男とシたら、どっか遠くに行けると思ってた――

フェイクファー

fake fur

フェイクファー
  • NOT BL
  • E-BOOK ONLY
  • R18
  • 神25
  • 萌×210
  • 萌1
  • 中立1
  • しゅみじゃない2

--

レビュー数
7
得点
169
評価数
39
平均
4.4 / 5
神率
64.1%
著者
 
媒体
コミック
出版社
フロンティアワークス
シリーズ
Dariaコミックス(ダリアコミックス・フロンティアワークス)
発売日
価格
¥648(税抜)  
ISBN
9784861348396

あらすじ

『セックスもできる友達』関係だった烏星と雨井。突然ハワイに行きたいと言い出した烏星を雨井が連れて行った先は、はわい町だった。小さな町の小さな家に辿りつくふたり。そこは、雨井が幼い頃、自分を置いて行った母親と暮らした家だった――。置いていかれても笑おうとする男と、自分と向き合うのが苦手な男は、少しずつ大きくなる自分の気持ちに翻弄され――!?

表題作フェイクファー

雨井
烏星洋介

同時収録作品週刊少年ボーイズラブ

鳴門 サッカー部の高校生
五反田翔一 サッカー部の高校生

評価・レビューする

レビュー投稿数7

ちょっとした見せ方のセンスが良い

基本設定やストーリー自体が特にユニークというわけではありません。家族に性的嗜好がバレてトラウマになっている人と、女性が苦手な人なんてキャラは割とよくある設定とも言えるかと。

しかしちょっとしたモチーフやセリフのセンスがいいですね。だから胸に刺さる。

人間なんて、そうカッコつけてばかりはいられなくて、かっこいいこと言ったかと思うと自ら茶化してしまったり、かと思うと「漫画かよ?」みたいなセリフを素で言ってしまうことがあったり…そんなもんなんですよ。何言ってんだ?って感じですが、ちょっとしたことにリアリティを感じました。

切なくておかしくて。だけど人生捨てたもんじゃない。…そんな気分になれる作品でした。次回作も楽しみです。

1

ユーモアがシリアスをさらに引き立てる

表紙からとても印象的でした。
地味攻めって珍しいと思うのですが、この攻めが本当に心が広くて優しくて寛容で受けのことをたくさんの愛情で包んであげてるのが本当に微笑ましいです。
内面イケメン!!!
でもそんな攻めも孤独を感じたり焦ったりすることもあるし、すごく人間臭いところを上手く表現されているなと思いました。
ゲイである受けは普段とても明るくておバカなところも可愛いけれど、その心の内には劣等感や罪悪感があってその想いも切なかったです。
2人のやり取りが笑えるからこそ、シリアスな場面では胸にジーンときます。
攻めの愛情で受けが人間らしさや愛情を知る、まさにカタルシスを感じる素敵なお話でした。
短編の高校生同士のお話も自分の性癖に悩む受けが切ないけれど可愛かったです。

1

絶妙なセンスがある!

こちらの作品は私がトピ立てした「ちるちるのランキング圏外だけど、心の琴線に触れた作品を教えてください」
http://www.chil-chil.net/answerList/question_id/4967/#IndexNews

で教えていただきました。

「ここ数年で一番好きな作品です。マイノリティの悲哀や、誰もが感じる侘しさの様なものがぎゅっと詰まっていながら、力の抜けた台詞やギャグがのんびりとした雰囲気を醸し出しており、シリアスすぎないバランスが絶妙です。」
とコメントを頂戴しております。これにピピッときた方は読んだ方がいいです。私もピピッと来て読みましたが大当たりでした。教えてくださり本当にありがとうございました。
・・・・おしまい。
と、ここで終わりにした方がいいくらい、オススメ頂いた姐様のコメントは的を得ています。

父親が死んだ後、母親に捨てられた雨井(攻め)と、ゲイばれして肉親と断絶している烏星(受け)というシリアスに描こうと思えばいくらでも描ける二人ですけど、重苦しさはありません。
もともと友達同士だったんだけど、「女の人に気を許すのが苦手」続きという雨井の一言と酔いの勢いも借りて襲っちゃう烏星。
それ以来セフレ関係が続いているけど、セフレ以上になりたい雨井と、セフレが他にもいて恋人なんて作る気はないと公言する烏星の付き合うまでのストーリー・・・かと思いきや結構あっさりくっつきます。くっついた後、葛藤したり喧嘩しながらお互いで自分たちの居場所を探していくお話です。

攻めの雨井が「どれだけ遠くに行ってもいい 俺の所に帰ってきてくれ」とカッコいい事を言ったかと思いきや、翌日には母親に捨てられた事を思い出して、泣きじゃくりながら本音を言う場面にこみ上げるものがありました。
雨井は常に優しい。些細な日常エピソードの数々であぁ本当に好きなんだなぁっていうのが良く判る。愛される事に慣れていない烏星が戸惑ったり、面倒くさくなったり、投げやりになりそうになっても雨井が包み込みます。容姿は地味メンなんだけど、行動はイケメンです。

雨井がもさもさ前髪からいきなり短髪になってみたり、同棲始めたら烏星がちゃんと服を着るようになったり・・・と文章だけで読むと、それがどーした?という何気無い動作なんだけど、そこには深い相手への愛が存在していて、その動作に読み手もちゃんとキュンとしたり、ホロリとできる。
指輪を贈りあっちゃったりするといったような派手な行動じゃないけど、そこが二人らしくていいんです。

フェイクファーは「フェイクファー(fake fur)」偽物の毛皮の事かと思って読み始めたのですが、「どこか遠くへ行く錯覚」という意味をタイトルにしたいと考えた造語だそうです。(fake(偽物の)far(遠く))
それが、ずっと烏星が「遠くに行きたい、どこでもいいから遠くに行きたい」と考えていたその遠くは実は・・・という物語の終着点にも繋がっていてセンスを感じました。

別の収録作の【週刊少年ボーイズラブ】
五反田はサッカーの才能があって、爽やかで、顔も良くて、当然モテてまるで漫画の中の主人公のようだ・・それに比べて俺はその読者だ・・・と羨ましさ半分僻み半分の鳴門。
そんな五反田がある日突然おすすめのAVと抜き方を教えてくれ・・・と言ってきて・・・。
ヒーロー気分どころか誰にも言えない秘密を抱えて劣等感を感じていた五反田。
それが鳴門という存在を得て、マンガの主人公になったみたいと晴れやかに笑うところがホロリときました。

2

口絵にヤラレタ…

口絵を見た瞬間に、何かが降りてきました。この人のセンス、絶対好きかも…的な。直感を信じてヒットすると、それまでに失敗してきた経験が無駄じゃなかったのかもって嬉しくなります。

カラダの関係が先行だけれど、その後ココロに変化が訪れるツボな展開です。絵柄は味があって、決して華やかなタイプではないんですけど、読み終わってみると、ストーリーの手堅さと何気に今っぽいエピソード描写の絶妙なバランスに、あー、この絵だから、この表情だから伝わってくるんだなーって納得させられました。

セリフがとってもよくって、印象的なところに惚れました。ゲイの烏星が見せる家族との葛藤。雨井と両親との関係。セリフに痛みが伴います。ゲイじゃないけど、わかるよ、わかる。二人が自分の居場所を相手に見出した時、ヤッタネ!良かったぁ!ってBL的カタルシスをしっかり得ることができました。

お気に入りのシーンは、雨井が髪を切ったエピソードで烏星がいうセリフ。男らしさについて語っているけれど、何についても言えることだなーって。自分が自分らしくいられて、その姿を好きになってもらえたら幸せだよね。うん、そのシーンに限らず、ス続きトーリー全部がいいんですよ。タイトルも作家さんが考えて、思いを込めてつけられたものだそう。言葉の持つインパクトに注ぐ情熱や、カバーイラストのこだわりにも好感を持ちました。

同時収録作品は『週刊少年ボーイズラブ』。BLを描く方が、BLをネタにできる客観性が凄く好き。しかもすごーく上手く落としてくれてるぅ…。次回作が楽しみでなりません!

3

ええ話や…

前情報ナシで、絵柄も表紙を見た限り特に好みではなかったのですが、なんとなく買って後回し後回しになりながらやっと読んでみたらこれがまた面白かったです!

♦︎フェイクファー♦︎
普通の友人同士が、セフレになり、恋人になるノンケ×ゲイのお話。

1話目でくっつき、あとはノンケとゲイのカップルに付き物の不安や葛藤が描かれていて、問題を抱えながらもふたりの絆が深まっていく切ないながらもあったかいハートフルストーリー。

攻は地味で真面目な雨井。
受は性に奔放なチャラ系•烏星。
身長も受が高いしでこぼこで正反対なふたり。

烏星は性癖のことで家族に縁を切られ、恋人も作らず、まるで居場所がない迷い犬のような男です。
「どこか遠くへ行きたかった」という烏星の帰る場所として在りたいた思う雨井。
ですがそんな雨井こそ、家族がおらず一人で生きてきて寂しくて仕方なかったんですね。
「留守番は嫌だ、どこにも行かないでくれ」
と、いい歳した男が子供のように泣く姿に思わずウルキュン。
一緒にいようと誓うふたり。
この時点でまだ1話目なんですが、この1話目が最もグッときましたね、恋続き人というよりもはや夫婦です。

エロもしっかりほぼ毎話あります。
雨井が地味男なくせに直球に愛を伝えてくるし、熱いとこもあって、そしてエロではムッツリなとこも有り。地味男のほうがエロではけっこうガツガツしてました^ ^

烏星はチャラい見た目を裏切る可愛さ。恥ずかしがり屋だし、ネガティブなとこあるし、涙もろいとこもギャップ萌えです。

お互いを好きで必要としている、でも好きだから不安になる、それでもずっと一緒にいたい、という想いが一話一話丁寧に描かれていてせつなキュンでした。

♦︎週刊少年ボーイズラブ♦︎
こっちも面白かったー!
サッカー部のDKのおはなし。
見た目は某バスケ漫画の某キセキの青×黒に見えまくって仕方ありません。
イケメンでスタープレーヤーだと思っていた奴が、男にしか興奮できなくて、それを確かめるためにAV鑑賞に付き合ってお手伝いをするという内容です。
黒子っち…ではなくて、みんなの人気者の暫定受が童貞処女どころかオナニーも未経験というのに萌えたー!
嫌いだった奴の、天然で真面目で可愛い予想外の一面に、攻はヤられちゃうんですね^ ^
エロは素股止まりでしたが、ぜひ挿入まで見たかったー。

表題作のタイトルと表紙の意味をあとがきで知り、奥が深いと思わず唸りました。
作者さまの誠実な姿勢が伝わってくるあとがきにこちらも敬礼したい気持ちです!


思いがけずいい作品に出会えてすごーく得した気分。
ほのぼのとキュンキュンとせつなさが絶妙なバランスで組み込まれた、デビューコミックスとは思えない内容でした。
期待の新人という帯に偽りナシ!
次回作もたいへん楽しみです!!

1

あなたににそばにいてほしい

普通の友達からセフレになった烏星(受け)と雨井(攻め)。受けには他にもセフレが複数いて、攻めは受けが好きなのだが、関係を変えるのが怖くてはっきりと想いを告げられないでいる。そんな時、家族との諍いから殴られて帰ってきた受けを、攻めは自分がかつて育った町に連れて行く。攻めもまた、家族に捨てられたトラウマから抜け出せずにいて…。


傷を抱えた大人同士が、関係を変える怖さを克服しながら、少しずつ距離を縮めていく物語です。
大人ぶって強がって、受けに「おまえがどこに行っても最終的に戻ってきてくれるならいい」なんて言っていた攻めの虚勢が、いざ受けがいなくなった途端に崩れるのにうるっとしました。そうだよね、1人は寂しいよね。
受けも、攻めのことが大事で、自分がそばにいることで攻めが不幸になるのなら離れることも厭わない人だったのですが、攻めの虚勢を知って、そばにいることを選んでくれてよかった。
本の8割くらいがこのカップルの話で、ページ数がたっぷりあって読みごたえがありました。展開が急すぎることもなく、説得力のある結ばれ方でした。ラストにはまたうるうるとしました。


同時収録の中続き短編が1本入っていました。高校生同士のカプです。
サッカー部に上手い子が入ってきて、イケメンでスターなその子が主役で自分はモブみたいだ、と常から感じている高校生(攻め)。しかしある時遭遇したそのスター(受け)は、泣きながら「俺とAVを見てくれ」と言う。受けは自分が女の子に欲情できないのを悩んでいて、AVでそれを確かめたかったのだ、という話。
受けくんが悩んでいてかわいそうだったけど、可愛らしい作品でした。掲載時期を見たらこっちのほうが表題作より前に描かれたものらしいですが、絵がやたらときれいでした。
評価的にはこちらが萌×2、表題作が神です。

あとがきを読んで、タイトル「フェイクファー」の秘められた意味と、表紙の構図の意味を知りました。
こういうところに気持ちを込められるのは、作者さんが作品とキャラクターに愛情と思い入れを持っているからこそだと思います。

6

面白かったです

正直絵柄が苦手で(いや、ごめんなさい…)手に取ることはなかったのですが、ちるちるさんの作家インタビューでの紹介記事を拝見して読んでみました。

えっと、内容をざっくりと。ごめんなさい、ネタバレしてます。



チャラい容姿に、たくさんのセフレを持つゲイの烏星(受け)。
まじめでもっさい風体の雨井(ノンケ・攻め)。
ただの友達だった二人ですが、酔った勢いと雨井の「女の人が苦手」という告白から、体の関係を持つようになります。
もともと下半身がゆるゆるで「恋人はいらない」と公言してはばからない烏星に対し、そんな烏星に本気で恋してしまった雨井。たくさんいるセフレの一人である自分なのに…、と思いつつ、それでも自分の気持ちを伝える雨井に、烏星も応えるのですが…。

というお話でした。

烏星が「恋人はいらない」という考えに至ったのには彼の家族から疎まれた経緯があったり、初体験の時の悲しい出来事があったりするためなのですが、それゆえに、彼は自分を客観的にみるカラス(烏星の名前から一文字取っているらしい)が頭の中にいて、そのカラスが彼の悲しみや葛藤を常に語るシーンには可哀想で続きウルッときました。

対して、そんな烏星を、大きな心で受け止める雨井にも切ない過去があって。

初めのほうでセフレから恋人に昇格する二人ですが、その後もお互いが葛藤に苦しんだり、切ない思いを抱えつつも、それらを乗り越えお互いが唯一の存在になっていく過程が非常にツボでした。

ほとんど表題作なのですが、終盤にもう一つ短い話が収録されています。

『週刊少年ボーイズラブ』
高校生で、サッカー部に所属する鳴門くん。そこに転校生で新しく入部してきた五反田くんは顔良し、サッカーも上手なナイスガイ。自分と比較し落ち込む鳴門くんですが、そんな誰もが羨む五反田くんに秘めた悩みがあることを知ってしまい…。

というお話でした。

鳴門くんは、何ていうか、ちょっとネガティブで爽やかな好青年、ではないのですが、悩む五反田くんにほだされ恋に落ちていく。
鳴門くんも五反田くんも、高校生らしい青い悩みを抱えていて、すごく可愛らしかったです。

自身の性癖に悩み、トラウマを抱え、それでも自分の力と、恋人の助けを借りて前に進んでいこうとする男たちが描かれていました。
それと表紙がとてもよかった。本編を読んでからもう一度見ると、涙を浮かべる烏星に、彼の頬の傷にキスをする雨井。そして裏表紙は雨井に口づける烏星。内容とリンクした、味わい深い表紙だな、と。

読もうかどうしようか悩みましたが、なかなか味のある、素敵な作品でした。

8

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