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表題作御曹司は初恋を攫う

史人
高級時計メーカー社長
詩音
23歳,オルゴール職人

その他の収録作品

  • 御曹司は初恋を捕らう

あらすじ

スイスのオルゴール職人見習い・詩音が働く工房に史人と名乗る男からオルゴールの修理依頼がくる。彼は、詩音を見た途端「待っててくれたんだね。結婚しよう!」とキス&プロポーズしてきて…!?

作品情報

作品名
御曹司は初恋を攫う
著者
浅海ゆい 
イラスト
水貴はすの 
媒体
小説
出版社
KADOKAWA
レーベル
角川ルビー文庫
発売日
ISBN
9784041038376
3.2

(12)

(1)

萌々

(2)

(8)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
3
得点
38
評価数
12
平均
3.2 / 5
神率
8.3%

レビュー投稿数3

オルゴール職人が御曹司に捕獲されるまで

スイスでオルゴール職人として働く詩音(受け)は、オルゴールの修理の依頼にきた日本人に「俺のこと覚えてない?」と聞かれる。彼、史人(攻め)は詩音が幼い頃に仲良くしていた少年だった。詩音をずっと探していた、という史人に、大好きだった幼なじみとの懐かしい日々を思いだす詩音だったが、史人の会社から詩音の働く工房に仕事を依頼されることになり…。


まず、なんでこうなった、と思うくらいこの情報ページのあらすじが違います。「待っててくれたんだね、結婚しよう」って、どこから出てきたセリフ? 最初のプロットではこうなっていたけどその後内容が変更された、ってことかな?
攻めは初恋の相手である受けを18年間探し、ようやく見つけ出した、という設定です。なのに「待っててくれたんだね」は明らかにおかしいでしょう…。キャラ自体もそんなハイテンションな人じゃないし…。

そういうわけで、初恋相手をずっと探していた攻めと、スイスでオルゴール職人をしている受けの話です。2人ともフランス語&日本語がペラペラで、グローバルな作品です。
攻めは高級時計会社の社長です。そのセレブが手を尽くしたのになかなか受けが見つからなかった理由は、少女のように可愛かった受けをずっと女の子だと思っていて、女性として捜索していたせいでした。
でも、ようやく受けを見つけても、それほど切羽詰まったような雰囲気ではなく、割とあっさり目な再会シーンで、もうちょっとドラマティックだとよかったな、という気も。(「待っててくれたんだね、結婚しよう!」はともかくとして…)
受けは結構おっとりさんで、小さい頃はぽやぽやしてたし23歳になった現在でもふんわりな雰囲気の人です。仲が良かったとしても当時恋愛感情なんてなかった相手なのに、再会してあっさり好意を抱くようになるので、ちょっと流されすぎな感じはしました。あと、攻めの秘書による攻めの暴露話が多すぎて、秘書なのにこの口の軽さはどうだろう、と思いました。その秘書の話で、攻めの気持ちや受けを特別に想っていることが受けに伝わるのですが、人の話で想いが伝わるのはすごくご都合展開な気もしました。

オルゴール職人の話や、仕事の描写は面白かったですが、その分恋愛描写が駆け足だったような。もう少し仕事関係のゴタゴタは削って、くっつくまでをきっちりやってほしかった気はします。

4

腹黒社長×オルゴール職人の再会愛


オルゴール職人の詩音=アルトナー(受け)は子どものころに両親を亡くし、育ててくれた同じくオルゴール職人の祖父も5年前に亡くし、天涯孤独でした。
祖父から受け継いだ工房をなんとか存続させようと奮闘し、祖父の弟子であったガエルとともにオルゴール製作と修理を行っています。
ある日、祖父が作ったオルゴールの修理の依頼に多賀城史人(攻め)が日本からやってきます。
詩音は両親を亡くしたことなど悲しいことが続いたせいで忘れていたのですが、詩音と史人の祖父が友人同士で、幼いころは毎夏日本に遊びに行っていて非常に史人に懐いていたのでした。再会を喜ぶ二人ですが、史人からずっと好きだったと告白されるとともに、時計会社の社長になった史人からオルゴール付き懐中時計をリバイバル販売したいと商談を持ち掛けられます。詩音は史人への想いがどういったものか、アルトナー工房を守るために何をしなければならないか思い悩みます。

史人は時計職人であった祖父が作った会社の御曹司ではありますが、愛人の子どもで捨てられる形で引き取られており、幼少期より心休まるときがありませんでした。そんな張りつめた状態の史人の前にひたすら純粋に慕ってくれる詩音が現れ、心奪われます。祖父たちの仲違いにより引き裂かれてしまい、ずっと探していましたが、女性だと思っていたので(小さいころの詩音は9割の確率で女の子と思われていた)なかなか見つけることができないでいました。男性だと知り非常に驚きますが、性別は些末な問題だと詩音を口説き始めます。
詩音に対しては優しいのですが、小さい時からの環境のもあり腹黒で目的のためなら手段を選ばない人物のようです。自分の置かれた状況を的確に判断し自分に都合の良いように持っていける優秀な人のようです。

史人の告白をどうするかということとともに、職人の仕事が減っていっている現状をどう打開するかが話の幹になっています。すべて手作りでは商品が高額になるため、コストダウンすべきというガエルの苦渋の決断に対して、詩音は史人に再会したことによって思い出した祖父のオルゴールに対する想いと工房を存続させることの狭間で思い悩み、史人に導かれる形で自分と史人と工房にとって最良と思われる道をさぐります。
最終的に史人にとって都合のよい展開に流されたようにも見えますが、閉塞した環境で修行していた詩音にとって外の世界で戦ってきた史人がもたらす新しい風を肌で感じ、何一つ妥協することなく納得した上でこれからの道を探るという意志の強さは好感が持てました。
ただ、恋愛面での萌えは少なかったと思います。もう少し愛を育む話があったらよかったと思いました。


詩音が気付いていなかったとはいえ、意地悪をしていたガエルには思うところもありますが、まだ工房の仕切るには若すぎる年で師を失ってしまい、工房を守ること、職人としてのプライドが高いのに詩音が成長してしまったら職を失ってしまうかもしれない不安というものもあり、初心を忘れてしまっていたのでしょう。
これからは、詩音を傍に置くために協力を惜しまないであろう史人がいるので、安泰なのではないでしょうか。

ただ、詩音のことばかりで、史人の事情が幼い頃のことが少し触れられていただけで、あまり詳らかになっていなかったので、そちらの事情についてももう少し知りたかったです。会長に退いたとはいえ健在な祖父や縁を結びたい親戚たちなど障害になりそうなことは何一つふれられてなかったので、そのことで詩音が悩む所は読みたくないのですが、どう処理したのかは読みたかったです。

祖父を失い、まだ若い職人と見習いの自分の二人だけで工房を守ろうとするのは二人にとって金銭的にも精神的にも本当に大変だったことだろうと思われます。史人と再会し、精神的に頼れるパートナーができ、詩音は安心して、祖父が作った工房と想いを守り、腕を磨いていくことでしょう。詩音のオルゴールが世界中の安らぎになるといいですね。

1

オルゴール職人とか初めて。

なんというか、専門分野の職人さんの模索に感じ入ってしまいました。

受け様は、スイスてオルゴール職人見習いとしてオルゴール工房で働く詩音。
たくさんあった工房は、安価で大量生産できるオルゴールに取って代わられ、いつしか詩音の工房を含め2つだけに。
先の不安を抱えていた時、日本からオルゴールの修理を依頼しに訪れる人が。
それが攻め様である史人。

小さい時に、遊んでいた頃もあった2人の再会愛もの。
しかしまぁ、再会してすぐに思い出して欲しくてキスをしかける史人ってば、それはダメじゃね!?
普通に名乗ればいいじゃん…(︎^_^;

実は大手時計メーカーの社長に就任していた史人。
2人の祖父達がコラボしたオルゴール付きの懐中時計を再販することになったから、一緒にやらないか、と詩音に持ちかけてくる。

職人として自信がない、としり込みする詩音に、挑戦しないと経験も自信も得られない、と背中を押してくれる史人。
あー、この言葉は好きだなぁ。
チャレンジしたからこそ得られる失敗や成功で、それこそが自身の成長ですものね。

えちシーンでは、ウブで無垢な詩音をまぁいじめてくれちゃって。
誑かされたような気がしちゃうよ。

最後の史人視点を読んで、私が思ってた以上に執着攻め様だったんだぁって。

社長である史人とのこれからを思うと心配も残るけど、史人がその用意周到さでもって、片付けていってくれよな。

0

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