• 電子書籍【PR】

表題作醒めない夢 後編

作家 辻浦亮介
死んだ少年の弟 水守要

あらすじ

作家の辻浦が偶然に居合わせた葬列。遺影の少年がその夜、夢に現れて関係を持つ事に。なんとも奇妙な出来事……その夢が気になった辻浦は彼の墓を探しだし、少年の卒塔婆(そとば)の前で物思いにふけってしまう。すると目の前に死んだはずの少年が立っているではないか! 辰巳ドロ子が送る美しくも禍々しい世界。

作品情報

作品名
醒めない夢 後編
著者
辰巳ドロ子 
媒体
漫画(コミック)
出版社
ステップラボ
レーベル
100%男子
電子発売日
3

(3)

(0)

萌々

(2)

(0)

中立

(0)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
1
得点
8
評価数
3
平均
3 / 5
神率
0%

レビュー投稿数1

ラスト2頁に恐怖!

『醒めない夢』後編。

こ、怖かった…。
病んでるとは言え、視覚的ホラーは少なく、
雰囲気でじわっと恐怖させる作風と思っていたので
こんな直球の、目で見てギョッとさせる画面があるとは
予想だにせず、すごい不意打ちでしたw

要の夢にも現れる、兄の惣太。
兄はきっと自分を恨んでいるに違いない。
恐怖と罪悪感に囚われた要は、辻浦に会いにいく。
そこには、まるで夢の惣太に取り憑かれたかのように 
病んだ相貌の辻浦がいて…。


一番残酷で歪んでいたのは惣太だったのかもしれない。
出来の良い自分のせいで、卑屈になっていく弟が
可哀想で可愛くて堪らなかった。
だから、死後も離れられず、辻浦を媒介として…。

辻浦と要は、
生きているのに死んだも同然、
抱き合っているのにお互いを見てはおらず、
結末としてはメリーバッドエンドと言えるでしょう。

死者と生者を結ぶ媒体に成り下がったような辻浦と、
辻浦の腕の中でずっと死者と抱き合っているであろう要。

彼らの行く末が非常に気になります。
押絵と旅する、じゃないけど、
本人たちにしか分からない世界に行ってしまい
もう戻ってくることもないのだろう。

そう確信させるラスト一コマ。
外界から遮断された世界で
死者との情交に耽る少年の恍惚が口元だけで表現されていて
背筋が寒くなる。

パッと見ギョッとしたのは、最後から2ページ目だったけど
よーーーく見ると、最後の小さな一コマの方が断然恐ろしいのでした。

好みは分かれそうですが、
短いページ数のなかでも、
ドロドロした情念や、死者と生者の倒錯的な交わりの
異常性、恐ろしさがひしひし伝わってくる、
鮮烈な印象の作品で、個人的にはとても好きです。

1

この作品が収納されている本棚

マンスリーレビューランキング(コミック)一覧を見る>>

PAGE TOP