不器用なアーティスト×男運のないカフェ店員

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これはきっと夢の中のキス

kore wa kitto yume no naka no kiss

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表題作これはきっと夢の中のキス

加賀 拓巳
現代美術のアーティスト
吾妻 湊
カフェの店員

同時収録作品密室恋愛

ベンチャー企業の社長
彰人(源氏名アキヒロ)
出張ホスト

あらすじ

ただ好きな人と
幸せになりたいだけなんです!
───そう叫んだキミが愛しくて…

【あらすじ】
カフェで働く湊は、不思議な雰囲気を持つ拓巳と出会う。
拓巳はカフェから見える広場のオブジェを作ったアーティスト。
芸術家なんて今までお目にかかったこともない人種だけど「興味があるならアトリエにおいで」と気さくに誘ってくれた。
アトリエを訪ねた日、拓巳は湊の顔にできた傷から湊がゲイで、恋人に暴力をふるわれていることを知る。
「好きな人と幸せになりたいから頑張れるし、多少のことじゃめげない! 」
そう言って笑う湊の健気で一生懸命な姿に拓巳は…!?

作品情報

作品名
これはきっと夢の中のキス
著者
風緒 
媒体
漫画(コミック)
出版社
竹書房
レーベル
バンブーコミックス 麗人uno!
発売日
ISBN
9784801956070
3.6

(53)

(13)

萌々

(17)

(19)

中立

(2)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
9
得点
192
評価数
53
平均
3.6 / 5
神率
24.5%

レビュー投稿数9

「幸せになるための努力を惜しまない」ってすごくいい言葉

表題作と短編の2作品が収録されていますが、
どちらも繊細な心理描写とストーリーの深さで
読み終えた後にも心に残る1冊となりました。

まずは表題作の『これはきっと夢の中のキス』は
素直で頑張り屋だけど、男運に恵まれないゲイの湊と
少し天然だけど、穏やかで優しい芸術家の拓巳が
カフェの店員と客として出会い、二人で幸せになるまでを描いた
切なくも、最後まで読めば心がほっと温かくなる物語でした。

出会ったそのときから湊に惹かれ、心の求めるままに男の恋人を受け容れ、
恋人同士になった後には関係を隠そうともせず周囲へ恋人を紹介する拓巳。

そこにゲイとノンケの恋という障害は感じられず、
そんな順調さに前半は少々物足りなさを感じました。

けれど、そのまま一直線にハッピーエンドに向かうわけもなく、
拓巳の元カノの妊娠疑惑という中々にヘビーな問題が出てきます。

そこから拓巳が抱いてきた家庭への憧れやそのことを知った
湊の罪悪感など同性カップルのリアルな葛藤が描き出されます。

好きなのに拓巳を冷たく突き放さそうとする湊も、
みっともなく湊にすがりつく拓巳も切なすぎる…

互いに好きだからこそ失い、傷つくことが怖くて、臆病になり、
相手の言葉を聞く前に勝手に決めつけてすれ違ってしまっていた二人。

私は拓巳の言っていた
「何もかも全部欲しいってのは絶対に無理だと思うんだ」
ってその通りだし、誠実な考えだと思うんです。

どちらかを選んだ時点で捨てられた側にとって拓巳が悪役に
なることは避けられず、それでも一番大切な方を選び取ることが
拓巳の出来る唯一の誠意の示し方だったのだと思います。
そして、拓巳にとっての一番が湊であったことがただただ嬉しかった。

好きな人と幸せになるために努力ができる
湊と拓巳の関係がすごく素敵でした。
愛することも、そのための努力をすることも一方通行ではなく、
両者が同じ分だけ一生懸命になって、互いを向き合っていること。
二人を見ているとこういうのが本当の両想いなんだなと思えました。

二人の周囲の職場の上司や親たちもみんないい人で温かかったなぁ…
突飛な展開や物珍しさがあるわけではないけれど、
登場人物たちの心情や過程が丁寧に描かれていて好きでした。


同時収録の『密室恋愛』は表題作に比べると奇抜な設定でした。

出張ホストの彰人が客の元を訪れると
男が突然「自分は余命一ヶ月だ」と言い出します。

ひとりは寂しいから指名を一ヶ月延長し、一緒にいて欲しいという男。
自称・社長の崇は金はあるらしく、代金として彰人に大金を支払います。
そのくせ、彰人を抱くこともなく、ただ一緒にいるのみ、と謎だらけ。
けれど、崇の不可解な行動には切ない理由がありました。

短いながら、彰人が崇にほだされていく感情の動きが
段階を踏んでいて、きれいにまとまっていました。
せっかく気持ちが通じ合えたのだから、
この2人の後日談をもう少し読んでみたかったなぁ…

1

どっちのお話も好き

二作品収録されていて、どちらもしっとり切なさ漂う心情が丁寧に描かれていて好きです。

【これはきっと夢の中のキス】
付き合ってる男から暴力を受けながらも別れを選べないカフェ店員の湊。そんなある日カフェのお客さんに駅前のガーデンオブジェが好きだと話したところ、その男性がオブジェを作ったアーティストの拓巳だとわかり…。

「誰かを愛したい」「その誰かに愛されたい」「そして幸せになりたい」と願う湊の気持ちが、全編通じて切なく伝わってくる作品で、私は好きです。

湊の誕生日を忘れて男と浮気するようなDV彼氏にいよいよ見切りをつけて別れた湊は拓巳に惹かれ始めます。
拓巳も全力で泣いたり笑ったり表情豊かな湊に惹かれ始めてお付き合いを始めるのだけど、有名アーティスト拓巳とただのカフェ店員でしかない湊。ちょっと不安な気持ちに湊なりつつも拓巳の優しい愛情に包まれてなんだかんだと幸せそうな様子が好きです。

ところが、拓巳の耳に元カノが密かに出産していてそれが拓巳の子の可能性がある…という話を聞いて子供が欲しかった拓巳は動揺してしまったうえ、それを密かに聞いてしまった湊の前でも態度がおかしくなり…。
そんな拓巳に湊は別れを突きつけます。自分が身を引けば拓巳は望んでいたものを得られると…。「誰かを愛したい」「その誰かに愛されたい」「そして幸せになりたい」と願う拓巳だけど、愛してクレクレ願望ばかりではないところが健気で好きです。
そして湊と連絡がつかなくなった拓巳が自分を見つめ直して、一番望んでいるものに気づけたというところも好き。ほんの少〜しだけ攻めざまあ展開っぽいところもいい。

【密室恋愛】
ウリ専の彰人は指名されたホテルに向かったところ、そこにいたのは余命1ヶ月だという社長。
そして「一人は寂しいからそのひと月この部屋に一緒にいてほしい」という要望を言い出して…。
彰人が実はいい子で、そのおかげで…という実にうまくできたストーリーでこれも好きなお話です。

2

幸せなままでいて!

カフェ常連のアーティスト・拓巳と、カフェ店員の湊。
湊は「幸せになりたい」から、DV彼氏のことを必死好きでいようとする。
拓巳はノンケだけど、一生懸命で表情がくるくる変わる湊に好意を持ち始める。
DV彼氏の浮気現場に遭遇した湊は拓巳にすがり…

二人のはじまりは、湊は幸せ願望が強くて、ちょうどよく拓巳が居たようにも感じたけれど、話が進んでいくと、ただ拓巳のためを考えて悩んで傷ついてる湊のひたむきさにひきこまれます!
そして拓巳の愛情も大きくなっていって、湊にそばに居て欲しいと心から思うようになる。
二人はこのまま幸せでいてほしい!

「密室恋愛」
ウリ専の彰人は、「余命一か月だからそれまで一緒にいて欲しい」と言う社長に買われ、一緒にすごすことになる。
そして一か月後…

絵が綺麗で、展開の見せ方がうまくて、今後の作品も読み続けたい作家さんです。

2

応援します

受けの湊がアーティストの拓巳にひかれたのは、優しさ?自分の顔を好きといってくれたから?ま、恋人に酷いことされた後にあんなに心配してくれたら、好きになっちゃうか。

前の彼氏に暴力を振るわれながらも、自分を好きになってくれる人なんて滅多に出会えないんだからと、我慢して好きで居続けようとする湊が案外あっさり別れてすぐ次の人とくっついた感じがしないでもありません。でも、二人が付き合うようになってからのあまーい雰囲気が可愛くて、出会えてよかったねと素直に応援したくなる作品でした。

0

高スペックでもポンコツ

高スペックぽんこつな攻めで2編。
湊は、自分の働いているカフェで、湊お気に入りの駅前オブジェの作者の拓巳と知り合います。
拓巳の落ち着いた優しさに惹かれる湊ですが…。
男運の悪い湊がDVクズ男とようやく別れて、拓巳とつき合い始めたけど、拓巳もまた、違った意味でのダメ男なのかな?
大人カップルの話なので、それなりにエチシーンはありますが、ストーリーの流れに沿って、切ない成分多めで展開するので、結構ガッツリと多彩な体位を展開している割にはエロ度濃厚には感じません。
同録のウリ専ボーイのお話も、寸止めテーマなのでエロ度は薄めです。
でも、この、すっきりした絵には、この雰囲気が合っていて、萌えるの。

1

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