綺麗な王子様俺に触れてはいけません

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表題作鬼の棲処

(兄殿下)、島に攻め入った國の第一王子で金髪の主
夜、島で疫病神「黒鬼」と呼ばれる黒髪の主

その他の収録作品

  • 幸ひ人
  • あとがき

あらすじ

黒髪は災いの証──そんな迷信が信じられている小さな「島」に生まれた黒髪の男の子。
名を奪われ、疫病神「黒鬼」と呼ばれ育った彼はいま無実の罪に問われ処刑寸前だった。
そんなとき、突如海の向こうから「國」が攻め込んでくる。
牢で震える黒鬼を見つけた國の王子は、誰もが触れることを恐れる彼を撫で、お前は私の戦利品だと黒鬼を攫っていく。
華やかな都で王子に「夜」と名前をもらい恋人のように甘やかされる夜だったけれど……。

作品情報

作品名
鬼の棲処
著者
栗城偲 
イラスト
コウキ。 
媒体
小説
出版社
笠倉出版社
レーベル
クロスノベルス
発売日
ISBN
9784773088359
3.3

(35)

(4)

萌々

(15)

(9)

中立

(4)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
9
得点
111
評価数
35
平均
3.3 / 5
神率
11.4%

レビュー投稿数9

御伽噺

2010に雑誌掲載された作品の再編集。
不憫受の「黒鬼=夜」の物語。
姐さんがたのお薦めに従い、電子特別版を購入。

元々遠島流刑地だった島に、たまに生まれる黒髪の子は、鬼の子だと忌み嫌われていた。
名を持たない黒髪の少年は「黒鬼」と呼ばれて、島中から忌まれる存在。
黒鬼を産んだ両親は既に死亡しており、薬師だった祖母も死亡した。
祖母の死亡後、薬草を強奪されることが増え、家が荒らされていく。

ある日、黒鬼の家を島人に焼かれた日、何処から来たのかわからない王族兄弟がやってきて、島中を焼き払い、黒鬼を探し出し島から連れ去る。
村長の息子だけが、黒鬼を止めようと暴れるが、村長が「厄介払いだ」と止める。

月日が経って、兄王子の恋人になった黒鬼は「夜」という名を貰う。
実は、第一王子の初恋は双眼鏡で観た「黒鬼」だった。
その双眼鏡で、夜は、島で黒鬼の家の跡地を護る村長の息子を見つけて、涙する。
嫉妬深い第一王子は、島に行くことを赦さない。
代わりに村長の息子宛てに、ガラス瓶にいれた手紙を海に流すことを提案する。
村長の息子が、浜辺でその瓶を見つける場面で終わり。

なんとも鄙びたメルヘンで、情景がありあり思い浮かべられる描写が素敵だった。
ドンデン返しのような、第一王子の「実は・・」の後に続く、村長の息子の淡い恋の思い出がちょっと切ない。

★あとがきに有りましたけど、「黒鬼=夜」以外の登場人物の名前がない、御伽草子風の構成。
モチーフは桃太郎で、第二王子がソレなのだそう。

0

受けらしい受け

黒髪というだけで人間扱いされない島にすむ受けが、王子様にさらわれて人として生きていくお話です。

確かにおとぎ話って王子さまが、とか名前ではなく地位で書かれてますよね。そのやり方でおとぎ話感を創作されたとのこと。

わかるけど、わかりにくいから普通に名前つけてもよかったな、と思いました。
受けに名前を授けるってことは結構名前を重視しちゃってるわけで、そんな国のひとたちが誰も名前を持たないって違和感ありました。
ちょっと受けの夜くんが受身すぎて一人でぐるぐる思考するところが長いな、と感じてしまいました。
のわりにあっさりシーンをはしょったりしてるので、そこ、詳しく!と思うところもありました。
コウキ。さんの絵が大好きなので、そこを考慮して評価は萌です。

0

購入検討している方へ。電子の特別版をオススメします。

「鬼の棲処」とシリアスさを連想させるタイトル。
疫病神扱いされている「黒鬼」と呼ばれる子供。

不憫な展開が大半を占め、
救われるお話なのかなーと思ってたのですが真逆でした。
『絵本の中にあるおとぎ話』を読む感覚がシックリきます。

所々細かい部分を掘り下げることなく
バックボーンがふわっとしてる点が少し目についてしまったのですが、
絵本の世界となれば、うーん、それくらいがちょうどいいのか…?

個人的にはこのふわっと濁して夢を見させる感じが少々萌え不足でした。

王子の優しさ・強引さが中途半端に感じてしまいます。
海の向こう側で暮らす子供に想いを馳せ、手に入れるロマンティック?さは良いです。
受けのピンチに駆けつけ攫っていくーーーさすが王子様!

なのですが。
受けを手元に置きながら何を考えているのかイマイチ分からない。
優しく美しく物腰柔らかく甘く、かと思えば急に避け出したり、強引に体を繋げたり。
なんか勝手に拗らせて面倒くさいなと思ってしまう…。

対して受けは割とサッパリしている印象が残りました。
前向きで柔軟性があるなーと。

萌えた部分は両片思いのすれ違い!(∩´///`∩)
受けは王子様に対して失礼のないようにしたつもりが、
王子様は”脈無し”と判断する材料になってしまって。

思うように意思疎通が出来ない身分差の恋が中々良かったです♪

ああ、どうしても主軸の感想が簡素になってしまう;
理由は分かっています。
もぉぉぉぉ村長の息子がその後どうなったか気になって気になって…(;´ω`)

村長の息子は、受けが疫病神扱いされていた頃、
たった1人だけ遠回しに気にかけてくれてた人です。
受けが王子に連れ去られる時も、得体の知れない大男相手に刃向かっていました。
必死で守ろうとする姿が立派だった…!(;///;)

その後の様子はふわっと触れてたけど深くは分からず…。
ううう、気になってモヤモヤする(;ω;)

そしてつい先ほど特別版の存在を知り、しまった~;という気分。
村長の息子視点が読めるなら紙じゃなく電子にしたよー!!(号泣)

0

他社さんの雑誌掲載作品

クロスノベルスさんで出されていますが、こちら本来は他社さんの雑誌掲載作品だったとのこと。
ただ栗城さんはクロスノベルスさんでは妖怪物を前回書かれておりますし(そちらも激しくお勧め)、童話と昔話が合わさったようなこの作品は二冊目に相応しく感じました。

**********************
受けは、漆黒の髪を持つ夜。
育った島では黒髪の者は凶事とされていたために、一家ごと迫害されていました。

そんな夜を救い出し側へ置き愛した、輝く髪に真っ青な瞳の麗しい第一王子が攻め。
自分自身は民の側に立った王にはなれないと、弟を王位へつけようとしています。
**********************

名前も持たない忌み嫌われた存在だった夜は、触れることも憚られていた自分を抱き上げ名を与えてくれた第一王子へ、なんというか雛の刷り込みに近い愛情を抱くわけです。
王子の方は夜を求める理由がラストに明かされるのでなるほど感なのですが、夜の側の気持ちの移り変わりは刷り込みに尽きるかなといった風。
ただ彼の育った環境では王族なんて雲の上のそのまた上の存在ですから、頷けるとも。
わたしはこういうタイプの攻めは大好物で、しかも第一王子の話し方がとてもソフトなのもメロメロンでした。
弟の第二王子へのたしなめ方も好き。
諦めることに慣れた彼が、夜だけは諦め切ることが出来なかったのが良かったです。

ファンタジーBLは数あれど、この作品の肝は名前なのかもしれません。
夜以外は『第一王子、第二王子』『村長の息子』『友人』というように、台詞にも地の文にもまったく名前は出てきません。
最後まで夜以外の名前は不明でした。
この辺りが、ただの甘々ファンタジーとは一線を画していました。
設定自体は攻めが受けを救出するというBLでは珍しくないものではありますが、素晴らしい構成で唸ってしまいました(苦笑

4

第二王子はブラコンでいいんですよね?

最後まで受けさん以外の名前が全く出てこないお話というのも新鮮で、あとがきを読んで絵本やお伽話風に…との事だったので、「あーなるほどね!」と改めて納得し読み直すほどに面白かったです。

受けさんの黒鬼(後に、夜と名付けられますが)が、黒髪持ちという事で迫害を受けて育つのですが、それも当たり前だと受け入れて生きている様が不憫で…でもそういう設定が嫌いでない自分としてはワクワクと読み進めました(^^;
攻めさんの第一王子(兄殿下)によって連れ去られた先では、黒髪も忌避されることなく受け入れられるので、本業の薬師として働け、職場での友人も出来、徐々に明るく成長していく姿は読み手として嬉しいの一言に尽きます。
言葉の通じない・一般常識の知識も乏しいといった弊害での友人達とのやり取りも、可愛くて中学生の会話だなー…と思わせられる場面もあり、クスッと笑えるほんわかさもありました。

第一王子こと兄殿下は、ストーカー…?と最後の最後でびっくりしましたが、ほぼ一目惚れで夜を見守っていたと分かった時は、連れ去ってきてからの兄殿下の考えている事が全く分からずモヤモヤしていたので、一気に好感度が上がったというか…。兄殿下も健気で不器用で一途なんだなあ…と。
王位継承や後継者問題など難しい話はファンタジーなので一旦置いといて、この2人がくっついて2人共に幸せがやっとやってきて、心底安心しました。

ただ気がかりなのが、村長の息子と第二王子(弟殿下)で。
村長の息子は立場上影で支えることしか出来ず、夜の身に危険が及ぶかもしれない段階まで村民の前で動けなかったという難しい立ち位置がこれもまた不憫で。
いつかこの子にも幸せになってほしいと思える好きなキャラでした。
弟殿下は、最初は「なにくそ!」と思うほどイライラしますが、徐々に浮き彫りになるブラコン具合…。
分かってくるとこの弟殿下も好きになってしまうんです。
弟殿下による鬼畜攻めというのも密かに気にはなりますが…笑。

最後までお伽話のファンタジー感に惹き込まれながら読める、寝る前の1冊にオススメです( *´︶`*)

5

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