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表題作極道カフェには窮鼠が潜む

九頭竜光成,28歳,ケーキ屋のオーナー兼パティシエ,ヤクザの息子
根津千登世,25歳,ケーキ屋に潜入中の探偵事務所所員

その他の収録作品

  • 極道カフェの訪問者
  • あとがき 朝香りく
  • あとがき 小山田あみ
  • パティシエの夢にネズミが三匹(カバー下)

あらすじ

探偵事務所の所員である根津千登世は、ある任務のためケーキ屋に潜入中。
オーナー兼パティシエの九頭竜がヤクザの息子で、敵対する組の依頼で彼を調査しているのだ。
九頭竜を筆頭に店員は極道ばりの強面ばかりで、戦々恐々の毎日。
ある夜、九頭竜とふたりきりでの残業中、下戸なのにうっかりアルコールを摂取して酔っ払い、正体がバレてしまった!
その上、いやらしい尋問をされ、身体の恥ずかしい秘密まで知られてしまい――!?

作品情報

作品名
極道カフェには窮鼠が潜む
著者
朝香りく 
イラスト
小山田あみ 
媒体
小説
出版社
海王社
レーベル
ガッシュ文庫
シリーズ
優しい悪魔が同居人
発売日
ISBN
9784796409346
3.9

(14)

(3)

萌々

(7)

(4)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
2
得点
55
評価数
14
平均
3.9 / 5
神率
21.4%

レビュー投稿数2

フェイクファーの使いみち

弱小探偵事務所に勤める受けは、ヤクザの息子が経営するケーキカフェへ潜入し、内偵活動をすることになる。オーナーである攻めを始めとした強面の個性的な面々の中で、接客をしたり新作の試食をしたり役立っていたが、うっかり酔っ払った拍子に正体がバレてしまい…。


探偵である受けが、ヤクザの息子が経営するケーキ屋兼カフェにバイトとして潜り込み、秘密を探ろうとするも返り討ちに遭う、というお話です。
あまり腕の良くない探偵だもので、最初から正体を疑われてはいるのですが、そんなこととはつゆ知らず、諜報活動に励む受け。一方攻めは、男前ではあるものの、ヤクザの息子でいかつい強面。そんなキャラなのにちまちまと美味しいケーキを作っています。
味はとてもいいのですが、飾り付けのセンスがあまり良くない攻め製作のケーキの試食と、飾り付けなどアドバイスを頼まれ、甘いもの好きの受けはせっせと餌付けされている、という状態。

そんなある日のこと、いつものように試食を頼まれた受けは、うっかり香り付けの洋酒を一気飲みしてしまいます。実は酒に弱く、下戸の受けは、しこたま酔っ払い、攻めをミッチーと呼ぶやら絡むやらで大騒動に。

受けの設定が実は探偵、実は下戸の大トラ、そして実はパイパン。パイパンゆえに25歳になっても童貞だった受けでしたが、酔っ払ったついでに正体もばれ、ついでにパイパンだということもバレてしまいます。
脅されエッチ中、無毛地帯の写真も撮られ、人生オワタ…な受け。

この受けのすっとんきょうな言動がすごく面白い。正体がばれ、ヤられたあとも、自宅で甘酒で酔っ払い、「このパイパンが悪いんらぁ〜〜」とフェイクファーを切り抜いてヅラを作り、瞬間接着剤で陰部に貼り付ける。「これで公衆トイレでも恥ずかしくないろ〜」とウッキウキです。
パイパン受けは何度も見てきましたが、ファーでカツラ作って貼り付ける受けは初めて見ました。読んでて噴いちゃいました。強面の攻めも、陰毛カツラの衝撃には耐えきれずに噴いていました。

その事件からもわかるように、基本はコメディです。シリアスなシーンもあるのですが、陰毛カツラが脳裏にチラついてシリアス気分にはなれませんでした。

受けくんは潜入してコソコソしているし、名字が根津だしで作中ネズミに例えられています。対する攻めは、戦闘能力が熊くらいありそうなキャラ。そんな熊キャラが、ネズミくんにハマる姿が何とも微笑ましく、可愛らしかったです。

7

今回の受けはネズミ系男子!

アニマルギャップシリーズ第4弾。
今回は、酒が入るとやけに強気になるネズミ系男子(受け)が主人公です。

既刊『ヤクザな子猫は初恋中』の受けも、巻末の番外編に少し登場します。

あらすじ:
探偵事務所で働く根津(受け)は、ヤクザの息子・九頭竜(攻め)が営むケーキ屋に店員として潜入中。
ある夜、根津の作ったケーキ(酒入り)を試食したことで、酔っ払ってしまった根津。
その拍子に、九頭竜に正体がバレてしまい…

二人称『貴様』の威圧系イケメン・九頭竜の営むケーキ屋の描写が非常にシュール。
店員は根津以外、屈強そうな強面男ばかりで、毎日の『反省会』なるものはどう見ても軍隊のノリ。
九頭竜の作るケーキも、さらし首のモンブラン、死体の目玉みたいなシュークリームなど奇抜なものばかりで、
試食担当の根津の冷静なツッコミがいちいち笑えます。
(個人的には、こんなケーキ屋があったら逆に流行りそうだと思いますがw)

根津は、九頭竜の実家のヤクザ組織と敵対する組の依頼で、九頭竜の動きを偵察中。
大した手がかりはなく、変なケーキ屋で働く日々に疲労困憊していたところ、
九頭竜に正体がバレ、出て行かなければ実力行使だとばかりに犯されてしまい…というような展開です。

九頭竜は一見怖そうな見た目ですが、中身は意外と包容力のある男前攻め。
酔った根津に『ミッチー』なんて呼ばれても怒らなかったり、
根津の正体を知っても側に置き続けたりと、
懐の深さを感じさせる言動の数々が萌ポイントでした。

根津は、小さな体でちょこまか動き回っているところが非常に「ネズミ」っぽく、愛嬌あるキャラクター。
弱そうな見た目ですが、意外と毒舌だったり、小狡かったりするところにもネズミらしさを感じました。
既刊のウサギや猫、バンビほど可愛さ全開!という感じではないですが、等身大の男子っぽさが良かったと思います。

そんな根津、実はパイパンがコンプレックスで、25歳にして童貞。
それを九頭竜に知られ、ハイテンションに落ち込む姿がユーモラスで、
根津がパイパンと知っても馬鹿にしない九頭竜の包容力も素敵でした。

クライマックス、根津を救出する九頭竜がカッコよかったですが、彼のワンマンショー的な展開になってしまったのはやや残念。
せっかくケーキ屋に人材が揃っているのだから、後半部の展開にももう少し彼らを活かして欲しかったです。

巻末後日談、恒例のカバー下SSでは、恋人になった根津と九頭竜のラブラブな雰囲気を堪能でき、満足。

巻末後日談に『ヤクザな子猫は初恋中』の受け・木芽が登場したのも嬉しいサプライズでした。
ケーキ屋で照れながら(おそらく渡瀬への)ケーキを選ぶ姿が可愛かったです。

小山田あみさんの挿絵も相変わらず大変素敵でした。
末永く続いてほしいシリーズです☆

12

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