きみがいれば大丈夫

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表題作てのなるほうへ

草枕,妖怪・のっぺらぼう
紺野巽,コールセンター勤務,中途失明者,21歳

その他の収録作品

  • めんない千鳥の啼く夜
  • 春宵一刻
  • あとがき

あらすじ

それは昔々。
他の妖怪たちに顔がないからと仲間はずれにされた寂しがりやの妖怪・のっぺらぼう。顔を狐面に隠し、ひとりぼっちで愛する誰かを待っている。
そして二百年──。
一般企業に勤める中途失明者の巽は職場で浮いた存在なのを自覚していた。
そんな巽の唯一の楽しみは狐面を拾った縁で出逢った男・草枕と過ごすランチタイム
。古くさい言葉遣いでちょっと浮き世離れしているけれど真っ直ぐ巽と向き合ってくれる彼に、いつしか恋心が芽生えていく。
そんな時、巽のまわりで不思議なことが起こりはじめ……!?

作品情報

作品名
てのなるほうへ
著者
栗城偲 
イラスト
小椋ムク 
媒体
小説
出版社
笠倉出版社
レーベル
クロスノベルス
シリーズ
てのなるほうへ
発売日
ISBN
9784773088021
4.1

(161)

(68)

萌々

(62)

(24)

中立

(4)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
28
得点
664
評価数
161
平均
4.1 / 5
神率
42.2%

レビュー投稿数28

優しいお話でした

ムクさんの綺麗な表紙が気になっていたのですが、初読みの作家さまだったので購入を悩んだのですが、あらすじが面白そうだったこと、レビューが高評価だったことなどから手に取ってみました。

すごく良かった。トラウマもちが愛情に満たされ回復していく、というストーリーが好きなこともあるのですが、ツボにどんぴしゃなお話でした。

のっぺらぼうで、仲間の妖怪からも疎まれ孤独に生きてきた草枕。
14歳で視力を失い、職場では孤立している巽。
自分を見られることに恐怖すら覚える草枕と、目が見えないゆえにその人の本質がみえてしまう巽。お互い足りない部分を補いつつも、相手によりかかることはせず思いやりを持って相手に接する二人の優しさや愛情にほっこりとしました。

妖怪(人外)×人間という組み合わせは数多くあれど、「のっぺらぼう」っていうのは斬新で良かった。

草枕も巽も孤独感をかなり感じながら生きてきたわけですが、実は…。というところもよかった。自分が気づけなかっただけで周りは優しさに溢れていた世界だったのも読んでいてうれしくなりました。
妖怪仲間のしたこと(草枕へのからかいとか、巽へのセクハラとか)はちょっと度を越えてるんじゃ…?とは思いましたが、そこは妖怪なので人間とは感覚が違うのかなwww

ただ惜しむらくは後半の草枕が巽を抱いた時。ちょっと性急すぎるというか、急に話が進んだのが残念と言えば残念でした。もう少し時間をかけて、お互いの気持ちをん確認してからでも良かったんじゃないのかな?と。

あと個人的にすごく好きだったのが草枕の友達の春宵。草枕をさりげなくフォローする彼の優しさにKOされました。彼メインのスピンオフ作品、書いてほしいなあ。人間の恋人(男だよね?)がいるみたいだし。

ムクさんの優しい絵柄の挿絵が、このお話にあっていてすごく良かった。「のっぺらぼう」が男前に見えるなんてムクさんならではだと思いますw

読後、ほっこりと優しい気持ちになる、そんな可愛らしいお話でした。

14

とっても優しくてかわいくて安心して読めます

 攻め様がまさかののっぺらぼうの草枕さん。
口だけはあってよかった。キスができるもんね。
受け様は途中失明者でコールセンターで働いてる巽くん。
目の見えない自分を卑屈になることなく受け入れて、できることを頑張ってて、素直でいい子です。
人の弱いとこも頑張れ、と言うんじゃなくてそれでいい、と受けとめてくれる。
人間にはもちろん、同じ妖怪にも気味悪れてからかわれ続けて、すっかり自分の殻にこもってしまって顔を隠す狐のお面をはずせなくなっていた草枕さん。
お面をはずさない自分を不審がることもしないし、目が見えないから絶対自分の顔を見られないし気味悪く思われる事もない。
人恋しくてだれかと普通に話したかったであろう草枕さんは、最初はそんな安心感から巽君とお昼休みだけの時間を過ごすようになって。
 巽くんも目が見えないことを必要以上に気にしない態度で接してくれる草枕さんと話す時間は楽しくて。
気付けばお互いの隣は1人で頑張って生きている二人が見つけた安らげる場所になっていた。
 巽君が、妖怪仲間のセクハラ、というか痴漢されてる(妖怪側は偵察、と称してましたが)と知って、助けに来た草枕さんは巽君に手を出しちゃう。
この展開だけがちょっと私の中では"えっ"。
なんていうか、他の妖怪に手を出させないための儀式っぽくて、甘くない、というかなんというか。
草枕さん、好きともなんとも言わないままだし、巽君突然の行為に気持ちがついてきてなかったし。
まぁそれほど草枕さん、余裕なくしてたのね。

 草枕さんにとってやっと手にした自分の大切な存在、自分を大切に思ってくれる存在である巽だからこそ、御簾裏さんとの「約束」を果たしてもらうのは怖かっただろうな。
時間の流れが違う世界を生きている二人だから、いつかまた草枕さんが1人になってしまうのでしょうけど、それが一日でも先でありますように。
2人が幸せに暮らせますように、と願うとても優しいお話です。

 またムク先生の挿絵がとってもかわいくてステキです。
妖怪達も愛嬌あるし、巽くんはかわいく草枕さんはのっぺぼうのくせにかっこよくてかわいい。
平気でレジに持っていける表紙に裏表紙です。

12

snowblack

はるのさくら様、こんにちは。
心温まるいいお話でしたよね!
こういう人外ものは、寿命の問題を考えると切ないのですが
そこもふんわり〜というやさしいテイスト。
「平気でレジに持っていける表紙に裏表紙」という一言がツボに入り
しばし大笑いしてしまいましたものですから、
一言お礼申し上げたく書き込ませていただきました!

現代版のおとぎ話

いやぁ〜〜〜〜。よかった!
ものすごく好みのお話でした。

最近早い刊行スピードで作者さんの本が出版されていて、なんとか追いかけていますが、あまり好みのにぶち当たってなかったんですが……

これは、ツボでした。小椋ムクさんのイラストもぴったりだし。

のっぺらぼうって、どうなの!!! 

いけました! ほぼ視点が視覚障害者の巽なので、読んでいても周りが見えなくて、不思議な感じでした。だから睦の人を恨んだりしない性格や、草枕の控え目ながらも優しい心がよく感じられました。

なんていうか、読んでいてすごく幸せな気分になりました。

最近、人外ばっかり読んでいて……というか特に選ばなくても目の前に人外があるっていうか、本当に増えて嬉しい限りなんですが、これは久々に異形の者のとの恋を読んだ気がしました。そして見た目じゃないんだなと。

受けなさそうな設定でも、作者さんの熱い思いがあればきっとハマる読者もいるはず。クロスノベルスさんみたいな出版社が増えるといいですねー。

10

個性的な設定に萌え!!

初読みの作家様でした。
最近ファンタジー色濃い目の作品が読みたいと思っていたのですが、人外は苦手で、今一つピンとくるものに出会えていなかったところに、ちるちるさんのランキングで見つけました…この作品を!!
妖怪系は個人的に怖くてあまり好きではないのですが、イラストが小椋先生ということで、ほわっとした優しさに溢れている表紙に安心感を持ち、即効本屋にて購入したのですが、やはり、どストライクでした(*'ω'*)

ストーリー自体は、最初から何となく結末が読めてしまったのですが、それでもどんな過程で二人の恋愛が進んでいくのか…というところが、読み進めていくうちにどんどん楽しみになってしまい、あっという間に読み終わってしまいました。
特に、のっぺらぼうの攻めの顔を触ったときの受けの言った「ゆでたまごみたい」という発想に衝撃を受けました(笑)(その発想はなかった…!とはまさにこういう気持ちなのかと…w)

また、小椋先生の描くキャラクターが皆魅力的で可愛いのですが、個人的には『春宵一刻』の挿絵がお気に入りです。
まさに「むちゅっ!」といった雰囲気のキスをする二人が可愛くて可愛くて…。読んでいてほっこりしました。

そして、メインの二人以外のキャラもまた素敵な人ばかりなので、他の方も既に書かれている方がいらっしゃいますが、是非私も春宵のスピンオフを読んでみたいです。
(そして合間に、またこの二人がラブラブしているのを見たい!!)

タイトルにも書きましたが、なかなかない設定の作品かと思います。
けれど、もっともっとこんな作品が増えてもいいのにな、と思えるような、とても温かくてほのぼのとしたお話でした。

9

癒されます

作者買い。人外ものが苦手な私が内容も確認せずにネットにて購入してしまいました。
届いた本を見てびっくり!小椋先生のかわいい表紙を飾るのは、獣どころか妖怪です…マジか。
ダメだったら途中でやめてしまおうと、半ば投げやりに読みだしました。
ところが…すごくおもしろかったです。思いがけず一気読みしてしまいました。
攻めの草枕、受けの巽、どちらも周囲の人(妖怪)とは違う〝ふつうじゃない自分〟に、孤独を感じながら生きています。まず、そのさみしさに胸をうたれます。草枕が初めて鏡というものを知って自らの姿を知るシーン、巽が口にするまで中身のわからないサンドイッチやおにぎりを食べるシーンは、読んでて切なくて泣けてきました。
それでも、草枕も巽も心がとってもきれいで優しくて、二人が怖る怖る不器用に心を通わせていく様子は、こちらまでうれしくて…癒されました。類友なのか2人の周りには結局いい人(妖怪)ばかりが集まってきていて、脇役もみんな魅力的でした。読後 とっても気分がよかったです。
人外ものがお好きな人はもちろん、私のように苦手な人にもぜひ読んでいただきたいです。
きっと「読んでよかった」と思っていただけると思います。

7

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