もういいかい、まだだよ

mouiikai madadayo

もういいかい、まだだよ
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神1
  • 萌×26
  • 萌5
  • 中立1
  • しゅみじゃない2

152

レビュー数
5
得点
45
評価数
15
平均
3.2 / 5
神率
6.7%
著者
 
イラスト
 
媒体
小説
出版社
笠倉出版社
シリーズ
クロスノベルス(小説・笠倉出版社)
発売日
価格
¥889(税抜)  ¥961(税込)
ISBN
9784773088564

あらすじ

華のお江戸を騒がす妖怪・ろくろ首の春宵には人間の親友・弥一郎がいた。快活な彼とふざけて遊んで過ごす日々。
けれど楽しい時間は春宵の過ちであっけなく終わりを告げた──。

時は流れ、今は東京と呼ばれるこの街。
人にまぎれ暮らす春宵は、弥一郎と同じ顔をした大学生・樋野と出会った。
彼の血縁に違いないと確信した春宵は、樋野のことが知りたくて堪らなくなってしまう。
仲良くなるため偶然を装い彼のバイト先にもぐりこみ……!?

表題作もういいかい、まだだよ

樋野学・大学生・22歳
春宵・妖怪・200歳オーバー

同時収録作品一日千秋

同時収録作品もういいかい、もういいよ

樋野学・42歳以上
春宵・主夫・200歳オーバー

評価・レビューする

レビュー投稿数5

きれいなお兄さんは妖怪です

「てのなるほうへ」の涼やかなろくろ首・春宵(しゅんしょう)の物語。
時間軸は、「てのなる〜」の20年くらい前。
3編の構成になっています。

「一日千秋」
江戸時代。すでに長く生きている妖怪の春宵は、江戸の町に繰り出して人を驚かせて遊んでいた。
そんな頃、驚かせようと首を転がしていた春宵を逆に驚かせた人間の弥一郎と仲良くなったが…
それまで深く人間とは関わってなかった春宵は、人間というものが自分たち妖怪とは全く違う世界・時間を生きている事を理解していなかった、という切ないお話。
後から考えると、江戸の妖怪の長・御簾裏は多分こうなる事わかってたよね。わかってて春宵に選択させたよね。遠い遠い過去、同じ事が御簾裏にも起きたのかも知れないね…

「もういいかい、まだだよ」
現代。春宵は「春野宵」という戸籍を得て、全てを知っている安藤荘助の研究室で、40過ぎには見えない!と驚かれつつ助手として働いていた。
そこに、測量のバイト学生として現れた樋野の顔は、あの弥一郎に瓜二つで…!
まあ、都合のいい展開も少しはありつつ、樋野と春宵は惹かれあっていきます。
春宵がなぜか樋野の前では首を伸ばせずに、樋野が春宵の事を誤解して気まずくなっていたある日、樋野が測量に入った山で土砂崩れが発生し。
春宵と妖怪仲間の連携で樋野を助けるあたりは、ドラマチック展開。&ムササビ毛布欲しい〜!
どうしてものんびり思考の春宵ですが、ちゃんと樋野と結ばれますよ。

「もういいかい、もういいよ」
中年になった樋野と、まだ20代に見える春宵の暮らし。
樋野は禁断の「選択肢」を持ち出す。それはあの「白銀の男」の囁き…御簾裏、やっぱり怖い。
樋野と春宵がこれからどうするのかは描かれずに終わるけれど、どちらにしろ春宵の得た幸せは本物です。
この1編には草枕が出てくるよ。

1

楽しいだけの恋ではなく

前作「てのなるほうへ」での攻め様のっぺらぼうの草枕の友人として出てきたろくろ首の春宵のお話です。
時系列的にはメインの話は前作の20年前にあたります。前作でのエピソードを春宵側から読めるところもあるので前作を読んでいると楽しいですが、読んでいなくても大丈夫だと思います。

「一日千秋」「もういいかい、まだだよ」「もういいかい、もういいよ」の3部構成です。

「一日千秋」
時は江戸時代。ろくろ首の春宵(受け)と知り合った弥一郎という友人との出会いと別れ。
その時の春宵の行動によりトラウマとなる二つの後悔を作ってしまいます。

寿命のない春宵が、初めて人間の寿命というどうしようもないものに直面し動揺し後悔する様が切ないです。

「もういいかい、まだだよ」
時は流れ現代。自分のことを妖怪だと知る唯一の友人・安藤荘助の庇護により、人間社会で生活を続ける春宵は、弥一郎そっくりの学生・樋野と出会います。樋野が気になって仕方ない春宵は用事を作っては樋野に連絡し交流を深めます。


2人の恋模様という点ではイマイチわかりにくかったように思います。
樋野には恋人がいたようですが、自分が悪いと言っていたので、春宵へと心変わりしたことが破局に繋がったのではないかと想像しますが、春宵視点なのでその辺はよくわかりません。
話が進むと「好きなのは自分ばかり」と嘆いていることから本気度は伺えますが、きっかけなどは結局わからないままです。
春宵の方も、過去の後悔により弥一郎に激似の樋野のことが気になるのはわかるのですが、元々何がしたかったのでしょうか。キスされて嫌じゃなかった、付き合おうって言わたから付き合うことにしたというのはどういう気持ちだったのでしょうか。化け物と言われて傷ついたことが根深くて、いろいろ考えるのを放棄していたようで恋愛面で好きになったのかどうかわかりにくかったです。

樋野と弥一郎と似ていることが2人のすれ違いを引き起こしますが、仲間の協力もあり、悲劇が繰り返されることは回避され、やっとちゃんとした恋人になれます。
でも、何百年も生きてるのに春宵が初心でびっくりしました。


「もういいかい、もういいよ」
樋野視点。2人が知り合ってから20年余り。
友人の草枕が恋人についての相談にやって来ます。そこで、草枕は恋人である人間の寿命について理解していないことに気づきます。
ただ、抜け道はあるのです。春宵には黙っていましたが樋野は早くから一緒に時を重ねたいと思っていたようでした。春宵は過去のトラウマなので激しく拒否反応を示しますが、道は一つではない、まだ2人で考えていけるという希望のあるものでした。

どちらを選ぶこともできるという希望のあるものでしたが、春宵は拒否反応が酷いし、なんかしんみりした感じで読了しました。これは読む人のメンタルによるのかもしれません。希望があると明るく取る人も当然おられると思います。
話の分量でいくと、メインは二人の恋愛なのでしょうが、10数ページとはいえ最後の話のほうが印象に残ったので、なんとなく2人の恋愛よりも年月が経ち再び寿命という別れが近づいてきて2人がどうするかとういうことを書きたかったのかなとも思えました。
まだ時間はあるということで結局どうするかの結論は出ないまま終わってしまいましたしが、肝心の樋野はとっくに覚悟を決めているのに、春宵が怖がるせいで間に合わなかったなんてことにならないことを願います。

前作でも出て来た春宵たち妖怪の元締めである9尾の狐・御簾裏は親のような愛情で春宵を心配します。私は前作で草枕にはあまり優しくない(冷たいというわけでもないけれど)と感じていたので、春宵にはやけに親切だなと思ってしまい、ちょっともやっとしました。

春宵の後ろ盾の荘助は本当にいいキャラだったと思います。自分が生まれたときから一緒にいた歳をとらない春宵を家族として愛し、自分が死んだ後のことまで心配する姿には心を打たれます。
そして古希を過ぎているのに、とても若々しい。2人がいい雰囲気になっていことに気付いた時に襖の向こうからの「もういいかい」という声かけ。すごくお茶目だと思いました。それにスルッと「もういいよ」と返す春宵も。すごく好きなシーンです。
とはいえ、私は2人の恋愛模様よりも、荘助との会話のシーン、仲間の妖怪に協力してもらってるシーンとか、2人だけではない場面の方が印象に残りもっと読みたいと思ってしまいました。これってBLとしてはどうなのかなぁ。最後は二人の今後がわからないという終わり方なのもあって余計にそちらに意識を持っていかれたのかもしれません。
ただ、荘助や妖怪たちの優しさがとても心地よかったです。

口絵に草枕CPと妖怪たちのとの酒盛りシーンがあって、とてもほのぼのしていてよかったのですが、本文中になかったのは残念。

1

優しい妖怪のお話、スピンオフ編

ろくろ首の春宵は人間社会に溶け込んで暮らしています。
平成の日本(おそらく平成一桁代)、春宵は自分の正体を知る大学教授のもとで、大学生・樋野学と出会います。
樋野は、江戸の昔に春宵に初めてできた人間の友人・弥一郎と同じ顔をしており、春宵は樋野のことが気になって仕方ありません。
もしや弥一郎の子孫では?と考えた春宵は樋野のことを知りたいと近づくのですが・・・というお話です。

草枕と違い、人間・妖怪両方の社会でそれなりに上手く生きてきた春宵視点で語られるので、前作『てのなるほうへ』よりも妖怪社会について詳しく書かれていた気がします。
そして、妖怪と人間のもっとも差違な部分、「寿命」についても・・・前作で春宵がぽろっと吐露していたので、春宵が主役ならそいう話になるだろうとは予想していましたが、考えれば考えるほど切ないなぁ・・・。
救済策も提示されていはいるけれど、それを彼らが選ぶかどうかまでは書かれておらず、そこは読者に委ねられます。どちらが幸せか・・・それは人によって違うでしょうしね。
弥一郎と樋野の繋がりについても、人によって解釈が違いそうです。
おもしろかった!という以上に、読み終えて人と語り合いたい一冊でした。

この作品は「寿命」と「トラウマ」がキーワードだと思います。
過去、弥一郎にしてしまったことを後悔し続け、その時弥一郎の一言に傷ついていた春宵。
寿命の問題もトラウマも、癒えて乗り越えた、には達していませんが、彼ら二人なら・・・!と信じられる優しい雰囲気に満ちていました。
今作だけでも問題ありませんが、『てのなるほうへ』も読むのがオススメです。
飄々としたイケメン春宵(前作)と、そんな彼にもいろいろあって傷ついていて、そして恋人の前ではこんなに甘くて可愛い!という一面(今作)が楽しめますのでv

1

面白かったけど

『てのなるほうへ』で、主人公・草枕の親友であり、良き理解者でもあり、巽との恋のナイスサポートをしてくれていた春宵のお話。

『てのなるほうへ』がめっちゃツボだったので、『もういいかい、まだだよ』の発売を楽しみに待っていました。前作が未読でも問題なく読めると思いますが、草枕も少しだけですが登場していて物語としても時系列がリンクしているところもあるので、読んでいると「あの時のシーンか!」と気づく部分もちょいちょいと出てきます。なので、前作を読んでいた方が楽しめるかもしれません。

ネタバレ含んでいます。ご注意を。







江戸時代、ろくろ首の春宵は町で人間を驚かすのが彼の楽しみ。
その日もいつものように町へ繰り出し、出くわした人間を驚かしてやろうと待ち構えていた時に出会ったのが弥一郎。
病を抱えながらも明るく愉快な弥一郎と意気投合し仲良くなりますが、その後、弥一郎のためにと思い春宵がしたことがきっかけで弥一郎と決別することに。

時は過ぎ、現代。
春宵は樋野という大学生と出会いますが、この樋野という青年が弥一郎とそっくりで…。

というお話。

前作『てのなるほうへ』では、理知的で冷静な男性、というイメージを春宵に抱いていたので、ざっくばらんでいたずら好きな人物だったのがまず意外でした。けれどそこがまた彼のビジュアルにあっていて可愛らしい。

春宵は妖怪仲間と仲たがいしているわけではないのですが、人間が好きで、そのため人間の暮らす世界で普段生活している。その生活をサポートしてくれている大学教授の壮助という人物が、恋愛感情ではなく、春宵を心の底から愛していて大切にしてくれているのがうかがえて気持ちがほっこりします。壮助と春宵の「つながり」が、ちょっとおもしろく、不思議な関係でありながらしっくりくる。

『てのなるほうへ』でも出てきた御簾裏や、ほかの妖怪仲間たちが、春宵に優しく彼が困った時にはしっかりサポートしてくれる様も良かった。

ただ、攻めの樋野くんがなあ…。
いや、別に悪い子ではないし、春宵のことを大切にしている様はきちんと読み取れるんです。
なのだけれど、彼のキャラがいまいち弱い、というのか…。

彼が春宵に惚れた経緯がよくわからない。
春宵は弥一郎とよく似た面差しを持つ樋野くんに興味を持ったというのは理解できる。けれど、樋野くんの方は…?
樋野くんが抱えるゲイであるという葛藤と、春宵が妖怪だという秘密。それらがごちゃごちゃしている間にちゃっかり春宵にキスして、とんとんと恋人になっちゃった、という感じ。

全体を通して優しいストーリーにしたいという栗城さんの思いは理解できるものの、この二人が恋人になるまでの過程、がBLという部分でのキモになるところだと思うので、そこがあっさり流れちゃったのが残念でした。

時系列としては、『てのなるほうへ』の二人のお話よりも20年くらい前になるのかな。
『てのなるほうへ』で、草枕と巽が恋人になる頃に、樋野くんは40代半ば。
妖怪から見ると人間はあっという間に人生を終えてしまう。
時間の進み方が異なる樋野くんと春宵が選択する「これから」はいかに。

ここで春宵がかつて弥一郎にしてしまった「とあること」に対する春宵の葛藤がつながっていて、この二人がどの道を選択するのか、という終わり方がとても良かった。

ただ、肝心のBがLしている部分で萌えきれなかったのが残念。あと、『てのなるほうへ』がツボ過ぎて、今作の期待度が高すぎたのも一因かも。

全体的に優しい空気が流れ、シリアスな展開になることも少ないので、やさしく甘い作品が読みたいときにはお勧めな作品かと思います。

10

今度はろくろっ首

「てのなるほうへ」で出ていた、ろくろ首 春宵がメインとなるスピンオフ。
前作はせつなさありのハピハピものに感じましたが、
当作は「永遠に近いもの」をどうするか ということが
少し取り上げられているようで、ちょっぴりせつなさありの印象です。
お話が好き。小椋先生の挿絵がこれまた秀逸!
で神に近い萌2でお願いいたします。
いいんです、妖怪が。

表紙でお分かりになるように、とても描きこまれています。
カラー口絵は、前作メインカプを含めた妖怪たちの宴会図。
プチトマト妖怪(正式名称知らず)が攻めの膝に寄り掛かって
酔っぱらってます。
めちゃくちゃ愛しい。こういう書き込みいっぱいの図。
中は3作あるのですが、その中表紙が、妖怪大行進の
ぱらぱら漫画のようになってます。
こういう本作るのって、とっても楽しいと思う。

一日千秋:江戸時代のお話。50P弱。
もういいかい、まだだよ:現代設定。160Pほど。
もういいかい、もういいよ:まだだよ の20年後。10Pほど。
春宵が、思いのほか、天然ちゃんでうぶうぶちゃんで、
とても妖怪とは思えない、本当に可愛らしいキャラでした。
そんじょそこらの人間よりずっと子供。純情。

**************以下は より ねたばれ

一日千秋:
江戸時代、人を驚かして、妖怪として有名になんなきゃな!と
頑張ってる春宵が、人間(弥一郎)との関わりで傷つきます。胸が痛い。
御簾裏(みすら・狐姿の妖怪で江戸の妖怪の元締め)の親心(傷ついた春宵に
寄り添う)と、まだ頑張ろうする春宵に、じーん。

まだだよ:
「弥一郎」に瓜二つな樋野学と春宵のお話。
学は不器用な一途さん かな。春宵は人間のある家族に3世代に渡って
家族として過ごしてもらっています。本当に本当に可愛いです。
そんな二人の大切にしたいお話。最後の学のセリフに、有難うと言いたい。

もういいよ:
学は42歳ごろで、御簾裏がこっそり学のところに来て、
「選択肢がある」とささやいたりもしています。
まだまだ悩む、でもそんな時間もまだ許される二人の心の揺れ でした。
ほわほわ幸せ話ではありませんが、二人で一生懸命悩んでいる姿が
とてもとても心に残る、作品でした。

先生、今回も素敵なお話、有難うございました。
次は御簾裏のお話を読んでみたいです・・・贅沢でしょうか。

4

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