今の世にこそ問いたい、「衆道」――その壮烈な愛のかたち。

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表題作男色大鑑-武士編-

左内
三之氶

同時収録作品色に見籠は山吹の盛

義左衛門
主馬

同時収録作品詠めつづけし老木の花の比

半右衛門
主水

同時収録作品嬲りころする袖の雪

葉右衛門
笹之介

その他の収録作品

  • 垣の中は松楓柳は腰付
  • 待兼しは三年目の命
  • 東の伽羅様

あらすじ

井原西鶴が男色をテーマに描いた傑作短編小説集が今、BL漫画として現代に蘇る。
本武士編では、 面目や意気地のためには、命を捨てて顧みない武士たちの悲壮な恋を描く。
一人の美しい若衆をめぐって、朋輩の武士たちが恋のさや当て。
殿様が寵愛する美童に、家臣が決死の横恋慕。 恋の道を貫くために、
命をかけて愛し合う、男たちの生き様をご覧あれ!!
≪執筆陣≫装画:ZAKK小笠原宇紀/オトノアヲ/雁皮郎/九州男児/黒井つむじ/眞山りか/
宮木りえ解説:敬愛大学准教授 畑中千晶

作品情報

作品名
男色大鑑-武士編-
媒体
漫画(コミック)
出版社
KADOKAWA(エンターブレイン)
レーベル
B's‐LOVEY COMICS
シリーズ
男色大鑑
発売日
ISBN
9784047341067
3.6

(19)

(5)

萌々

(6)

(5)

中立

(2)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
3
得点
66
評価数
19
平均
3.6 / 5
神率
26.3%

レビュー投稿数3

イヒヒと読むか、ムフフと読むか、

いやいや、真面目にフムフムと読んでしまいました。
収録作は7作。全て違う絵師様が描いておられますが、どの方も違和感なく統一感のある1冊となっています。
今作は「武士編」ということで、殿様に仕える小姓の話や、想いを遂げるには命も賭けるのだ、みたいな話が多いと感じました。最終話だけ町人同士のお話です。
現代腐女子としての私たちが、西鶴の「男色大鑑」をこんなにわかりやすく美しく描かれたコミックとして読めるということ。なんという幸せなんでしょうか。
同時に、この「男色大鑑」そのものが発表されたその時代、一体どんな人々が何を求めて読んだのか、これを読んでどう楽しんだのか、非常に興味を抱きました。
なんちゃって時代劇の風景ではなく、実際の江戸の感じ……武士が読んだのか町人が主に読んだのか。男が多かったのか、町の普通の女性達もみんな読み書きができてこういう本を読んだのか。地方の人々も読んだのか。
腐女子の中からこのコミックがきっかけで研究者でも生まれないかしら、とか思ったり。このコミックこそ翻訳して欧米で出版すればいいのに、とか思ったり。
巻末の畑中千晶先生の解説も非常にわかりやすく、素晴らしいです。
また、装画のZAKKさんは、ご自分のコミックと全然違う雰囲気でこれまた素晴らしいです。

4

 

『夢路の月代』
若い美童に一目ぼれした男
しかし美童に優しくしたせいで、風邪をこじらせ死んでしまう
その葬儀後に美童はその幼なじみとアッー

『色に身籠…
美しい小姓に一目ぼれした侍
出待ちのファンをするぷちストーカーと化し
なんと江戸から出雲(島根)まで行く小姓を野宿しながら追っていく
3年目に侍は衰弱死しそうになり
小姓が殿に事情を話したところ、小姓はお役御免、また殿から「江戸に行っていいよ」と優しい言葉を言われたものの
結局殿に義理立てし、別れ別れに
数か月後、元小姓は、一人隠居する家の水がめに、侍が手向けたらしい花が浸かっているのを見つけるのだった

『老木の花』
あるところに侍カップルがいました
しかし、美しい受に言い寄る男が現れる
突っぱねたら決闘になり、そこへやってきた攻がつい男を討ってしまった
で、たぶん脱藩したのかな?
今は老(男)夫婦に、という話

『袖の雪』 時東穹生(小笠原宇紀)
見初めた小姓と肉体関係になった侍
しかし小姓は、侍が他の若衆と一緒にいたことを聞く
(実際はただ話していただけ)
嫉妬にかられて、侍を雪の中、家の前で裸で立たせる
結果、攻は凍え死んでしまう
受は泣きながら攻の隣で切腹する

『垣の中…
ある日、下っ端役人は美小姓に惚れた
しかし美小姓は、突然半年も病に伏せる
回復後、毎日見舞いに来てくれたことを知った小姓と役人は恋人になってしまう
結局殿の慈悲でお咎めなしに
しかし殿に義理立てし、25才まで口をきかないと誓う

『…三年目の命』 九州男児 これは萌えた!
浮気者の攻と、抜きあいっこした仲の堅物の友人がいた
しかし友人は攻の恋人の美少年に一目ぼれしたという
3年後に決闘をして決着をつけることを約束する
しかし友人が好きなのは実は美少年ではなく攻の方で、攻もそれを知っていた
決闘で二人とも死ぬ

『東の伽羅様』
モテモテの薬屋の息子はある日、津軽(青森)から来た客の旅人に一目ぼれする
恋の病に伏せって死にそうになるも
旅人との再会で元気になる
そして二人は仲良く津軽へと旅立っていきました

2

これで良いのだ。

タイトルは知ってても、実際に文章で読むのはなかなかしんどい、西鶴の「男色大鏡(なんしょくおおかがみ)」。
これがコミックで手軽に読めるのは嬉しい!
電子版ももうあって、私はそちらで読みました(楽天kobo)。本当に良い時代になったなあ・・・

うん!なかなか良いと思う。
西鶴の時代だって「古典」としてシャチホコばって読んでいた訳じゃないし、楽しく読めるのが一番!
読んだ人が何かしら感銘を受けたり、何か得るものがあれば、さらに良し!

私は結構、得たものがあったなあ・・・。
「詠めつゞけし老木の花の比」は、衆道モノにしては珍しく、死を尊しとせず、生き延びて老いたゲイカップルの話。
「待兼ねしは三年目の命」は、本当に今のBLっぽい!念者と若衆モノに見せかけて、実は・・・。かなりキュンキュンきます。

江戸期の日本だからこその物語集ではあるけど、時代も国も越えて、色々な人に読んで欲しい。

今、この本が気になった方は、あなたが男性でも女性でも、区別のできない性の方でも、とにもかくどんな方でも、ぜひ読んでみて欲しい。
何かしら得るものは、あると思います!

それから、ちゃんと西鶴が専門の先生(畑中千晶教授)が、解説を書いてくださっているのが、高評価!
神に近い萌え萌えで。

10

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