SS付き電子限定版
短編集ですね。みんなかなり短いです。
正直え?そんなに好きだった設定なの?とか、え?そんなに好きになることあった?と首をひねりました。
表題作は高校生の読モキラキラ佐藤くんとお隣の部屋のしがないアラサーリーマンの佐藤のお話。
高校生相手にいつも愚痴言ってキラキラしてイケメンでスタイルがいいのを怒ってご飯はご馳走になって。こんな佐藤のどこがいいの?
共感できず。
おしごと!
大学の先輩の会社に入れてもらって雑用係の後輩。後輩は甲子園に行って推薦で難関大学に入るもプロでは二軍な感じの子。
常々なんで役に立たない自分を先輩は雇ってくれてるんだろうと同僚に言わせると可愛い悩みを抱えています。
いざ接待でこれ枕営業だ!と思って先輩に告白。
駆けつけてきた先輩に誤解を解かれ抱かれ。
え?いつそんな好きだった?
北の空 南の雲
数えるほどしか会ってない君と手紙のやりとりをして、先輩の結婚式で数年ぶりに再会。
過去の描写もありつつも、え?いつそんなに好きだった?
刺青と学ラン
隠し子の学ランくんと組長のバカ息子のケンカに出向く刺青。学ランくんがただの高校生ではない!
でもなんで寝るの?いつそんなに…以下略。
なんかすっきりしません、すみません。
短編が5作品収録されていますが、密度が濃くて面白いです。どの作品も表題になれる。
間延びを恐れなければひとつひとつのネタを一冊の本にすることも出来そうなところ、短編として使って、まとめているところも良い。
倫敦巴里子先生の作品は王道ではない展開のストーリーが結構多いので好きです。独特な雰囲気があって、巴里子先生らしさも感じる。どこかしらに闇があるんだよな〜
あとがきで巴里子先生がおっしゃるスパダリに全面的に賛成です。スパダリにハードルなんて言葉は似合わない。ハードルを超越した存在でなければ。
表題作が、期待して読んだためか、あっさり終わってしまい、あれ?これだけ?と言う感じでした。
次の「おしごと!」も、うーん。。。何だか物足りず。
3作品目の「俺は忘れない」は、ホラーと知らずに読んだためか、全くBL感がなく物足りない。
ここで読む気が失せてしまい、数日明けてから「北の空 南の雲」を読み出しました。先輩の結婚式に出席した2人が、二次会後にバーで思い出を話していく内容。
こちら、一見分かりづらいのですが、ゆっくり2人の関係性が見えてきて、最後にキュンとくる話でした!
良い!
そして、最後の「刺青と学ラン」は展開が早かったのは気になりますが、黒髪×黒髪で私好みな2人でした。この本の中では一番エロいかなぁ。そして一番好き作品でした。
もともと倫敦巴里子さんって、
根底がダークなところがあるなと思っていたのですが、
この短編集はその「暗」な部分の割合が高い気がしました。<当社比!
唯一それを感じなかったのは、二作目の「おしごと!」だけ。
他は、私の感性だけかもしれないけれど、
どのお話にも「暗」まではいかなくても「灰色」な、
何かちょっと手放しではハピハピに感じられない、
紗のかかった不安定感が漂ってる。
それでもこの評価なのは、読後感がいいから!
どれもラストにうっすらとだったり、
きらきらとだったりの差はあるけれど、陽が射してる。
(一作はそれさえさえない真っ暗ですが……)
私のように、手放しでハピハピラブラブ大好き〜vvv……な方には
胸を張ってお勧め出来ませんが、
切なくて、もやっとしたものが多少残っても、
灯りを見出せる話ばかりなので(くどいようですが一作を除いて!)
ハッピーエンド至上主義な方にも、怯まずに読んでいただきたい!
そして、相変わらずいつもあとがきが好きvvv
…
最高でした。本当に。心がいたくてどうしようもなく。
表題の"スパダリ"に興味があったのと表紙の可愛さ、倫敦巴里子さんということで気にはなっていたこの一冊。読む前にスパダリではないような〜というご意見やホラー…とのご意見も目にしてンンンと思っていました、が。
一冊を通して、ぼろぼろ涙が出ました。
「隣のスパダリくん」
"イケメン読モ高校男子が不幸な地味リーマンを餌付け⁉︎"
"完璧ダーリンな年下男子にココロもカラダも餌付けされちゃった⁉︎"…と、帯•裏表紙と煽ってはありますが、そうかもしれませんが、そうじゃない。笑 一作目(表題作)から感じて思い出したのは、あー…だから倫敦巴里子先生好きなんだなってこと。リアルに長けているとかそういう言葉じゃ勿体ないくらい、「解る」、胸が痛くなる。どうしようもないことがある上で、絶対いてほしいそこから救ってくれるひとがこの作品の中にはいました。それがスパダリくんにあたるのですが…幸せにしてあげる、って何だよって思うのですが笑、読み終えた後 幸せだなぁって。受けの気持ちになってとかふたりの幸せを祝福してとかそれ以外に単純に、読み手である自分が思わず幸せだなぁって呟いてしまうような良さがありました。
「おしごと!」
…此奴です。笑 泣かされました。まさかの…。 大学時代からの先輩×後輩、社会人になって、です。いじらしいに元々弱い自覚はあるのですが後輩の「…ちょっとずつ 経済の勉強したり〜英語も覚えたりしてるんだよね 先輩 今でも俺を拾ってくれるかな」という大学時代。けど自分が役に立てると任された仕事は、自分が頑張ってきたこととは異なって…。ずっとあんたが好きだった、
「初めてはあんたが良かったな」、
そう言い残して"接待"しにいく受けちゃんがそれはもう……涙。可愛かった〜〜し、えちも倫敦さんらしさが出ていてほっこほっこでした!またもしあわせってこういうことかなって。
「俺は忘れない」
ホラー……ですが、個人的には最後の一頁まである種の純愛ものとして読み込んでいました。最後の、一頁まで。
きっと、ずっと、死ぬまでとか死んでもとかでなく忘れられないような気がします。主人公は、この傷を、出来事を。もう背負うとかじゃなく在ったことだから愛してしまった後だから、逃げたいとか関係なく、逃げない、が既に決定してた。
「北の空 南の雲」
こ ち ら ! この一冊至上(笑)、胸がいたくていたかったのはこちらです、この作品。今題名を改めてうっていてまたいたさを思い出しました。倫敦巴里子さん…凄いねぇ。(遠い目) 何が凄いって言葉にするとレビューから離れてしまうのでひとつだけ挙げますと、この作品の前の↑ホラーものも最後の一頁までうんうん、って読んでいたんです。この作品は最後の一頁までいたくていたくて、ネタバレ避けて表現すると、やだやだやだ!!って泣きそうになりながら読んでいました。笑 最後の一頁で、脱力。お涙ポロリです。今最後を判っていながら読み返しても、この先最高に幸せなふたりを見たとしても、ずっといたいのだろうと思います。
「刺青と学ラン」
このサラッとしたタイトルを侮ってはいけません。
一冊をぎゅっ…と凝縮したようなお話でした。
キャラが立っていて下睫毛だけ()が可愛い要素…?な受けちゃんと飄々としたように見えて、何だかんだ受けちゃんより人間味のあるヤクザの攻め。ふたりは、どの時点で気付いて(始めから…?)どんな気持ちで抱き、抱かれていたのだろう。考え始めると業は深いですが、兎角最後の台詞がすきでした。
「四度目 五度目が恋しくてたまんねぇ」
っていう。
そして、番外編になります。隣のスパダリくん。
まさに【攻めあってこそ浮き彫りになる受けの可愛さ愛おしさ】です。うー…ん。日常で本当にありそうだなって思ってしまったら最後、このたった四頁にそれこそ幸せしか感じられなくなります。ありがとう。
がんばってもできないことがあるというより、がんばったこと自体間違っていたのかもしれないと感じてしまう辛さや痛さがこの一冊に在って、在ったから、こんなにも心から良い一冊だったなぁと思っているのかもしれないな…
ありがとうございました。