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「灰とラブストーリー」にはまって以来、砂原先生の作品にもはまって買い集めています。
私にとっての砂原先生作品の魅力の一つが、「意外性」なのですが、この作品もそんな意外性が大きな萌えを生んだ作品だと思います。
訳あって女性のふりをして温泉旅館の女将に扮してる男性と、そこを訪ねるライラーさんとのお話なのですが、攻め様がまさかの女将さんの方なんです。
ちなみに表紙の絵からしても格好良い女将さんですが、中の挿絵の女将さんも格好良くてドキドキします。
秋から冬にかけて読むと更に物語の雰囲気に入りやすくておすすめです!!
温泉旅行のおともにもおすすめの一冊です!!!
時代の流れに乗り遅れた山間の温泉地。
きっとそういうところはたくさんあるのだろうなあと、ちょっと淋しくも感じさせる、西条八十の詩がすんなりハマるお話です。
数年前に行った温泉地もそうだったなあなんて。
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受けの穂積遥来は中卒で苦労して働き、今は出版社の編集をする26歳。
小柄で大人しく、日々の糧と眠れる布団があるだけ幸せと感じることのできるギュッとしたくなる青年。
攻めは温泉旅館の美人女将、朱川千晶。
しかし、その実態は双子の弟・千瑞、30歳。
訳あって千晶の代わりに旅館を継ぐことに。
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温泉女将が男だった!
しかも攻めだった!
なんとも砂原さんらしいBL常識(やっぱ女装女将は受けだろう)ぶった切りで素敵設定でした。
以前もアラブ設定であるのに、王道の攻めアラブでなく受けアラブなお話がありましたしね。
出だしでドキュンとさせられ、ああ、やっぱり砂原さん好きだわーと思わされたこの作品。
情景がすんなり浮かびますし、なんとも世界観にグイグイ引き込まれます。
特に訳ありの女装をする朱川の、素のはすっぱな語り口がなんとも良いです。
女装だとか普通なら笑ってしまう設定も、過去の朱川の境遇や現在の郷里を守るための必死さに比べたらどうでもよくなってしまいました。
こういうのが本当の男前なのかな。
もちろん朱川はそんなこと露ほども思ってないでしょうが。
穂積の幼少時代もなんとも砂原さんらしく痛々しいのですが、わたしはこういう砂原さんの作品も大好きです。
ふたりは過去に一度接点を持っていたのに、それは現実の生活の前には心の片隅にひっそり置いておくだけになっていました。
でもそれは、ふたりの現在への分岐点になっていたわけで。
あー、読んで良かったです。
じんわり沁みました。
温泉に行きたい季節になりましたね。
表紙の二人みたいに、足湯で良いからゆっくり入りたくなります。
出版社の取材で茜谷を訪れている穂積は、実は人見知りなので取材がちょっと下手。
色々過去があるようで、とてもナイーブな青年です。
そして、ちょっと変わった初恋をずっと引きずっています。
茜谷の取材を歓迎して穂積を無料で宿泊させてくれている、あけ川荘の女将である朱川。
もちろんこのお話はBLなので、この女将は実は男性。
なぜ男が女将をしているのか?
オネェでも女装子な訳でもなさそうなので、何か深い訳がありそう。
読み進めていくと、朱川の謎が少しづつ見えてきます。
その謎が解かれる途中での、朱川の女将口調と素の口調のギャップがとても面白かった!
私はこの朱川という女将、すごく好きなキャラクターでした。
オネェキャラでも面白いとは思うのですが、実は女将がすごく「男」であるところがこのお話の面白さだと思います。
穂積の過去の話などはちょっと辛くなったりしますし。
朱川の謎も辛く思ってしまったりもするのですが。
二人以外のキャラクターが個性的で面白い人が多くて、穂積の足湯でのお話なんか特にほっこりします。
シリアスとほのぼののバランスが良くて、とても楽しかったです。
お話の内容的には、それはちょっと無理があるのでは?という面がいくつかありますが。
面白かったのでまあ良いか、となりました。
互いの生き方をとても大切にするところが男同士らしくて。
とても好みな展開でした。
そして何より、温泉に行きたい!となるような温泉解説が多々あり。
茜谷温泉の名前の由来とか、温泉地となった歴史とか、温泉毎の特徴など、温泉そのものをとても掘り下げてくれています。
読んだ後、温泉水の種類解説をググってみたりして、頭の中が温泉一色になりました。
本当に茜谷があったら行きたいです!
砂原先生のお話は、いつも勉強になるなぁと思います。
この本を買ったのはたしか今年の二月ころ。
どうしても温泉へ行きたくなった時期がありまして。
他の本を買いに行った時、このタイトルに惹かれてつい手が出て買しまいました。
実はこの本、夏に発売されたそうなのですが。
内容は11月後半あたりです。
積み本だったこの本を読んだのがちょうど11月後半。
運よく、季節感を感じながら読むことが出来ました。
いつか温泉旅行先で読みかえすと楽しいかも?
温泉宿で女将として働く男×編集者です。電子書籍は挿絵なしのためご注意ください。男バージョンの朱川さん見たかったな…(泣)
編集者の穂積は、取材で訪れた温泉宿の女将・朱川が、実は男なのではないか?ということに気付き、そこから話が進むにつれ、より大きな秘密にたどり着いていきます。
この秘密に絡む茜谷の人々の個性豊かさや、真実につながる情報が小出しにされる感じ、温泉や温泉宿に関する詳細な描写、いずれも見事だなと思いました。二人のラブストーリーの脇を固める要素が、すごくしっかりしています。また、穂積も朱川も、家庭環境でつらい思いをしてきたことがストーリーに大きく関わってくるので、全体的にシリアスなトーンです。
自分の周囲を嗅ぎ回る穂積に、朱川はつれない態度を取るようになるのですが、ある日、穂積の取材の結果、茜谷の温泉宿の1つが温泉に水道水を入れて湯量を嵩増ししているのではという疑惑が生じ、その宿に二人で忍び込むことになります。そこで宿主に見つかりそうになり、慌てて狭いサウナ室に逃げ込むのですが、閉所恐怖症の穂積は呼吸が乱れ、どうしても体がコントロールできなくなってしまいます。そこで朱川が、穂積の気を紛らわせようと穂積を抱っこし、さらに体を触り始めるのですが…このシーン、これまで冷たかったはずの朱川の思いもよらぬ行動に驚きつつも、ドキドキしましたね。自分のものを穂積に握らせ、「両性具有なんだよ、俺は」などとのたまう男。いや〜悪い男ですね〜。確信犯です。痺れました。
実は二人が昔出会っていた…ということは早々に察せられるのですが、穂積が朱川を忘れられなかっただけでなく、朱川にとっても穂積は当時から大事な存在だった、ということが終盤に明かされます。本当に伏線の多い作品です。
それにしても二人とも、家族のために頑張りすぎです。そういうところは似た者同士で、波長が合うのかもしれませんね。
受けの女装には極端に狭量な私。どうしても業務上必要とかいうよんどころない事情を除くとほぼ全面的にNG。どんだけ似合ってても駄目、というか似合えば似合うほど興ざめだし、受けの女装に反応する攻めにもがっかりする。せっかくBLなんだからさ、オンナになってオトコに愛されたい人のお話をわざわざ読みたくはない。とりわけ受けには雄々しくあってほしいという単なるワガママなんですけどね。
では、攻めの女装はどうかといわれればきっぱり、アリです。綺麗で色っぽい攻めは大歓迎ですし、特に本作の千晶のように着物がデフォルトだと、営業用に居ずまいを正してる時と、素に戻った時の落差が大きくていい。顔だけは美人おかみのままで、立て膝なんかして伝法な物言いをされちゃうともうドキドキします。
でもね、いくら美形で細身で、着物だと比較的体型もごまかしやすいといっても、双子の姉になり済まして周囲をだましおおせるかというと、それはいくらなんでも無理でしょう。そうでなくても通常BLの攻めには日本人男性の平均以上の立派な体格が標準装備されている。胸はパットで構築できても、逞しい肩やのどぼとけは削りようがないもの。でも旅館は代々美人おかみで売ってるし・・・バレたら相当やばいんじゃないの? てゆーか、誰も気づかないってあり?? 釈然としないまま読み進めていくと、あにはからんや、町じゅうのひとが気づいてた。知ってて知らないふりをしてただけ。誰もがまちおこしに奮闘する千晶を、茜谷になくてはならない存在だと認めてたからこそ、特に申し合わせたわけでもないのに暴きたてなかった。気づかれてないと思ってたのは当人だけ・・・ちょっとイタい。
受けの穂積は弟の学費のため中卒でがむしゃらに働いてきた健気系。今はブラックな弱小出版社のライターとして、温泉地の取材に来ている。舞台が舞台だけに、初エッチはサウナの中だし(のぼせるだろ)、部屋付きの露天でしっぽりとかお約束の展開も。ただ、そこに至るまでの経緯がいささか唐突な感じも。このふたりには実は8年前、東京での運命の出会いがあって、その時からお互いを忘れられなかったというのだけれど、ともにゲイというわけでもないのに、恩人から一足飛びにカラダ込みの恋愛関係にまで発展しちゃうかなあと。
あと温泉地のほっこりした恋物語として楽しむには、2人の抱える過去がそれぞれにかなり悲惨で重い。いっそ「土●ワイド劇場」ばりにミステリー色を前面に出すか、肩の凝らない旅情ものに徹してもらいたかった・・・でもそうすると砂原作品「らしさ」は薄まっちゃうのかな。
評価は迷いました。つい最近、あまりにも強烈な女装攻め作品(そう、某将軍家の御台さまのことですよん)にノックアウトされたばかりなもんで、どうしても較べると本作の千晶が淡白にみえてしまいます。中立、としたいところですが、表紙の2人の足湯シーンは大層いいかんじだったので星ひとつ足しときました。