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同人誌の『最果てのアムリタ』は1から3までの3冊ありますが、3巻目しかゲットできなかったので発売を楽しみに待っていました。
内容をざっくりと。
表題作『最果てのアムリタ』を含む3つのお話が収録されています。
つくもさん作品なので。
ええ、思いっきりショタってます。3作品とも、です。苦手な方はご注意を。
『君、恋しと言はば』
大学生の相田くん。
いっつも女の子に振られてばかりの彼。見た目とか、お金を持ってるとかじゃなくて、本当の自分を見てほしいと思いつつも、惨敗中。
そんな相田くんには年の離れた幼馴染のタイガ(年齢の記載はありませんが、おそらく中学生になるかならないかくらいの年ごろかと思います)がいます。
いつも勝手に窓から相田くんの部屋に入り込んでくるタイガですが、女の子に振られた日に、タイガに振られたことを慰められて。
でも、相田くんも女の子の見た目とかで好きになっちゃうのはよくないよ、と言われ、子どものくせに生意気な、とカッとしてしまった相田くんはタイガをからかう意味を込めてズボンを脱がせてしまいます。
真っ赤な顔で泣き、かつ勃起までしているタイガを見て、もしかしてタイガは自分に惚れてる…?と気づき…。
というお話。
子どものころから相田くんのことが好きで好きで仕方なかったタイガ。
内面を見て自分を好きになってくれたタイガに心ひかれた相田くん。
身体の関係を持つようになっても、相変わらず「幼馴染」の関係も崩れない二人にほっこりしました。
『エンドレス☆エンダーズ』
セフレ関係のヒカルくんとショウタくん。
最近マンネリ気味の二人。どうする?ってことで二人が考え付いたのがショウタくんの従兄弟のサトシと3Pをすることで…。
というお話。
ヒカルくんとショウタくんの年齢は記載がありませんが、見た目が思いっきりショタっぽいです。
ヒカルくんとショウタくんの二人がかりでサトシのtnkをなめるとか、片方が挿れられたままフェラするとか、AVですか?っていう…。
ひたすらヤルだけのお話で、個人的にはちょっと萎え萎えでした。
表題作『最果てのアムリタ』
離島に住む合くんが主人公。彼視点で話は進みます。年齢はいくつくらいなのかな。この子も中学生になるかならないか、くらいだと思うのですが。
合くんの家族が営む民宿に、仕事で訪れた倉田さん。
何度か訪れるたびに、二人の距離が近づき、恋人になるけれど。
狭い世界で生きてきた合くんが、倉田さんと出会い今まで知らなかった世界を知り。
そして恋を知り、恋に破れるまでのお話。
あとがきでつくもさんのお友達が言ったセリフで「倉田さんてひどいですよね」という感想が書かれていますが、うん、倉田さんて最低だと思う(爆)。
子どもに手を出したあげく、結婚する、と別れを告げるとか。ひどい奴だ。
対して、その別れを自分なりに消化し、前を向いた合くんの男らしさが素敵でした。
終盤に描きおろし『夏のおわり』が収録されています。
倉田さんの、過去のお話。
母親に溺愛されて育った相田さん。
お母さんの愛情に応えようと、「いい子」でいたいと努力した彼。
けれど同性しか愛せない自分の性癖を認識し、葛藤し絶望した学生時代。
そんな虚無感の中、美しい離島で出会った、無垢で純粋な少年。
合くんと恋をして、でも別れを決意して。
たった数ページで、これだけの回想を描き込めるつくもさんて、やっぱりすごいなあ、としみじみ思ったりしました。
最後の「確かにこの島で 君と恋をした」のセリフと、『夏のおわり』というタイトル。
思わずウルっとしました。
正直『エンドレス☆エンダーズ』は「趣味じゃない」評価なのですが(いや、ごめんなさい)、『最果てのアムリタ』が神すぎてか神評価しかつけられませんでした。
最後の合くんの選択が男前すぎでした。
いつか二人が笑顔で会えることを願って。
飲む者に不死を与えるとされるインド神話に登場する神秘的な飲料【アムリタ】をタイトルに据えた表題作。
一瞬が永遠になるのが恋。
ずっと変わらずに傍にいられたら良かったのに、と読んでいる自分も願うほどの少年の健気さといじらしさ。
切なくて涙が零れてしまいました。
苦手!!と食わず嫌いだったショタ本を読むようになったキッカケとなった作品です。
表題作とその描きおろし以外に2編が収録されています。
‐‐‐‐‐‐‐
離島に住む少年:合(あい)は旅行会社で写真を撮る倉田の来島を楽しみにしています。
一緒に写真を撮りに行ったり、夏祭りに出掛けたり、時間を重ねるふたり。
お祭りの帰りに倉田の指先だけを繋いでいた合の俯いた顔の子どもらしい恥じらいが可愛らしいです。
合には父親がいないようで「お父さんかお兄ちゃんだったらいいのに」と言っていることから最初は同性の年上への思慕のような淡いものだったのかもしれません。
でも、倉田は自分に真っ直ぐな気持ちを向けてくる合にキスをしてしまいます。
熟すにはほど遠いけれど、確実に性が芽生えはじめた体をもつ思春期にさえ達していない少年。
距離をはかるなんてできない、好きだと思ったら全力でぶつかってくる。
身体を繋げたら、それはもう合にとっては永遠で、すべてだったはず。
なのに、倉田が告げた事実は合の小さな世界を終わらせるものでした。
結婚をするからもう島へは来れないと言う倉田に合は「おめでとう、幸せになって」と言います。
自分の未練を語る倉田より全然、大人対応ですよ?
そんな精一杯の強がりと涙が雨に溶けた翌日、倉田は島を発ちます。
倉田の乗っている船を見渡せる場所に走らずにはいられなかった合は、倉田と逢えなくなることを悲しんでいるけれど「あの夏に帰りたい」とは思っていない気がします。
それにしても、セリフのないラスト数ページに広がる海に響く「静寂」には震える唇を噛みしめ、嗚咽するしかなかった。
セリフなしが粋な演出ですよね、声にならない慟哭が痛いほど伝わります。
泣きすぎで頭痛いぃ…。
数年後、写真を勉強しに島を出る前日、倉田から送られた写真を海に放ち、別れを終着でなく旅立ちとして昇華する合。
それが苦く切ないラブストーリーをつらさのあとに優しさやあたたかさが残る読後感に仕立てているのだと思います。
バッドエンドとは思いたくないなぁ。
ゆったりした時間が流れ、一瞬一瞬が輝きに満ちている青い空と海に包まれた小さな島に残された透明感溢れる切なさは写真とともに消えたんだと思いたいです。
【夏のおわり】
倉田が自分の「居場所」を合に求めるまでの生い立ち。
合に肩入れしてしまう分、どうしても倉田をちょっと厳しめに見てしまいます(笑)
自分をごまかして生きてきた倉田は、その寂しさをまだなにも知らない合への恋愛にすり替えただけなんじゃないの?とか。
あと書きに描かれているご友人の感想に「確かに!!」と笑ってしまいました。
恋という不適切な潔さの行き着く先は残酷以外のなにものでもなかったけれど、倉田自身も罰を受けていると思います。
別れを告げた方だからといって悲しみが少ないわけではなく、むしろ決して埋まることのない空席が彼の心には残るのでしょうから。
【君、恋しと言はば】
大学生:相田は告白連敗中。
自分の面食いを棚にあげ、自分の内面を見てほしいと凹んでいるところに隣に住む年下の幼馴染みのタイガが遊びに来ます。
密かに相田に恋をしているタイガはヤキモチまじりの心配をしますが、そんな気持ちも知らず、八つ当たりしてしまう相田…大人げない(笑)
なんとか和解して初Hで相田にギュッと抱きつくタイガの体格差が可愛い~。
身長もだけど肉のつき具合が良い!!
タイガのちっちゃなおシリにみっしりした相田が覆い被さる場面がエロい~。
気持ちよさにうっかり早射ちになってバツの悪そうな相田の顔も可愛いです。
ヒトコマだけ描かれた5年後のふたりが幸せそうで嬉しい。
【エンドレス☆エンダーズ】
ヒカルとショウのふたりがマンネリ化したセックスライフに刺激を…と目をつけたのはショウの従兄:サトシ(童貞)
いたずらな表情を浮かべるショタっ子ふたりが年上を巻き込んでコミカルに繰り広げる3Pは流石、つくも号さんという感じ。
画力があるから無理めな体位も納得できるエロさ!体格差が魅せる体位!!
受けてる時のショタっ子たちの表情が一瞬、色っぽく大人びるんですよね~こういうところホントに巧い作家さんです。
サトシはロリで童貞卒業に夢見てるのに結局、流されちゃうし、カバー下ではリバられそうになってるし(笑)
おバカさんで楽しそうでなによりです!
シマ物BL(という言葉があるかどうかは知りませんが)は、見かけたら読んでおきたい派です。と言うのも自分自身がシマの生まれで、どうしても自分の心情などを重ねずにはいられないから。
この表題作の主人公は、沖縄の離島らしき島の少年・合。彼と都会から時々やって来るちょっとかっこいいお兄さん・倉田の関係が中心になる話です。こういう話の場合、都会の人にとって「南の島」が、いわゆるパラダイスや夢の国のように映ることは理解できるのですが、どうしても心情的にはシマ側の意識になってしまうんですよね。切なかったり、悔しかったり……。西郷どんの島妻・愛加那と一緒じゃないの!とか思ったりして。(※当時、島で娶った妻は島から帰る時に連れては帰れないという制度があったという……)
都会の人は観光地に「開発されない大自然」を求めるけど、そこで日常の生活をしている人が居ることにはなかなか思いが至らないという感覚がありますが、ああいうモノにもつながる複雑な感情ですね。
この「最果てのアムリタ」の場合、倉田は倉田で心に抱えているものがあったりして、合に癒やしを求めていることも分かるし、その時の気持ち自体が嘘ではないこともわかるのですけど、やっぱり勝手だなぁと。
しかし、このストーリーの場合の救いは、合が「捨てられてただ泣いているだけ」ではなかったこと。チラッとですが、たくましく自立していきそうな感じが描写されていてじーんとしました。きっといい男になるよ。
その他の収録作も面白く読めましたが、やはり表題作のシリーズが良かったです。
ショタには耐性があるつもりだったのですが、そんな私でもこれはちょっと読みながら赤面しちゃうような(笑)ドキドキさが半端なかったです。絵がめちゃくちゃ上手い方なので、体のラインが美しすぎるし、なんともいえない表情がたまらなくそそられるし、見ちゃいけないものを覗き見しちゃった感じで、終始そわそわしながら読みました。
ショタが地雷の方はつくも号さんは読まないとは思いますが(笑)ちょっとハードル高めなのでこれから読まれる方はご注意下さい。
表題作を含む3作品で構成されているのですが、なかでも『エンドレス☆エンダーズ』はDT兄さんがショタっ子たちに翻弄される話で私は楽しく読ませて頂きましたが(笑)かなりのエロエロ加減でにやにやしまくりでした。
そんなエロに比重をおいた話がある一方で、表題作の『最果てのアムリタ』は撮影に訪れた最果ての地でまっすぐで純粋な少年の愛情を手にして、やっと自分の本来の姿で生きることができたにも関わらず、結局は自分を縛り付けている家族の愛情や期待を振り払うことができずに、本当の気持ちに蓋をして生きることを選んだズルくて哀しい大人の切ない話でした。ハピエンが絶対条件の私ですが、捨てられ傷つけられた合くんが、その後失恋を糧にたくましく素敵に成長していたのが印象的で、すごく救われたし、とても大好きな話になりました。
そして…下の毛が生えてきたって恥ずかしげに見せるシーンは、なんであんなにエロいんだろう…とこの作品で学ばせて頂きました(笑)
表題作は同タイトルオリジナル同人誌3冊を再録した上
加筆したもの。そして更に同人誌一冊と電子書籍化された
同人誌一冊を併録作として収録しています。
【※初出情報を訂正しました】
同人誌→電子書籍化再録分は、この作者さんの陽気な部分が
前面に出た作風ですので割合に軽く読めるだろうと拝察します。
併録もう一作の同人誌再録分も…まあまあライトと言える
部類ですので、心当たりさえなければそれなりに軽く
読めようかと。
曲者なのは表題作です。
帯の惹句は相当に苦心されたでしょうね。
物語をどの立場に寄り添って読むかによって相当味わいは
変わるでしょう。
評者は…敢えて帯の言葉に寄り添いたいかなと。