く関係なくても設定や展開に引き込まれます。
この(1)の3話は、まだ佐竹が捜査一課の刑事の時代に高御堂と初めて関わった時のエピソードとなっています。
2人は証拠が全く無い被疑者と刑事。まるで隙のない高御堂と、彼が確実に殺人者だと知っている佐竹。「恋愛」ではない2人がどうやって今の関係性になったのかも非常に気になる!
感じるのは、贅沢な作品だなぁって。
1話2話がプロローグ的、3話は丸々過去。初めから複数巻ありきで展開してて、それって今の小説状況考えるととっても贅沢だと思う。読み応えがあって読むのが楽しい。
「聖なる黒夜」と似てる。 サスペンス主体で、オマケがBのLといった感じ。
--電子版 目次--
1st EGG ・・警視庁OBの孫の嫁
2nd EGG ・・警察OBの未亡人
愚者の選択 ・・書き下ろし
不遇な獣医(限定おまけ)タカミのペット、ミケの話。
あとがき
※書き下ろしは、佐竹が27才、5係異動の事由の件で、1-4巻まで続きもの。時系列で言うと一番昔。
二重の連載が掲載されているので、4巻まで全部購入する必要があったのでした。
女顔の31才、主人公の佐竹の秘密の能力は、殺人経験者を色で識別できること。
それを活かして捜査するので、犯人検挙率№1の捜査員。
そして佐竹は、差出人不明の脅迫状をずっと受け続けている。
警視庁捜査一課の「五係」は、機密保持の為の「飼い殺し遠島」部署で、佐竹の為に作られた。
以後、表向き存在しない「秘密の部署」には、訳アリの経歴持ちが異動してくる。
佐竹の個人的な秘密は、元やくざのタカミと同棲していること。自宅は別にある。
タカミは佐竹を護り養う不思議な関係で、恋愛ではなく、庇護者に近い。
元特殊部隊の黒岩と、元公安の野尻が、何故か佐竹の身辺をしつこく嗅ぎまわる。その動機と背景が、謎。
奇妙な事件を佐竹が次々解決していく小節仕立ての積み重ねで進む人情味濃い長編。
伏線が沢山仕込まれた1巻でした。すごく面白い。
官能小説に飽きたら、読んでみて。
※「EGG」 題名の「卵」が物語の鍵
1巻目・2014年刊。
『真音』と同じく2段組構成の文章で、各巻に短編2本と主人公・佐竹と高御堂の出逢いに纏わる書き下ろしが収録されている。
刑事ものだが派手な展開はないし、特殊能力ものと聞くにもピンと来ず、結構硬派な印象のようで…
警視庁内の島流し的部署である”五係”の面々は1巻ではまだ顔見せ程度だが、こなれた感は漂っているし、一体何をやらかして五係に流されてきたのか気になる。
五係には捜査一課の手をすり抜けた、ぶっちゃけて言えば警察上層部の縁故の伝手で蒸し返される案件が回されてくるらしく、それらを主人公・佐竹が独自の100%的中する勘をもって事件を洗い流す。
佐竹は31歳に見えない見た目に刑事のイメージとかけ離れた行儀の悪さが目につくが、捜査慣れしていて聞き込みは上手い。
そこへ五係に異動となったばかりのSAT出身の黒岩が真面目な性格故か、佐竹が自身の勘で言い切る言動の元を知りたいのか、彼に付いて回る気持ちもまぁ分かる。
1巻を読み終えた時点で「えっ!?」となったのは、佐竹と身体の関係にある高御堂が何故だか脇役ポジションにいるところだ。
あまりしゃしゃり出ない攻めって初めて遭遇した。
1巻のメインが描き下ろしの『愚者の選択』だったら印象は変わっていたと思うが。
作者のあとがき曰く、黒岩と佐竹、高御堂の三人はこれから読み進めていっても三角関係には至らないらしい。
ん(+_+)!?
まぁ全4巻の長丁場だし、じっくり読み進めていきますかね…
読み終えてから思うのは、なぜ黒岩との出会いから書き始めたのか、ということ。
実直だが過去にいわくありそうな黒岩と、一見やる気なさそうだが繊細な佐竹のカプかと思いきや、執着しつつも多くを語らず去る者は追わない体の高御堂と佐竹のカプがメイン。あとがきによると最後までこのカップリングのようだ。
黒岩×佐竹のイメージで読み始めてしまった読者も多いようだ。それだけに、ずっと高御堂×佐竹だと思うとなかなかBLとして読み進めるのがしんどい。
黒岩の立ち位置が決まってないのがいらいらするのかな。刑事の先輩ながら「ため」で話すという対等な関係、しかし刑事のキャリアでは何歩も先を行く佐竹にぴったりとくっついているだけ、という黒岩。尊敬というだけでもない、ただ佐竹のボディガード役として便利に使われているような気がしてならない。
1巻は、”やっかいもの”が集められた、特命捜査5係の紹介。first egg, second eggの刑事物2編と、佐竹と高御堂の出会いを描いた「愚者の選択」、SS「不運な獣医」を収録。
first eggは、ママ友の集まりでなくなった奥さんの事件、second eggは、引退した刑事がスポーツクラブでのトラブルで亡くなったのではという疑惑を解決。愚者の選択は、事件の刑事と参考人として出会った二人が、事件にかこつけて高御堂の家に呼びつけられる関係になるところまで。
シリーズを通じて、佐竹の昔の事件がらみで、佐竹が脅迫されているという事件が進行していく。5係の他の癖のある面々の背景はそれほど語られず。黒岩だけは今後過去の事件について語られるのだろうか?
積読&落とし読消化中。キャンペーン時にDLしておいた本シリーズを思い立って休日に読んでみました。
……わ、これ面白い! 寝かしておいたのもったいなかった。
最初、語り手となる黒岩さんは、ボーイズのラブ(余談ですが、登場人物は誰一人としてboyではない大人ですけどね)に絡む登場人物ではないし、謎だらけだし、1巻時点では本当に展開が読めません。(最初読み始めた時は、"秘密〜トップシークレット"的な感じ? と思いましたが、読み進めたらだいぶ違いました)
割合地味めに展開する警察もののストーリーですが、少々特殊能力的なものも絡みます。いろいろ続きが気になってたまらなくなると思いますので、これからお読みになる方は全巻揃えて、集中できる環境を整えた上での読書をおすすめします。
※ちなみに電書版にはイラストは収録されていません。