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このお話の主人公はスカートを履いて学校へ通う男子高校生・恵一です。
女装願望は皆無なのに何故、スカートを履いて学校へ通うのか。
それはこのスカートが母親から贈られたものだから。高校へあがるタイミングで自分がゲイであることを打ち明けた際、母親は「子供の悩みを理解したつもり」でそのスカートを贈ったのです。
「違う!女装したい訳ではない!」と言いたかったけど言えなかった恵一は毎日スカートを履いて学校へ通います。当然、好奇の視線は避けられないし、時には嫌がらせを受けるにも関わらず毎日履き続けるのには理由があります。
それは「スカート」が母親の悪意なき拒絶・無理解の象徴であり彼自身への矛でもありますが、スカートを履いている限り自分に対する好奇の視線や批判は彼の「スカート」に対してであって、「ゲイ」というマイノリティな自分自身に対するものではないという自分自身を守る盾のつもりでスカートを履き続けるのです。
そんな日常を送る恵一ですが、巡という29歳の男性が母親の死をきっかけに実家へ戻ってきて以来、接点を持つようになります。
巡もゲイです。初めて同類に会えた恵一と、ゲイなのに女装させられている恵一が何だか気になる巡。そこから話が動き出します。
「俺、オッサンとは恋愛できるんだ…」と言ったときの晴れやかな恵一がとても不憫に感じました。別に巡の事が好きになったわけではなく、世の中のどこに恋愛対象がいるのかも判らない、そもそも恋愛なんかしてもいいのかも判らなかったであろう恵一の発見が切なすぎて。
母親も恵一のことを愛しているのは判るし悪い人ではないのも判る。完全に拒絶しているつもりはなく自分自身は受けて入れているつもりである。
この「つもり」でいる人のほうがかえって厄介だったりするんですよね。
巡自身は最後まで母親に自分がゲイであることを言えなかったけど、恵一の話の中で、今は亡き母がゲイであることに気づいて次第にそれを受け入れてくれた事を知ります。
BLという枠組みの中で、セクシャルマイノリティに対する身近な人・ここでは二人の母親(父親は全く登場せず)の理解や受け入れという重いテーマを重くなりすぎず恋愛を絡めて描いた良作だと思います。
ただ私個人の好みとしては、ヘビーなテーマはもうちょいあとひと匙重めに描いたほうが、胸にずっしりと感動が迫ったような気もしますが、あえてさらりと描くのは作家さんの個性なのかもしれないと思いました。
(他の作品も幾つか読みましたがヘビーになりすぎず、軽やかに描くというところが)
私がトピ立てした「ちるちるのランキング圏外だけど、心の琴線に触れた作品を教えてください」
http://www.chil-chil.net/answerList/question_id/4967/#IndexNews
で教えていただいたのが、こちらの作品です。
同じ女装男子を取り上げた秀良子さんの「宇田川町で待っててよ。」のようにこちらも映像化して、色々な方に幅広く見てもらえたらいいのになぁと願わずにはいられない作品でした。
教えてくださり本当にありがとうございました。
セクシャルマイノリティと、その親との関係。
そんな真面目なテーマを、ラブストーリーを上手に使って描いた、すばらしい作品だと思います。
親だって、子供を愛しているからこそ、悩んだり、迷ったり、時にはズレたことをやったり言ったりしてしまう。
子供も、親の愛情は分かっている。だから、恵一はあの制服を着てあえて学校へ行くのでしょう。
そして恵一の純粋さにあてられる大人の朝丘っていう図も、ほほえましいです。
なんといっても恵一はかわいい。
読後も幸せな気分になれて、良い作品に出会えたと思いました。
初めて見る作家さんだったのですが、とってもよかったです。
ゲイだということを母親にカミングアウトしたら、プレゼントされたのが女の子の制服…。
受けの恵一はツンツンしてるんですけど律儀で素直なとってもいい子なんですね。だから母親が間違って自分を理解して、渡されたスカートを穿き続けています。
中盤の、攻めの朝丘とは恋愛が出来ると理解できた恵一の輝くような嬉しそうな表情がとてもお気に入りです。
他にも素敵なシーンがあるので探していただきたいです~。
心が洗われるような素敵な作品ですので是非。
みよし先生の作品の中で一番好きで、何度も読み返しています。
女子の制服で高校に通う恵一と、恵一と交流のあった隣人の息子・巡。
恵一と巡が親しくなっていくにつれ浮き彫りになる、恵一と母親の関係。
恵一の学校での立場……と、コミカルで明るい作風の中にあるシリアスがとーっても切ない。
明るくて優しい恵一。
優しいから傷つくのかな……そう思うと、さらに切ない。
恵一の機微を見逃さない巡も優しいんだよなあ。
ビジュアルもかっこよくて好きです^^
そして、巡は恵一によって救われたんだと思う。
彼の中にも、母親への後ろめたさや後悔の気持ちがあったと思うから。
何度読んでもとても素敵な作品で、改めて名作だと思いました。
引っ越し先でラッキースケベ☆パンちらに遭遇。
制服のスカートの中から覗いていたのは、女性下着じゃなくて男物のボクサーパンツ。
それが巡と恵一の出会いでした。
女子高生の制服を着ていますが、女の子に見えず誰の目から見ても男の子だとわかります。
そんな格好をしているのにも関わらず、仕草もガサツで違和感ありまくりですが、そこには深い理由がありまして…。
恵一は女子高生の制服を着用して普通に毎日、高校へ通い、学生生活を送ってます。
思いっきりオープンです。
ただ、当の本人はそれを望んでいるわけではないんですね。
巡の母親は生前、恵一と交流があったようで、巡も自然と恵一そして恵一の母親とも交流を持つようになります。
そこで恵一が女子高生の制服を着ている理由を知ります。
恵一は巡と同じくゲイだということ。
それを恵一は母親に自らカミングアウトしていたんです。
恵一の母親はそれを理解した上で、女子高生の制服を恵一にプレゼントしたというわけなんです。
巡は、その答えに対して腑に落ちないところがあって、「本当に着たくて着てるのか?」と恵一に問いただすわけなのですが…。
高校に行くとスカートを履いていることを理由に他生徒から虐められる恵一。
町を歩けば、学校と同じく冷たい視線を送られる。
当然、恵一は女子高生の制服なんて着たくなくて、男として一般的な男子高生でありたりたいと思っているんです。
恵一の母親は、恵一がゲイだということを理解したつもりでいて本当は拒絶している…そこに女子高生の制服を恵一に送った理由があります。
ゲイを理解しようとしても、男性のまま男性を好きになるのは理解したくない、という母親の拒絶と偏見の象徴でもあるのが、恵一のスカートなんだと思います。
スカートを穿かせることで、周囲から拒絶される。
結果として息子をゲイにさせない…そんな思惑も恵一の母親にはあったのではないのかなと勝手に思ってしまいました。
母親の思考を恵一は理解しているので、女子高生の制服を脱ぎ捨てることができないのです。
そんな恵一に自らもゲイだと伝える巡。
最初は、直感的に感じていなかった恵一も巡と過ごしていくうちに、恋愛の対象が同じ男性ならば巡と恋愛できると気付いて嬉しい気持ちになります。
だけど嬉しい反面、性の対象にもなるとわかれば意識しちゃって…。
意識してしまうのには、恵一にとっては、もう一つの理由もあるのですが、巡は当然きづきません。
自分のセクシャリティからすれば、ごく自然である認識に気付けたことを心から喜ぶけ恵一の笑顔は切なくも可愛いらしく何とも言えないものがありました。
そんな恵一を見て、巡の中にもある感情が芽生えだしていくのです。
拒絶しながらも何とか子供を理解してあげたい、母親達の戸惑いみたなものが物語に深みを与え、巡と恵一の恋にもそっと寄り添う…そんな感じがいたしました。